【夫の日記】 25回忌、母を想う

  今日からゴールデンウィークが始まった。不況で生産活動が停滞し、うれしくない12連休という人も少なくないらしい。私たちが暮らす森には別荘が点在し、多くの人がやって来る。1年で最も賑わう時期だ。

 しかし私たち夫婦は、後ろ髪を引かれる思いで生石山を下りなければならない。再びここで暮らすのは10日も先のことになる。母親の25回忌をはさんで色々と用事があるので仕方ない。

 母親が亡くなり、もう25年になるのだ。その半生は余りにも不遇だった。私たち3人の子供に看取られながら静かに息を引き取り、長い激痛との闘いが終わった。76歳だった。

 
 私は母親と一緒に外出した記憶がほとんどない。いつも薄暗い寝床で体を横たえ、「痛い、痛い」と言って泣いていた。40歳になる前から難病にかかり、杖をついて何とか歩いていたが、次第に激痛がひどくなり、寝た切りになってしまった。

 私は、小さな狸の彫り物を持っている。観光地で売られている安物の置き物に過ぎないが、唯一母親とをつなぐ宝物ものである。小学生だったころ、母親が養鱒場へ連れて行ってくれた。その時に買ったもので、これが母親との最後の外出だったように記憶している。

 食事は父親が作っていた。味噌汁にキュウリを入れるので、嫌でならなかった。田舎の学校は給食がなく、おいしいとは言えない弁当を持たせてくれた。パンの時も多かった。

 父親は時折ふらっと温泉に行く以外は、これといった趣味はなく、母親の看病で苦労していた。しかし1年後、追うようにあの世へ旅立った。

 それほど幸せだったとは思えない両親の半生に比べると、私は幸せだと思う。いまのところ病気で苦しんでいる訳ではなく、女房も口数が多いだけで元気だ。しかも森の山小屋で気楽な生活を送っている。

 前夜から降り続いている雨が、やかましいほど屋根をたたいている。間もなく滋賀へ帰る時間だ。今度帰って来る時には、木々の若芽は萌えるような青葉になっているだろう。

 と言う訳で、ブログはしばらく休みます。みなさん、いいゴールデンウィークをお過ごし下さい。
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【夫の日記】 藤の花とチューリップ/雨の日に思う 

  きのう折角書いたのに、酔っ払ってアップするのを失念してしまった。魚も同じだが、鮮度が落ちると記事も味が落ちる。でも、もったいないので・・・。

 
  予報よりやや遅く、昼前から雨が降ってきた。久しぶりの雨に打たれる木々の新芽は、そのしっとりした黄緑色だけが霧の中に浮かび上がっている。なんと美しい色合いだろう。

 傘をさして森を歩いた。淡い紫色の藤の花が満開だ。花の房は雨の重みでずっしりと垂れ下がっている。この光景を万葉の歌人はどうのように詠むだろうか・・・なんて柄にもないことを思いながらしばし見つめていた。

 黄色い山吹の花が咲き、いつしか山桜の花が散り、雪のように山道を覆っている。寒い冬に震えながら春を待ち望んでいたのに、こうして春が訪れてみると、その喜びの裏側に妙な不安感がべっとりと張り付いている。あと何回この喜びを実感できるのだろうかという、切なさなのだ。

 いや、こんな感傷的なことは考えまい。

 花を眺めていて、半月ほど前のことを思い出した。ここ生石山に移住して20年ほどになる人が私たちの山小屋にやって来て、いきなり「わしは紫陽花が嫌いじゃ」とおっしゃった。

 山小屋の敷地には、女房が大好きな紫陽花があちこちに植えてある。この人は、街の庭に植えてある紫陽花はこの森にはふさわしくないと言いたいのだろう。「あの西洋シャクナゲ、石段のサツキも気に食わんなあ」と手厳しい。少し複雑な気持ちだったが、なるほどとも思う。

 実は、この森に移住して来られたご夫婦は、家を建てる時、敷地の木々を全部伐ってしまった。確かに、家に寄りかかるような木は家のためには良くないが、森のたたずまいを台無しにする伐採はちょっとやり過ぎのように思った。

