大型アオリイカ3杯・・・由良湾の釣り2日目

 由良湾で、前日に続いてのボート釣りだ。狙いは、産卵のため春から初夏にかけて接岸する大型のアオリイカである。生きたアジを自由に泳がせ、これに食いつかせるのだ。食い付いたら「ヤエン」という針を海中に送り込み、引っ掛ける独特の釣法である。

 漁港には午前6時ごろ到着した。ボートは知り合いの漁船に繋いでおいたので、面倒な準備はしなくてもよい。アジを活かしているバケツを積み込み、早速出港した。目指すポイントは、岩礁に近い深さ7、8mの藻場である。前日は大きなうねりに翻弄され、ひどい目に遭ったが、この日は波が穏やかだった。

 アオリイカを釣るのは、今年初めてである。あの強烈な引きを思うと、胸がはち切れそうになる。少し震える手でアジのゼイゴに針を刺し、20mほど前方に投げた。アジの銀色の腹が朝日を浴びてキラキラ光っていた。

 春のイカは、秋に比べるとそう簡単には釣れない。しかし、釣れれば1キロ以上、運が良ければ3キロも夢ではない。投入したばかりの竿先を見つめていると、不意に一昨年春の成功体験が蘇る。3キロが2杯、2・5キロが2杯という夢のような釣果だった。

 そんなことを思い出しながら、1時間ほどが経った。ボートの真横に投入していた仕掛けが少しおかしい。ピンと張っていた糸が心なしか緩んだのだ。普通、イカがアジに食いつくと、その場から遠ざかる性質があり、リールから糸が出て行く。しかし、糸が緩むのもその場から移動したシグナルで、稀にアジを抱きかかえているケースもある。

 そのまま1分ほど様子を見た後、竿先を少し上げてアジに食いついているかどうか聞いてみた。すると、イカはアジを抱いたまま猛然と逃げた。フリーにしているリールから、ジーッという音を立てながら糸を引き出して行く。指を糸に添えれば、摩擦熱で火傷するほどだ。走り出したイカはなかなか止まってくれない。

 リールをフリーにしたまま、さらに2分ほど待った。イカがアジを食べるのに夢中になるのを待つのだ。そうすれば少々引っ張ってもアジを離さなくなる。春のイカ釣りは、イカとの戦いというより、海底から数メートルも背丈を伸ばしている藻との戦いなのだ。うまく藻をかわしてイカを引き寄せることが出来ればいいが、そうは問屋は卸さない。

 ともかく、イカを藻の上に引き出さなければならない。強く引っ張ればアジを離してしまう。寄せては糸を出し、出しては寄せるの繰り返しである。根気よく、焦らずに寄せるのがこの釣りのコツである。イカにしてみれば、ご馳走にありついたのだから、取られまいと必死に抵抗するのも当然だろう。

 やり取りをしてどれくらいの時間が経ったのだろうか。イカはもうそろそろ藻の上に出たはずだ。ここで掛け針のヤエンを投入するのだが、早過ぎるとヤエンが藻に絡まって万事休すである。幸い藻をかわし、ヤエンはイカの所まで到達したようだ。軽く竿をあおって合わせを入れた。

 ヤエンはうまく掛かったようだ。イカは猛然と抵抗し、竿先が海中に突き刺さった。魚は尾びれを振って抵抗するが、イカは排気口のようなパイプから海水を噴出し、逃げるのだ。そのパワーは半端じゃない。竿は満月のように曲がり、糸が切れる心配もある。

 私の腕は棒のようになった。イカも疲れたのか、少し浮いてきた。海中に大きな黄色の魚影が見えた。しかし、最後の抵抗は強烈で、しつこい。網ですくおうとするが、枠からはみ出て入りきらないのだ。何回もやり直し、やっとボートの中に引きずり上げた。2・4キロの大物だった。

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 それから半時間後、リールから激しく糸が引き出された。イカがアジに抱きついたのだ。イカは沖に向かって走り続け、10mほど走ったところでやっと止まった。「もう走るなよ」と独り言をつぶやきながら、そのまま3分待った。さぁ、戦闘開始である。途中経過は面白くもないので省略・・・。

