【夫の日記】 山小屋に衛星放送

  午後4時過ぎ、にわかに暗雲が垂れ込み、強い風が吹いてきた。木々の枝が千切れそうに揺れている。眼下の和歌山市や遠く神戸や大阪に稲妻が走り、次々落雷しているようだ。テレビのテロップは、近畿各地の「記録的豪雨警報」を伝えている。
 この少し前、わが山小屋に衛星放送が映るようになった。実は、ここ紀伊山地の生石高原は、テレビが映りにくい。まともに映るのはNHKくらいで、他局の番組は画面が波打ち、虹がかかったようにもなる。
 しかも山小屋に置いてあるテレビは15年ほど前、何かの景品で貰った小さなブラウン管式で、性能も良くないのだろう。リサイクルショップでも買ってくれないような代物だ。
 そんなしょぼくれテレビに同情したのか、長女がBS・地デジ対応の液晶テレビを貸してくれた。「また使うかもしれないので」と、絶対あげるとは言わないのだが・・・
 そこで今日、ホームセンターでアンテナを買った。ケーブルなど一切がセットになっていて8,380円だった。これで文明の生活が出来るなら安いものだ。
 機械音痴のひまじんはアンテナ設置など大の苦手である。まず、テレビ本体の設定がうまく出来ずに、あーでもない、こーでもないと1時間。さらに、女房に画面を見てもらいながら、アンテナの向き、仰角を変えながら、ベランダを行ったり来たり。しかし、まったく映らない。
 女房は「衛星から電波を受けるんだから、アンテナをもっと空に向けて!」と命令する。頭上にかざしてまた右往左往。手が疲れて、ベランダの床に置いたところ、「映ったでー」と女房が絶叫した。
 なーんだ、仰角はちょっと上を向いているだけではないか。女房もいい加減なことを言うが、それを信じるひまじんも無知丸出し。結局2時間近くかかった。
 ともかく、映し出された画面は、まことに美しい。アンテナを床に置いたまま、衛星映画劇場の「Uボート」に見入ってしまった。
 ひまじんは、民放のバラエティー番組やドラマはほとんど見ない。バラエティーは、お笑い芸人がゲラゲラ笑っているだけ。ドラマも制作費を切り詰めているので内容が薄っぺらい。昔のドラマ「木枯らし紋次郎」などは見ごたえがあった。広告費の減少でテレビ局も大変らしいが、それにしても気骨ある番組がまったくない。テレビ人として恥ずかしくないのか。
 会社に勤めていた頃、3日に一度の割合で未明の3時、4時に帰宅していた。すぐに寝付けないので、ウイスキーを飲みながら、テレビショッピングの番組ばかり見ていた。そんな時間にまともな番組はないし、下手な番組を見るよりショッピングの方がよっぽど面白いのだ。
 商品の売れ筋を通して世間が良く分かるので、生きた情報番組とも言える。とくに好きだったのが、ダイエット器具の販売。美しい金髪の女性が出てきて、腰をくねらせる。あれは、良かった。
 衛星放送では、しょっちゅうテレビショッピングをやっている。金髪女性の鮮明画像を見ながら、鼻の下を伸ばしてまた病みつきになるに違いない・・・

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【夫の日記】 この目で見た!狸寝入りは本当だ

  「おっはよー!かあちゃん、元気か?」と言いながら、ドイツ人のPが私たちの山小屋にやって来た。カウボーイハットにサングラス、チェックのシャツ、ジーンズといういつものいでたち。Pは同じ森に暮らしている仲間だ。しばしばお互いの山小屋を訪問し合い、コーヒーを飲みながら駄弁っているのだ。
 今日も山小屋裏のテーブルを囲んで、四方山話に花が咲く。コーヒーとタバコがあれば生きていけると豪語するPに、入れたてのコーヒーを振舞う。
 Pはとても陽気で、日本語も流暢。しかも、なかなかの情報通。彼と話していると、近辺の人物相関図や出来事などがよく分かるのだ。
 「いやー、びっくりしたよ」とPはその珍事について話し始めた。つい先日のことだという。廃屋から3匹の狸が出てきて、出会い頭のような形になったそうだ。2匹は逃げたが、あとの1匹はその場にコロンと倒れた。びっくりして突然死でもしたのかと思い、近寄ると微動だにしない。かわいそうだから、穴を掘って埋めてやろうと首根っこをつかんで軽トラの荷台に乗せた。
 すると、狸は目をパッチリ開けて、飛び降りようとした。1回目は荷台の鉄板に激突、2回目に飛び降りて逃げていったという。
 ドイツ人のPは、日本の狸寝入りという言葉を知らない。狸は寝たふりをして人を騙すのだと教えると、驚いていた。Pが遭遇したのはまさしく狸寝入りだったのだが・・・
 しかし、どうも信じ難い。Pは悪ふざけで法螺を吹いたりするが、話しぶりからすると、かなり信憑性がある。狸は本当に死んだ振りをするのだろうか。
 インターネットに、こんな話が載っていた。
 「--確かに猟に出かけた時にタヌキに向かって発砲するとバタンと倒れたりするので、仕留めたと思い油断して近づくと、突然ムクッと起き上がり逃げ出す事があるそうです。しかし、実はタヌキはこれをワザとやっているワケではなく、本当に鉄砲?などの音で気絶をしてしまうそうなのです」
 なるほど、気絶するのか。突然ヌーッと現れた巨体のPに出会って、本当に気絶したのかもしれない。まあ、お茶飲み話としては、なかなか面白い。わが山小屋にも、都合が悪いと狸寝入りするオスが1匹いるが・・・
 狸話に夢中になっていると、もうお昼前。Pは「またね!」と言って帰っていった。
 ところでPは最近、わが家の前の道を素通りして、どこかへ行くことが多い。軽トラの荷台にいつも材木が積んである。一度行き先を聞いたことがあるが、「アルバイトよ」と口を濁していた。多分、あの女性のところに行き、テーブルなどを作ってやっているのだろう。何がアルバイトか、狸オヤジ!

