【夫の日記】 みちのく夫婦旅

  朝から雨が降っている。紀伊山地の山小屋から滋賀の自宅に帰って10日になる。今日、和歌山に戻る予定だったが、用事が済むまであとしばらくかかりそうだ。鬱々とした日々が続く。
 軒下のベンチに座ってタバコを吸う。小さな庭にブルーベリーの木が2本あって、雨なのに蜂が3匹、4匹飛んでいる。実の甘みを吸っているのだろうか。
 やがてヤマガラが2羽、エゴの木にやって来た。青い実が釣鐘のようにたくさん付いている。ヤマガラはこの実をくちばしでくわえてぶら下がり、体重の重みでちぎるのだ。なかなか巧みな技である。
 今日のような手持ち無沙汰の雨の日は、無性に旅に出たくなる。これまでの旅を思い出したりもする。3年前に敢行した17日間の東北旅行が一番印象に残っている。
 関西に住んでいると、東北は縁遠い。それだけに、憧れでもあった。見るもの、食べるもの、人との触れ合い、秘湯・・・何もかも期待を裏切らない素晴らしい「みちのく夫婦旅」だった。

 滋賀から車で出発したのは、5月中旬だった。女房と運転を交代しながら一路福島県へ。喜多方ラーメンを食べて、夜は会津若松でわっぱ料理を楽しんだ。フキノトウがおいしかった。
 残雪の白布峠を越えて白布温泉へ。宿は3軒あり、「西屋」に泊まった。ここの温泉は圧巻だった。熱いお湯が3メートルほどの高さから、薄暗い湯舟に滝のように落ちて来るのだ。その量たるや半端でない。これが東北の温泉か--。

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 蔵王のお釜は、まさに神の思し召しだった。深い霧がわずかの時間だけ消え、青い水を湛えたお釜が見えたのだ。

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 山形の山寺を見て、次の日は銀山温泉。カタクリの花が咲いていた。中尊寺で藤原3代の栄華や芭蕉の足跡にも触れた。
 あれこれ見物して乳頭温泉の黒湯へ。秘湯の名にふさわしい趣があった。お酒を飲んでお湯につかっていると、若いバスガイドさんが湯舟に入ってきてびっくりするやら、うれしいやら。旅情を満喫させてくれた。タオルを外に置いていたので、前を隠すものがなくて出るに出れず、湯につかり続けて脂汗が噴出した。

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 角館で食べた稲庭うどんはおいしかった。がん治療で有名になった玉川温泉にも行った。ゴザを敷いて岩盤の上に横たわる人々。胸に迫る光景だった。
 いよいよ今回の旅のハイライトである。八幡平を走っていると、山からソフトボールほどの石が転がり落ちてきた。避けられずに石を車体の下に巻き込んだ。大きな音がしたが、そのまま走っていると急にエンジンが止まり、動かなくなった。
 さあ困った。携帯もつながりにくく、修理工場を探すのに難儀した。2時間ほどして来てくれた工場の人は「エンジンオイルのタンクが破れている。オイルが漏れて、エンジンが焼きついた。廃車ですね」という。道路わきにへたり込んでしまった。愛着のあるボルボのステーションワゴン・・・。
 しかし、旅はまだ7日目。このまま帰る訳にはいかない。レンタカーを借りて旅を続けようと女房と話し合った。鹿角市でレンタカーに乗り換え、予約してあった後生掛温泉に向かった。女房はこの事態にもケロッとしていて、長々とお湯につかっている。肝っ玉が大きいのか、鈍感なのか。
 動転してすっかり忘れていたが、車両保険に入っていたのだ。保険会社に連絡すると、保険金が出るとのこと。にわかに元気になり、岩手山の美しい山容を眺めながら車を走らせた。


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 翌日は十和田湖、奥入瀬渓流を見て、下北半島に向かった。マグロの大間のホテルに泊まり、小料理屋で食事した。マグロの刺身は9切れで4300円。目ん玉が飛び出て注文しなかった。

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 恐山は地獄のような不思議な世界だった。次は青荷温泉、通称ランプの宿に向かった。ここも事実上の混浴で、うれしかった。夜、津軽三味線の実演があった。小金を持っていたので、女房に山葡萄の蔓で編んだバッグを買ってやった。喜んでいた。

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 新田次郎の小説『八甲田山死の彷徨』は若い頃読んだので、どうしても八甲田に行きたかった。雪に足を取られながら、碑の所まで登った。山を下る途中、美しい岩木山が見えた。
 再び北上して竜飛岬へ。この日はあいにく民宿の定休日だったが、岬の先っぽにある民宿の女将さんの好意で泊めてもらうことが出来た。「料理の材料がない」と聞いていたので余り期待していなかった。ところが、出てきた料理は腰を抜かすほどのご馳走だった。腹がはちきれそうになった。

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 翌日は日本海側を下り、鯵ヶ沢経由して弘前へ。世界遺産の白神山地にも行った。登山の用意もしてきたが、歩くコースが制限されており、期待したほどではなく、がっかりだった。

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 岩木山を眺めながら車を走らせ、十二湖に立ち寄った。青湖という名前だったか、薬品を入れたような不気味な青さが印象に残っている。

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 秋田で買い物をして、酒田市の土門拳の写真美術館に入った。女房は数々の写真に釘付けになっていた。山居倉庫も良かった。太いケヤキが歴史を感じさせた。
 鶴岡と言えば藤沢修平の世界。小説に出てくるような景観はもちろんなく、映画「たそがれ清兵衛」のセットが残されたロケ地に足を運んだ。羽黒山、月山方面に車を走らせ、おいしい蕎麦も食べた。
 いよいよ旅も終わりに近づいた。曲がりくねった山道を走り、肱折温泉に泊まった。岩をくり抜いて作られた長い廊下を進むと、薄暗い湯船があった。ゆっくりと湯につかり、長い旅の疲れを癒した。
 豊かな水を湛えた最上川を見ながら、みちのくの旅を終えた。あちこちで人の親切に触れ、素朴な郷土料理にも出会えた。ほとんど夫婦喧嘩もせず、旅を楽しんだ。車1台つぶしたが・・・。

 長い、長い、退屈な旅日記。最後まで読んで下さった方に感謝します。
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【夫の日記】 女房が買ったペイリンの眼鏡

  米大統領選で、ペイリンという女性が共和党の副大統領候補として彗星のように現れた。多士済々の全米の中から、注目を引くような人物をうまいこと見つけて来るなあ、と感心する。
 ひまじんは、ペイリンのような女性が好きだ。ちょっと派手目の顔がいいし、パワフルな演説も好感が持てる。眼鏡の奥に光る目も意思が強そうだ。
 ところが何としたことか、女房が「ペイリンのような眼鏡が欲しい」と言い出した。プッ!ちょっと待ってよ。気持ちが分からぬ訳ではないが、山小屋暮らしの農婦ファッションにはねえ・・・
 ペイリンの眼鏡は、有名デザイナー川崎和男氏が福井の鯖江で作らせた特注品で、いくつも持っているらしい。米国ではこの眼鏡がたちまち有名になり、ペイリンが副大統領になれば、眼鏡市場は2兆円以上の経済効果があると言われている。
 ひまじんが眼鏡を外してうたた寝をしている間に、娘が飼っている犬にレンズをかまれて、傷だらけになってしまった。フレームもメッキがはげてきた。買い替えするため、あちこちの眼鏡屋を回ったところ、ペイリンと同じデザイナーのフレームが見つかった。
 今日、女房とともに眼鏡を買いに行った。その店は品揃えが豊富で、余り値引きは期待出来そうにない応対ぶりだが、店員はとても親切だ。
 川崎氏デザインの眼鏡はたくさんある。女房はこのコーナーに釘付けで、とっかえひっかえ眼鏡をかけて鏡とにらめっこを繰り返す。延々、1時間。それでも決まらない。
 ペイリンは縁なしだが、顔立ちが引き立つフレームのある眼鏡に絞られてきた。今度はフレームの色である。女房は無難なブラウンにこだわったが、ひまじんと店員は鮮やかな赤色フレームをすすめた。
 「ちょっと派手な方が、よくお似合いですよ」というイケメン店員の殺し文句で、ついに落ちた。決まってからでも、鏡の前で、顔を横向けたりしながらしげしげと見つめている。往生際が悪い!
 ひまじんは最近流行っているつるに幅がある眼鏡にした。今更やつしても仕方がないが、眼鏡は顔の一部だから、それなりにイメージを変えてみたかった。
 帰り際、女房は「ほんまにこれ似合う?」と赤い眼鏡をかけてもう一度念を押す。まあ、一応見栄えがする。馬子にも衣装・・・などとは言わなかった。