 やっと浮いてきたイカは、これも2キロ以上はありそうだ。玉網ですくおうとしたところ、網の枠がポキッと折れて、イカがはみ出した。あわてて網の枠にしがみつき、何とかイカを網の底に落とし込んだ。腐食していた金属製の枠がイカの重さに耐えられなかったのだ。

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 そして三度目のチャンス。大物の感触だったが、投入したヤエンが藻に引っ掛かり、糸が切れてイカもヤエンも取り込むことが出来なかった。そして4度目はこれまでよりも小さかったが、それでも1・7キロあった。

 ちょっと嫌味な言い方だが、このイカをクーラーに入れると満杯になり、これ以上釣っても入り切らない。実は家を出る時、クーラーを大型にするか、中型にするか迷った。結局、1杯釣れればいいと思い、中型クーラーを持って来た。大型を3杯も釣ればもう言うことはない。午前9時半ごろ、早々と帰港した。

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匹数より重量だ・・・ガシラ釣り

 ここ和歌山の天気予報は、一週間にわたってオレンジ色の晴れマークが並んでいる。4月に入っても天候不順が続いていただけに、うれしい好天だ。この機会を逃す手はない。さっそくボート釣りに行くことにした。

 われら夫婦で釣行する時はガシラを狙うことが多いが、今回は私がイサギ、女房がカワハギを狙うことにした。カワハギ専門の釣りをしたことがないので、本を読んで勉強した。奥の深い釣りなので、女房に絶対釣れるとは言えなかった。

 由良湾に向かう途中の車中で、私は女房に「これは新しい挑戦だ。釣れないからといって、ふて腐れてはいけない。我慢して釣り続ければ、幸運は向こうからやって来る」と釘を刺しておいた。餌店でイサギの撒き餌用のアミエビ、カワハギ釣りのアサリを買った。仕掛けも餌も万全である。

 予報通り、晴天だ。峠に建てられている風力発電のプロペラはゆっくり回り、風は弱そうである。由良湾も凪いでいた。手早く出航の準備をし、船外機のエンジンも一発で始動した。何もかもうまくいっている。

 ポイントの島の裏側を目指した。島に近付くと、うねりがあった。これは予想外である。島を回り込むと、一層うねりが高くなった。それほど風も吹いていないのに、どうしてだろう。ボートが上下する。女房は頭が痛いと言い、どうやら船酔いしたらしい。

 ステンレスの鎖を付けたアンカーを投入したが、なかなか岩礁に引っ掛からない。何回もやり直し、やっと思うようなポイントにボートを止めた。まずはイサギ釣りの準備だ。全長3m余りのハリスに3本のエダ針が付いた仕掛けを竿に取り付けるのだが、ボートが上下し、なかなかうまくいかない。

 もたもたしていると、仕掛けが絡んだ。これをほどいていると、気持が悪くなった。ゲボッ・・・。何回も吐いてしまった。これきしで諦める訳にはいかない。40号の錘付きの撒き餌器を投入した。当たりはない。それは当然で、オキアミの餌を付け忘れていたのだ。また、ゲボッ・・・。

 女房も吐くのをこらえている。何年も船酔いをしたことがない私も限界に近付いてきた。しかも冷たい北風が吹き始め、寒くて仕方ない。もはやこれまで、帰ることにした。湾内に入ると、嘘のように凪いでいる。気分も良くなった。

 実は、こういうこともあろうかと、ガシラの餌となる鯖の切り身を持って来ていた。釣行の時、次善の策を考えておくのがベテラン釣り師である。悪く言えば往生際が悪いとも言える。

 最初のポイントで半時間ほど粘ったが、まったく当たりがなかった。次のポイントに移動し、その第一投に激しい当たりが出た。素早く合わせると、根掛かりしたみたいで動かない。直後、グイッ、グイッと締め込んだ。

 ゆっくりリールを巻き上げる。海中を見下ろすと、大きなガシラが反転して抵抗している。網ですくったガシラは30cmはある。ガシラ釣りでいつも女房に負け続けている私は、この大物を女房の鼻先にぶら下げてやった。どや・・・。