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Pが愛用している帽子

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【夫の日記】 ベランダに防腐剤を塗る

  今日は、山小屋のベランダに、懸案だった防腐剤を塗ろう。週間天気予報を見ると、近畿地方は当分好天が続く。この天気なら、すぐ乾燥するはずだ。
 山小屋を建てて13年。ベランダのメンテナンスはこれで3回目だ。風雨にさらされるベランダやデッキは痛みが早く、本当は3年に1回くらい塗るのがベターだろう。
 早めの朝食を済ませ、女房と塗装の作戦会議。作業は今日一日かかるだろう。夫婦の総合力が試されるのだ。ま、そんな大げさではないが、要するに喧嘩せず、粛々と進めることだ。
 ベランダは山の斜面に突き出ているので、支柱は高いところで4メートル以上はある。高所恐怖症がひどいひまじんだが、「高いところは任せておけ」と男らしいところを見せておく。
 まずは、ワイヤーブラシで緑色のカビ落とし。「これは美容にいいかも」なんて言いながら、女房はピョンピョン飛び上がりながらブラシを使っている。「いまさら美容なんて・・・」と言いかけたが、ぐっとその言葉を飲み込んだ。女は骨になるまで女と言うし、出鼻をくじいてその後の作業に支障が出ても困る。
 ひまじんの場合はベランダから身を乗り出して塗るなんて、恐ろしくてできない。写真のように、這いつくばる。女房が面白がって写真を撮った。バカモン!
 手すりと床を塗り終わって、昼食。どうも防腐剤が足らない。車で山を下り、ホームセンターへ買いに走る。午後からの作業も順調に進んだ。それもそのはず、高い所の支柱はすべて女房が塗ったからだ。ひまじんは低い所だけ。うまくおだてて、働かせるのもひまじんの才能である。
 午後3時、作業は終わった。灰色にくすんでいたベランダは、こげ茶のいい色になった。ベランダは道路から見上げる位置にあり、わが山小屋の顔である。
 夫唱婦随・・・文字通りの共同作業だった。ただ女房、「言うことと、することが違うねえ」とチクリ。いつも、一言多いのだ。

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      塗装の前

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      塗装の後・・・余り変わらん

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【夫の日記】 撫子が怒っている

  早朝、パジャマ姿で山小屋の周辺を歩いた。森の冷気はすがすがしく、少し肌寒い。1週間ぶりに山小屋に帰ってきたのだが、下界の猛暑が嘘のようだ。
 隣の敷地をふと見ると、河原撫子が一輪咲いていた。多分、自生したものだろう。すらりと伸びた茎の上にちょこんと咲いているピンクの花。まことに清楚なたたずまいである。
 気恥ずかしくて、大きな声ではいえないが、ひまじんが一番好きな花が撫子なのだ。やくざの親分が「リカチャン人形、大好き!」と言えば、子分どもはずっこけてしまうだろう。ま、これに良く似た話である。
 撫子は、竹久夢二が描く女性のイメージと重なる。物憂げな目元、ほっそりした腰のくびれ、思わず抱擁したくなる。撫でたくなるからその名がついたらしいが、夢二の女性はまさしく大和撫子そのものである。
 ちょっとした縁があって、ある茶道家がひまじんを正客とした茶事を催してくれた。前もって、色々と質問があって、その一つに「好きな花は何ですか」があった。恥ずかしかったが「撫子です」と答えておいた。
 茶室に入ると、床の間の備前焼に撫子が一輪。しかも、ひまじんの干支にちなんだ軸が吊るされていた。この心配りに、熱いものが込み上げるほどの感動を覚えた。撫子を目にすると、いつもあの茶事を思い出し、撫子への愛着を改めて強めるのだ。
 さて、ひまじんが言いたいのは、ここからだ。日本代表女子サッカー、またの名を「ナデシコJAPAN」。どこが撫子や?もう、こらえて頂戴な、と言いたくなる。
 北京五輪を決めたイレブンはすごいと思う。それぞれの技も情熱も文句なしだ。容貌のことは言わないが、まあみんな個性的だし、太ももは逞しい。鳥の巣のようなヘアースタイルをした選手もいる。掛け声だって、断末魔のような響きがある。
 一流のアスリートに間違いないが、だからと言って、いくらなんでもナデシコはないだろう。大和撫子は「清楚」の代名詞なのだ。どこ清楚や?とまでは言わないが、これはどう見てもミスマッチだ。
 恐縮至極でございますが、うちの女房は若い頃、撫子のような女性だった。嘘ではありません。ただし、2008年時点、もはや例える花はございません。サッカー協会も、ひまじんくらい謙虚になり、ネーミングを反省していただきたい。ガンバレ!北京五輪。

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本日は午後からアユ釣りに行った。これくらいしか釣れなかったが、型は良かった。

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【夫の日記】 暑中お見舞い/蓮と鰻で

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 大暑。お暑うございます。南半球の人には余計なお世話だが、北半球にお住まいの皆さんに、琵琶湖畔からご覧の大型扇風機で涼しい風をお届けしたい。
 今日はクラクラするほど暑いので、お昼ごはんを食べてから夫婦でドライブに出かけた。カーナビに示された気温は36度。アスファルト道路に陽炎が立ち昇っている。
 琵琶湖畔の周遊道路を走り、烏丸半島の水生植物公園を目指す。自宅から約30分のドライブコースだ。ここには50万本の蓮が植えられており、いまが花の見ごろ。

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 見渡す限りといえば大げさだが、広大な湖畔一面に淡いピンクの花が咲き乱れている。日本一の群生地という。湖面を渡る風は意外に涼しく、われら夫婦は肩を寄せ合い、しばし花に見入ったのであります。
 花の見ごろとあって、多くの人たちが訪れていた。リュックを背負ったお年寄りの女性が目立った。若い人のリュックは身軽で感じがいいが、お年よりは余計に背中が曲がって見え、見栄えが良くない。女房には「年を取ってもリュックはやめたほうがいい。やはりショルダーバッグだね」と念を押しておいた。
 振り返ると、風力発電のプロペラがゆっくり回っていた。どれくらいの電力を生み出すか知らないが、環境先進県の象徴としての役割を担っているのだろう。しかし、琵琶湖の風景には馴染まず、唐突な感じは否めない。エコと景観・・・難しい問題である。


 以心伝心、阿吽の呼吸、打てば響く。夫婦はこうであらねばならない。エッ、聞きたくない?まあそう言わずに、しばしお付き合いを。
 帰りの車中、夫婦が考えていたのはピタリ「鰻」。天地神明に誓って嘘ではない。「帰りに蒲焼の馬杉に・・・」「私も同じこと考えていたわ。ホ、ホ、ホ」。
 大津の膳所にある「馬杉」は、鰻の蒲焼でちょいと知られた店である。浜松産の生きた鰻をその場でさばき、炭火で焼き上げる。だからおいしく、午後3時に店を開くとすぐ売り切れる。4時前に店に着くと、土用ということもあってすっかり売り切れていた。焼いているのはすべて予約の蒲焼だった。

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 しかし、女房は目ざとい。店の隅っこに無造作に置かれた2匹の蒲焼を見逃さない。1匹は身が5センチほど欠け、もう1匹は焼き過ぎ。「これ売ってくれない?」。「これでよかったら、いいですよ。味は同じです。安くしときます」。これで商談成立。身が欠けたのが1700円、肝2本600円、計2300円。
 以心伝心で大いに盛り上がったが、結末はケチ臭い話に落ち着いてしまった。食卓に乗ったかぐわしい蒲焼。「欠け落ちた身はどこへ行ったのかなあ」とぼやきながらも、ひまじん夫婦にとっては、豪勢な晩御飯になったのであります。