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【夫の日記】 金粉の蕎麦に物申す

  昨日の晩、テレビを見ていたら、女優の岩下志麻が信州の安曇野を訪れ、蕎麦を食べるシーンが映っていた。とろろ芋をかけたザル蕎麦に金粉がかけられている。お値段は1260円。
 思わず「バカモーン!」と怒鳴りたくなった。温厚なひまじんだが、怒りでわなわなと体が震えた。麻生内閣で少子化担当大臣になった小渕優子、この34歳の小娘を人気取りで登用した卑しさにも腹が立ったが、近年の蕎麦事情も気に食わない。この際、一言物申したい。
 岩下志麻が食べた蕎麦。値段もたいそう高いが、何で金粉なのかさっぱり分からない。おそらく、蕎麦屋は、蕎麦を高級な食べ物と勘違いしているのだ。思い上がりと言ってもいい。金粉を振りかければ、客からありがたがられると思っていたら、大間違いだ。
 断っておくが、ひまじんは大の蕎麦好きである。「20食限定」の蕎麦があると聞けば、何10キロも車を飛ばして食べに行く。東北を17日間旅行した時も、おいしい店を捜し歩いた。
 その中で、一番気に入ったのが、山形の鶴岡から月山に向かう途中、国道から少し離れた田んぼの中に、ぽつんとあった蕎麦屋だ。ひまじんはザル蕎麦、女房は鴨肉を入れた熱い蕎麦を食べた。自家栽培の蕎麦を打って作っており、少し無骨なところもあったが、実においしかったし、量もたっぷり。女房もよほど印象に残っているのか、「あれはおいしかった」と振り返る。しかも、お代は2人で1000円ちょっとだった。帰りには、枕でも作って下さいと、蕎麦殻までくれた。
 そもそも蕎麦とは大衆の食べ物である。一人前1000円以上もぶん取るとは何たることか。香川県に行ってご覧なさい。セルフの店で200円も出せばおいしい讃岐うどんが食べられる。蕎麦とうどんを一緒にするなという声が聞こえてくる。蕎麦を知らない人の言いがかりだという非難の矢も飛んで来そうだ。
 手塩にかけて栽培し、石臼で挽き、適切な温度で管理し・・・などとごたくを並べるが、だいたい蕎麦屋は理屈っぽいし、講釈が多すぎる。店主はバンダナを巻いたり、ヒゲを生やしたりして気取っている。しかも、この蕎麦はあーだ、こーだと口を出し、うるさい。
 ちょっと有名な店だと、ザル蕎麦は1000円以上するし、人をバカにしたような量の少なさだ。催眠商法にかかったようにありがたがる客がいる。バカみたいに持ち上げるテレビ番組が怪しげな情報を撒き散らす。
 蕎麦は金粉を振りかけようが、所詮は大衆の食べ物だ。高級を気取る蕎麦屋の横行がそう長く続くとは思わない。そこそこの値段でそこそこの蕎麦が食べたいのだ。たかが蕎麦、されど蕎麦なんていう詭弁など聞きたくない・・・。

【夫の日記】 森のゴルフ練習

 滋賀の自宅に一時帰宅していると、毎日、ぼーっとしているので、ブログのネタははない。そこで手抜きをしたくなる。ひまじんが所属しているゴルフ場から、会報にエッセイを書いてくれと頼まれたので、この文章をブログに転載したい。版権などという大げさな問題はないと思うが、自分のブログに再録するのは忸怩たる思いはあるのだが・・・。

 -- 私は、紀伊山地の森の中に住んでいます。標高800メートル余り、ススキの大草原が広がるここ生石高原の近くに私の山小屋があるのです。夏は涼しく、冬は霧氷が見られるほど寒いところです。ここで、夫婦二人きりで暮らしているのです。
 世間に背を向けているのでも、人間が嫌になった訳でもありません。まだまだ浮世にも未練があり、ゴルフをやめたりはしていません。大津の自宅には月1回くらいは帰り、ホームコースに飛んで行きます。2、3ラウンドして、また森に戻る生活です。
 木々に囲まれた山小屋の裏手にちょっとした空間があります。ここが私のゴルフ練習場です。紀伊山地のど真ん中に練習場があるわけはありません。ここで練習するしかないのです。
 そこで、木と木に棒を渡し、毛布をぶら下げました。これに向かって打つのです。最初はナイロンのネットを張ったのですが、ボールが跳ね返って危ないのです。毛布だと、フルショットしてもボールが下にポトリと落ちるので、安全です。
 打ったボールが毛布から外れても問題ありません。周囲に家はなく、向こうは森また森です。最初は練習球が60球ほどあったのですが、打ちそこなって今は30球くらいしか残っていません。外れたボールは遠くの山の斜面に転がっているはずです。イノシシやシカのおもちゃになっているかもしれません。
 このように、毛布を相手にみっちり練習して臨んだ3月の月例大会。インからスタートし、16番まで6オーバーです。迎えた17番は苦手ホールです。引っ掛けないよう心がけながらドライバーを打ちました。珍しくど真ん中に飛びました。
 第2打。キャディーさんに「残り何ヤード?」と聞くと、「130ヤードほど打って下さい」という。でもピンは一番奥だ。140ヤードでピンそばに落ちるはず。山小屋では8番アイアンを練習することが多い。その得意の8番でフルショットすると、ボールはピンめがけて飛んで行く。「あっ、でかい!」と思った瞬間、ガシャンという音が聞こえました。ピンの後ろに電気関係のようなボックスがあり、これを直撃したと思ったのです。OBか・・・
 「入った!」と同伴競技者のHさんが叫んでいる。他の人も「ほんま、入った」と興奮している。グリーンに上がり、恐る恐るカップを覗くと本当に入っているのです。しかも、カップのふちがボールで削られており、直接カップインしたのは間違いありません。イーグルです。スコアカードに「2」と書く手が震えていました。6オーバーは一挙に4オーバーになり40点。
 この勢いで、アウトも健闘し37点、グロス77点でした。芝が薄く、ライの悪いこの時期はいいスコアが出ません。そんな条件の中で、月例Aクラスで優勝してしまったのです。あのイーグルがなければ優勝など出来なかったでしょうが、毛布相手に打ち込んだことが少しは効果があったのかもしれません。ゴルフの練習はどこでも出来る。打つ球に魂が入っているかが大切。そんな風に、偉そうな事を言ってしまうのが私の未熟なところです。
 この日は研修会も兼ねており、こちらも優勝です。プレー後の反省会では、私のイーグル達成に賞賛の声をいただけると期待していたら、皆からボロカス言われました。何回もクラチャンになったNさんなどは「直接カップイン?距離を間違えていだけや。入っていなかったらOBや間違いなしやねえ」と辛らつでした。はい、その通りです。ほろ苦いイーグルでした。
 しばらくして、山小屋に戻りました。「何が悲しくてそんな不便な所に住んでいるの?」と、よく聞かれます。強いて言えば、「不便だからいいんですよ」と答えている。便利社会は何となく息苦しい。不便な暮らしだからこそ女房とはもちろん、人との絆も深まるし、単調な生活だが中味が濃いように感じているのです。