 その直後、また大きな当たりだ。これより少し小さいが、それでも大物の部類に入るガシラが釣れた。女房にも釣れ始めたものの、私のと比べると気の毒なほど小さい。寒いので10時ごろ釣りをやめたが、釣果は私の4匹に対し、女房は5匹だった。重量は女房の2倍はあるだろう。

 釣りの競技は、匹数、重量、1匹長寸で競う場合が多い。女房にいつも負けているから言うのではないが、やはり釣りの真価は総重量である。小さい魚を何匹釣っても糞にもならないのだ・・・。

      ※ 漁港にボートを係留し、翌日は私一人で釣りをした。その報告は次回に。

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今年初めてのボート釣り・・・ガシラ17匹

 生石高原の森で、山小屋の暮らしを再開させたのが今月12日だ。すぐにでも釣りに行きたかったが、4月に入っても天候が安定しない。イライラしながら天気予報をチェックしていると、先週末になってやっと絶好の日和がやってきた。

 早速、朝焼けを見ながら由良湾に向かった。もちろん今年初めての釣りだ。女房同行なので、初心者でも釣れるガシラが狙いだ。ボート釣りにとって絶好の日和とは、波の高さが1m以下のことである。加えて晴天であれば申し分ない。この日は、そんな好天に恵まれた。

 思えば、昨年の4月は散々だった。私は薪割りをしていて指に怪我をしてしまった。同じころ、女房は四十肩(えっ?)で右肩が上がらなくなった。夫婦で病院通いである。だから去年の初釣りは5月中旬になってからだった。

 それだけに、今年の初釣りは気合いが入る。港から15分ほどのポイントに着いた。風がほとんどないのでアンカーを入れる必要がなく、ボートは同じ場所に留まっている。少し波立った方が魚の食い気はいいのだが、それは欲というもの。人間の欲望には際限がない。

 釣りの準備をしていると、潜水艦がやって来た。神戸の造船所で建造された潜水艦は、ここ由良湾から外洋に出てテスト航行を繰り返すらしい。日本の潜水艦は世界最高の性能で、秘密の塊だという。どこかの国のスパイが双眼鏡を覗いているかもしれない。スピードは驚くほど速く、ガシラが逃げてしまうのではないか、心配である。

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 午前7時過ぎ、鯖の切り身を付けて第一投。しかし、まったく当たりがない。半時間ほど経つと少し潮が動き出し、竿先がクイッと引き込まれた。すかさず合わせると、結構な引きである。海中に赤い魚影が見えた。20cmほどの中型のガシラである。

 続いてまた2匹目が釣れた。女房は「私に何で釣れへんの?」とぼやいている。不機嫌な時はボソボソと独り言をつぶやく癖がある。この調子だと、今日は私の圧勝になりそうだ。恥をさらすようだが、昨年は女房に10連敗くらいした。言いたいことは色々あるが、男らしくないので言わない。

 しばらくすると、女房の竿が曲がり出した。抜きつ抜かれつのデッドヒートが続いたが、そのうち女房は一気に差を広げた。ぼやきが消え、声に張りと艶が出てきた。結局、女房10匹に対し、私は7匹。今年もまた私の敗北である。

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 ガシラは素人の釣りと書いたが、これだけ連敗すると何か深刻な理由があるはずだ。自慢じゃないけれど、釣り歴40年、仲間からは名人、師匠と崇められてきた。テレビ放映の釣り大会で優勝したこともある。だから内に秘めたプライドもあり、女房には高飛車で指導してきた。

 しかし最近、女房の視線に私をさげすむようなものを感じるのだ。被害妄想かもしれないが、どうも卑屈なってしまう。加齢によって反射神経が鈍っているのだろうか。いや、名人、師匠と呼ばれたのは単にお世辞で、それに気付かなかった私がおめでたい人間だったのかもしれない。早い話、下手糞なのだ。今回、それが分かった。

 港に帰ると、馴染みの漁師がヒジキの天日干しをしていた。干潮の時を狙って磯に生えているヒジキを刈り取り、岸壁のコンクリで乾燥させる。中国産が幅をきかせる昨今だが、やはり国産は安全でおいしいと女房が言う。その分高価である。漁師はバケツ山盛りのワカメをくれた。採れたての国産である。