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【夫の日記】 どこまで正直になれるか

  人間は、自分に対しても、他者に対しても、どれだけ正直になれるだろうか。つい先日のゴルフで、そんなことを考えさせることがあったので、ぜひ、書いてみたいと思う。
 その前に、あるエピソードを紹介したい。アメリカか、イギリスか、どちらのゴルフトーナメントか忘れたが、ある選手は自分で打ったボールの所に行くと、ボールのすぐ後ろに小さな花が咲いていた。ショットをすれば、花はなぎ倒される。
 そこでこの選手は、1打の罰を受けるアンプレアブルを宣言し、ボールを別の場所にドロップした。プロにとって、1打の差で賞金額が何百万円、何千万円も違ってくる場合がある。
 「1打は取り返すことが出来るが、ショットをすれば花の一生を奪ってしまう」と言ったそうだ。出来すぎた話に聞こえるかもしれないが、この年のフェアプレー賞に選ばれた有名な話なのだ。自分の信念に正直でありたい。そんなプレーだった。
 さて、一昨日、あるゴルフコンペに参加した。メンバーは、トップアマの1人に数えられるはひまじんの師匠Kさん、全日本アマ常連の選手、全日本グランドシニアの代表選手、ひまじんの4人だ。ひまじんを除けば全員ゴルフを知り尽くした人たちである。
 あるミドルホールで、Kさんは短いパーパットを外した。他の3人はスコアカードのKさんの欄に「5」と書いた。ところがKさんは「7」と言った。
 えっ、どうして?と聞いた。「アドレスした時、手が震えて2回ボールに触れたように思う」との説明だった。他の3人はKさんのパッティングを見ずに、すたこらグリーンを離れたので、ボールに触れたかどうかは見ていない。しかし、本人がそう申告したのだから、触れたのだろう。アドレスしてボールに触れると1打とみなされるのだ。
 この申告は当たり前と言えば、当たり前である。ゴルフに審判はいない。だから自分が審判なのだ。同伴競技者が見ていなくとも、ルールにのっとり、正直に申告しなければならないし、過小申告すれば失格となる。
 しかし、ひまじんはこんな場合、本当に正直になれるか、自信がない。「ボールが動いていないから、ま、いいか」との思いが頭をよぎるかもしれない。
 Kさんは73歳。全日本アマなど数々の試合に出場し、クラブチャンピオンも9回を数えるトップアマだ。ひまじんがクラブを手にした時から教えてもらっており、師匠と言うより、恩師なのだ。その人柄もよく知っている。
 ゴルフが上手でも、ルール違反をする人は少なくない。ブレザーを着用しない、半ズボンでもハイソックスをはかないなど、マナー違反も目立つ。だから、この話をどうしても書きたかったのだ。
 Kさんのプレーぶりは、当たり前とはいえ、見事だ。トップアマとして崇められているのは、ゴルフが上手なだけではない。ルールにもマナーにも厳格であり、正直な人なのだ。
 ゴルフはハンデキャップのある平等のスポーツだ。最も重要なのは、「ルールを守る」。それだけである。

    73歳のKさんは今なお250ヤードのドライバーショットを放つ。

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【夫の日記】 山小屋で侘び、寂びの境地に

  女房が、二階の和室でごそごそしている。へそくりでも探しているのか。いや、それにしては、物音が騒々しい。
 「山小屋に戻ったら、お茶でもたてようかと思って」と言いながら、茶道具を引っ張り出しているのだ。女房は、若い頃、何年も茶道を習っていた。
 新婚当時、時々お点前を披露してくれたことがある。ひまじんは見栄を張って、「結構なお点前で」などと言いながら、粗相のないようちょっと緊張したものである。
 わが家には、茶道具の家宝がひとつある。高名な作家による抹茶茶碗だ。ひまじんのような貧乏人が買えるようなものではない。
 私が京都に赴任していた頃、三千家からそれぞれ新年恒例の初釜に招かれた。家元のお点前を拝見しながらお濃茶をいただくと、別室に席を移し、お屠蘇もいただくのだ。
 そして最後に、これも恒例のくじ引きが始まる。30人ほどの客に、若い女性のお弟子さんがくじをのせた三方をうやうやしく差し出す。
 ひまじんは最も若輩だったので、末席に座っていた。最後に残った1枚を押し戴く。くじを開くと、隣の京大工学部の先生が覗き込み、「カラやねえ」とおっしゃる。「空」と書いてあるので、なるほど空くじなのだ。
 順次、「松のお方」「竹のお方」などと呼ばれた人が賞品をもらっている。最後に「くうのお方」と呼んでいる。えっ、「くうって、空のことか?」。そう1等賞の抹茶茶碗が当たってしまったのだ。残りものに福があるとはこのこと。ちなみに、その年の歌会始のお題は「空」だった。
 なんぼくらいの価値があるか、野暮なことは書かないが、家元の秘書役は「家元から出たものは、売ったらあきまへん。そんなことしたら、すぐ分かります」と釘を刺された。骨董屋に飛び込みたいと思ったこともあるが、幸い家宝としてまだ健在なのだ。
 来週、この抹茶茶碗など茶道具一式とともに山小屋に戻る。そして、お茶をいただくのだ。「侘び寂び」などという世界は、粗野なひまじんには無縁だと思うが、そんな境地に浸る真似事も悪くない。私たちの森の暮らしはまことに簡素であり、その点だけは「侘び寂び」の美意識に通じるところがある。

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【妻の日記】 古里の山を眺めて滋賀へ帰る/金剛山

 ひまじん夫婦が滋賀の自宅に帰る日の朝。遅い朝食をすますと、残り物でお昼のお弁当を作り、台所を片付けけ、生ゴミを土に埋める。冷蔵庫の食料品をクーラーボックスに移し替えると、今度は段々畑の野菜に水をやる・・・。あれもこれも気になってパニック寸前ですが、主人はパソコンの前に悠長に座っています。嫌味を言うのをぐっと我慢します。
 出発はお昼前になりました。30分ほど走ると、「あら川の桃」の直販所です。すっかり馴染みになった気の良さそうなおばさんが店番をしていました。いつものように、贈答品からはずれた安い桃を買う。2000円も出せば、びっくりするほどの数の桃が買えるのですよ。

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 紀の川の左岸にに沿って車は快調に走ります。信号も余りないので、山小屋を出て1時間で高野口です。

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 高野口で紀の川に架かる赤い橋を渡ると、前方に京奈和道が見えてきました。この道路は国道24号線のバイパスとしてつくられたので、無料なのです。現在、五条市までの間と、橿原市から大和郡山市の2区間が開通しています。
 