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【夫の日記】 あー、変身願望の挫折

  和歌山の山小屋から滋賀の自宅に一時帰宅して3日目。はや静かな森が恋しい。排気ガスにまみれて散歩なんかしたくない。図書館に行けばお年寄りばかりで、ソファーで眠りこけている御仁も。将来の自分の姿を見るようで、落ち込んでしまう。よって、なーんもすることがない。半分死んだようになっている。
 福岡で母親が子供を絞め殺した。千葉では女の子が殺されていた。麻生さんが自民党の総裁に選ばれた。リーマンブラザーズがこけた。
 子供が巻き込まれる事件に怒りや同情がわくけれど、若い頃のようにふつふつと湧き上がってくるものがない。麻生さんはおもろいけれど、どうでもよい。リーマンなんか、金融工学のなれの果て、ざまーみやがれという思いしかない。なにもかも、遠い所から聞こえてくる喧騒のようだ。
 ひまじんにとって今の関心事は、貧相な顔面に生やしてみたヒゲである。実にバカバカしい話だが、本人は結構真剣なのだ。
 男にとって、ヒゲを剃るほど面倒なことはない。女性のお化粧に通じるところがあるが、女性の場合は別人のように化けられるので、楽しみもあろう。
 10日ほど前、ヒゲを剃る際、鬢だけ残してみた。剃る面積が少なくなるので楽である。それに、山小屋暮らしにふさわしい「森の男」の風貌になるのではないか。「ちょい悪じじい」に見えて、ご婦人方の視線を集められるのではないか。そんな下心と期待もあった。
 鬢のヒゲの長さは約8ミリ。悲しいかな黒い毛はほんの数本で、残りは純白である。女房は「お猿さんに見える。好きにしたら?」と無関心である。ま、最初から正直な論評は期待していない。長女はチラッと見ただけで、「やめとき」のひと言。
 身内の評価より、他人の目の方が正直だろう。きのう、行きつけのゴルフ練習場で、顔見知り全員に「どや、どや」と見せ回った。しげしげと見てくれた人はほとんどなく、「何やってんの」「ボケたんか」と、余り芳しいものではなかった。
 こうも不評だと、考え込んでしまう。剃り落とすか、このまま続けるか・・・。こんなことをして何になるのかという根本問題を問いかけると、自分がアホらしくなるし・・・。うーん、切歯扼腕。悩ましい!
 ひまじんのヒゲ問題は、突き詰めると「変身願望」なのだ。セーラー服を着てみたいという意味ではない。会社勤めの頃は、人の目があるので眼鏡を買い替える時もおとなしいフレームにしたし、ネクタイも地味だった。しかし森に暮らしている今は、誰はばかることなく、自由に変身することが出来る。だから、ヒゲを伸ばしてみることにしたのだが・・・。

【夫の日記】 女房またアジ爆釣

  朝7時過ぎ、女房のお目覚めである。「おはよう」のあいさつより先に、「アジ釣りに行こう!」と、えらい張り切りようだ。この日、滋賀の自宅に帰らなければならないので、ご近所や知人に新鮮なアジをお土産にしようという魂胆なのだろう。
 ひまじんは余り乗り気ではないが、女房の意欲をそぐ訳には行かない。女房がこれほど積極的になるのは珍しく、釣り好きのひまじんにとってこの姿勢は大いに歓迎しなければならない。つまり、女房を釣りの同志に引きずり込みたいのだ。
 釣り場は、女房が9月17日に20センチ級のアジをたくさん釣った田村漁港だ。しかし、この日は土曜日であるうえ、アジが回っているとの情報は広まっているに違いない。小さな漁港は竿の放列ではないかと心配したが、釣り人は7、8人だけだった。
 午前11時ごろから、釣りを始めた。ひまじんはグレやチヌ狙い。女房はその隣で竿を出した。5分ほどしてアジがかかると、その後は入れ食いに。型は10~15センチと先日より少し小さい。
 ひまじんは、順調にグレやチヌを釣り上げるが、時折アジも掛かってくる。女房は「小さいアジやねえ」とバカにしている。えらい生意気になったものだが、成長したといえばそう言える。
 やがてアジが釣れなくなると、女房はクーラーやバケツを両手にぶら下げて、船だまりに場所を替えた。日ごろの家事など生活態度はノロノロしていて腰が重いが、アジ釣りとなるとフットワークは軽快である。
 場所を替わったのは正解だったようで、次々と釣り上げている。
 ひまじんもヌカ切り釣法で速射砲のように打ち返す。この釣りはウキの見方、合わせのタイミングで釣果に差が出るのだ。妙技?を発揮してグレ、チヌの大釣りだ。
 やがて女房が帰ってきた。釣れ過ぎて、うんざりしている。多分、300匹以上は釣っているだろう。ひまじんは、38センチを頭にチヌを7匹、グレ10数匹の釣果。これにアジを加えると24リットルクーラーには入りきらない。バケツにも放り込んで帰路についた。
 帰り道、見知らぬ私たちに庭先のナツメを枝ごと切ってくれたことがある農家や、日ごろお世話になっているミカン農家などに魚をもらってもらった。
 夜遅く、魚を抱えて滋賀に帰った。女房は翌日の朝から、10数軒に魚を届けた。餌代はわずか1000円ほど。まことに安上がりのお土産となった。

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【夫と妻の日記】 早くも5000人、ありがとうございます。

   皆さんひとり一人のクリックが積み上げられて、9月20日午前7時46分、訪問者数が5000人に達しました。こんなに早く、こんなに多くの人が訪問して下さるとは思いもよりませんでした。ありがとうございます。広がる人の輪に感激しています。
 今年の3月初めでした。長女が「ブログはボケ防止になるし、少しくらいなら、広告のお金が入るかも知れない」と言いました。「お金が入る」・・・。欲に目がくらんで、始めることにしたのです。
 娘はパソコンに詳しく、一気にブログを立ち上げ、「ひまじん」という名前も付けてくれました。私たち夫婦は言われた通りに、書き込み欄に文字を綴りました。写真の入力も右往左往しながら、何とかアップすることも出来るようになりました。
 ひまじんは書くことが好きです。人に何かを伝えよう、自分を表現してみよう、という思いはありますが、それよりも書くことによって、生きている自分を実感することが出来るのです。
 ブログの世界を知るごとに、訪問して下さる方のブログを読むのが楽しみになってきました。その人たちの暮らし、考え方、生き甲斐などが手に取るように分かります。コメントを書く、コメントをいただくのも大きな楽しみになってきました。
 ブログは匿名の世界です。ネットは悪意に満ちたものも少なくないと聞きます。匿名というのは恐ろしいと思います。虚像と実像の区別がつきません。そんな世界で、言葉を交わす危うさを感じていました。
 しかし、こうしてブログを始めてみると、この匿名ならではの大きな世界が見えてきました。私どものブログに訪問して下さる人たちは、実に真摯で、真面目で、それでいて洒脱な人も少なくありません。素晴らしい発見でした。
 ほぼ毎日のように、女房とともに何かを書いていますが、正直言って、ブログの先輩たちや、優れた感性をお持ちの方々に、大きな影響を受けています。
 私たち夫婦の家は滋賀県にありますが、和歌山県という土地柄が好きで、紀伊山地にある生石高原の森の中で暮らすようになりました。もう1年半になります。どうでもいいようなネタばかりです。文章も展開も拙いと思いますが、これからも夫婦の暮らしぶりを書き続けていこうと思っています。今後ともよろしくお願いします。コメントもいただければ幸いです。
 ちょうど5000人目の訪問者は、よく訪ねて下さる「心何処(こころいずこ)」さんでした。何か記念品でもと思いましたが、なにしろ匿名の世界、送りようがありません・・・ね。