 それにこのご夫婦、花の植木を大量に買い込み、せっせと植えておられる。庭には西洋の花々が咲いている。とやかく言うほどのことではないが、違和感を感じるのは私だけではあるまい。

 私たち夫婦がこの森に山小屋を建てて15年になり、ここに住み始めて2年近くになる。自然の中で生活するにつれて、間違いなく意識が変わった。チューリップやバラは素直に美しいと思うが、生活の場に咲いていたり、花瓶に活けられたりしていると、どうも落ち着かない。

 やはり森には森の草花が美しいと思うようになっている。私はナチュラリストではない。ひっそりと咲く花に大仰に感動したりはしない。霞を食うような仙人でもない。自然も好きだけれど、浮世にも未練はある。衝動的に建てた山小屋で、たまたま自然に囲まれて暮らしているに過ぎない。

 木々の芽ぶきや花を眺めながら、脈絡もなく、こんな他愛ないことに思いを巡らせた。雨の日は一日が長い・・・。

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【夫の日記】 女房も健闘、ガシラ33匹の大漁

  今日は女房からのお誘いで、ボートを出すことにした。どうやら、ガシラ釣りの魅力にはまったらしい。「ゴン、ゴン」という当たりは小気味いいし、ボートから釣れるガシラは20センチを超えるような大物もいて、よく引く。しかも、食べておいしい。

 朝寝坊の女房が珍しく早くから起き出し、気合が入っている。山桜の花びらが舞う山道を下り、由良湾をめざした。実は前夜、ゴムボートの指導をしてもらっている「亀丸さん」からメールが入り、私たちと同じ漁港からボートを出すというのだ。彼は私よりかなり若いが、ボート歴17年の大ベテランで、礼儀正しい海の紳士だ。

 港に着くと、亀丸さんはすでにボートに空気を入れ終わり、ほぼ出港の準備が整っていた。この時期は一発勝負に近いアオリイカを狙ってみるという。黄色い旗を翻し、出港して行った。「釣ってよ~」と手を振り、幸運を祈った。

 私たちも急いで準備し、いつもの岩礁地帯をめざす。思いのほか風が強く、港を出ると波が高い。早速竿を出すと、私にまず1匹目。続いて2匹、3匹、4匹目。やっと女房にも釣れたが、クーラーに入れるにはかわいそうなほどのチビだ。

 波の静かな場所に移動したが、まったく魚信がない。何か所か移動する度に、舳先に座る女房が重いアンカーを引き揚げなければならない。波をかぶってびしょ濡れになっている。

 一段と風が強まり、いったん港に帰ることにした。他のボートも次々と帰ってきた。遠くまで行っていた亀丸さんも「波にもまれて竿を出す暇がなかった」とうんざりした表情だ。弁当を食べたり、談笑したりして波が治まるのを待った。

 ようやく風が弱くなったので、ボートを出した。亀丸さんはすでに戦意消失で、帰る準備を始めた。漁師に教えてもらったとっておきの穴場にアンカーを下ろした。

 私には釣れるが、女房には釣れない。それはなぜか。一言でいえば「誘い」である。魚は動く餌に反応し、食いつくので「誘い」が重要な技術なのだ。

 人の世も同じだろう。男が女を誘い、女が男に色目を使う。幸せになったり、悲劇が起きたり。それもこれも「誘い」のなせる業なのだ。「お前が幸せになったのは俺の誘いに乗ったからだ」と言ってみたが、女房は無言・・・。まあ、それには異論があろう。

 ともかく、その「誘い」のテクニックを伝授した。要領が分かったのか、女房に次々と釣れるようになった。しばらくして、そーっと引いた竿先が「ブルブル」と引き込まれ、魚が乗ってきた。竿が大きくしなり、上がってきたガシラはこの日最大の24センチの大物だった。

 女房はすっかり気を良くして11匹を釣った。私は22匹で、二人合わせて計33匹の大漁だ。

 釣っている最中、亀丸さんから携帯に電話がかかってきた。「釣れてますか?」「ちょっと待って。今また掛った」という釣れ具合で、これから帰るという亀丸さんは後ろ髪を引かれる思いだっただろう。また一緒にね~~!