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 五条市に入ると、金剛山が見えてきました。(下の写真の右奥)。大きな山容です。あの山を越えると、私の生まれ育った所です。
 大阪で唯一の村、千早赤阪村があるのです。大楠公こと楠正成の生まれた歴史ある村なのですが、合併話が取りざたされ、村名が消えてしまうかもしれません。そうなれば、寂しい限りです。
 クスノキに囲まれた楠公誕生地があります。城跡は残っておらず、その上には私が学んだ中学校が建っています。敵塚、味方塚もあり、味方塚より敵塚の方が立派で大きいのですよ。敵であっても尊敬の念を忘れない。そんな精神を学ぶようにと教わり育ったのですが・・・

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 無料の高速を降りて国道24号線に入ります。右手に若草山を眺めながら京都に入り、お茶で有名な宇治田原を経て大津の自宅に帰りました。
 ミカン、モモ、イチジク、柿などの果樹園、お茶畑の中を走る3時間半の旅でした。阪和道、近畿自動車道、名神という高速道路のルートであれば、2時間で帰れるのですが、片道3,850円という高い高速料金を払うのは馬鹿らしい。時間もたっぷりあるので、もっぱら奈良、京都経由のルートです。それに、幼い頃、いつも仰ぎ見ていた金剛山の麓を走るこのルートは、なぜか、わたしの郷愁を誘うのです。




【夫の日記】 再び鮎の燻製/ダッチオーブン

  しつこい!くどい!そんな声も聞こえて来るが、またまたダッチオーブンを使ったアユの燻製。明日、所用で滋賀の自宅に帰るので、ご近所や知人のお土産にしようという訳だ。
 燻製に使うアユは、食べ応えのある22、3センチの大型だ。まず、内臓を出してぬめりもきれいに取る。塩をして、2時間ほど陰干しにする。
 さあ、燻製だ。アルミホイルを敷いてサクラのチップをひとつかみ。中敷にアユ6匹を並べる。普通は20分くらいで出来上がるはずだが、ひまじんがやると、その何倍もかかってしまう。
 地方に赴任していた若い頃、職場の石油ストーブで餅を焼いていたところ、上司から「お前は乞食の餅焼きやなあ」と言われた。
 乞食は、餅を早く食べたいので、待ちきれずに裏返したり、表に返したり、じっとしていない。だから、餅はうまい具合に焼けるというのだ。ひまじんも、何事につけ、鷹揚に構える性格ではなく、餅を焼くにもちょこちょこと手が出てしまう。
 ところで「乞食」という表現だが、新聞、テレビでは禁止用語になっている。そもそも乞食は宗教用語で、「こつじき」と読む。托鉢の修業僧のことだが、いつしか物乞いをする人を指す言葉となった。ホームレスや路上生活者は段ボールや空き缶を集める労働をしているので、乞食ではない。しかし、マスコミは乞食を路上生活者と言い換えている。これ、逆差別ではないのかえ?乞食は事情あって物乞いするのであって、なにも姑息に言い換えることはないと思うのだが・・・
 燻製があらぬ方へ行ってしまった。ともかく、ひまじんはオーブンの中の様子が見たくて、何回も、何回も蓋を開けてしまう。このため、熱と薫煙がそのつど逃げてしまい、時間がかかってしまうのだ。1時間余り、やっと燻製が出来上がった。黄金色に輝いている。つまらん言葉で飾る必要のない出来なのだ。
 続いて2回目の燻製だ。今日は17、8匹を作る予定だったが、もう日が暮れてきた。3回目の燻製は断念しなければならない。蚊がプーンと顔の周りを飛び回っている。とっぷりと日も暮れ、ちょっと早いが、これにて終了だ。これも、いい具合に出来ているだろう。
 目の前に置いたアユの燻製を眺めながら、晩酌をちびり、ちびり。毎度のことだが、酒の肴が少ないので、出来たての燻製を食べたくなるのは当然。「ちょっと味見」と箸を伸ばしかけると、女房が「ダメですよ。差し上げる人を計算しているのですから」。でも、スキを見て食べた。おいしかlった!

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【夫の日記】 物々交換/たもぎ茸と鮎

  まず、キノコの写真をご覧いただきたい。ひまじん夫婦にとって始めて見るキノコだ。何とも毒々しい黄色。知らない人にもらったら、毒キノコと思って捨ててしまうに違いない。

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 私たちが住んでいる生石高原に、古くから住んでいる「I」さんという人がいる。高原に広がるススキの「大草原を守る会」(NPO法人)の会長さんである。今朝、この奥さんが、ご自分で栽培している黄色いキノコを届けてくれたのだ。山椒と炊き合わせた佃煮も一緒にいただいた。日ごろ、ひまじんが釣ったアジやグレの干物など差し上げており、そのお返しだと言う。
 このキノコ、「たもぎ茸」という名前らしい。しゃきしゃきした食感に加え、ほのかな甘みもある。シメジとエリンギを足して二で割ったような食味である。まことにおいしい。
 北海道や東北、シベリアなどに自生しているらしい。気温が低い高原だからこそ栽培出来るのだろう。インターネットで調べると、免疫活性を高めるBグルカンが多く含まれていると書いてある。ガンに効くと一時有名になったあのアガリスクタケよりも2~3倍も多いらしい。ガン予防に効くありがたいキノコなのだ。
 さっそく、有田川で午前中に釣ったばかりのアユをお返しにと届けた。そうしたら、またまた、もたぎ茸をいっぱいいただいた。
 年をとると怖いのがガンである。免疫活性を高めてくれるもたぎ茸を毎日でも食べたいと思う。わが家でも栽培してみよう。来年春に菌を植えれば夏から秋に収穫できるらしいが、それまで少々時間がかかる。これからは、アユなどの魚をせっせとお届けし、キノコと物々交換だ。また、釣りが忙しくなる・・・

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【妻と夫の日記】 奇跡のパウンドケーキ/ダッチオーブン

  甘いものが大好きな女房が、ダッチオーブンでパウンドケーキを作りたいと言い出しました。ブログを通じて友達になった「海の見える部屋のノルさん」がおいしそうなケーキをアップしておられ、これに刺激を受けたようです。
 ダッチオーブンを使う場合、焚き火をして火を熾し、火力の調節をするのがひまじんの担当。料理の準備をするのが女房と、分業になっているのです。
 女房は洗濯中なので、その間に焚き火を始めました。炭も熾しました。ところがこちらは準備万端なのに、女房のほうはチンタラと洗濯を続けており、ケーキの準備はまったく手つかず。「早くせんかい。炭が消えてしまう」と尻をたたくが、「はい、はい」とのんびりしたもんです。
  ひまじんはいらちなんです。困ったものです。ノルさんのブログを開いて材料を確認する。ホットケーキミックス、卵、バター、胡桃、さとう、ココア 山小屋にあるある大丈夫!胡桃はないけど省略してもOK。次に焼くケース。家にはいろんな型があるんだけど、まさか、山小屋でケーキを焼くなんてことは考えていなかったので、もってきていない。はて、困った!空き缶を探すが見つからない。流しの下をさぐって、ステンレスの四角のバットをみつけた。少し高さがある。ダッチオーブンに中敷きをして蓋が出来るかが問題です。やっぱり!蓋が出来ない。でも、小石を敷くことでこれをクリアーできそうです。山小屋には、ピザの生地を作ろうと持ってきたこね器があるので、材料さえ揃えばここからは短時間でできます。こね器がみんなやってくれるのです。
 このこね器は、ほんとうに便利です。材料を入れてスイッチをいれれば、はねが回転して ハイ出来上がり!