【夫の日記】 台風13号は肩透かし

  台風13号が紀伊半島に向かって来る。私たちが住む山小屋も暴風圏内だ。裏手に杉林が迫っており、木が倒れれば山小屋を直撃してかなりの被害をこうむる。
 朝方は、曇り空ながら台風が接近しているのが信じられないほどの穏やかさだった。遠くに明石海峡大橋の橋げたが見えるほど空気が澄んでいる。紀淡海峡の海も静かだ。

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 しかし2時間も経つと、霧がせり上がって来て、雲海が広がってきた。雨も降り出した。山小屋暮らしをしていると、こういう日は半分死んだようになる。本を読むか、寝るか、いずれにしても退屈な1日となる。

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 昼前、雨がやんだので、これ幸いとばかりに山を下りた。これから台風の渦中に巻き込まれる紀伊水道の島々がきれいに見えた。

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 地元産品を売る「どんどん広場」に立ち寄った。台風接近というのに、かなりの客が来ていた。女房は割安でないと、絶対に買い物をしない。品定めも半端じゃない。品物をためすがえす見て、カゴに入れたかと思うと、また戻す。この繰り返し。だから時間がかかる。イラチのひまじんは、胃がねじれる思いで見守っているのだ。世のご亭主方も同じでは?
 この日の買い物は、ゴーヤ2本30円、キュウリ4本100円、シシトウ70円、モロッコ豆100円、ナス5個120円、トウガラシ100円、オクラ100円、ネギ70円、地元産クリ300円、ナツメ50円・・・など。

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 女房が喜んだのはトウガラシ。最近は中国製が多く、なかなか国産物は見つからないらしい。それに100円。ひまじんがうれしかったのは1パック50円のナツメ。安いからではなく、懐かしい味だからだ。少年のころ、家のナツメの木によじ登り、食べ尽くしたものだ。あの甘酸っぱい味が今も忘れられない。
 帰り道、ミカン畑の山を上りながら、ナツメをポリポリ食べていた。すると、農家の軒先にたわわに実るナツメの木があった。ご夫婦の許しを得て写真を撮っていると、奥さんが「そう、生石高原に住んでいるの。持って帰りよ」と大きな枝を切ってくれた。思いもしないお土産がうれしかった。

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 午後3時ごろから、風が強まり、木々が激しく揺れる。これくらいの風ならそう珍しくはない。ここ紀伊山地の生石高原、台風はテレビが騒ぐほどにひどくはなく、肩透かしを食ったような感じだ。
 ひまじんは、茹で栗をほうばりながら、昭和史の日中戦争の所を読み続ける。女房は、ダイエット器具のテレビショッピングを見ながら、「これで痩せるのなら、ノーベル賞もんやねえ」とため息をついている・・・。

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【夫の日記】 アジ、グレの保存食を作る

  山小屋で暮らしていると、いかに保存食を作るかが大切なことだ。何といっても、経済的に助かるし、いつもおいしいものが食べられる。
 山菜シーズンには、ゼンマイを干す、スカンポ(イタドリ)は塩を振って冷凍する。アオリイカは皮をむいて部位ごとに冷凍する。アユは燻製にして保存しておく。ひまじんの山小屋には冷蔵庫が二つあって、不意のお客があると、冷蔵庫に眠る食材を調理して食べていただく。
 先日、女房の活躍でたくさんのアジが釣れたので、保存食を作った。
 まずは一夜干し。大きめのアジを背開きにし、海水と同じような塩分濃度の液に1時間ほど浸す。ホームセンターで売られている3段式の網に、身の方を上にして干す。1日ほど経つと身に照りが出ておいしそうになる。これを一枚づつラップに包み、冷蔵庫へ。長期で保存するなら冷凍するが、それほど味は変わらない。新鮮なアジをすぐに干すので、市販品より格段においしい。

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 ひまじんが釣ったグレ7匹も一夜干し。方法はアジと同じだ。グレの干物は、火であぶるとしっとりした脂が浮いてきて、これまたおいしい。グレはあまり市販されていないので、知人らには珍しがられるのだ。

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 アジフライの冷凍もこしらえた。3枚におろし、パン粉などを付けておいて冷凍、あとは揚げるだけ。身が薄いので解凍に時間がかからないのがいい。

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 たくさんの保存食が出来たので、豊かになった気分である。しかし、その多くは山暮らしの仲間や知人たちにあげてしまうので、実はひまじん夫婦の口に入るのは少ない。でも、あげた人に「おいしい」と言ってもらえるのが、釣り師にとって無上の喜びでもある。

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【妻と夫の日記】 アジ大漁、鯵ずくし/田村漁港

 お昼すぎ、ひまじんが 湯浅湾に近い田村漁港の波止にグレ釣りに行くと言い出しました。私も久しぶりにアジ釣りがしたくなったので、ついて行きました。
 漁港に着いたのは2時過ぎ。波止の先端には、顔なじみのアジ釣りの名人が・・・。この人の釣り上げたアジは、釣り具店の人がイカ釣り用の餌として買いとって行くのですよ。今日は、和歌山人が大好きなバリコ釣りをしていました。スカリには大きなバリコが7、8匹も入っていました。和歌山の人は本当にバリコがお好きなようです。

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 ひまじんと並んで竿を出したのですが、まったくアジの姿は見えません。少し遠目に投げ、アミカゴが底に着くくらい深場を探ると、なんとなんと・・・大きなアジがかかってくれたのです。物凄い引きです。
 姿は見えませんが、大きなアジは底にいるのです。この大きさなら一匹100円? なんてね。。 その後も順調に釣れ続けます。これを見ていたアジ名人は「ほほー、釣れ出したか。ほな、ぼちぼちアジ釣ろうか」と、いよいよアジ釣り参戦です。