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【夫の日記】 ベーコンを作った

  暖かくなってきたので、屋外でする燻製をやってみたくなかった。1週間ほど前、買い物に行ったスーパーに豚のバラ肉が安く売られていた。ベーコンを作るなら幅の広い肉がいいけれど、その3分の1くらいしかなかった。でも、出来あがったベーコンの味に変わりはないだろう。

 以前から、色んな食材をスモークしているが、正直言って出来栄えは玉石混交である。漬け込み液の味加減や燻製時の温度管理が難しい。

 そこで4、5年前、三重県の伊賀地方にある「もくもくファーム」で行われた1泊2日の「燻製教室」に夫婦で参加した。豚の解体から始まり、ベーコン、ウインナーソーセージの作り方などを教えてもらった。先生は、ヨーロッパの権威ある大会で金賞を受賞したほどの人で、民放テレビにも何回か出演されている。

 ベーコン作りで感じたのは、思ったよりシンプルだったことだ。私の手元にあるノウハウ本は筆者が凝り性なのか、様々なスパイスを調合してバラ肉に擦り込んでいる。この方法で何度も試してみたが、ベーコンの味はいま一つだった。

 「もくもく」の方法は塩、砂糖、黒コショウを基本にした単純なものだ。後日自分たちが作ったベーコンが燻されて送られてきたが、実においしかった。もちろん、燻製のやり方などに独特なノウハウがあるのだろうが・・・。

 さて、冷蔵庫で1週間寝かせておいたバラ肉を取り出し、3時間かけて流水で塩抜きした。さらに、杉林の日陰にぶら下げて乾燥させる。

 続いて燻製器を50度ほどに温めて2時間ほど温乾したあと、いよいよスモークの開始だ。桜のチップが底をついていたのでブナのチップを使った。70度の温度で燻すこと3時間。おいしそうな色合いになっている。

 見学に来ていた山の仲間のドイツ人Pが興味津津の眼差しで燻製器を覗きこむ。「ちょっと食べさせてよ」とせがむので、肉片を味見させた。Pは「これ本当のドイツの味よ」とお世辞を言っている。少し塩っ辛いが、一晩冷蔵庫で寝かせれば、味が落ち着くだろう。

 翌朝、ベーコンでハムエッグを作った。香りが高く、味にも深みがあり、市販のベーコンとは明らかに違う。これまでで一番の出来だ。お世話になっている仲間たちにおすそ分けしよう。

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【夫の日記】 やっと山菜の季節

  標高800メートルの高原にも、やっと山菜の季節がやって来た。前日、大雨が降ったので、今日あたりはワラビが出ているかもしれない。

 朝ごはんを食べると、女房とともに山道を下り、日当たりのいい池の周辺に出かけた。ここ生石高原には京阪神から大挙して山菜採りのおじさん、おばさんが押しかけるが、この場所はわかりにくいので穴場とも言えるのだ。

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 ワラビ採りは目が慣れないと、なかなか見つけられない。池の縁をうろうろする私に、女房が「足元にいっぱいあるやないの!」と甲高い声を上げている。なるほど、ある、ある。せいぜい20センチほどしか伸びていないが、柔らかくておいしそうだ。料亭の料理にちょこんと添えられているサイズも多い。

 夢中になって採った。「また出てくるから、食べるだけでいいよね」と言っておきながら、女房の目の色は変わっている。「もいい加減にせい!」という私も未練がましく探し回る。

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 30分ほどで切り上げ、次はスカンポ(イタドリ)採りだ。これ、ゴマ油で炒めて食べると実にうまいし、お酒の肴に打ってつけ。皮をむいて塩をふり、しばらく置いておく。これを冷凍しておけば、年中食べられる。

 スカンポはもう立派に成長していた。地面から3節目くらいを折ると、「ポン」という小気味いい音がする。ただ、余り採り過ぎると、皮むきに根を上げてしまう。これから何回もスカンポ採りに通うので、今日は50本ほどにしておいた。

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 近くの雑木林に、コシアブラの芽が出始めていた。細い幹の頂上にかわいらしい緑の若芽が付いている。30個くらい採った。これは天ぷらにすると、おいしい。ほろ苦さがやや強いが、まさに春の味である。