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  ケースが大きすぎるのでは?まぁー 大は小を兼ねるのだ!

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  しびれが切れた頃、ようやく、女房の準備は出来たようです。レシピ集によると、事前にオーブンを熱しておき、下の火は超弱火、蓋の上は中火です。しかし、女房がごゆっくりされていたので、炭が消えかけている。ええーい、構うもんか。火力の弱い炭でケーキを焼き上げます。女房が山小屋でお休みになっている間も、団扇で炭をあおり続けます。20分経過。「おーい、蓋を開けるでー」。
  うわぁー すごい!びっくりするほど膨らんでいます。爪楊枝をさしてみる。生地はついてこないけど、あと少しだけ焼きましょう。

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 焼き上がりました。きれいな焼き上がりです。

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 恐るべしダッチオーブンです。主人の火加減というか、汗かきかき団扇であおったのがよかったのでしょう。ガスオーブン、電気オーブンで焼いたものと遜色ありません。いや、それ以上です。「レストランでいただくのと一緒だね」と、無邪気に主人とともに褒め合い、ふっくら、しっとりのケーキを味わいました。

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【夫の日記】 疾駆する老アユ釣り師/有田川

  薄い霧の中、生石高原を下る。もちろんアユ釣りだ。山道沿いには合歓の木(ネムノキ)がたくさんあって、今、花が満開だ。余りに美しく、軽トラを道端に止めて、見入った。
 花は茶せんのような形をしていて、根元が白、先がピンクで、そこはかとない色気が漂う。古いところでは、妖艶の女優太地喜和子、新しいところでは山本モナが思い浮かぶ。モナちゃんは巨人二岡選手とデートしている写真を撮られ、またまたキャスターを降板したらしい。枯れかけたひまじんの心を揺さぶるあの色気。モナちゃん、かわいそう。
 まあ、そんなことはどうでもよろしい。合歓の木は、夜になると葉を閉じて眠るので、そんな名前がついたらしい。「昼は咲き、夜は恋ひ寝(ぬ)る・・・」(万葉集)。妖艶の木でありますな。

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 さて、アユ釣り。瀬を攻めていると、中年の釣り人がやって来て、ひまじんの5、6メートル下で竿を出すではないか。これはルール違反だ。邪魔になってオトリを操作できないし、掛かったとき取り込めない。川がすいていれば、だいたい30メートルくらい間隔を開けるのが暗黙のルールだ。若者はちゃんとルールを守るのに、近年、ええ年をした釣り人の行儀の悪さが目立つ。
 気分が悪くなったので、すぐ場所替わり。大型のアユを狙って下流に車を走らせ、オオセというポイントに入った。1時間ほどまったく釣れず、昼ごはんを食べて、モナちゃんの長い足など思い浮かべながらボーっとしていた。
 午後1時過ぎ、釣りを再開したがオトリが弱っており、釣果ゼロの不安がよぎる。オトリを強引に流芯に入れ、竿を寝かせて対岸に誘導。竿を立ててしばらくするとグイーンと水中糸が走った。背掛かりで20センチほどの元気なアユが釣れた。
 オトリが替われば、釣れるはずだ。予想通り、その後はポツリ、ポツリながら掛かり、それも20~23センチの良型ばかり。河原を走り回り、ほぼノーミスで11匹が曳き舟に納まった。
 もう帰ろうか。車の所に歩いて行くと、石の色の良い瀬があった。スケベ心が出て、もう一度竿を出すと、いきなり掛かった。5連発だ。アユも大きく、走り回された。16匹の釣果に納得して竿を納めた。

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 軽トラを止めている前の瀬でご夫婦が釣りをしていた。ご主人は70過ぎに見える。ちょっと腰が曲がっている。奥さんはそれよりは二つ、三つ若い。大阪の人だが、近くに別荘があり、ここに滞在しているという。
 驚くべきことが起きた。ご主人がアユを掛けた。これは大きい。竿を伸ばされている。すると、このご主人、下流の釣り人に「ごめんやっしゃ!、ごめんやっしゃ!」と叫びながら走り出したのだ。腰が曲がっているので、川は下れまいと思っていたが、まさに脱兎のごとくである。
 40メートルほど下流で無事タモですくった。これはもう感動である。いずれひまじんもこのような年齢を迎えるが、あの健脚は大きな勇気を与えてくれた。

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 奥さんが寄り添ってタモをのぞき、「よう取れたねえ」と夫の健闘を讃えている。上の写真のようにアユは23センチを下るまい。心から拍手を送りたかった。いい光景に出会えて、今日もいい1日だった。

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【妻の日記】 「あら川の桃」を買う

 今日のひまじんは少々お疲れ気味です。前日、大型アユと格闘して、相当疲れたのでしょう。川に入る気力がないようで、買い物に素直についてきてくれました。
 お昼前、ひまじんの運転で生石高原を下りました。買い物のついでに、和歌山県の紀ノ川に近い桃山町まで足をのばしました。と言っても、生石高原から車でわずか30分の近い所にあるのです。桃を買いにきたのです。ここで栽培される桃は「あら川の桃」と呼ばれ、全国に知られています。
 桃山町に入ると道のあちこちに桃の直売所があり、この時期、贈答品を求める人で賑わっています。私のお目当てのお店は、桃畑の横にある直売所。贈答品から外れた桃を安く売っているのです。

 美味しそうな桃でしょう! お店の横が桃畑で、食べごろの桃がぶら下がっていました。
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 手前の箱には大粒の桃が入っていますが、これがなんと1000円。
 奥の箱は小粒の桃で500円。当然2箱買いました。
 今の時期は、白鳳と言う品種、まもなく清水白桃がでるそうです。
 和歌山は、本当に果物のおいしいところです。それも安いのです。
 今日もしあわせを実感するひまじん妻です。

【夫の日記】 有田川の鮎はデカイぞ!

