【夫の日記】 春を呼ぶ山焼き/生石高原

  私たち夫婦が暮らす紀伊山地の生石高原で、春を呼ぶ山焼きが行われた。当日の日曜日は朝から強い北風が吹いていたが、ススキの大草原に次々と火がつけられた。

 強い風にあおられて、「バチバチ」「ゴーッ」という音をたてながら、みるみる燃え広がった。なかなかの迫力だが、余りにも寒くて30分ほどで山小屋に逃げ帰った。

 あすは春4月。しばらくすると、この大草原からススキの元気な新芽が顔を出すだろう。そして2週間ほどすると、新芽の間からワラビが出てくる。タラの芽、ゼンマイ、イタドリ、山ブキなども一斉に旬を迎える。これらの自然の恵みを授かるのは、この地で寒い冬を辛抱しただけに、喜びもひとしおである。

 女房の農作業も本格化している。エンドウの蔓をはわせるネットを張り、4、5日前にはジャガイモを植えた。今日は人参とほうれん草の種をまいて、夕方遅く帰ってきた。トマト、キュウリ、ナスなどの夏野菜の栽培も始まるだろう。

 私はこの冬、よく働いた。来年使う薪を2000本近く作った。これで薪集めにあくせくしなくていい。キノコの原木栽培にも精を出した。シイタケ、ナメコ、ヒラタケ、クリタケの種駒を打ち続け、合わせて50本くらいのホダ木を作った。

 いよいよ気候もよくなるので、そろそろ釣りに出かけよう。先日のブログで、釣り用のゴムボートについて書いたが、それ以来、購入を巡って女房を説得する日々である。もうひと押しだ。寝ても覚めても、ボートから釣り糸を垂れるわが姿を思い浮かべている。病膏肓・・・。

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【夫の日記】 ゴムボートが欲しい!

  私は無類の釣り好きである。和歌山に山小屋を建てたのも、美しい海や川に近いという理由からだ。商店やスーパーなど何もない森の中に暮らしていると、好きな釣りは単なる趣味から、次第に食糧を手にする仕事になりつつある。

 民族学の言葉に「漁撈」というのがある。旧石器時代とか縄文時代、魚や貝を採取する人々の労働、仕事を「漁撈」と呼んでいる。漁業はそれで生計を立てている人たちであり、釣りは趣味の世界だから、どちらも漁撈とは違う。

 そうすると、私が足しげく通う釣りは、どちらかと言えば「漁撈」というニュアンスに近い。理屈っぽいことを書いたが、これは女房に対して釣り好きを納得させるためによく使う言葉なのだ。

 それはともかく、波止場や磯で釣りをしていると、しばしばマイボートで釣りをしている人を目にする。広い海で、波に揺られながらのんびりと釣り糸を垂れている。これも羨ましいが、ボートが港に帰って来ると、クーラーボックスにたくさんの魚が納まっているのがなんとも悔しかった。

 私の「漁撈」をもっと豊かにするためにボートが欲しい。そんな思いに長い間とりつかれていた。インターネットで調べていると、大阪湾で試乗会が行われているとのことだ。そこで土曜日、女房を無理矢理引っ張り出して、試乗会に出かけた。

 会場のマリーナには様々なボートが浮かんでいた。私は船舶免許を持っていないので、免許がいらない全長3メートル以下で、2馬力以下の船外機が付いたボートでなければならない。もし買うなら、転覆などの心配がほとんどないゴムボートがいいと思っていた。

 主催者の店のオーナーが、夫婦で試乗してみたらとすすめる。いやがる女房の手を引いてゴムボートに乗せ、波静かな湾内を走った。ボートを運転するのは初めてだが、簡単だ。曲がる方向を時々間違えたが、慣れれば問題ないだろう。

 湾内を2周ほどした時、エンジンが止まってしまった。エンジンをかけようとチョークを引いたりしてみたがダメだった。女房は「ほれみなさい。こんなことがあるから危ないのよ。買うのはやめたほうがいい」と目を吊り上げている。

 この事態に気付いて店員が駆けつけた。何のことはないガス欠だ。ガソリンを入れてもらってもう一度、走った。風を切って気持ちがいい。夫婦で取っ組み合いしても転覆しないほど安定している。これなら、色んなポイントで竿を出せるし、釣果も上がるだろう。

 メラメラと私の心に火がついた。欲しい。どうしても欲しい。しかし女房はプイと横を向いている。何しろ、値段が張るのだ。定額給付金などもらっても焼け石に水だ。多少は内緒の金は持っているのだが・・・。