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 帰る途中、女房の携帯が鳴った。山の中腹に暮らす知り合いからで、朝掘りのタケノコがあるので持って来てくれるそうだ。その彼女、間もなく車でやって来た。「ちょっと小さいけどなあ」と取り出したタケノコはお化けのような大きさだ。

 彼女も冗談がきつい。根元の直径は25センチはあろう。初めて見る巨大さである。二人がかりで根元を切り取り、皮をむいたが、存外に柔らかそうだった。

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 夜はこれらの山からの贈り物を賞味しよう。ワラビは卵とじ、コシアブラは天ぷらに。タケノコは煮付けて鰹節をまぶす。女房は「こんなのばかり食べると、ニキビが噴き出るわ」と、娘のようなこと言っている。アホ・・・。

【妻の日記】 畑にも春が・・・・・

私たち夫婦が暮らす生石高原では連日ポカポカ陽気が続いています。山小屋の山桜も蕾がふくらみようやくチラホラ花をつけ出しました。随分と遅い春の訪れでしょう?
 
 生石高原の南斜面にある私の野菜畑は、今、桜が咲き、春爛漫です。

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 植える時期が遅くって巻かなかった白菜は、たくさんの菜の花を付けています。
 これが・・・なんと美味!!
 畑を貸して下さってるIさんが「白菜の菜の花は、うまいんよ」と言っておられたが、納得!!
 ゆがいてかつおぶしを振りかけるだけで美味しいんです。

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 厳しい冬を越したエンドウも元気です。。田舎で育った私は、豆ごはん、卵とじ・・・エンドウ豆をいっぱい食べて大きくなったのに、近頃お店に並ぶエンドウう豆は値段が高くって・・・。そんな訳で2畝も作ってしまい、畑の仲間に「売るんか?」と笑われてます。今年はお腹いっぱい食べれそうです。収穫が楽しみだわぁ~。

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 ブロッコリーもわき芽がたくさん。

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 ホウレン草、春大根も芽が出て・・・ホッ!!

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 冬に集めた落ち葉は、こんなに・・・。
 
 落ち葉で堆肥づくりが流行りとかで、美人湯で有名な龍神村では、冬に道端などから落ち葉がなくなってしまうそうです。

 主人と交替で天地返しをしましたが、中に投入した馬糞がくさくって閉口。
 こんなに頑張ったんだから良い堆肥ができるでしょう。

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【夫の日記】 ボートもガシラも楽しい

  穏やかな紀伊水道を見ながら、女房とともに軽トラを走らせた。荷台には買ったばかりのゴムボートが乗せてある。今日で3回目の練習航海だ。

 実は前夜、気の合った山暮らしの仲間たちと鍋を囲んだ際、先日私が釣ったガシラに話題が及んだ。ドイツ人Pは「死んだ女房がよくガシラの味噌汁を作ってくれた。おいしいよ」と話した。まさかPがガシラを食べるとは意外だった。酔いも手伝って、「それじゃあ、ガシラの鍋をやろう」と請け合ってしまったのだ。

 だから今日は是が非でも釣らねばならない。母港ともいえる小杭漁港を出港したのは9時過ぎだった。波静かな海を滑るように走り、岩礁が連なるポイントに着いた。

 冷凍しておいたアジの切り身を付けて仕掛けを下ろすが釣れない。ガシラは貪欲な魚で、目の前に餌が落ちて来ると見境なく食いつくはずなのに・・・。5か所ほど場所を変えたが、また元の場所に戻ってきた。

 すると、いきなり女房の竿が曲がった。「重いわ、重いわ」と言いながら必死でリールを巻く。上がってきたのは20センチを超える立派なガシラだ。そしてまた女房が釣りあげた。次も、その次も。なぜか私にはまったく釣れない。

 「どうしたの。腕が落ちたんじゃないの?」と、女房はでかい口をたたく。「あのなあ、船頭は客に釣らせてなんぼや」と苦しい言い訳だが、少し頬が引きつった。昼前、私にやっと1匹釣れたので、いったん港に帰った。午前中の釣果は女房6匹に対し、私が1匹で、情けないほどの大差がついた。