  まいど退屈なアユ釣りのレポートだが、あくびを噛み殺して読んでいただきたい。一匹のアユを釣るのに、どれほど悪戦苦闘しているか感じていただければ、幸甚にございます。好きでやっているのだから、ご勝手に!という声も聞こえてくるが・・・
 きのうも有田川へ。前日の雷雨で水位は上がっているだろう。愛車軽トラで山を下ること15分、川に出る。水位はそれほどでもなかった。オトリ店に着くと、20人くらいの釣り人が集まっている。その中に、名人と言われる旧知のO・Mさんがいるではないか。アユ釣り教室の指導者として来ているのだという。しばらく話し込んで、いざ出陣。
 いつも通り、まずは粟生地区の瀬で竿を出す。元気なオトリが確保できれば、下流に転戦して大型アユを狙う。これがこの日のシナリオである。と言っても、絶不調の有田川だから、そう簡単には掛からない。昼まで釣ってやっと中型5匹を確保できた。
 下流のオオセという場所に着いたのは午後1時前。雨が降り出した。それも大粒の雨で、軽トラの屋根をたたく音がすごい。おにぎりを食べながら雨がやむのを待ったが、やむ気配はなく、辛抱しきれずカッパを着込んで川に入った。
 水位は高く、腰近くまで立ちこんでオトリを送り出す。一発で掛かった。難なく取り込んだアユは18センチの中型だ。「今日は型が小さいなあ」と油断したのがいけなかった。これをオトリにして泡立つ瀬に誘導すると、目印が流芯を横切ってこちらに向かってくる。アユが掛かったのだ。竿を立てると下流に逃げる。ザーザー雨に加えて霧が濃いので、アユがどこにいるのか見えない。とにかく竿を倒してヘチに寄せるが、再び流れがきつい流芯に戻られた。もう30メートルほど川を下っている。引きに耐えていると、糸が切れた。2匹の損失だ。
 水中糸をナイロンの0.2号から0.25号に張り替えた。水中糸は流れの抵抗を少なくするため、0・074ミリという極細で、髪の毛の太さの何分の1なのだ。これでやり取りするのだから、下手をするとすぐ切れる。
 この瀬は竿が入っていないのか、入れ掛かりに近い。竿先にゴンという感触があり、目印は一気に対岸に向かう。30メートルほど下がって、強引に引き抜いてタモに収まったアユは22センチを超えている。この大きさではオトリに使えない。中型のオトリに替えて同じ瀬の泡立ちに沈ませた。
 すると、また掛かった。これは大きい。引きずられるようにジャブジャブと川を下るが、大きな石がゴロゴロし、コケが腐っていているので滑る。20メートルくらい下流で足が滑った。ドボーン。尻餅をついて首まで水没してしまった。ようやく起き上がったが、掛かりアユは付いていない。それも悔しいが、ずぶ濡れのわが身が哀れである。
 その後も順調に掛かるのだが、取り込みに苦労する。4、50メートルも川を下らなければならない。時には、アユが葦に引っかかってしまうこともある。尻餅も2度、3度。どうせ濡れたのだから、もうどうでもいい。アユさえ確保できれば苦労が報われるのだ。
 増水の川で、大型アユを釣るのは、大げさではなく、これ格闘技である。雨降る霧の中、4時まで頑張った。掛かった割には取り込んだアユは8匹。どれも22センチ~23センチ。中型を加えると計13匹の釣果だった。竿をしまうと、どっと疲労感が押し寄せたが、充実感も大きかった。
 なお、O名人の名誉を傷つけてしまうが、釣果は、小型1匹だったという。教えるのが忙しかったのでしょう。

 大型と中型では、大きさがこれくらい違うのです。

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【妻の日記】 生ゴミで土を作る

 私たちの田舎では、昔から台所で出る生ゴミは畑に掘った穴に捨てていました。その上に土をかけ、生ゴミが土になるのを待つのです。これを畑に入れると、野菜は大きく、おいしく育ってくれました。土中の微生物の働きが、素晴らしい土を作り出してくれたのです。先人の知恵なんですね。
 和歌山の森の中で暮らすようになり、私もそのように自然の肥料を作りたいと思ったのですが、イノシシ、タヌキがやって来て、土を掘り返されるなど、荒らされると困ります。そこで、コーンポストを買い、山小屋の裏庭に設置しました。
 主人のひまじんは魚釣りが職業みたいなもので、いっぱい魚を釣ってきます。毎日のように食べる魚のアラをコーンポストに入れ、土をかけていたのですが、ウジ虫がわいてしまったのです(お食事中の人はごめんなさい)。あまりにも気持ちが悪いので、コーンポストの使用をやめてしまいました。
 先日、ある人のブログを見ていると、あの昔の土作りに通じる方法が紹介されていました。これが「密封容器」を使った方法なのです。容器に生ゴミを入れ、「ボカシ」(米ヌカに乳酸菌などの有用微生物を増殖させたもの)を振りかけておくと、生ゴミの分解が早くなるのです。しかも、魚のアラを容器に入れておいても、まったく臭いがしないのです。
 長崎県佐世保市にある「大地といのちの会」に電話し、専用の密閉容器とボカシを送っていただきました。
  それが、こちらです。
  ボカシは左下の微生物セットとヌカでつくることができます。
    
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  魚のアラなどの生ゴミにボカシを振りかけて、3日たちました。
  におってみましたが、甘酸っぱいにおいがするだけで、臭くないのです。 
  2~4週間分の生ゴミを貯めることができるそうですが、
  夏場は腐るといけないので、2週間内に土に混ぜてくださいとのことです。
  土に戻して、再度草が生えるまでじっくりねかせてから野菜を植えつけると
  病害虫のこない元気な野菜ができるそうですよ。
   
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  一緒に送っていただいた本には、生ゴミでの土作り、病害虫の来ない元気野菜、
  有機農業が教えてくれた病原菌の役割、元気野菜が教えてくれた子育て、
  少年凶悪事件の語られない原因 ・・・・・・ 目からうろこの話がいっぱいです。
  子育て中の人、これから親になる人にぜひ読んでいただきたい本です。

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【夫の日記】 ドラマチック!笹百合

  今日は朝から雨。近畿地方の週間天気予報はマークが続き、いよいよ梅雨明けかと思っていたが、お預けのようである。しかも、雷が鳴っている。次第に近づいて来て、ドカーン。電気が消えた。すぐに復旧したが、しばらきしてまた停電。雷さんのご機嫌が相当悪かったのだろう。停電は45分も続いた。
 わが山小屋には、恐ろしいようなササユリが2株ある。一本の茎に8個と10個の花をつけているのだ。雨がやんで外に出てみると、その2株とも花弁が膨らみ、今にも咲きそうになっている。
 わずか10センチ四方くらいの場所から4本の茎が伸びているのだ。植物のことに詳しくないので断言できないが、おそらく地中に大きな球根があって、この4本は親子なのだろうと一人合点している。
 一番幼い1本は、まだ花が咲くまでには成長していない。2本目は、つい先日、きれいな花が咲いた。問題の3本目と4本目は、背丈が1メートルを越えている。木で言えば老木、人間で言えば後期高齢者?10個も花をつけるのは珍しいと思うのだが・・・
 ひまじんが、なぜこうもササユリにこだわるのか。花が美しい。香りもいい。そして何より、女房に面と向かって言えないが、若いころ女性に抱いた理想の可憐さが、この花にはある。

