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20080702 森に暮らすひまじん日記
 
第二の人生を歩む夫婦が、和歌山県生石高原の森の暮らしを中心に綴っています。
 私たちが住む標高800メートルの生石高原は、3日間、すっぽり霧に包まれた。霧といっても下から見れば雲なのだが、連日、50メートル先が見えないほどだ。仙人のような生活に慣れているとはいえ、次第に閉塞感が深まっていった。
 今日の天気予報は曇りのち晴れ。久しぶりに海の風に吹かれて、釣りをしよう。遅い出発となったが、和歌山県由良町の大引漁港をめざし、高原を下った。道端に植えられた梅の木から、黄色に熟した実が落ちて、坂道をころころ転がっている。私の軽トラと梅の実とのかけっこみたいになって、面白かった。
 波止に着くと、先端で若者が竿を出していた。横付けした若者の車には若い女性が座っていた。夫婦だろうか、恋人同士だろうか。別にどっちでもいいが、ちょっと気になった。
 グレはぼちぼち釣れ続いた。20センチ前後のコッパである。しばらくすると、この波止で何回か顔を合わせたことがあるおいやんがバイクでやって来た。年恰好は65歳くらい。スリッパ履き。近くにある自宅から、ふらりと釣りに来た風情である。
 若者は恐ろしく寡黙で、黙々と釣っている。私たちは雑談に余念がない。このおいやんが言うには、大阪で働いていたが、定年になってこちらに家を建て、田舎暮らしをしている。
 「奥さんとご一緒?」と聞いてみた。
 「そんなん、一緒やったら、うっとおしいてかなわんわ。実はな、血糖値が高いのに、酒好きでなんですわ。女房が一緒だったら、飲ましてくれん。一人は気楽でええよ。なんぼでも飲めるしね」
 うーん、そんなもんかねえ。夫婦別々では、人生ちと寂しくはないかい?いずれにしても、なかなか性根の座ったお人である。
 私にはよくグレが釣れるが、おいやんはさっぱり。だんだん不機嫌になってきたのか、生返事が多くなってきた。
 さて、青年。早朝から釣りをしているというのに、女性は一度も車から出てこない。余計なお世話だが、トイレはどうなっているんだろう。夫婦、恋人、どちらにしてもこの女性、従順なのか、辛抱強いのか、それとも喧嘩でもしているのか、興味津々である。
 帰り支度していると、やっと女性が出てきた。「飲み物、いらない?」と若者に優しく声をかけている。寄り添って仲睦まじい。どうでもいいことなのに、安堵した。
 女房を大阪に残して、釣りと酒を楽しむおいやん。寡黙な青年の釣りを車の中から見守る若い女性。島倉千代子じゃないが、「♪人生、いろいろ」・・・
 ちょっと釣り過ぎた。スカリが重い。35匹クーラーにしまい、残りは海に戻した。「えっ、35匹も!」と思われるかもしれないが、魚を心待ちにしている森の住人たちがいるのだ。



波止場の向かいに約50軒の別荘がある。
おいやんは、ここに住んでいるのだろうか。

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小型ばかりだが、35匹の釣果

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干物にするととてもうまい
山暮らしの仲間にお裾分けするのだ

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