 ボートに揺られながら弁当を食べ、さあ釣りの再開だ。ガシラ鍋の約束もあるし、生意気な女房の鼻っ柱をへし折らなければならない。

 案の定、腕の差が出てきた。私の竿に良型が連発だ。女房はすっかり大人しくなった。「へ、へへ、また釣れた」。「フン」と横を向いたままの女房には焦りの表情がありあり。根掛かりした仕掛けを外そうと渾身の力を込めて竿をあおっている。「バシッ!」。大きな音がして、竿が真っ二つ。ああ、買ったばかりの竿なのに・・・。

 結局、午後の部は私が9匹、女房はゼロ。釣りとはこういうものだ。隣の人がバンバン釣るのに、自分には皆目ということがよくある。そして、焦れば焦るほど釣れない。負の連鎖なのだ。

 ま、女房にも釣れたし、二人合わせて15匹だから鍋をするには十分な量だ。童心に帰ったような楽しいボート遊びの一日だった。

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【夫の日記】 春本番、ゴムボートは気持ちいいなあ

  ここ紀伊山地にも、やっと春が来た。木々の芽ぶきはしばらく先で、山桜の蕾もまだ固いが、日中はセーターがいらないくらいの暖かさだ。

 紀伊水道の海も穏やかそうなので、買ったばかりのゴムボートを出すことにした。まだ2回目だから不安はあるが、うきうきする気分がそれを吹き飛ばしてくれる。

 女房を誘ったが、草木染めが忙しいと断られた。どうやら本心は、私の操船が危ういので、怖いらしい。まあ、一人でボートに揺られながらのんびりするのもいいだろう。

 そろそろアオリイカが接岸し、藻場に産卵する季節だ。味は落ちるが、キロ級の大きなイカが姿を見せる。まだ水温が低く、釣れる釣れないは運次第である。もちろんボートからイカを狙うのは初めてで、本格シーズンに備えて試してみようと思う。

 8時半ごろ、ホームグラウンドの由良湾小杭漁港に着くと、波止にはアオリイカ狙いの5人が陣取っていた。まったく当たりがないという。顔見知りがボートを見に来て、「ほ、ほー、これなら釣れるかもしれんなあ」とうれしいことを言ってくれる。

 ボートに空気を入れたり、エンジンをセットしたりと出港の準備に45分かかった。懇意にしている漁師から生きたアジを買い、いざ出港。「何かあったら電話してよ。すぐ迎えに行くから」と呼びかける漁師に見送られ、教えてもらったポイントに向かった。

 そこは岩場が連続し、いかにも釣れそうな場所だ。魚探で見ると深さは10メートル前後。さっそくアンカーを放り込み、竿を出した。ボートが揺れるので、竿先の変化を読み取ることは出来ない。イカが乗ればリールから糸が出るので、これを待つしかない。時々、竿で聞いてみることも怠ってはいけないだろう。

 予想通りというか、当りはない。2時間、3時間が過ぎていく。山には山桜が咲いている。木々の新芽が日差しを浴びて輝いている。前夜、自分で作った弁当を広げた。釣れないけれど、何と気持ちいいのだろう。ささやかな幸福を感じる。

 そうだ、岩場だからガシラでも釣ってみよう。さっそく胴付き2本針の仕掛けを作った。餌はイカ釣りに使っているアジの切り身だ。10メートルほど先の磯際に投げ、少しずつ引いて来るとグッ、グッと当たり、合わせると結構引くではないか。20センチほどの大きなガシラがぶら下がっている。

 退屈しない程度にガシラが釣れ、針がなくなったので1時間ほどでやめたが、それでも大小8匹がクーラーに納まった。

 釣れないイカを諦め、魚探の勉強をするためあちこちを走り回った。岩場の変化のあるような場所では画面にフィッシュマークが次々と出てくる。魚種まで分からないが、わくわくする。ただ、そのような場所にボートを止めるのは難しそうだ。