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【夫の日記】 大鮎に翻弄され/有田川

  今日は久しぶりのアユ釣り。ひまじんの場合は、1週間も竿を手にしないと、久しぶりということになる。オトリ屋でコーヒーを飲みながら情報収集するが、芳しい話は聞かれない。
 とりあえず、有田川の粟生地区で竿を出すことにした。オトリを玉網に入れて、鼻カンをつけようとしたら、曳き舟が流された。手を伸ばして回収したが、オトリは逃げてしまった。
 てくてく歩いてオトリ缶まで戻り、最後となったオトリで瀬を釣る。荒瀬に入ったとたん、グイーンと竿を持っていかれる。ついて下がったが、敵のスピードには追いつけず、プッチン。サクラマスが遡上していると聞いていたが、まさか・・・
 わずか15分でオトリがなくなり、泣けてくる。やる気を失いかけたが、気を取り直してオトリを買いに走った。オトリ屋の店主に散々からかわれたのが悔しい。元の場所に戻って釣りを再開。2時間ほどで5匹が掛かった。
 もう正午を過ぎている。梅干だけのおにぎり2個をほうばりながら思案する。さあ、どこに入ろうか。オトリに余裕があるので、大型を狙って下流に下ることにした。
 東川橋の下の瀬が空いている。河原に車を止めて昼寝していた監視員に状況を聞いた。入ろうとした場所には4人が入っていたが、釣れていなかったと言う。
 場所替わりも面倒なので、やってみる。対岸に渡らなければならないが、水位が高く、押しの強い流れにビビってしまった。なるべく浅い所を探し、何とか対岸へ。
 瀬肩でオトリを引いていると、いきなり目印が上流に吹っ飛んだ。流れのゆるいヘチに誘導し、引き抜く。ドスンと玉網に収まった。肩をいからせた22センチほどの大型だ。
 大きくてオトリに使えないので、もう一度働いてもらう。これがなかなかの働き者で、流芯でもよく泳ぐ。10分ほどでまた掛かった。今度は対岸に疾走する。なかなか寄って来ない。ようやくヘチに誘導しても、再び流芯に突っ込んでいく。これを4回も5回も繰り返し、ようやく引き抜きの体勢に入った。ところが、今度は瀬の落ち込みに向かって行く。
 もうこれ以上下がれない。必死で竿をため、こらえる。こうなったら一か八か、引き抜いた。玉網で受けたが、背掛かりのアユは網の外でプラプラしている。何とか網の中に入れたので良かったが、危ないところだった。これがこの日最長寸の23センチ。
 結局この場所で8匹掛け、計13匹となり、竿をしまった。スリル満点のアユ釣りを堪能した。

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【妻の日記】 焚き火サイトでピザを焼く/ダッチオーブン

和歌山の森の中で暮らすようになって、
焚き火サイトでダッチオーブンを楽しむようになりました。

今日は、昼食にピザを焼きました。
   パンこね器を使って、ピザの生地を作ります。
   材料を合わせてパンこね器にセットすると、15分のニーディングの後、
   一次発酵までしてくれる優れものです。パン教室に通っていた時買ったもので、
   10年間も納戸で眠っていたのです。ダッチオーブンでピザやパンを作ろうと、
   先日、 滋賀の自宅からもって来たのです。



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  一次発酵が完了です。


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  トッピングもできて、さぁー焼きますよ。


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  プレヒートしたダッチオーブンに入れます。


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  蓋にもたっぷり炭を乗せて、上からの火力を強めます


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  少し焼きが浅かったかな?でも、おいしいでーす。


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  残った生地は、白焼きして冷凍しておきます。めん棒がないので手で伸ばしました。


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 ーピザ生地の材料(4枚)ー
    ・強力粉     270グラム
    ・薄力粉      30
    ・ドライイースト   4
    ・砂糖       15
    ・塩         6 
    ・バター      15
    ・水        180

  紀淡海峡に沈む夕日が余りにも美しいので、思わずベランダからカメラを向けました。オレンジ色の大きな太陽は次第に赤味を増し、淡路島の島影に沈んでいきます。やがて、西の空は不気味で、深みのある赤色に染まりました。ここ生石高原は朝日夕日百選にも選ばれているのです。 梅雨明け間近かを予感させる夕日でした。

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【夫の日記】 紫陽花が満開/山小屋を彩る

  きのうは青空が広がり、いよいよ梅雨明けかと思っていたら、きょうは朝から雨。遠くで雷が鳴っている。でも、週間天気予報を見ると、マークが続いており、梅雨明けは秒読み段階に入っているのだろう。
 生石高原のわが山小屋では、女房ががあちこちに挿し木して育てた紫陽花がいま満開だ。800メートルの高地のため、平地に比べてずいぶん遅い。
 紫陽花が咲き出すと、山小屋は四季で一番華やかな彩りに包まれる。青、紫、赤、ピンク・・・そして、日ごとにその色合いを変えていく。
 花言葉は「移り気」らしい。なかなかうまい表現で、紫陽花を愛でながら、若き日の苦い思い出にひたる御仁も少なくなかろう。紫陽花の漢字をあてた昔の人も偉い!人々の五感をくすぐる日本語の奥行きの深さに改めて感心する。
 山小屋の紫陽花を下手クソな写真でご覧下さい。


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【夫の日記】 天まで昇れグライダー/生石高原

  今日は、梅雨明けを予感させるような汗ばむ陽気だ。今シーズン初めて半そでシャツに袖を通した。滋賀の自宅から帰ってきた女房とともに、生石高原のススキの大草原を歩きながら、生石ヶ峰(870メートル)の山頂をめざした。
 青い空に、黄色のグライダーが1機、気持ちよさそうに飛んでいる。大草原を渡る風を受けて、グングン高度を上げたかと思うと、急旋回して高度を下げ、ススキをかすめながら、再び高く舞い上がった。


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 小高い場所に、操縦している人がいた。近づいてみると、グライダーは着陸したばかりのようだ。上空を飛ぶグライダーは小さくしか見えないが、地上に降りるとびっくりするほど大きい。両翼3メートル以上はあるだろう。もちろんエンジンはなく、風だけで自由自在に飛ぶのが不思議だ。
 この人は大阪府の和泉市に住んでいる中年のおじさんで、毎週のように生石に来ているのだと言う。「グライダーはチェコ製で10万円以上するんですよ」と言っていた。日よけのパラソルの近くにも2機あり、操縦の無線機なども入れると、結構お高くつく道楽のようだ。
 私たちギャラリーのために、もう一度飛ばしてくれた。トンビが上昇気流を受けて飛ぶように、ふわりと浮いた。そして頭上に差しかかると、キーンという鋭い風切り音が聞こえた。ははーん、この音だな。ひまじんは若い頃、F1レースを見に行ったことがあるが、あのマシーンの音はやみつきになる。ふわふわ飛ぶグライダーに似つかわしくない風切り音。これも魅力なのだろうと一人合点したのだが・・・



