アサギマダラは毒を好む・・・

 アサギマダラという美しい蝶は、日本列島の北から九州へ、時には台湾あたりまで2000㌔を旅するそうだ。この蝶は、秋の七草のひとつフジバカマの花の蜜を好むことが知られている。これによく似たヒヨドリバナという植物にもこの蝶が集まるらしいが、恥ずかしながら、私はこの二つの植物を混同していたのだ。

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 話は2年前にさかのぼる。2016年夏、御嶽山登山のため岐阜県に向かった。多くの犠牲者を出した大噴火で頂上までは行けないので、8合目あたりを目指して歩いた。しかしあいにく、途中で豪雨に見舞われ、登山を断念した。

 その夜は中腹の濁河温泉に泊まり、翌朝、車で山を下った。すると、道路沿いにピンクがかった白い花を咲かせる植物が目に入った。背丈は1mほどで、あたり一面に群生していた。家内が昔、大津の自宅で栽培していたフジバカマに似ていると言った。フジバカマと言えば、山小屋に飛来するアサギマダラが好む植物である。

 後ろめたい気持ちもあったが、これを3株ほど引っこ抜いて持ち帰った。家内によると、フジバカマは繁殖力が強く、庭に植えておくと始末に負えないほど増えるという。これを山小屋の敷地に植えれば、アサギマダラが飛び交う楽園になると思い、繁殖を試みた。昨年の梅雨のころ、うまく根付き花芽が付いた。

 そしてこの春にも芽が出て、梅雨を迎えた今、たっぷり雨を吸って一段と大きく成長した。てっきりフジバカマと信じていたが、念のためネットで調べると、フジバカマは葉が三つに分かれていると書かれており、間違いだったことが分かった。本当はヒヨドリバナだったのだ。

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 でも、それほど落胆しなかった。昨年には、アサギマダラが御嶽山ゆかりのヒヨドリバナに止まり、蜜を盛んに吸っていた。しかも貴重な資料が得られた。つまり、この二つの植物の蜜には、アルカロイドという共通の物質が含まれているというのだ。

 アルカロイドは一種の毒物で、アサギマダラがこの毒を体内に蓄積することで、天敵に食べられないよう自己防衛しているのだそうだ。アルカロイドを抽出した物質は、古代から毒矢に使用されたとも言われる。アサギマダラが毒の蜜を吸うのは、北朝鮮が核を保有し、体制を維持しようとするのと似ていなくもない。

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 ここ生石高原に近いわが山小屋に、アサギマダラが本格的に姿を見せるのは8月に入ってからだろう。真っ先に、ヒヨドリバナの蜜を吸いに来るはずだ。花の数は昨年より2倍も3倍も増えており、飛来するのが楽しみだ。アサギマダラにとって、フジバカマでもヒヨドリバナでもいい。たっぷり毒が含まれていれば・・・。
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山の宝石・山椒を摘み取る

 山小屋の裏手に、山椒の木が2本ある。今年はこれまでになくたくさん実を付けた。

 先日、家内がハサミを使って収穫した。摘み取った緑色の粒は、実にみずみずしい。家内に手伝ってほしいと頼まれたが、作業が面倒なので、そそくさとその場を離れた。

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 わが家では、実山椒は1年を通して使う香辛料だ。山菜の季節にフキを採り、佃煮を作る。欠かせないのが冷凍保存しておいた実山椒だ。昔、クリープのないコーヒーなんて・・・というテレビCMがあったが、実山椒はまさにそんな存在だ。

 鮎釣りが趣味だが、たくさん釣れれば、家内は甘露煮を作る。味の決め手はこれもやはり実山椒である。京都名物ちりめん山椒もよく作る。白いご飯に振りかけて食べれば、これぞ和の食文化である。

 実山椒の収穫量は、和歌山県がダントツの1位で、実に国内生産量の80%を占めている。私たちが暮らす和歌山県有田川町で多くが栽培されている。葡萄の房のようにたくさん実を付けるので、「山の宝石ぶどう山椒」の名前が付いている。