 さて、女房をどう説得するか。理屈を並べるのは得意な方だが、女房は社会党の土井さんのように「ダメなものはダメ」と耳を貸さないだろう。

 「なあ、お前。青い海にボートを浮かべ、魚を釣り、お弁当を食べる。夫婦二人っきりやで。新婚時代に戻ったようで、ロマンチックやないかい?」。これ、切り札になるかなあ・・・。

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【夫の日記】 ピザとワインで四方山話

  今朝は氷が張るほど冷え込んだが、太陽が上がるにつれて暖かくなった。女房がダッチオーブンでピザを焼こうと言う。折角だから、山暮らしの仲間のドイツ人Pと女房の畑の指南役Mを招待しよう。

 山小屋裏で焚き火をし、豆炭を熾した。ダッチオーブンの下に豆炭を10個、蓋の上にも10個置いてピザを焼く。女房によると、石窯のように強火で短時間で焼くのがいいそうだ。焼き上がるまで10分とかからない。

 客人にイタリアで買ったワインを振る舞う。ワイン通のPは一口含んでうなずき、「これ10万円くらいしたかね」と冗談を言いながらグラスを空けていた。安物ワインだが、野外なのでワインもピザも一味違うような気がする。

 この3人が集まると、いつも薪の話である。Pがニヤニヤしながら、昨夕の出来事を話し出した。

 この話には前段がある。先日、女房と生石山を下りて買い物に行った際、中腹の道路沿いに結構な量の太い丸太が積み上げられているのを見つけた。置いてあるのか、捨ててあるのか・・・。

 この場所は、火事で焼けた廃材などが捨ててある空き地だ。丸太は雑に伐られているし、無造作に積み上げられており、どう見ても捨ててあるとしか思えない。

 そこで、「薪マフィア」とも言えるPに事の次第を説明した。Pは現場を見に行こうと言う。翌日、4人が集まった。空き地の持ち主に聞くと、捨ててあるので持って行ってよいと言うので、軽トラ3台に満載して2往復して山の空地に運び上げた。

 4人で山分けだ。丸太は槇、ニッキの木、檜の3種類で、いずれも太さが30センチ以上ある。槇もニッキもいい薪になる。ニッキは皮を剥いで鼻に近づけると、少年時代に飲んだあのニッキ水そのままの香りがする。

 そこへ、昨年夏に山小屋を建てた夫婦がやって来た。積み上げた立派な丸太を見て、ご主人は「どこから運んだの?」と羨ましそうにしている。奥さんは「仲間に入れてもらったら」とご主人の背中をつついている。

 そしてその日の夕方のことだ。突然ご主人がPの山小屋を訪れたのである。彼は「あの薪の仲間に入れてもらえんかね」と願い出たというのだ。ちょっと厚かましいのでPはカチンと来て、「あれは4人で運び上げたもの。それに、取りに行った時、留守だったしね。杉、檜には見向きもしないのに、いい丸太だけは欲しいというのはおかしいよ」と突き放したという。

 ご夫婦は寒くなると山小屋からいなくなる。しかし私たちは厳冬期もこの森で暮らし続けているので、薪もたくさん使う。すぐに燃えてしまう杉、檜も、細い枝でも燃えるものなら何でも集めている。あの夫婦のように贅沢は言っておれないのだ。

 薪一つとっても、「常駐組」と「時々組」とは考え方も生活スタイルも違う。仲間外れにしようなどという気はなく、むしろ食事に招き合うなど、友好的に過ごしたい思っている。

 森の暮らしには暗黙のルールがあり、Pは「自分勝手はいけないよ」と言いたいのだ。

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【夫の日記】 恋の季節/ヤマガラが巣作り

  春は恋の季節。この年になってもウブなのか、「恋・・・」なんて口にするのが少し恥ずかしい。でも、老いらくの恋ということもあるので、女房に内緒で心時めく恋が芽生えるかもしれない。

 いやいや別に気が狂った訳ではない。陽気に誘われ、山小屋の裏手にあるベンチに座ってコーヒーを飲んでいると、ヤマガラのアベックがエゴノキの梢で戯れている。そこでつい、恋の季節・・・なんてことを言ったまでだ。

 さてこの2羽、すでに夫婦なのか、恋人同士なのか。そんな他愛もないことを思いながら眺めていた。いつもは「ピー、ピー」と鳴くが、どちらかの1羽は「チー、チキチキ、チー」と変な鳴き方をしている。これはオスなのだろうか。メスの関心を引くため、奇声を上げているとも思える。

