ノビルもまた春の味

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 月刊誌に読みたい記事が載っていたので、町の図書館へ向かった。ようやく暖かくなり、春めいた景色を眺めながら生石山をのろのろと下った。すると、畑の一角に目が止まった。そこにはノビルが群生していた。

 耕作されていない畑だから、少々ノビルを頂いても構わないだろう。茎の根元を握って引き抜くと、絡み合った根っこに球根が鈴なりになっていた。鼻を近づけると、ラッキョとネギを足して二で割ったような香りがツンと鼻腔を刺激した。

 ノビルはユリ科の多年草で、野原や土手などどこにでもある。ただ、私たちが暮らす生石高原では見かけないので、わざわざ里まで下って採って帰るのは、年に1回あるかないかだ。

 その夜、女房が酢味噌和えを作ってくれた。翌日の朝食には、味噌汁の具になって食卓に載った。平凡な野草だが、味はワケギに似た独特の風味があり、乙なものである。

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 春に山菜を食べるのは、美味しいからなのか、日本人の体に刻まれた「何か」があるのだろうか。野草の本で読んだことがあるが、山菜には体内に蓄積された毒素みたいなものを排出させる作用があるという。山菜を食べるのはもちろん美味しいからだが、春になるとその効能を体が求めているのかもしれない。

 生石高原に山小屋を建てる前は、そもそもノビルなど知らなかった。北陸の僻地で生まれた私だが、少年時代、山菜はもとより、カボチャの種、桑の実、山芋のムカゴなど食べられるものは何でも食べた。それなのに、ノビルを食べる習慣はなかったのはなぜだろう。

 確かにノビルは、腹の足しになることはない。ノビルや山菜を有難がるのは、むしろ食生活が豊かになった裏返しなのだろうか。それとも、現代の食べ物には物足りない「野趣」という風味を珍重する時代なのか・・・。
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