 特に品質が良いのは、秋篠宮妃紀子さんの先祖の地・有田川町の清水地区だ。ここは霧が深く、寒暖差も大きい。山椒を使ったレストランがあり、パスタを食べたことがあるが、なかなか乙な味だった。

 わが家の山椒も、清水町と同じ気象条件で育ち、品質はいいと思う。何と言っても、無農薬である・・・。

太陽光発電が森を壊す

 変な噂を聞いた。「太陽光パネルが設置されるらしい」・・・。

 私たちが暮らす生石高原の別荘地に、太陽光発電が計画がされているというのだ。もしその噂が本当なら、景観や環境の破壊につながりかねない。

 計画されている場所へ行ってみた。わが家から500mほど西へ行くと、広葉樹の森がきれいに伐採されていた。広さはざっと200坪ほどだから、小規模な太陽光発電だろう。

 いや、規模の大小の問題ではない。自然を楽しむ別荘地にパネルの設置を許せば、これが「蟻の一穴」になり、「千丈の堤も崩壊する」という例えの通りになる。

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 和歌山県には規制する条例があるのかネットで調べると、今年3月に条例が公布されていた。それによると、規制を受ける事業の対象は、発電量が50キロワット以上で、その場合は環境や景観に配慮し、近隣住民の理解を得ることになっている。ただし、50キロワット以下については、何の規制もない。

 伐採された場所の真向いには芸術家が住んでおり、もしパネルが設置されれば、工房から丸見えである。それまで彼は、森の緑に埋もれながら創作活動にいそしんでいたはずだ。小規模発電所という理由だけで、別荘地の環境や景観が守られなければ、深刻な社会問題だと思う。

 こんな噂も聞いた。ここから南へ2、3キロ下った生石高原の中腹でも太陽光発電の開発が行われているらしい。芸術家の前の土地を見に行ったその足で、こちらにも行ってみた。それは驚くべき光景だった。

 杉林の山の斜面が、目測で長さ約300m、幅100mほどが伐採され、赤土がむき出しになっていた。ここでは10台ほどのブルドーザーやユンボなどの重機がせわしげに作業をしており、作業員も数十人が動員されていた。斜面の上部では、すでに太陽光パネルの設置作業が進行中で、最終的に4000枚のパネルが設置されるというメガソーラーだ。

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 伐採現場は別荘地と接しており、うち一軒の別荘を訪ねてみた。夫婦で1年のほとんどをここで過ごしているという。別荘の建物とパネルとの間は2、3mしか離れていない。杉林が伐採されたためまともに風が吹き抜け、何年か前、強風で屋根が吹き飛び、修理したという。

 さらに、伐採によって水道の水が濁っているとの話もある。他のメガソーラーでも、隣接する住宅では反射光などで蒸し暑くなったという。ここの夫婦は「景観が損なわれ、資産価値が失われてしまった」と落胆していた。

 再生可能エネルギーの比重を高めるのはいいことだが、太陽光は全国各地で環境や景観に悪影響を及ぼし、風力発電も低周波被害が出たりしている。このように新たな電源問題は課題が多く、行政も法律も追いついていないのが実情だ。私たちが暮らす生石の森も危うい。取り返しがつかなくなる前に、体を張るしかない・・・。

雨上がり、山の蕗を採る

 雨が降った翌朝は、何はさて置き山菜採りに行く。水分をたっぷり吸った山菜は、柔らかくて美味しいはずだ。「雨後のタケノコ」という言い方もあるが、要するに雨の翌日は山菜が一段と成長する。

 先日、一日中雨が降ったので、次の朝、今が旬のフキを採りに行った。腰を痛めている家内が軽トラを運転し、私が山道沿いに自生しているフキを採りながら移動するのだ。森の中なので木漏れ日が差し、腐葉土に水分が蓄積されている。

 「あんた、フキ採り上手やなぁ」--。以前、フキを農協に出荷している農家の人から褒められたことがある。私は鎌やハサミを使わず、フキの根元を持って弾みをつけるように、一気に摘み取る。これだと根ごとを引き抜くことはないが、取れてしまえばその場に埋め戻すことにしている。