 野鳥に詳しくないので、本当のところは分からない。けれども、人間だって男は女の気を引くため、妙にはしゃいだりする。それと同じかもしれない。男と女の求愛は人間も鳥も、その他の動物も、それほど変わらないものらしい。知能とか知性なんて、邪魔なだけだ。幾多の体験から、これは断言できる。

 年がいもなく、つい力が入ってしまった。ああ、恥ずかしい。ヤマガラの観察を続けよう。ベンチから5メートルほど離れた木の上に、巣箱を取り付けてある。ヤマガラのカップルは、この巣箱に関心があるみたいだ。

 時々、丸い穴に止まり、中を覗いたり、コツコツとつついたりしている。ここを新居にしようとしているのか。この中で、仲睦まじく愛をささやくのか。あらぬ事に思いを巡らせていたら、そのうちどこかへ飛んで行ってしまった。

 昼過ぎにもう一度観察することにした。ヤマガラが数羽、遊んでいる。やがて、口ばしに何かくわえたヤマガラが飛んできた。それが何かよく分からないが、半透明の木の皮のようにも見える。巣作りの材料だろう。しかし、木の枝に止まったままで、あたりをキョロキョロしている。

 急いでカメラを取りに行った。戻ると、まだそのヤマガラは同じ枝に止まり、巣箱に入ろうとしない。警戒しているのだろうか。待つこと数分、やっと巣箱に近寄り、電光石火のごとく中に入った。中からコツコツという音が聞こえる。

 ついに、待ちに待った巣作りが始まったのだ。その後も何回か巣箱に入った。愛の巣を見てみたい。そんなスケベ心がムラムラと沸き起こったが、巣箱をもらった知人から、「巣を放棄するので、中を覗いたりしてはいけない」と念を押されている。

 新しい命が誕生するのはいつごろなのか、よく知らない。いずれ元気に巣立つだろう。身内のような思いで静かに見守ろうと思う。わが身とは無縁の「恋の季節」が始まろうとしている・・・。

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【妻の日記】 山桜の草木染め/春爛漫の色あい

  あちこちから桜の便りがチラホラ聞こえてきました。私たち夫婦が住む標高800メートルの生石山の冬は特別寒いので、春の訪れは胸が躍ります。

 花芽をいっぱいつけた山桜の枝を関西電力が電線の邪魔をするので切り落としていました。これからきれいな花を咲かすのにもったいない!もったいない!拾ってきて山桜の草木染めをしてみました。


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 山桜の直径3センチくらいの枝を刻み、これを斧で裂いて大きなお鍋に入れて煮出します。燃料費を節約するため主人に作ってもらった薪のかまどを利用します。

 時々液をすくって空気に触れさせ発色させます。薪をくべながら煮出すので、半日くらいかかるのですよ。

 液を濾して染める布を丁寧に浸します。ミョウバンで色を定着させ、もう一度液に浸ければ、ハイ完成です。

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 今回は絹のショールを10枚染めました。ほんのりとした桜色です。春爛漫の色合いに納得、納得!

 2枚は媒染液を変えて、淡いネズミ色にも染めました。私はどちらかと言えば、こっちの色の方がお気に入りなんです。

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 染め上がったショールは、日頃お世話になっている友人やお知り合いにプレゼントするのです。栽培しているシイタケも大きくなり、一緒に送ろうと思っています。

【夫の日記】 春だ!忙しくなる

  急死した身内の通夜、葬儀を終え、ついでと言っては何だが、生まれてひと月ほどになる初孫の顔を拝み、久しぶりに山小屋に帰ってきた。孫はなかなか整った顔立ちをしていて、美形を輩出するわが家系のDNAを見事に受け継いでいた。

 私たち夫婦が暮らす生石山の森には、先日降った雪が所どころ残っていたが、昨日のポカポカ陽気ですぐに消えた。杉の木立に入ると、コシアブラが背伸びするように細い幹を伸ばし、若芽が少し膨らんでいた。この若芽はアクが強いが、天ぷらにするとおいしい。本格的な春の訪れを感じさせてくれる味だ。

 野鳥にしばらく餌をやっていなかったので、どこかで浮気しているのではないかと心配したが、口笛を吹くとベランダの餌台にヤマガラ、シジュウガラが次々とやって来た。礼節をわきまえ、貞節を守る律儀な小鳥たちだ。