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 お礼を言って、頂上に向かう。登山道沿いには、オカトラノオが白い花をつけていた。虎の尻尾にそれほど似ているとは思わないが、でも美しい。ニガイチゴも赤い実をつけ、ササユリもあちこちに咲いていた。


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 頂上は360度の展望である。高野山、護摩壇山、熊野古道の山並み、紀伊水道の島々、紀淡海峡、神戸の町並み、紀泉山脈などが一望できるのだ。しかし今日はもやがかかったようで、はっきりとは見えないのが残念だった。


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 遠くに、まだグライダーが飛んでいた。この中年のおじさんは、おそらく日暮れまでグライダーとともに過ごすのだろう。何も考えず、何も思わず、いい時間なんだろうなあ。少年のようにキラキラ光る目が印象的だった。


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    前方の無線塔の近くにひまじんの山小屋がある

【夫の日記】 ヤマガラと遊ぶ

  朝5時半、目が覚めた。ピー、ピーという鳴き声とともに、せわしげな羽音が聞こえてくる。山小屋のベランダにヤマガラが来ているのだ。
 餌台に、ヒマワリの種をひとつかみ置いてやる。木々の梢から様子をうかがっていたヤマガラが次々飛来して、ベランダの手すりやテレビのアンテナにとまり、餌を食べる順番待ちをしている。餌台には1羽ずつ来るが、たまに2羽、3羽が集中し、羽を膨らませて喧嘩することもある。
 ベランダ側のガラス戸を開け放したままにしておくと、平気で中に入ってくる。居間の机の上をチョコチョコ歩いたり、ソファーでくつろぐひまじんの様子を観察したりしている。
 今朝は1羽が外に出られなくなり、部屋の中を飛び回っている。窓や玄関を全部開けて外に出そうとしたが、出ない。ろくに掃除などしない天井を飛ぶものだから、体に蜘蛛の巣がまとわりついている。小一時間ほどご滞在し、やっと出て行ってくれた。
 ヤマガラ(シジュウガラ科)は人懐っこいし、芸をする鳥としても知られる。平安時代に芸を仕込んだという文献があるらしい。江戸時代になると、大道芸の人がヤマガラにおみくじを引かせ、面白がられたと言う。
 最近は繁殖期なのか、少し、警戒心が強くなっているが、春ごろは、手の上にとまって餌をついばみ、足の指をつついたり、肩にとまったりするなどかわいい仕草を見せていた。
 ヤマガラは「山雀」とも書くが、私たちの住むこの森にはスズメがいない。スズメは里の鳥なのだろう。その割には、警戒心が強いし、ヤマガラほど愛嬌もない。人間が4、5メートルも近づくと、まるで鬼でもやってきたように一斉に飛び立ってしまうのだ。損な鳥である。
 人間でも警戒心が強い人がいる。とくに女性の警戒心、あれははかわいくない。あくまでも若い頃の思い出だが、私が話しかけると首をすくめ、後ずさりしたりする女性が何人もいた。本心はモテたいと思っているのに・・・と悪態をつきたくなった。えっ、私の下心がみえみえ?ま、それは言えるけど・・・
 ヤマガラと遊んでいると、心が穏やかになる。とくに目がかわいい。クリクリしていて、ちょっと首をかしげて、見つめてくれるのだ。ヤマガラは森の友人である。



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【夫の日記】 釣り人色々/人生いろいろ

 私たちが住む標高800メートルの生石高原は、3日間、すっぽり霧に包まれた。霧といっても下から見れば雲なのだが、連日、50メートル先が見えないほどだ。仙人のような生活に慣れているとはいえ、次第に閉塞感が深まっていった。
 今日の天気予報は曇りのち晴れ。久しぶりに海の風に吹かれて、釣りをしよう。遅い出発となったが、和歌山県由良町の大引漁港をめざし、高原を下った。道端に植えられた梅の木から、黄色に熟した実が落ちて、坂道をころころ転がっている。私の軽トラと梅の実とのかけっこみたいになって、面白かった。
 波止に着くと、先端で若者が竿を出していた。横付けした若者の車には若い女性が座っていた。夫婦だろうか、恋人同士だろうか。別にどっちでもいいが、ちょっと気になった。
 グレはぼちぼち釣れ続いた。20センチ前後のコッパである。しばらくすると、この波止で何回か顔を合わせたことがあるおいやんがバイクでやって来た。年恰好は65歳くらい。スリッパ履き。近くにある自宅から、ふらりと釣りに来た風情である。
 若者は恐ろしく寡黙で、黙々と釣っている。私たちは雑談に余念がない。このおいやんが言うには、大阪で働いていたが、定年になってこちらに家を建て、田舎暮らしをしている。
 「奥さんとご一緒?」と聞いてみた。
 「そんなん、一緒やったら、うっとおしいてかなわんわ。実はな、血糖値が高いのに、酒好きでなんですわ。女房が一緒だったら、飲ましてくれん。一人は気楽でええよ。なんぼでも飲めるしね」
 うーん、そんなもんかねえ。夫婦別々では、人生ちと寂しくはないかい?いずれにしても、なかなか性根の座ったお人である。
 私にはよくグレが釣れるが、おいやんはさっぱり。だんだん不機嫌になってきたのか、生返事が多くなってきた。
 さて、青年。早朝から釣りをしているというのに、女性は一度も車から出てこない。余計なお世話だが、トイレはどうなっているんだろう。夫婦、恋人、どちらにしてもこの女性、従順なのか、辛抱強いのか、それとも喧嘩でもしているのか、興味津々である。
 帰り支度していると、やっと女性が出てきた。「飲み物、いらない?」と若者に優しく声をかけている。寄り添って仲睦まじい。どうでもいいことなのに、安堵した。
 女房を大阪に残して、釣りと酒を楽しむおいやん。寡黙な青年の釣りを車の中から見守る若い女性。島倉千代子じゃないが、「♪人生、いろいろ」・・・
 ちょっと釣り過ぎた。スカリが重い。35匹クーラーにしまい、残りは海に戻した。「えっ、35匹も!」と思われるかもしれないが、魚を心待ちにしている森の住人たちがいるのだ。



波止場の向かいに約50軒の別荘がある。
おいやんは、ここに住んでいるのだろうか。

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小型ばかりだが、35匹の釣果

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干物にするととてもうまい
山暮らしの仲間にお裾分けするのだ

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