 中腰で採るのは腰が辛いので、群生するフキの前に座り込む。長くて太いもを選んで摘み取り、左手で持ち替え、右手の親指と人差し指で葉を落とす。この間、2秒もかからない。その間に次に採るフキを見定めておくのが肝要で、われながら手際が良いと思う。

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 実は、私が通っていた中学校では、学年(2クラスだけ)ごとに、フキ採りに行くのが行事の一つになっていた。採ったフキは佃煮業者に売り、これを図書購入費に充てていた。とんでもない田舎の中学校であり、貧しい時代でもあった。

 ちなみに夏休みの宿題は、薬草のドクダミを採り、乾燥させて学校へ持っていくのだ。ノルマも決められており、蛇やマムシにも出くわすなど、現代では考えられない宿題だった。

 それはともかく、1時間ほどで作業は終わった。家内の友人で、毎年、旬のフキを待ちわびている女性がいる。それに私の友人にも送ってやりたい。残りは、熊本県人吉市から取り寄せている醤油で佃煮風に炊く。寒暖差のある山で採れたフキは、独特の風味があって美味しい。

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ササユリを食ったのは誰だ!

 私の朝の日課は、山小屋の周りを見て回ることだが、ある異変に気付いたのは4月中ごろだった。ササユリの新芽が地上から30cmほどの所から切られていたのだ。茎の切り口は、ハサミなどの刃物でスパッと切り取ったような跡だった。

 敷地には数十本のササユリが自生しており、今月下旬にはピンクの美しい花を咲かせるはずだが、花芽は全滅に近い状態なのだ。可憐なササユリの花は、甘くてどこか切ない匂いを漂わせ、毎年、この季節が来るのを楽しみにしていた。今年はそんな山小屋の風物詩が見られそうにない。

        ↓ 花芽もろとも食べられたササユリ
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 これは明らかに、野生動物に食われたものだと思う。ウサギやリスは山小屋周辺によく姿を現すから、これらの小動物が犯人かもしれない。

         ↓ 時々現れるウサギが犯人か
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 今月に入ると、栽培している野生の山ウドの茎も食われた。他にも同じような形跡がないか調べると、イヌガヤの新芽も食べられていた。この新芽は地面から1mほどの高さにあり、そうするとウサギなどの背丈の低い動物が食べたとは考えにくい。

         ↓ イヌガヤの新芽も食べられた
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 そこでふと思い付いたのは、ニホンカモシカだ。4月25日のこのブログで、山小屋の近くにカモシカがやって来て、数分間にわたって見つめ合ったことを書いた。シカやイノシシはずっと以前からあたりを徘徊しているが、このような被害はなかった。ということは、目撃したカモシカがここを縄張りにして食い荒らしたとも考えられる。

 ところで、もう一つの朝の日課だが、NHK朝の連続ドラマ「半分青い」を見終わると、愛犬「ぴー」を連れて散歩に出ることだ。わが家の前の道を生石高原に向かって歩くと小さな峠があり、ここでUターンして引っ返す。往復1キロほどの散歩である。

 道の両脇にはイタドリが群生しており、最近気付いたのだが、イタドリの柔らかそうな先っぽが所々、食べられていたのだ。つい先日、この道を毎日通る地元の大工さんから「ここ半月の間に、3回もカモシカを見た」という話を聞いた。やはり、一連の食害はカモシカによるものだろう。

          ↓ イタドリも被害
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 ニホンカモシカは国の天然記念物であり、切手の図柄にもなった。人気の野生動物だから出会えば幸運だが、近年は数が増え、むしろ食害で困っている農家も少なくないという。確かにわが家では大切なササユリや山ウドを食い荒らされたが、それほど腹が立たないのはカモシカの愛嬌のせいだろう。

 人間を怖がらないし、黒い瞳でじっと見つめてくれる。「愛嬌は七難隠す」という古い言葉がある。少しくらいしくじっても愛嬌があればそれを隠してくれる。人間世界も同じであり、愛嬌は人徳にも通じる・・・。
    
         ↓ 先日現れたカモシカが真犯人か
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