森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

湯田中の記憶を追って・・・青春18切符で長野

 春本番のような暖かい朝、琵琶湖の東岸を走る東海道線は霧に包まれていた。伊吹山も霧にかすんでいる。午前6時ごろ大津駅を出発した鈍行電車は、米原を経て名古屋に向かった。名古屋で中央線に乗り換え、長野に行くのだ。青春18切符を利用したわれら夫婦二人の1泊弾丸ツアーである。

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 長野の路線は大好きだ。大糸線は北アルプスの絶景、飯田線は南アルプスと渓谷美、そして今回の中央線は、木曽川沿いに肩を寄せ合う赤い屋根の家々と里山が魅了だ。木曽路の道々には木の工芸品が売られ、お六櫛を挽く音も聞こえてきそうだ。これらの線路には、青春時代の思いが出いっぱい詰まっており、いつも追憶の旅になる。

 鈍行電車はやがて塩尻駅に着いた。塩尻と言えば釜飯である。大学生だったころ、スキーからの帰りに食べたが、こんなに美味しいものがあるのかと思った。そして忘れられないのは、この駅で行われるスイッチバックだ。寝ぼけまなこで外を見ていたら、列車が反対に走っているのだ。あわてて腰を浮かせた。直通運行となったのは1982年だった。

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 約9時間かけて長野駅に着いた。少々お尻が痛い。今回の旅行の目的は、第一に善光寺参りだ。女房は昨年末、12年近くかけて西国三十三か所観音霊場の巡礼を終えた。最後に善光寺で納経帖に朱印をもらえば、めでたく巡礼が完結するのだ。そのほとんどに同行した私にも、ほどほどのご利益があっていいと思う。

 私にとって善光寺は、3回目である。若いころ、妙高高原からの帰りに寄った記憶がある。次は1998年の長野冬季五輪の直前、競技施設の見学に行ったついでに参拝した。今回初めて知ったのだが、善光寺は寺のようでいて本当は神社なのだという。仏教が伝来する前に創建されたためらしいが、どうも二股とか、八方美人を連想させる。

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 女房が善光寺参りするなら、ぜひ湯田中温泉に泊まりたいと言った。あれは40年ほど前だった。記憶はおぼろげだが、湯田中の湯に入ったのは間違いなく、熱くて湯船から飛び出したことを覚えている。後にも先にもあんな熱い温泉に入ったことはない。夕食前、どこの旅館だったか思い出すため、温泉街を歩いたが、分からなかった。

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 その夜、悶々と記憶を辿った。この時は、同じ会社の先輩と二人で志賀高原へスキーに行く途中に立ち寄ったのだが、よく考えてみれば、安月給の私たちに温泉旅館に泊まるお金の余裕などなかったはず。だとすると、共同浴場に入ったのかもしれない。そんな話をしていると、女房が旅館の近くに共同浴場があったと言う。

 翌朝、旅館の人に浴場の鍵を開けてもらい、浴室に入った。その瞬間、「ここや!」と思わず大声を上げた。隣の女風呂から、「それは良かったわねぇ」という女房の声が聞こえた。木枠の浴槽の幅は1mほど、浴室の凝った造り、湯の熱さもドンピシャだった。当時の記憶が蘇り、過去と現在が完璧につながった。もう、これだけで湯田中まで来た甲斐があった。

 「大湯」という名の共同浴場は明治19年に建てられ、今の建物は二代目だそうだ。小林一茶も一句を詠んでいる。建物の前に、共同浴場の番付けが掲げられていた。東の横綱がここ湯田中、西の横綱が道後である。腰痛の女房は、家に帰ってからも「痛くない」と喜び、湯の効用は本物らしい。

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 朝食後、バスで送ってもらい地獄谷の猿を見に行った。雪が降る中、露天風呂で体を寄せ合う猿たちを「スノーモンキー」と呼ぶそうだが、外国人観光客がこれをネットで発信し、一気に人気が高まった。管理事務所の職員は、多い時で1日2000人もの客が入ると言っていた。餌に困らないためか、猿たちは品行方正だった。

 この日は暖かく、温泉に浸かる猿は少なかった。入場料500円の見返りサービスではないだろうが、子猿が露天風呂を延々と泳ぎ回り、愛嬌を振りまいていた。もう1匹の大人の猿は、水面すれすれに顔を近づけ、ずーっと見つめていた。湯に映る自分の顔に得心していたのだろうか。

 昼前、長野電鉄で帰途に着いた。いつまでも車窓に映る妙高、黒姫の名峰は素晴らしかった。JR長野駅で銘酒「八海山」を買い、木曽路のひなびた風景を眺めながらチビリ、チビリと紙コップを傾けた。青春18切符の旅は疲れるが、でもまたひとつ、思い出を刻んだ・・・。

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   08:36 | Comment:2 | Trackback:0 | Top
 
 
Comment
 
 イレグイ号 [URL] #-
大津をはじめ琵琶湖周辺に住んでおられると、どちらの方角に向かうのも便利ですね。歴代の戦国武将が拠点にしたのももっともです。
対して半島というのは一度中心部に出てから目的地に向かわなければならないので一苦労です。
その分、自然がたくさん残っているのでそれはそれでいい部分ではありますが・・・。

生石山の山焼きのニュースが新聞の記事に出ていました。
生石山の春ももうすぐですね。また楽しい季節が巡ってきます。
 2016.03.17 (木) 16:40 [Edit]
  [URL] #-
    イレグイさんへ

 確かに近江は便利な所です。
近江を制する者は、全国を制するとも言われました。
東海道、中仙道、北国街道が交わり、本当に便利です。
ただ、半島にはいい所がひしめいています。
だから、紀伊半島に山小屋を建てたのです。
 生石高原での山焼きのニュース。
なんだか、そわそわしてきます。
大阪転勤で忙しいかもしれませんが、今年も山菜採りに来て下さい。
山ウドが待っていますよ・・・
 2016.03.21 (月) 10:59 [Edit]






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