 帰りの車では、女房ご機嫌さんである。私は女房の話に相槌を打っていたが、少し顔が引きつっていたかもしれない・・・。

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ワラビ、山ウドの初物を食べる

 ここ生石高原で一番高い生石ケ峰は、標高876mだ。天気が良ければ、週に2、3回ここへ登る。高原からだと標高差80mを登るだけだから、わが家からは往復1時間の軽いハイキングである。この日は朝から久し振りに晴れたので、頂上へ向かった。

 ススキの草原はすでに山焼きが行われ、山全体が黒ずんでいる。地元の役場は、風が強いとか、雨が降るなどと理由を付け、山焼きを中止することもあったが、今年はちゃんと実施したようだ。生石高原は関西を代表する草原で、害虫を駆除し、芽吹きを促す山焼きは、草原を守るためにも毎年確実に実施してもらいたい。

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 焼かれた草原では、やっとススキの若葉が出てきたばかりだ。イタドリも太くて立派なものも出始めている。となれば、ワラビが気になる。中腹の日当たりの良い斜面に足を向ると、背丈10数センチのワラビがたくさん出ていた。地中から頭をもたげた予備軍は無数にある。まだ早いと思っていただけに、不意打ちを喰らった感じだ。

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 その日はワラビを入れるレジ袋を持っていなかったので、翌日の早朝、同じ場所に行った。誰も人が入っていないらしく、一歩足を運べば2、3本は採れる。知人に差し上げる分も含め、1時間ほどでレジ袋が半分ほどになった。

 その帰り、スケベ心が出て、山ウドの状態を見に行った。芽はほとんど見当たらなかったが、土を掘ったような跡があった。この場所には、山ウド採りを商売にしているような人が毎年出没するので、ひょっとしたらその業者が入ったのかもしれない。

 いったん帰宅して女房を呼び、続いて山ウド採りに出かけた。女房は山ウドの芽を見つける名人である。二手に分かれて高原の斜面に張り付いてしばらくすると、女房が真っ白の山ウドを2本掲げて見せた。その後、私もぼちぼち採ることができ、二人で20本ほどになった。これで晩のおかずには充分だ。

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 ワラビは玉子とじにして食べた。柔らかく、ほど良いねばりがある。山ウドは、白い根の部分を酢味噌で、茎は天麩羅にして食べた。独特の香りは筆舌に尽くし難い。山奥生まれの私にとって、ワラビも山ウドも小さい頃から記憶している豊饒な味である。

 そのどちらも、今年の初物である。池波正太郎の小説には、初物を重宝する記述がよく出てくる。現代は季節外れの食べ物を喜ぶ風潮があり、何だか悲しい。四季とともに暮らす日本人にとって、初物は生活の暦であり、風流でもある。

 「初物七十五日」という言葉もある。初物を食べれば七十五日生き延びるという。私なんざぁ、さぞ、長生きするだろう・・・。

山小屋暮らし再開、胸弾む・・・

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 ツツピー、ツツピー、ツツピー・・・。シジュウガラがせわしく鳴いている。ウグイスも美声を響かせている。早朝に目覚めて野鳥の鳴き声が聞こえてくると、生石高原での山小屋暮らしが始まったことを実感し、うれしくなる。窓を開けると、紀淡海峡に雲海が広がっていた。

 昨年12月中旬、いったん山小屋を引き払い、大津の自宅に帰って4か月。その間、実に退屈な日々だった。そして今日、山小屋で今シーズン最初の朝を迎えた。山の暮らしは忙しい。釣りに行きたいし、山菜もたくさん採ろうと思う。女房の畑を手伝い、山の斜面に新たに階段を作らなければならない。毎日が忙しいのは幸せだ。

 私は女房に「山小屋へ帰ろう」と言う。しかし女房は「帰るんじゃなくて、行く」でしょうと反発する。「帰る」も「行く」もどちらでもいいが、私にとって山小屋は帰る場所なのだ。ここでの生活は7年目に入るが、女房はまだ仮住まいの気持が強い。