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  ここからはひまじんの番でございます。
 女房は名人から「さすが女名人やなあ」と褒められ、ますます気合が入って、つぎつぎと良型のアジを釣り続けます。そのペースは名人をしのぐほど。
 5・4メートルの竿は満月のようにしなり、糸がキューンと鳴っています。アジの口は弱いので、ゆっくりと引き揚げ、波止際から3、4歩後ろに下がり、キャッチします。なかなか慣れたものです。
 しばらくして、地元の人らしい中年の男性が見物に来た。なかなか口やかましい人で、女房に「もっと波止の際で釣らんとダメ。竿先をそんなに海中に入れてはダメ」とアドバイスしている。
 女房は「はい、はい」と受け流し、沖目、深場の釣り方を変えようとしない。結婚以来、女房がそこそこ頑固なのは知っているが、この場合は大型狙いなので理にかなっている。この中年男性、舌打ちしたかどうか知らないが、間もなく姿を消した。
 この日も、女房は暗くなっても帰ろうとしない。「これが最後ね」と、針が絡みついて使えそうもない仕掛けで、執念の1匹を釣って、やっと竿を収めた。アジの釣果は20センチ級が40匹、小、中型が118匹、計158匹の大漁だった。
 ひまじんは、30センチほどのバリコ1匹、25センチほどのチヌ2匹、手のひらサイズのグレ7匹を釣った。当分の食糧確保である。
 アジは山暮らしの仲間におすそ分けした。グレとアジは一夜干しに。チヌはカルパッチョ。アジはにぎり寿司にしたが、これがいちばんおいしかった。

  ひまじんの釣果。茶色っぽいのが和歌山人が大好きなバリコ。

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 小アジのにぎり寿司、なんばん漬け、アジのアラで作ったお味噌汁

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【夫の日記】 高原のJAZZコンサート

仲秋のコンサート 034

  きのうは中秋の名月。ひまじん夫婦が暮らす生石高原では、宵の口まで薄雲がかかり、おぼろ月だったが、次第に雲がとれてすっきりと満月が見えるようになった。まさに、お月見日和だった。
 高原にはススキの草原が広がり、この時期には赤みを帯びた穂が一斉に波打っている。ススキを見に来る人は多く、これから高原が最もにぎわう季節なのだ。
 草原のかかりに「山の家おいし」があり、地元の産品が売られ、食事もできる。NPO「生石高原の大草原を守る会」が運営している。このNPOが13日から15日までの3日連続、山の家で恒例の「観月コンサート」を開いているのだ。

仲秋のコンサート 032

 きのうはピアノ、ベース、ドラムによるジャズコンサートが催された。ジャズ、いやJAZZ!が好きなひまじんは女房を伴って聞きに行った。まだ明るいうちから高原への山道を登って続々と人が集まり出す。京都、大阪、神戸など遠くのナンバーが多く、駐車場は満杯だ。

仲秋のコンサート 001

 ひまじん同様、山小屋で暮らしている仲間10数人も姿を現し始めた。一応コンサートなので、少しは服装にも気を使ってもらいたいが、畑仕事をしてきたばかりにしか見えない作業服姿が多い。山の家から4、500メートルほどの近場なので、サンダル履きも目立つ。アーティストに失礼だろう、不謹慎な!
 午後7時、コンサートの始まりだ。心地よいJAZZのリズムが流れ出す。ひまじんは学生時代、よくJAZZ喫茶に出入りし、とぐろを巻いていた。そんな若い頃を思い出し、血が騒いだ。

仲秋のコンサート 020

 しばらくして外に出ると、山暮らしの仲間たちはコンサートなどそっちのけ、野外テーブルを囲んで、おしゃべりに夢中である。
 彫刻家はすでにほろ酔いだ。ドイツ人は「カントリーウエスタンしか興味ないよ」といい、農夫は「やっぱ演歌や」などとほざいている。女房ら女性陣は競って亭主の悪口を言い合い、音楽をまったく聞いていない。なにしに来たん?
 ひまじんはアーティストの皆さんに山暮らしの住人を代表して、彼ら、彼女らの無礼な振る舞いを詫びたい気持ちだった。棒を持って蛇を追いかけ、サイレンが鳴れば意味なく走り回り、イノシシが出たぞと囁き合う輩にJAZZなど分かるはずはない。
 まあ、ひまじんも同じ穴のムジナで、今やプレイヤーや曲名などはすっかり忘れてしまった。JAZZかぶれをしていた遠い昔を夢のように思い出す仲秋の宵だった。

【夫の日記】 生石山・菊女の伝説

   きのうの「生石山を歩く会」で書き残したことがあるので、続きを書こうと思う。
 生石山の中腹にある「黒蔵の滝」は高さ33メートルあり、さらにその上に15メートルの流れが続く2段構えの滝になっている。これはきのう書いた。二つの滝の間に大きな滝壺があり、ここを舞台にした伝説があるので紹介しよう。
 地元には次のような言い伝えがある。滝壺に落ちると、33ヒロ(約50メートル)もの深さがあるので二度と浮き上がってこれない。滝壺で釣りをしていた若者が魚籠いっぱいの魚を持ち帰ると、魚が木の葉に変わっていた・・・。断崖にある危険な滝に子供が近づかないよう、怖い滝壺として語り継いできたのだ。

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 さて、生石山に伝わる伝説だが・・・。村の古老が語ってくれた。
 器量がよく、気心がよく、働きものという三拍子そろった女性がこの村に住んでいた。名は菊。資産家に請われて嫁に行ったが、子宝に恵まれない。
 ある日、野良仕事から帰ると、お客が来て姑と話し込んでいた。相手は菊の仲人で、姑は「後継ぎが出来ないのなら、実家に帰ってもらう」と、ひどい剣幕だった。
 これを盗み聞きした菊は、かまどから取り出した炭で「申し訳ありません」と土間に書置きして、家を出た。思い悩んだ菊は、滝壺に身を投げた。
 夫や村人が滝壺に石を抱えて沈んでいる菊を見つけ、介抱した。息を吹き返した菊は家に戻り、しばらくして元気な男児を産んだ。
 この話を耳にした弘法大師は大いに感動し、菊が抱えていた石に明文を彫り、この地区の延徳寺に奉納した。以来、延命地蔵、子安地蔵として信仰され、現在に至っている。お寺には石を安置したお堂が建てられており、子宝に恵まれない人たちが訪れているそうだ。
 伝説はおおむね荒唐無稽だが、人々の願いや怨念などさまざまな思いが込められていて、聞いたり読んだりするのは大好きだ。ひまじんが暮らす生石山にまつわる新しい発見だった。

歩こう会・・生石山 042

歩こう会・・生石山 038

【夫と妻の日記】 生石山を歩いた/わが山小屋の森を望む

   ひまじん夫婦は紀伊山地の生石高原で暮らしているが、ここ生石山周辺の自然景観や歴史などをそんなに知っている訳ではない。地元の公民館が開催する「生石山を歩く会」はまたとない機会なので、夫婦で参加させてもらった。
 13日(土)朝9時、山のふもとにある早月小学校に集合した。参加者は39人、参加費100円。これは保険代で、死亡した場合は1000万円の補償があるとのこと。死んでも悪くないなあ・・・。そんな同じ思いの人もいたらしく、くすくす笑いが起きた。
 用意されていた布袋竹の杖をついて、いざ出発。ミカン畑の道をしばらく歩く。野辺に彼岸花が咲き始めていた。朝顔も一緒に咲いている。

歩こう会・・生石山 008


 小さな谷川を伝って急な斜面を登り続けた。足を踏み外すと、怪我ではすまない危険な場所もある。ボランティアの人たちが、前もって山道の草を刈り、難所には階段を作り、ロープを張っていてくれたので、何とか前に進めた。頭が下がる思いだ。

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 出発して約1時間、突如として滝が現れた。黒蔵の滝(正式には虚空蔵の滝)だ。この日の目玉である。高さが33メートル、その上にも15メートルの滝があり、2段になっている。近くには、那智の滝に次ぐと言われる「次の滝」があるが、黒蔵の滝があるとは知らなかった。素晴らしい滝だ。