 滋賀に帰る前、知人からいただいた巣箱を取り付けておいた。新築一戸建ての高級住宅だが、まだ入居していないようだ。。時々、ヤマガラが下見に来て、丸い穴をコンコンとつついている。ここで巣作りをしてくれれば、家族が増えたような気分になるのだが・・・。

 シイタケの様子を見に行くと、ひと回り大きくなっていた。表面が割れたようになるドンコの模様が鮮やかだ。女房は、横浜や愛知の友人に送ってやるのだと、大きくなるのを楽しみにしている。もうすぐ、200個以上は収穫できるだろう。

 昼前、チェンソーの音が聞こえてきた。この森に移住して半年ほどになる夫婦の山小屋をのぞきに行くと、薪作りをしていた。作業をじっくり拝見するのは初めてで、その奇妙な仕事ぶりに驚いた。

 丸太にメジャーを当て、きっちり30センチごとにマーカーで印をつけて切っておられる。そして奥さんはタワシで薪の木屑を払い落し、軒下に運んで積み上げる。薪の面がきれいに揃い、モザイクの芸術作品である。

 人間の性格とはかくも違うのかと思う。私の作る薪は、長さが20センチ~40センチとバラバラで、切り口は斜めになっているものが多い。木屑も付いたまま。どうせ燃やしてしまうから、いい加減でいいと思ってしまう。

 私も午後から薪作りに精を出した。先月、地元のミカン農家から選定したミカンの木をたくさんもらい、道路わきに放置したままにしておいたのだ。木は結構太く、立派な薪になる。油分が多いので煤が出るが、良く燃える。夕方までに200本以上が積み上がった。女房の草木染めの燃料に提供しよう。

 その夜、ドイツ人Pが久しぶりに帰ってきた私たち夫婦を焼肉に招いてくれた。話題は、きっちり30センチの薪を作る夫婦の仕事ぶりだ。Pは「いつまで続くかなあ」と言うが、私はこれからもそのスタイルを貫かれると思う。人間、年を重ねるごとに頑固、頑迷になる。私も、てんでバラバラの薪を作り続けるだろう。

 間もなく「暑さ、寒さも・・・」のお彼岸。いよいよ春だ。野鳥のさえずりがにぎやかになってきた。女房の畑作りが本格化し、私も釣りにも行かねばならない。さあ、忙しくなる。

       ↓ コシアブラの若芽も膨らんできた
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       ↓ 入居者募集中の巣箱
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       ↓ ドンコ模様がくっきり
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       ↓ 薪の面はそろっているが・・・
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       ↓ 裏から見ると、長さはバラバラ 
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【夫と妻の日記】 身内の不幸でしばらく失礼します

  12日朝、身内に不幸があり、生石山を下って滋賀の自宅に帰ることになりました。しばらく、ブログを更新することが出来ない上、ネット上で親しくしていただいている方々のブログを訪問することができなくなりました。

 来週前半には山小屋に帰り、森の生活を再開します。ブログも更新を続けますので、今後ともよろしくお願いします。それではしばらく失礼します。  

【夫の日記】 雨除け工事が完成/仲間に感謝

  私たちの山小屋裏手に、雨除けのひさしを建てる工事は昨日9日に完成した。その夜、手伝ってくれたドイツ人PとMを招いて完成を祝う宴会を催した。午前2時まで飲み続けたので、今日は頭も体も重い。

 PもMも同じ森に暮らす仲間だ。正直言うと、私はほとんど仕事らしいことは何もしていない。工事には緻密な計算が必要だし、丸太を持ち上げるなど相当な腕力もいる。私の性格は大雑把。力もない。まるで役に立たないのだ。

 雨除けひさしは、まず支柱となる間伐材の丸太4本をコンクリの基礎の上に設置する。その上に長さ約8メートルの丸太を乗せ、、棟木を渡す。そして波板を張り付ければ完成だ。こう書けば簡単なようだが、これがなかなかの手間仕事である。

 丸太はノミで穴を彫り、はめ込まなければならない。怪力巨漢のPがノミをふるうと、一回の打ち込みで1センチくら彫ってしまうが、私はほんの2、3ミリ程度。だから作業に時間がかかり、Pから「兄貴、なにやってんのよ。もういいよ」と叱られる。

 丸太を持ち上げる時もふらついてしまい、「邪魔よ!あっち行って」と言われ、挙句に「兄貴は見ているだけでいいの」とつまはじきされる始末なのだ。

 仕事らしい仕事が回ってきたのは、波板にハンダゴテで釘を入れる穴を開ける作業だが、これも列を間違えてジグザグになり、ひんしゅくを買ってしまった。この工事を通して、自分の無能さを思い知る結果となった。

