由良湾で五目釣り、アイゴ、アオリイカ、アジ・・・

 今から40年ほど前、職場の先輩に連れられて磯釣りに行った。近郊の波止場へは時々行ったことはあるが、太平洋岸の小さな磯から釣りをするのは初めてだった。渡船は舳先を磯に押しつけながら釣り客を下すのだが、そのスリリングな磯渡しに胸がドキドキしたのを思い出す。

 狙うのはグレだった。先輩に教えられた通り、釣具店でクジャクの羽を買い、その芯を使って長さ7、80cmの棒ウキを作った。寄せ餌は米ぬかの団子で、餌はオキアミだった。船頭に教えてもらったポイントに仕掛けを遠投した。

 詳しいことは覚えていないが、ウキが沈んだので竿をあおると、物凄い引きだった。夢中でリールを巻いた。先輩が網ですくってくれたが、磯の上を跳ねる魚は黒っぽい斑点があり、背びれを広げていた。体長は約40cmだった。

 先輩が「触るな!」と言ったのもよく覚えている。魚の名前は「アイゴ」で、背びれや胸びれに猛毒があり、刺されると何時間も激痛が続き、のたうち回るらしい。磯で初めて釣ったのがアイゴであり、この1匹の強烈な引きが私を海釣りに引き込んだのだ。

 前置きが長くなったが、私たちが暮らす生石山の中腹で田舎暮らしをしているKさん夫婦を誘ってボート釣りに出かけた。Kさんは先ごろ船外機付きのゴムボートを買ったばかりだ。

 風が吹くとの天気予報由だったが、由良湾はべた凪だった。まずは五目釣りのポイントへ向い、Kさん夫婦とボートを並べて釣りの開始だ。サビキの仕掛けを下すと、いきなり15~20cmのマアジが釣れた。アオリイカの餌になるので、活かしバケツに15匹ほど入れた。

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 やがて私の竿が海中に突き刺さった。強い引きのため、1・5号の糸が心もとない。やっと上がって来たのは、27、8cmのアイゴである。背びれが刺さると大変なので、恐る恐る針を外した。すると、今度は女房が竿を曲げた。魚は何度も海中に潜ろうとファイトする。これもいい型のアイゴだった。

 私が女房に代わって針を外そうとしたが、なかなか外れない。やっとの思いで外したのはいいが、ちゃんと用心して置いていた私の竿がない。恐らくアイゴが食いついて竿ごと持って行ったのだろう。竿もリールも高価なものではないが、大損した気分になった。背びれを広げるアイゴを見ながら、思わず冒頭のシーンを思い出した訳だ。

 アジがたくさん釣れたので、亭主はアオリイカ、女房たちはガシラ釣りに転戦した。イカもガシラも同じようなポイントである。15分ほどすると、私の竿先にわずかな変化が起きた。しばらく待って少し引いてみると、グイーンと竿を曲げた。イカがアジを抱いているのだ。ボートの下に潜り、反対側に走った。

 ボートのロープに絡まないよう四苦八苦しながら竿を操作し、やっと掛け針のヤエンを入れる態勢に入った。ヤエンを糸に装着し、慎重に送りながらイカに近付けていく。糸の角度、イカとの距離を測りながら小さく合わせを入れた。竿が大きく曲がり、うまく掛かったようだ。久しぶりに味わう強烈な引きである。800グラムほどの良型だった。

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 イカの当たりはこの一回だけだった。五目釣りをしながらイカも狙うという欲張りがいけなかったと思う。昼ごろから思いもよらない雨となり、港に引き返した。釣果はアイゴにアオリイカ、ガシラ、アジ、サンバソウなど多種多様な魚が釣れ、クーラーボックスははズッシリ重かった。

 ところで、和歌山で暮らして7年になるが、不思議に思うのは和歌山人のアイゴ好きである。アイゴのことを、「アイ」「バリ」「バリコ」と呼び、これが釣れると大喜びなのだ。背開きにして一夜干しで食べれば絶品と言う。しかし独特の臭みがあり、私はそれほど好きではない。

 その夜、背開きしたアイゴに薄く塩をし、冷蔵庫で乾燥させた後、焼いて食べた。やはり、美味しいと言えなかった。何度食べても、アイゴ独特の匂いとクセのある味になじめないのだ。しかし紀州人のアイゴ好きは、黒潮と向き合ってきたDNAそのものなのだろう。これにはかなわない・・・。

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コメント

いい型のアオリイカですね。
アイゴの一夜干しも美味しそうです♪
私はアイゴを釣ったことはありませんが、紀州人がこれに目がないのは聞いたことがあります。
そんなにクセがあるんですか?

僕もこの魚は好きですよ。
釣れると必ず持って帰ります。ヒレを切るはさみはいつでも持っています。
よく引くし釣っても面白いです。
ウチでは醤油に酢を入れて煮魚にして食べます。

僕は専門に狙いませんが、父親はよくアイゴ釣りに行っていました。
エサが酒かすなんですよね。そんなもので釣れるとは不思議な魚です。

下の記事の鮎といい、今回の五目釣りといい、私にはすばらしい! の一言です。この前初めて釣りを体験したばかりなのに、早く釣りの腕をあげたいです。youtubeなども見てみているんですが、釣りができる友達がいたらいいのになーと思います。ひまじんさんのブログを読んでもテクニックは学べませんが、釣りの楽しさと釣り人の精神みたいなのがわかってきておもしろいです。

    亀丸 さんへ

 今年は天候不順が続き、初めてのイカ釣りでした。
この時期にしては、いい型でした。
昨年の今頃は、二桁の大釣りをしていたのですが・・・。
アイゴはよく釣れますが、やはりクセのある味がちょっと・・・。

    イレグイ号さんへ

 やはり、イレグイさんは紀州人ですね。
この魚の本当のおいしさを知っているのですね。
私もアイがよく釣れるので、ハサミと包丁はいつも持って行きます。
一夜干ししか食べ方を知りません。
醤油の酢の煮魚とは意外ですね。
焼いて一晩おくと、臭みが消えるのが不思議です。

     ボーダさんへ

 釣りは3回楽しめます。
大釣りを想像してわくわくする釣りの前夜。
釣れた時のあの手応え。
そして、自分で釣った魚を食べる楽しみ。
 早く、釣り友をたくさん作って下さい。
釣り友が出来れば、情報が得られるし、上達も早くなります。それと、釣り具店の店員さんと仲良くなることですよ。
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