歩こう会・・生石山 014

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 再び山道を歩く。石で組まれた炭焼きの窯跡があった。おそらく、戦前のものだろう。水が滴る崖には多年草のイワタバコが自生していた。険しい岩壁にあるため、こうして間近で見られるのは珍しいという。

歩こう会・・生石山 024


 生石山の全容が見えてきた。頂上近くのこんもりした杉林の向こう側に、私たちの山小屋があるのだ。標高800メートル余り。冬には雪で白くなる。

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 山の斜面に棚田が作られており、稲穂が黄色く色づいている。間もなく稲刈りが始まるのだ。生石山から浸み出す良質の水が、おいしいお米を育むという。民家の庭には、真っ赤なホウズキが鈴なりになっていた。

歩こう会・・生石山 037

歩こう会・・生石山 032

 生石小学校の近くのお寺で昼食をとった。この小学校も集合した学校もすでに廃校になっている。過疎と少子化の波をもろにかぶっている地区なのだ。
 ご飯を食べると足取りが重くなる。最後の見学地である金毘羅山に、ゼーゼー言いながら登る。頂上には小さな社があり、お参りした。金毘羅さんと言えば、海の神様。なぜ?「ここから紀伊水道が望めるので、この名が付けられたのです」という地元の古老の説明に納得した。

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 帰り道、おもちゃのようなオープンカーが通りかかった。参加者に知り合いがいたらしく、止まった。光岡自動車製の50ccだという。助手席に犬が乗っていた。防風のメガネをかけており、生意気なやっちゃ!と睨みつけてやった。

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 歩く会もいよいよ終わり。道端のハゼの木の葉が赤く色づいていた。もう秋なのだ・・・
                                        
(明日に続きます)

歩こう会・・生石山 052
 
 

【夫の日記】 薪ストーブの前で至福のひと時

薪ストーブ火入れ 002-1


  紀伊山地の朝晩は肌寒くなってきた。間もなく、薪ストーブの出番となる。ストーブは重さ100キロのただの鉄の塊だが、きちんとメンテナンスをしておかないと、機嫌良く働いてくれない。
 先日、煙突掃除をすませた。高所恐怖症のひまじんは屋根に上がることが出来ないので、ストーブのダンパーからブラシを突っ込み、下から上に煤を落としていく。ブラシを上下させるたびに、キラキラと光る真っ黒の煤が大量に落ちてくる。煙突掃除を怠ると、煤が発熱して燃え上がるので危ない。

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 くたびれたガスケットを一部取り換え、耐熱セメントで隙間を埋めた。耐熱ガラスも専用のクリーナーできれいにした。ストーブはもう14年も働き続けている。まるで恋人のように、愛おしい。
 このところ毎晩のように、ストーブを燃やしている。昨晩も火を入れた。女房は「薪がもったいない」と口うるさいが、晩酌が進むにつれて、火が恋しくなるのだ。
 メンテナンスをしたばかりなので、火の燃え具合はいい。ゴーッという気持のいい音を出しながら、炎がダンパーから煙突に吸い込まれていく。
 ウイスキーのロックを片手に、火を見つめ続ける。至福のひと時だ。炎はオレンジ色に、時に紫色になまめかしく揺らめく。心を突き動かす何かがある。原始の時代へいざなうように・・・

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 ストーブの上にどっしりと座っている薬缶は、気持ちを一層おおらかにしてくれる。ストーブは米国ダッチウエスト社製だが、和製の薬缶とのコラボがいい。
 銅を打ち出して作られ、蓋に桔梗の花のような家紋が彫られている。かなり古いものだ。旧家の囲炉裏で、チンチンと湯を沸かせていた光景が目に浮かぶ。

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 実はこの薬缶、ちょっとしたいわくつきだ。10数年前、京都の骨董店で、一目見て気に入った。ひまじんは「穴が開いているかもしれんなあ」と、いちゃもんをつけてみた。店主が水を入れると、底のあたりから水滴が浮かんでいる。
 「半額だったら買う」と言って値切り、2万円くらいで買った。家に帰ってもう一度水を張ったが、水は漏れない。あれは何だったのか。どうせ二束三文で旧家から買い取った骨董品。罪悪感より、えらい得をしたという思いの方が強かった。
 ストーブの炎を見つめながら、そんな昔話を振り返る。ウイスキーの酔いとともに、夜は更けていくのでした。

【妻の日記】 段々畑らしくなりました   

 山小屋の斜面に造った段々畑。 あさつきがたくさん芽をだしてきました。生き生きしています。うれしい~~。 
 でも、杉の丸太をただ並べただけの畑なので、今にも崩れそうです。ひまじんが間伐材できちっと造り直してくれると言うので、早速、間伐材を貰いに行くことになりました。 

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 軽トラでやってきたこの山林には、切り倒された間伐材がたくさん転がっています。同じ別荘地内に永住するドイツ人のPが山林の持ち主と交渉してくれて、間伐材をいつでも持ち帰っていいことになっているのです。なんとなんと・・・そのPは間伐材で自宅のベランダを造ってしまったのですよ。。

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 木漏れ日が射す山林には、杉や檜がいっぱい切り倒され転がっています。それを見たひまじんは欲が出て、薪用にも持って帰ろうと言い出しました。ひまじんがチェンソーで間伐材を伐り、私がそれを軽トラまで運んだのです。ああ、しんど! なんでこうなるの~~??

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 結局、山小屋と山林を軽トラで2往復。間伐材が崩れ落ちないように、軽トラの荷台に乗りました。爽やかな風が頬をなで、気持ちよかった!!超気持ちよかった!!

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 丸太をあっちに置いたり、こっちに移したり。すったもんだしながらも夫婦で力を合わせ、段々畑と遊歩道を整備しました。

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  ひまじんが薪割りをしています。斧を借りて薪割りを初体験しました。女では無理と思っていましたが、斧をうまく振り下ろせば、”バシッ”という乾いた音がして気持ちよく割れるのですよ。
  癖になりそう・・・

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【夫の日記】 もうすぐナメコ、ヒラタケ収穫?

   晩秋には、ナメコとヒラタケが収穫できるかも知れない。いや、必ず収穫できると思う。ナメコの味噌汁、ヒラタケの炊き込みご飯・・・どれもおいしそうだ。
 昨年の冬、サクラとクヌギの木を伐り、2か月ほど乾燥させた後、サクラにナメコ、クヌギにヒラタケの菌を植えた。ものの本によると、二度の夏を過ぎた晩秋にニョキニョキ出てくると書いてある。
 ナメコの原木は11本。杉林の中に並べ、その上に枯れ葉をかぶせた。ヒラタケは4本で、エゴノキの下に伏せ、遮光ネットをかぶせておいた。
 シイタケは以前から栽培しているが、ナメコとヒラタケは初めて。経験も知識もないまま栽培しており、いい加減だらけ。梅雨のころ、原木をひっくり返す天地返しをしなければならないが、それもすっかり忘れていた。
 今日、遅まきながら天地返しをしたところ、原木に白いものが浮き出ている。これぞ、キノコの菌が回っている証拠だ。間違いなく収穫できるだろう。
 「原木栽培」という語感。いかにもおいしそうな響きがある。滅多にありつけない松茸は別として、ひまじんはそれ以外の天然キノコを食べたことはない。ナメコもヒラタケも天然物に限りなく近い味を楽しめるだろうと、胸を膨らませているのだ。
 多分、ナメコは食べきれないほど収穫できると思う。身内や友人に送って差し上げよう。物々交換の物品としても有効利用出来るだろう。ま、とらぬ狸の皮算用だが・・・