 宴会の席で、女房はPとMに「こんなに早く、立派なひさしを作ってくれて本当に感謝しています」と何度も頭を下げ、「何かお礼をしたいんだけど」と言った。するとPは「お礼なんていらないよ。そんなことすると、怒るよ。助け合いなんだ。ボクが困ったら助けてもらうよ」と、首を振る。

 ありがたいことだ。人のほとんどない山深い森の生活では、確かに助け合いが大切だ。誰かが困っていれば、助けに走るのはルールとも言える。仲間たちの好意に、感謝、感謝である。

 ひさしの波板を張っていると、雨がポツリ、ポツリと落ちてきた。全部を張り終えてしばらくすると、土砂降りとなった。何というタイミングだろう。今まで雨に濡れて困っていた軒下には、一滴の雨も落ちてこない。私も女房、そしてPもMも「素晴らしい!素晴らしい!」と連呼した。

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【夫の日記】 イタリアンでランチ/和歌山の名店

  天気予報通り、今日は朝から激しい雨が降っている。夕方まで降り続くというので、久しぶりに女房をランチに連れて行こう。私は、こういう細やかな気配りの出来る男なのだ。

 先日、女房が文芸春秋の3月号を読んでいて、「これ、おしゃれなお店やねえ」と言っている。「地方発 イタリアンの名店」というグラビアの特集記事で、この店は山小屋から車で40分ほどの所にある。

 イタリアンの名店に行くというので、女房は化粧をして、ジャケットを着込んで張り切っている。私も一応ちゃんとした服装に着替え、いざ出発だ。林道を走り回り、泥だらけになっている軽トラに、ジャケット姿は似合わないし、滑稽かもしれないが、森で暮らす私たちは夫婦は、それなりに度胸が据わっているのだ。

 店は田んぼの中にあるが、いかにもイタリア風といったしゃれた建物で、庭も西洋風だ。シェフはトスカーナなどで4年間修業したらしい。料理は自分で栽培する野菜やハーブをふんだんに使う。文芸春秋には「彼の手によって強烈な個性を放っている」と紹介されていた。

 予約しておいたので、店に入るとうやうやしく席に案内された。女房はメニューを見ながら迷っている。ランチは2650円、3600円、5600円の3種類。私のおごりだから、つい「あほ、一番安いのでええんや」と、はしたないことを口走ってしまった。

 待つこと15分、野菜スープが運ばれてきた。ビーツとかいうカブラのようなものが入っており、ピンク色の毒々しい色合いだ。名店だから、正しい作法でいただかなければならない。

 緊張と意識過剰のため、手元が狂ってカブラが皿から飛び出し、真っ白のテーブルクロスにポトン。大きなピンクの跡が付いてしまった。水を注ぎに来た女性が、不始末の跡にチラッと視線を走らせていた。

 次は菜の花のパスタだ。女房に「これマカロニか?」と聞いたら、「ペンネや!」と睨まれた。ま、どっちでもいいが、量が少なすぎる。数えてみたら、22本しかなかった。しかも、キュウリの半分くらいのパンが1本だけだから、これでは腹もちが悪い。蛮勇を奮って「すんません、パンちょうだい」と頼んだ。10分くらいして、やっと一つだけ運ばれてきた。

 いよいよメーンの料理だ。キャベツに豚肉が巻かれている。一見、ロールキャベツのように見えるが、ハーブの風味がきいていてまあ、いい味だ。女房はうっとりとした表情を浮かべ、時間をかけて味わっている。私は無粋な人間なので、あっという間にペロリである。

 それにしても、名店とはこういうものなのか。料理が出てくるインタバルが10分以上と長い。女房は「女性はおしゃべりしながら食べるので、これでいいの」と言う。しかし、いらち(せっかち)の私は、イライラして食べた気がしない。

 しかも、女性従業員が壁に張り付くように威儀を正しており、なーんか、見られているようでソワソワしてしまう。女房は「おいしかった」と満足していたが、私はラーメン、ライスの方が性に合っているようである。名店は窮屈だ・・・。

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【夫の日記】 大プロジェクト?始まる

  かれこれ2か月くらい前になるだろうか。女房が同じ森に暮らすドイツ人Pの山小屋へ遊びに行き、裏の雑木林に突き出た屋根つきテラスを見せてもらった。帰ってくるなり、「あれ、なかなかよく出来ているわ」と、盛んに感心しているのだ。