 初心者らしく早目に港に帰った。波止の釣り人が釣れたかどうかを聞いている。苦笑いしながら頭をさすった。「ボウズ」の合図である。

 夜はガシラの唐揚げを堪能した。残りは味噌汁に。女房の好物でもある。「な、釣れるやろ。下手でも釣れるから、次は一緒に行こう」と、ほろ酔いでしつこく口説くのであった。

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【夫の日記】 ヘソクリはたいてマイボート進水

  ゴムボートが欲しい!子供が駄々をこねるように女房の足元にまとわりついたりしたが、蹴散らされるだけだった。「夫婦だけで海に浮かぶのや。ロマンチックやで~」の殺し文句も決め手にはならなかった。要するに女房の説得は失敗した。

 しかし、これで諦めるほどヤワな性格ではない。もうこうなったら、自分のなけなしのヘソクリを放出するしかない。このお金は、若いおねえちゃんに小遣いをあげようととっておいたものだ。ま、その可能性も薄くなってきたので、手を付けることにした。

 大阪・堺市のボート専門店「L・B」に車を走らせ、買い求めた。先日の試乗会で乗せてもらった同じ型だ。全長約3メートルのアキレス製、船外機は2馬力のマーキュリー製、これに魚群探知機、運搬用のローリーなど必要なものをそろえた。船名は初孫の名前「コウタ丸」にしよう。

 とにかくボートに慣れることだ。釣りは二の次である。まずは進水式をおごそかに執り行わなければならない。木曜日はイタチの最後っ屁のように雪が降ったが、翌日の金曜日は晴れの予報。風が強く、「L・B」の社長に「やめた方がいいなあ」と言われたが、決行することにした。

 進水式は浜辺にスロープがあってボートを出しやすい由良湾の小杭漁港だ。9時ごろ着くと、知り合いの漁師がいた。漁師は「いいボートやね。何かトラブルがあったら行ってやるから電話すればいいよ」と言ってくれ、それこそ大船に乗った気分だ。

 女房とボートを広げ、軽トラから電源を引いて電動ポンプで空気を入れる。8割ほど入ったところで、今度はフットポンプでカンカンになるまで注入。魚群探知機の超音波を出す器具を船腹にテープでしっかり取り付けた。エンジンをセットし、荷物も積んだ。

 まず、これが失敗だった。重くてスロープを転がせない。漁師に手伝ってもらって無事浸水したが、次からはスロープの水際でエンジンをセットし、荷物を積もう。

 オールを使って岸から離れた。女房の膝で愛犬のピー助がキョトンとしている。一発でエンジンがかかった。超低速で波の静かな港内をぐるぐる走った。魚探を作動させると、水深や海底の様子が映し出される。何も問題はない。

 次は港の外に出てみよう。ピー助を車に置いて夫婦で500メートルほど東の磯に向かった。向かい風が吹いている。磯に近寄ると危ないので、離れた場所でボートを止めた。

 アンカーを入れるのは、舳先にいる女房の役割だ。船長の私が「今入れよ!」と命令するが、女房は「重くてすぐ入れられへん」と文句を言う。ボートを走らせ、もう一度やり直し。やっとアンカーを沈めたが、女房は「ロープをどこにくくるの?」とたずねるが、私も知らない。「そこらへんにしばっとけ」。いい加減なものだ。

 ガシラ狙いで竿を出してみたが、ピクリともしない。「ボートやったら釣れる言うたやないの!」とふてくされる女房だが、最初からポイントなど分かるはずがない。「今日は練習、練習。次から釣れる」と空手形を出しておいた。

 次第に風が強くなってきたので、早目に帰航した。安全第一だ。この年になると、それくらいの分別はある。いったん上陸して再びボートを出し、港内で昼ごはんを食べることにした。風も波もほとんどなく、ポカポカ陽気が気持ちいい。

 今日は進水式と運転の練習だから、早目に切り上げた。離岸、接岸もスムーズにやれたし、運転も色々やってみた。魚探の見方、アンカーを入れるタイミングは難しかったが、慣れれば何とかなるだろう。畳んだ4人乗りボートは重く、これには閉口した。

 じっくりと魚釣りは出来なかったが、ボートはなかなか面白い。どこにでも行けるから、釣りの世界も広がるだろう。ヘソクリをはたいたが、後悔はしていない。

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