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ナメコの原木 007


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   こんなナメコ(上)とヒラタケ(下)が収穫出来たらいいなあ

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【夫の日記】 紀伊山地の小旅行/秘境に落人の足跡が・・・

  ボケ防止のため始めたそのブログで、ひまじん夫婦がすでにボケであることを告白しなければならないのは、まことに皮肉であり、つらい。
 つい4、5日前、山小屋のポストに、キノコ観察会の案内状が入っていた。シイタケやナメコなどを栽培しているし、キノコに興味があるので参加することにした。
 6日(土)の朝、山小屋から45キロほど離れた和歌山県かつらぎ町に向かって出発した。集合場所は、1700年前の創建とされる「丹生都比売(つひめ)神社」の駐車場だ。この神社は「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されている。

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        ↑ 社殿は北条政子、太鼓橋は淀君がそれぞれ寄進したという

 集合時間の30分前に着いて待っていたが、それらしき人は誰も来ない。社務所で聞くと、「キノコ観察会は明日ですよ」とのこと。不覚にも日を間違えていたのだ。
    「お前が今日や言うたやないか」
    「あんたが案内状を見て6日や言うたわよ」。
 ボケているのはそっちだと、互いにののしり合うひまじん夫婦だが、どちらもボケているのは間違いなさそうだ。
 折角来たのだからお参りした。4棟が建ち並ぶ立派な社殿に向かい、二礼、二拍手、一礼。「もうこれ以上ボケが進みませんように」。女房も神妙に拝んでいる。「・・・」
 ここまで来たのだから、すごすごと帰るのはもったいない。40分ほどで行ける高野山に向かうことにした。車のナビに「奥の院」を設定。ナビ通りに走ると、とんでもない所に行きついた。そこは、奥の院の裏側に広がる深い森の中で、行き止まり。なんでこうなるの?今度はナビがボケている。ナビを過信するなということだ。


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       ↑ ナビを信用していたら奥の院の森に迷い込んだ


 仕方なく引き返し、歴史上のお歴々の墓が並ぶ参道を御廟まで歩いた。バスガイドの話を盗み聞きして、ひとつ賢くなった。あの巨大な墓石は重くて運べないので、中がくり抜かれているのだそうだ。そして、ピラミッドを積み上げた手法(周囲に砂を盛り上げながら石を積む)が用いられているという。

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 高野龍神スカイラインを走って帰路についたが、途中の標識に「野迫川」とあった。この地区はまさに秘境で、以前から行ってみたいと思っていたので、寄り道することにした。道は細く、谷はV字型に切れ込んでおり、落ちたら一巻の終わり。
 そろり、そろり走ること約10キロ。平維盛ゆかりの地に着いた。小高い丘の上に塚があり、地区の人たちが下草をきれいに刈り、お守りしている。

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       ↑ 小高い丘が平維盛の塚


 維盛は光源氏の再来と言われた男前だったらしいが、武人としてはいまいちで、連戦連敗。平家の落人として紀伊国に落ち延びたと伝えられる。維盛の塚は、寂寥感を漂わせ、秘境にたたずんでいた。
 夫婦で手を合せてこの地を去り、さらに走り続ける。川の相が美しい。渓流の女王アマゴがいっぱい泳いでいるのだろう。

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 やがて1軒のホテルが現れ、「野迫川温泉郷」の看板が掛けられていた。入浴料は1人800円。普通は600円だから高いが、今日はずいぶん冷や汗や脂汗をかいたので、洗い流すことにした。

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      ↑ 秘境に似合わないおしゃれなホテルに温泉もある


 スカイラインに戻り、標高1000メートルを超える護摩壇山に立ち寄った。この山は、ひまじんの山小屋からも見えるので、なじみ深い。
 女房は「色々あったが、秘境にも行ったので、久しぶりにいい旅だった」と喜び、ボケの反省はすっかり忘却の彼方へ・・・

【妻の日記】 季節はずれのワラビを味わう/生石高原

  滋賀の自宅に戻っていた私は、昨夕、和歌山の山小屋に戻りました。京都、奈良経由で4時間の車の旅。
 ひまじんが温かく迎えてくれると思いきや、ちーと考えが甘かった!ひまじんはイカ釣りに出かけておりません。がっかり~~。

 今朝は、久しぶりに生石高原の山頂まで散歩することになりました。高原はもうすっかり秋の風情です。ススキの淡い赤味を帯びた穂が、打ち寄せる波のように風になびいています。

潜水艦・ワラビ 020

 ススキの大草原には黄色いオミナエシ、青紫のマツムシソウ。 

潜水艦・ワラビ 011

 鮮やかなピンクのゲンノショウコ、ひまじんの好きなカワラナデシコも咲いていました。

潜水艦・ワラビ 015

 あれ、あれ?
 季節外れのワラビです。登山道の脇にニョキニョキと出ているのです。
 そういえば、ブログ仲間のキャンプキッズのつとりんさんもこの夏、キャンプ地で採ってゴマ和えにして食べていました。

潜水艦・ワラビ 016

 二人でこれだけ見つけることができました。ちょっと少ないのですが、季節外れのワラビがどんな味か、興味津津。さて・・・

潜水艦・ワラビ 021

うん、おいしい!春のワラビと変わらぬ味わいだった。9月のワラビを食べたのは初めてだ。少し筋があったが、ほとんど問題ない。
 旬は4月、5月だが、目を凝らして探せば、夏でも採れることが分かったのは収穫だった。季節外れの貴重な味。一層おいしく感じた。



わらび 001

【夫の日記】 アオリイカが潜水艦に驚いた!/由良湾

  9月の声を聞くと、アオリイカが恋しくなる。港には、生まれたばかりの新子という小さなイカがプカプカと漂っている。とても愛嬌のある姿だ。これを釣るのは忍びないのだが・・・
 アオリイカの釣りは、エキサイティングで、とても面白い。水温がまだ高いので、釣りにはひと月ほど早いのだが、行ってみることにした。生きたアジを30匹買い、由良湾の柏の漁港へ。
 波止場の中央で、年老いた母親と息子が釣りをしていた。めぼしい釣果はないという。その横で竿を出させてもらう。
 釣り始めて1時間ほど経った時、リールから「ジー、ジー」という音をたてながら糸が出ていく。アオリイカがアジに食いついたのだ。胸が締め付けられるような緊張感。この瞬間がたまらない。
 しばらく待って、ヤエンという仕掛けを道糸に装着して海中に下ろす。これをイカまで届かせ、イカを引っ掛けるという寸法。そろり、そろりと引き寄せ、1杯目をゲットした。この時期にしてはまずまずの型で400グラム以上はありそうだ。
 さらに1時間後、再びイカが乗った。これもうまく取り込むことが出来、2杯目。同じような大きさだった。好調な滑り出しだったが、その後はさっぱり。
 手持無沙汰なので、ぼーっと海を眺めていた。その時、岩が動いたような錯覚にとらわれた。潜水艦が湾内に入って来てきて、湾の中央に停泊したのだ。釣り場から300メートルほどしか離れていない。
 湾奥に海上自衛隊の由良基地があるのだ。甲板で20人ほどの乗組員が何やら作業をしている。その周りを2、3隻の船が取り巻いている。物々しい風景だ。
 それから2時間ほどたったころ、リュック姿の青年2人が姿を現した。1人がカメラで潜水艦の方向を2、3枚撮影したあと、短い竿をリュックから取り出し、ルアー釣りを始めた。しかし5分もたたないうちに姿を消した。
 妙な釣り人だなあと思った。2人とも角刈りで、目つきは鋭い。潜水艦の写真を撮るのも怪しい。
 ひまじんは若いころ、スパイ小説が好きだった。ジョン・ル・カレ、グレアム・グリーン、フレデリック・フォーサイス、フリー・マントル・・・など手当たり次第に読んだ。その経験からすると、どのような型の潜水艦がどこにいたか--というのは軍事の有益な情報である。とすると、あの2人組は某国のスパイか?
 20数年前、鳥取へ出張し、帰りの日にレンタカーで海沿いをドライブした。ある漁港で釣りをしている老人と小一時間、話し込んだ。老人はタコ釣りをしていたが、あたりをキョロキョロしてどうも気が入っていないように見える。
 帰り際、老人はボソリと言った。「釣りの格好をして、怪しい人がいないか監視しているんだ。車のナンバーも控えるしね。アルバイトなんだよ」。公安調査庁か県警警備部か知らないが、その筋から頼まれているのだろう。島国の日本にとって、沿岸部は諜報の最前線なのだ。スパイ好きのひまじんの推理も満更ではないかもしれない。
 さて、イカ2杯を釣った後、何の反応もなかったのは、潜水艦の停泊と関係あるのではないか。潜航中でなくても、敵を探索する音波を発して警戒しているかもしれない。アオリイカはこの音波が嫌いで、逃げ出したのだ。そうに決まっている!