 そして、私たちの山小屋の裏手にも同じ手法で雨除けのひさしを出して欲しいと言い出した。私が不器用なことを知りながら、「男なら作れるでしょう」と無理難題を吹っ掛ける。「まあ、今年中なら・・・」と言葉を濁しておいた。

 1週間ほど前、Pが遊びに来てコーヒーを飲んでいると、女房が猫なで声を出して、「ねー、Pチャン、うちの山小屋にひさしを出したいの。手伝ってくれるよね」と、Pの大きな肩をゆすっている。

 そう言われてPはえらく張り切ってしまい、「いいよ、すぐやろう」と言い出した。私には色々やることはあるし、まだ寒いので、すぐにやる気はない。迷惑な話なのだ。

 それ以来、Pから毎朝電話がかかってきて、「兄貴、間伐材を取りに行こうぜ」と急きたてる。重い腰を上げ、先日、許可を得ている山へ出かけた。Pは100キロを超える巨漢なので長い丸太を軽々と運ぶが、ひ弱な私はよろけながら運び、何度も転んで泥だらけになる始末だった。

 ともかく、支柱となる杉、檜の間伐材8本を山小屋まで運んだ。2日ほど雨だったので作業が出来なかったが、雨がやむとまたPがやって来て、「さあ、木の皮むきをするぜ」とケツをたたく。作業に慣れているPは、もたもたする私を「ダメだよ、そんなやり方!」としかりつける。まさに、棟梁と弟子の間柄である。

 女房がひさしを出して欲しいと言うのは分かる。軒下には洗濯機があり、雨が降ると洗濯が出来ないし、草木染めも炉が濡れて火が燃えず、煮出し液が作れない。

 しかし、この大工仕事は結構おおがかりなのだ。幅が8メートもある。支柱を建て、棟木を何本も渡し、波板を張り付ける。ノミを使って穴を彫ったりもする。考えただけでも気が遠くなる。

 Pがやる気を出しているので、その気持ちを挫く訳にもいくまい。ドイツ人気質は律儀である。もはや後に引けない。「兄貴、完成するまで釣りはダメよ」とも言われている。

 今後、この工事については節目ごとにレポートするつもりだが、どんなことになるやら・・・。今日は雨なのでPからの催促はないが、天気が良くなれば必ず電話がかかってくる。あー、怖い、怖い。

     ↓ 皮むきが終わった間伐材の支柱
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【夫の日記】 起死回生のステップ台

  「使い物にならない」「危険この上ない」「廃棄処分すべし」・・・。女房をはじめ、山の仲間たちから罵詈雑言を浴びせられた自作のステップ台。一昨日の当ブログでこの苦心の作について書いたが、確かに使ってみると危険極まりない。怪我でもしたら大変なので、腹立ちまぎれに足蹴にしてたたき壊した。

 重ねて書くことになるが、このステップ台はモノラックの荷台に荷物を運ぶためのものだ。つまり、荷台は道路沿いの高さ1メートルの石垣の上にあるので、荷物を持って上がらなければならない。そのためのステップ台なのだ。

 悲しいかな、私は不器用な上、基礎知識がなかった。だから半日かけて出来上がったステップ台は安定が悪いし、ステップが2段しかないので、女房などはあられもなく大股を開かなければ登れない代物なのだ。

 人間追いつめられると、妙案が浮かぶものらしい。それは起死回生のアイディアとも言える。

 実は2週間ほど前、強風で別荘地の道路に古木が倒れかかった。私たちはチェンソーを持って駆けつけ、その木を短く切って道路わきにか寄せた。仲間の一人が薪にしたいと言い、大部分を持ち帰った。

 しかし、木の根元の部分は3人でやっと持ちあげられるほどの太さなので、誰も手をつけず道端に転がしたままになっていた。

 私はそれに目を付けたのだ。これを輪切りにすれば立派なステップ台になるではないか。仲間に手伝ってもらい、山小屋まで運んだ。

 丸太の直径が50センチほどあり、強力なチェンソーといえども手強い。起死回生の策を実現するために、何が何でもうまく切らねばならない。どうにか高さ30センチと70センチの丸太を二つ作った。そして二つを板でつなぎ、動かないようにした。

 ステップ台は木がやや朽ちているが、それが却って森の雰囲気とマッチしている。重量感があり、安定感も抜群だ。女房も「これなら安全で使いやすい」と、喜んでいる。私の発想力も捨てたものでないわい・・・。

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