 生石へ帰る前日、琵琶湖岸を歩いた。湖面を埋めていたカモたちの姿は、めっきり減っていた。すでに大半が北へ帰ってしまったのだろう。カモは盛んに潜って水草をついばみ、長い旅に備えて栄養を蓄えているのだろう。カモやハクチョウが北へ帰る頃、私たちは紀伊山地へ帰る。渡り鳥のような行動パターンなのだ。

 春が遅い生石高原だが、木々は米粒ほどの若芽が出ていた。山ザクラも満開だ。敷地の山ウドの枯れた根元を見ると、地中から5センチほどの芽が出ていた。いよいよ山ウドのシーズンかと思ったが、日当たりのいいここだけの現象のようだ。タラの芽はみずみずしい芽が頭をもたげ、コシアブラもあと1週間ほどで食べられそうだ。

 冬の間、山小屋に大きな異変はなかった。薪が1か所だけ崩落していた。風の強いここでは毎度のことである。仲間に聞くと、今年の冬は過ごしやすかったと言い、わが家の水道管も破裂することはなかった。敷地ではスイセンがきれいな花を咲かせ、われらの復帰を歓迎してくれているようだった。山小屋暮らしに胸が時めく・・・。

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        ↑ ウドの芽が出てきた。他の場所では気配なし。

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         ↑ コシアブラも芽吹く。

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         ↑ タラの芽は1週間ほどで食べられそう。

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         ↑ 朝一番、カケすが飛んで来て、ヤマガラの餌を横取りした。
 
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         ↑ 薪が倒れた。積み直すのがめんどうだ。

バッグを忘れた男は怪しい・・・

 原木栽培している椎茸を収穫するため、生石高原の山小屋に向かって車を走らせた。1週間前、様子を見に行ったばかりだが、その時は小さ過ぎたので採らずに帰ってきた。その後、暖かい日が続いたので、そろそろ食べごろのはずだ。

 大津の自宅から茶所の宇治田原を通り、奈良市に入った。正午を回っていたので、どこかで昼食をとることにした。女房はうどんが食べたいと言い、いつも行く丸亀製麺に入った。天麩羅をトッピングすれば結構おいしいし、安上がりである。

 早食いの女房は先に席を立ち、私は少し遅れて車に戻った。駐車場で愛犬ぴーを走らせた後、京奈和道路を走り、和歌山に入った。桜と桃が同時に咲き乱れ、木々も芽吹いている。

 急坂を上って生石高原にさしかかった時、運転席左手のコンソールボックスを手探りした。いつもその場所にショルダーバッグを置いているのだが、ない・・・。車を路肩に止めて探したが、やはりない。丸亀製麺の椅子の背もたれの所に置いたのは覚えているが、どうやら忘れて来たらしい。

 女房が店のレシートを持っていたので、そこにある電話番号に電話した。すると、預かっていますとのことで、ホッとした。ここから店までは2時間ほどかかるので、引き返すのも面倒だ。どっちみち、2、3日したら大津に帰るので、店に立ち寄ればいい。丁重にお礼を言って電話を切った。

 私は日ごろから、女房の物忘れを非難してきただけに、女房はここぞとばかり激しく切り返してきた。「ほれ見てごらん。誰だって物忘れするのよ」と言い、笠にかかって「バッグに何が入っていたの?財布はどうしたの?」と責め立てる。

 財布はズボンのポケットに入れてあり、大したものは入っていないはずだ。1週間もすれば生石高原で山小屋暮らしを再開させるので、大津に持ち帰っていた物をバックに詰め込み家を出たが、カメラ以外に何を入れたかは覚えていない。それにしても、こんな物忘れをするようでは先が思いやられる。

 山小屋に着くと、すぐ裏手の杉林に行ってみた。すると、原木の椎茸は傘を広げたようになっていた。雨が降ったので急に大きくなったのだろう。直径10センチ以上のお化けのようなものもあったが、椎茸の裏側はどれも真っ白で、十分食べられそうだ。知人に送ったり、近所に配ったりしたが、それでもたくさん余り、女房はスライスして大量の干し椎茸を作った。

 翌々日、大津へ帰る途中、奈良の丸亀製麺でショルダーバッグを受け取った。車の中で一応中身を調べた。一つずつ取り出していくと、女房が吹き出した。私も腹を抱えて笑ってしまった。中身は写真の通りである。

