匹数より重量だ・・・ガシラ釣り

 ここ和歌山の天気予報は、一週間にわたってオレンジ色の晴れマークが並んでいる。4月に入っても天候不順が続いていただけに、うれしい好天だ。この機会を逃す手はない。さっそくボート釣りに行くことにした。

 われら夫婦で釣行する時はガシラを狙うことが多いが、今回は私がイサギ、女房がカワハギを狙うことにした。カワハギ専門の釣りをしたことがないので、本を読んで勉強した。奥の深い釣りなので、女房に絶対釣れるとは言えなかった。

 由良湾に向かう途中の車中で、私は女房に「これは新しい挑戦だ。釣れないからといって、ふて腐れてはいけない。我慢して釣り続ければ、幸運は向こうからやって来る」と釘を刺しておいた。餌店でイサギの撒き餌用のアミエビ、カワハギ釣りのアサリを買った。仕掛けも餌も万全である。

 予報通り、晴天だ。峠に建てられている風力発電のプロペラはゆっくり回り、風は弱そうである。由良湾も凪いでいた。手早く出航の準備をし、船外機のエンジンも一発で始動した。何もかもうまくいっている。

 ポイントの島の裏側を目指した。島に近付くと、うねりがあった。これは予想外である。島を回り込むと、一層うねりが高くなった。それほど風も吹いていないのに、どうしてだろう。ボートが上下する。女房は頭が痛いと言い、どうやら船酔いしたらしい。

 ステンレスの鎖を付けたアンカーを投入したが、なかなか岩礁に引っ掛からない。何回もやり直し、やっと思うようなポイントにボートを止めた。まずはイサギ釣りの準備だ。全長3m余りのハリスに3本のエダ針が付いた仕掛けを竿に取り付けるのだが、ボートが上下し、なかなかうまくいかない。

 もたもたしていると、仕掛けが絡んだ。これをほどいていると、気持が悪くなった。ゲボッ・・・。何回も吐いてしまった。これきしで諦める訳にはいかない。40号の錘付きの撒き餌器を投入した。当たりはない。それは当然で、オキアミの餌を付け忘れていたのだ。また、ゲボッ・・・。

 女房も吐くのをこらえている。何年も船酔いをしたことがない私も限界に近付いてきた。しかも冷たい北風が吹き始め、寒くて仕方ない。もはやこれまで、帰ることにした。湾内に入ると、嘘のように凪いでいる。気分も良くなった。

 実は、こういうこともあろうかと、ガシラの餌となる鯖の切り身を持って来ていた。釣行の時、次善の策を考えておくのがベテラン釣り師である。悪く言えば往生際が悪いとも言える。

 最初のポイントで半時間ほど粘ったが、まったく当たりがなかった。次のポイントに移動し、その第一投に激しい当たりが出た。素早く合わせると、根掛かりしたみたいで動かない。直後、グイッ、グイッと締め込んだ。

 ゆっくりリールを巻き上げる。海中を見下ろすと、大きなガシラが反転して抵抗している。網ですくったガシラは30cmはある。ガシラ釣りでいつも女房に負け続けている私は、この大物を女房の鼻先にぶら下げてやった。どや・・・。

 その直後、また大きな当たりだ。これより少し小さいが、それでも大物の部類に入るガシラが釣れた。女房にも釣れ始めたものの、私のと比べると気の毒なほど小さい。寒いので10時ごろ釣りをやめたが、釣果は私の4匹に対し、女房は5匹だった。重量は女房の2倍はあるだろう。

 釣りの競技は、匹数、重量、1匹長寸で競う場合が多い。女房にいつも負けているから言うのではないが、やはり釣りの真価は総重量である。小さい魚を何匹釣っても糞にもならないのだ・・・。

      ※ 漁港にボートを係留し、翌日は私一人で釣りをした。その報告は次回に。

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