薄い霧の中、生石高原を下る。もちろんアユ釣りだ。山道沿いには合歓の木(ネムノキ)がたくさんあって、今、花が満開だ。余りに美しく、軽トラを道端に止めて、見入った。花は茶せんのような形をしていて、根元が白、先がピンクで、そこはかとない色気が漂う。古いところでは、妖艶の女優太地喜和子、新しいところでは山本モナが思い浮かぶ。モナちゃんは巨人二岡選手とデートしている写真を撮られ、またまたキャスターを降板したらしい。枯れかけたひまじんの心を揺さぶるあの色気。モナちゃん、かわいそう。
まあ、そんなことはどうでもよろしい。合歓の木は、夜になると葉を閉じて眠るので、そんな名前がついたらしい。「昼は咲き、夜は恋ひ寝(ぬ)る・・・」(万葉集)。妖艶の木でありますな。

さて、アユ釣り。瀬を攻めていると、中年の釣り人がやって来て、ひまじんの5、6メートル下で竿を出すではないか。これはルール違反だ。邪魔になってオトリを操作できないし、掛かったとき取り込めない。川がすいていれば、だいたい30メートルくらい間隔を開けるのが暗黙のルールだ。若者はちゃんとルールを守るのに、近年、ええ年をした釣り人の行儀の悪さが目立つ。
気分が悪くなったので、すぐ場所替わり。大型のアユを狙って下流に車を走らせ、オオセというポイントに入った。1時間ほどまったく釣れず、昼ごはんを食べて、モナちゃんの長い足など思い浮かべながらボーっとしていた。
午後1時過ぎ、釣りを再開したがオトリが弱っており、釣果ゼロの不安がよぎる。オトリを強引に流芯に入れ、竿を寝かせて対岸に誘導。竿を立ててしばらくするとグイーンと水中糸が走った。背掛かりで20センチほどの元気なアユが釣れた。
オトリが替われば、釣れるはずだ。予想通り、その後はポツリ、ポツリながら掛かり、それも20〜23センチの良型ばかり。河原を走り回り、ほぼノーミスで11匹が曳き舟に納まった。
もう帰ろうか。車の所に歩いて行くと、石の色の良い瀬があった。スケベ心が出て、もう一度竿を出すと、いきなり掛かった。5連発だ。アユも大きく、走り回された。16匹の釣果に納得して竿を納めた。

軽トラを止めている前の瀬でご夫婦が釣りをしていた。ご主人は70過ぎに見える。ちょっと腰が曲がっている。奥さんはそれよりは二つ、三つ若い。大阪の人だが、近くに別荘があり、ここに滞在しているという。
驚くべきことが起きた。ご主人がアユを掛けた。これは大きい。竿を伸ばされている。すると、このご主人、下流の釣り人に「ごめんやっしゃ!、ごめんやっしゃ!」と叫びながら走り出したのだ。腰が曲がっているので、川は下れまいと思っていたが、まさに脱兎のごとくである。
40メートルほど下流で無事タモですくった。これはもう感動である。いずれひまじんもこのような年齢を迎えるが、あの健脚は大きな勇気を与えてくれた。

奥さんが寄り添ってタモをのぞき、「よう取れたねえ」と夫の健闘を讃えている。上の写真のようにアユは23センチを下るまい。心から拍手を送りたかった。いい光景に出会えて、今日もいい1日だった。