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 電動ドリルのセット、黒い手袋、万能ナイフ、登山用のヘッドランプ、カメラ、巻き尺、老眼鏡、小銭入れ、沖縄の黒糖。丸亀製麺の人は一応業務として中身を確かめたはずだが、これらの品々に不審を持ったに違いない。ヘッドランプにドリル、ナイフ、手袋とくれば、これはもう泥棒の七つ道具である。

 今回は笑い話で済むが、私の近頃の物忘れは非常に危機的である。女房の物忘れを非難している場合でない・・・。

大河ドラマ「花燃ゆ」はつまらないなぁ・・・

 大津と京都を結ぶ琵琶湖疏水は明治時代の大いなる遺産だが、その何キロにもわたる疏水の沿道は桜の名所でもある。ポカポカ陽気に誘われて、まずは三井寺のあたりから京都へ抜ける小関越えを歩いた。

 峠の道はそこそこの上り坂で、シャツ一枚で家を出てきたのにもう汗ばんだ。道を左に折れ、小道を下るとようやく疏水に出た。桜並木はまだ三分咲きくらいで、関西の他の地域に比べるとかなり遅い。

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 やがて毘沙門堂へと続く安朱橋に着いた。このあたりは、JR山科駅に近いこともあって人が多い。中国の春節が終わったのに、中国人らしき観光客が目立ち、ベンチに座ってのんびり春風に吹かれている。海外旅行に出かける日本人に比べると、ゆっくりした時間を楽しんでいるようで少し見直した。

 ここから先になると、桜は五分咲きくらいになった。日当たりがいいのかもしれない。何を思うでもなく、花を眺めながらのんびり歩いた。疲れればベンチに座り、水筒のお茶を飲み、友人からもらった沖縄の黒砂糖をかじった。すると、唐突に「花燃ゆ」という三文字が頭に浮かんだ。

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 「花燃ゆ」は、もちろん今年のNHK大河ドラマのタイトルである。日曜の夜が来る度に、ドラマを見ながら「面白くない。くだらん」と愚痴っているのだが、目の前に広がる桜の花と重ね合わせ、ついドラマを思い出したのだ。そんなに嫌ならテレビを見なければいいのだが、民放はもっと見たくない・・・。

 大河ドラマファンに申し訳ないが、近年の作品はまったく面白くなくなった。「花燃ゆ」の主人公は吉田松陰の妹「文」で、禁門の変で自害した久坂玄瑞の妻だ。余程の歴史通でなければ知らない人物だろう。

 前年大河ドラマの主人公黒田官兵衛は秀吉の名参謀で有名だが、所詮は歴史の脇役だろう。その前の「八重の桜」の主人公山本八重は、会津の悲劇に心を寄せる人にとって有名人とはいえ、一般の人にはなじみがない。同志社創始者の新島襄の妻と言われてもピンとこないだろう。

 歴代の主人公は、第一回の井伊直弼をはじめ、義経、平清盛、徳川家康、竜馬、武田信玄、信長、足利尊氏、宮本武蔵、新撰組など錚々たる人物が登場してきた。主人公が小粒では面白くない。「大河」と銘打つからには、歴史的にそれなりの重きをなしている人物を描いてもらいたい。

 ドラマをつまらなくしているのは、何と言っても俳優の顔ぶれだろう。イケメンと呼ばれる若者のオンパレードなのだ。どいつもこいつもチャラチャラしていて、歴史上の人物とイメージが重ならない。視聴率を上げたいというNHKの本音が見え隠れし、不愉快千番だ。

 まぁ、そこまで怒らなくてもいいと思うが、年を取るとこらえ性がないので困ったものだ。大河ドラマをあれこれ思いながら歩き、疏水の最後のトンネルまで来た。そこでUターンし、天智天皇陵にお参りして帰途に着いた。

 そう言えば、歴代の大河ドラマでは古代の人物を取り上げていないように思う。天智天皇陵で思ったが、天智天皇の娘で女帝の持統天皇はどうだろう。壬申の乱など波乱の人生はドラマになると思うが・・・。余計なお世話か?

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