生石高原へ・・・久し振りの仲間たち

 自宅の庭の片隅で、福寿草が小さな黄色い花を付けている。茎が短く、地面のすぐの所に花を咲かせるので、地下から這い上がってきたような感じだ。沈丁花も白と紫の花を咲かせ、いい香を放っている。

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 きのうは啓蟄。地中から虫が這い出す頃だ。春は、もうそこまで来ている。和歌山の山小屋から、冬の間だけ大津の自宅に移ってちょうど3か月になる。和歌山の森の生活が恋しく、大津の生活にも少し飽きてきた。

 3日ほど前は雪が舞っていたのに、この日は一転して春めいた日差しである。定年後の生活は毎日が日曜日。思い立ったらすぐ行動できるのがいい。この日は好天の予報。山小屋の様子を見に行くため軽トラを転がし、奈良経由で和歌山に向かった。

 大津から3時間ほど走ると、桃の産地・桃山町だ。3月末になると、桃の木にピンクの花が咲き、いよいよ春本番を迎える。生石高原高原への道をひたすら登る。標高800mの高原はまだまだ寒く、春が実感できるにはまだ1か月ほど待たなければならない。

 留守にしていた山小屋は、どこにも異常がなかった。寒いので、とりあえず焚き火だ。杉林に入って枝や落ち葉を拾い、火を付けた。風がほとんどないので、山火事になる心配はない。しばらくして、畑の近くの陽だまりで弁当を食べた。愛犬ぴーは、時折、目を細めて眠そうにしている。

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 今日は、キノコの原木になる木を伐らなければならない。年末にキノコの菌を打ち込んだが、菌が少し残ったのでもったいない。シイタケとムキダケはコナラ、ヒラタケは山桜を使う。一本づつあれば事足りるので、伐採はすぐ終わった。

 ひと息ついていると、山小屋下の道路からクラクションの音が聞こえた。山の仲間のPが通りかかったのだ。「兄貴、変わりないか。家も大丈夫か」といつもながら優しい声をかけてくれる。「俺、もう薪ないよ。兄貴の薪を盗むよ」と、それほど流暢でない日本語でいつものように笑わせた。

 しばらくして今度は同じ山暮らしの女性が上がってきた。「下に軽トラが止めてあったので、来てるんやなあと思って・・・。私はこれから奈良へ帰るが、月末からはずーっと居るよ」と話した。畑作業のやり過ぎか、最近彼女は杖をついている。急な階段を上がって来てもらって、申し訳ない。

 山小屋の滞在は3時間余りだった。帰ろうとしていると、生石高原の中腹で田舎暮らしをしている夫婦が訪ねてきてくれた。ご主人と私はよく釣りに行くし、奥さんは話好きで、女房も気が合うようだ。山暮らしの良き仲間である。ちょっと山小屋の様子を見に来ただけで、4人の仲間と久し振りに出会えた。

 私たちは4月10日前後に、山での暮らしを再開する予定だ。帰り際、水洗いしておいた巣箱を二つ、木の幹にくくり付けておいた。その頃になれば、ヤマガラが毛のようなものをくわえ、巣箱に出入りする。野鳥の巣作りは見ていて楽しい・・・。
 
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