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【夫の日記】 後編・女3人組の修羅場

  3人組の「女ハリケーン」が、わが山小屋に華やかな旋風を巻き起こして2日目。昨夜はゴルフレッスンをしていて遅くなったが、大酒を飲んでぐっすり眠れたらしい。
 今日は紀伊水道を眺めながらドライブし、午後は波止場で釣りをする予定だ。帰りは由良の温泉「みちしおの湯」で魚の臭いを洗い流す。
 朝食をすますと、ご婦人がたは隣の部屋でごそごそしている。「のぞいちゃいやよ」なんて、語尾が鼻に抜ける気色悪い声を上げている。3人とも水着を着込んでいるのだ。えっ、泳ぐの~?
 もはやひまじんは、どんな色仕掛けにも動じることはない。枯淡の境地に達するには早いが、森の暮らしをしていると、感覚が麻痺して仙人のようになりつつあるのだ。最年少のM女は、胸を誇示するような切れ込んだ水着だが、ひまじんはチラッと見ただけで、M女を落胆させるほど冷静なのである。
 とかなんとか言いながら、水着にこだわっているのはひまじんの方か?われながら情けない。まあそんなことより話を先に進めよう。
 青い海と緑の島々が続く紀伊水道を望みながら車をを走らせる。やがて白崎海洋公園に到着した。レストランの窓から白い石灰岩の奇岩を眺めながら昼食をとった。このあと、近くの大引の波止場に車を横付けした。さあ、釣りの開始だ。
 アジのサビキ仕掛けを作ってやるが、さっぱり釣れない。3人のうち2人は「泳いでくるわ。ひまじんも一緒に泳いだら?」と誘われたが、滅相もない。「若い娘だったら・・・」という言葉をかろうじて飲み込み、釣りに専念。料理の仕方でおいしく食べられる大きなボラやグレを釣って、お土産用とした。
 泳ぎから帰ると、場所替わりしようという。昨年の秋、初めての釣りで大釣りした小杭の港が忘れられないのだろう。面倒だが、後で何を言われるか分からないので、従った。
 ここでは、チャリコやべラは掛るが、アジは音沙汰なし。「あーあ」とため息をつきながら、ふて腐れている。ひまじんは「釣りは辛抱。耐えていれば、いいこともある」と説教調で態度を改めさせようとしたが、「あっ、そう」と気のない返事である。
 しかしその直後、女たちの狂気のドラマが始まったのだ。ここのアジは長幼の序をわきまえていて、最年長のS女の竿に第1号が食いついた。アジの大群が回遊してきたのだ。10センチ余りの食べごろサイズが入れ食いだ。
 「キャハハ」と少女のような声を上げながら、有頂天で釣り続ける。ハリが服に刺さると、「もう破けてもかまわん」と強引に引き抜く。隣の糸と絡むと、「邪魔せんといて!」と言い合っている。日暮れの小さな港は、女たちの修羅場と化したのである。
 やがてアジが去り、静かな港に戻った。意を決するように、誰かが「帰ろう」と言った。全身にまとわりついた潮を洗い流すため、「みちしおの湯」に着くと、なんと定休日だった。
 女性2人は、泳いだまま水着を着替えていない。帰りの車の中で、全身をモゾモゾさせている。それに、魚の臭いも充満している。もはや色気もくそもない。ムンムン、ムレムレでした・・・

      女3人が狂喜乱舞した小杭漁港の風景

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【夫の日記】 ガールフレンドがやって来た

  紀伊山地のわが山小屋に、今年もガールフレンド3人組がやって来た。昨年の秋に続いて2回目だ。おや、おや?ひまじんも隅には置けないなあ、と思われるかもしれないが、彼女たちは、それぞれ自慢のご主人を持つ主婦である。
 昼前に到着した3人組は、まるで家出してきたような荷物を置くと、「お腹すいた~」と、色気より食い気。この日のためにひまじんが奔走して釣り上げた魚をご賞味いただくことにした。メニューはグレの味噌汁、アユの塩焼き、アユの燻製。
 これらを本当においしいと味わってくれるか心配だったが、全部ご満足いただけたようだ。最年長のご婦人は、やにわに口をガバッと開き、アユを頭からかぶりつく豪快さだった。特に、燻製が好評で、「まだ、あるやろ?主人にぜひ食べさせたいので、頂戴よ」。そこまで言われると、冷蔵庫の隅っこに隠してはおけない。
 午後は彼女たちがぜひ体験したいというアユの友釣り。「素人には釣れない」と何べん言っても、納得しない。オトリを買って有田川に車を乗り入れると、先日来の雨で増水している。
 ひまじんとしても、相手が一応女盛り?の女性だからいいところを見せたいと思う。ゴーゴーと音を立てる急流にオトリを入れる。瀬の方が勝負が早いのだが、オトリが流れに負けて弱る一方だ。
 「こうして釣るんだ」と講釈するものの、釣れない。最初は興味津津で見ていた彼女たちも、そのうち退屈したのか川遊びに興じて、ヘボ釣り師を見向きもしなくなった。
 2時間ほど経ったころ、Y女が「こ、これ何?アユ違うの?」と騒いでいる。釣りを中断して近寄ると、Y女のサンダルに鼻カンとハリが付いたアユが引っ掛かって、足元をくるくる回っているではないか。糸が切れて流れてきたオトリアユなのだ。「捕った、捕った」と喜んでいる。
 「アユは釣るより、捕る方が早いわ」などと口々にほざいている。ひまじんの釣り師としての自尊心をひどく傷つける言葉だ。面目丸つぶれである。悔しい!
 帰り道にある二川(ふたがわ)温泉に立ち寄った。女湯から年に似合わない黄色い声が聞こえてくる。湯煙の中で、女3人はひまじんの口ほどにもないアユ釣りをケラケラと笑い、Y女が偶然捕まえたアユの話で盛り上がっていたに違いない。
 なお、Y女はこのアユを山小屋に持ち帰りると言って聞かず、塩焼きにして食べた。逃がしてやればいいものを。虫も殺さぬ顔をして、残酷だなあ・・・
                                                (明日に続く)

    川遊びのあと立ち寄った二川温泉

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ばばー3人 005

 
 

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