森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

雪の山腹に小谷温泉・・・秘湯の中の秘湯

 長野と新潟の両県にまたがる妙高戸隠国立公園。その雪深い山腹にある秘湯・小谷(おたり)温泉に向かったのは、今月3日だった。この日は、放射冷却によって霜が降る寒い朝になったが、その代わり雲ひとつない晴天だった。

 自宅近くの桜の蕾は、薄い桃色に色付いていたが、まだ一輪も咲いていなかった。それでもわが家の小さな庭の一角では、福寿草が黄色い花を咲かせ、春はそこまで来ているようだ。それにしても西日本はなぜか気温が上がらず、桜の開花は関東に先を越されている。

 午前6時ごろ、米原行きの新快速電車に乗った。青春キップを利用する1泊2日の小さな旅だ。女房が詳細な計画を立てたので、それに従ってひたすらついて行くだけである。

 米原駅を過ぎると、朝日に照らされた伊吹山がヌッと現れた。伊吹山は西の斜面がセメント採掘でスパッと切り取られて痛々しいが、冬は雪に覆われ、何事もなかったように美しい姿をしている。

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 名古屋で中央線に乗り換え、北上を続ける。中津川までは車窓に気を取られるような風景は少なく、文庫本を読みふける。私は中津駅に着くと待ち時間を利用し、改札口を出て正面に鎮座する恵那山を眺めることにしている。日本百名山に数えられているが、余り人気がない。むしろ島崎藤村の故郷の山として有名かもしれない。

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 ここからの中央線は、よそ見が出来ないほど忙しくなる。車窓の左に、右に中央アルプスの名峰が現れるのだ。名前そのものも美しい空木岳、木曽駒ケ岳、今なお噴煙を上げる御嶽山・・・。

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 松本駅には昼ごろ着いた。駅ビルを出て右手すぐに蕎麦屋があり、松本に来たら立ち寄る店だ。「榑木野(くれきの)」という店だが、読み方が難しいので、何度来ても覚えられない。蕎麦の量も多く、美味しい。お焼きとのセットを注文した。

紙

 次に向かうのは信濃大町だ。学生時代から何度もここで乗り換え、白馬に行った。駅の右手に馬肉の専門店があり、馬刺しの塊を買った記憶があるが、大町の古老から「そんな店はないよ」と一蹴された。人間の記憶というものは、いい加減なものなのだ。

 松本を出ると、左手には常念岳の尖がった名峰が見えるはずだが、この日は雲が湧いており、まったく見えなかった。大町駅からは針ノ木岳、鹿島槍ケ岳なども見られるはずだが、これも雲の中。おまけに、大町市街を歩いていると吹雪になり、この天気の急変には参った。

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 電車が木崎湖、青木湖を過ぎる頃、雪は本格的に降り、みるみる雪が積もった。北アルプスの山岳風景も楽しむことが出来ず、終点の南小谷駅までは退屈だった。駅から温泉までは路線バスだ。半時間ほどかけて急な山道をノロノロと走った。ここには3軒ほどの旅館があったらしいが、今は山田旅館だけになっていた。

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 小谷温泉は、雨飾山(1963m)の登山口にあり、登山者のバイブル「日本百名山」を著わした作家深田久弥もたびたび訪れていた。深田は雨飾山に挑み続け、戦後、3度目の挑戦でやっと登頂を果たした。妻もいる彼は密かに別の女性と山田旅館に逗留したこともあり、その大人の恋愛余話は今も語り草になっている。

 武田信玄の家臣が見つけたという温泉は、標高850mの山腹にある。ひなびた趣があり、秘湯の中の秘湯だ。湯が滝のように浴槽に落ちて来る。加水もしていない正真正銘の源泉掛け流しだ。泉質はナトリウム炭酸水素塩泉で、家に帰ってからも肌がヌルヌルしていた。

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 若い人はともかく、私たち年寄りにはこたえられない旅館だ。明治、大正の古い建物はギシギシときしむが、炬燵に足を入れて湯の余韻を反芻していると、ほっこりする。塩漬けで保存されたワラビは絶品だった。昨年は中仙道・妻籠の蕎麦屋で塩漬けの方法を教えてもらったが、失敗した。今度こそと思い、山田旅館の女将から根掘り葉掘り聞いた。

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 翌日、朝食をすませると女房が風呂に行ったので、私は散歩することにした。前日とは打って変わって晴天である。2、3mもある雪の壁を見ながら通行禁止の道を登った。カーブを曲がった所で雪が低くなっており、滑りながら除雪された雪の上に立った。そこには絶景が広がっていた。北アルプスの峰々が神々しく光っていたのだ。

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 旅館の主人に写真を見てもらうと、百名山の鹿島槍ケ岳、五龍岳だという。山は方向によって随分形が異なるものだ。帰りのバスからは、白馬鑓、杓子、白馬の「白馬三山」が見えた。2年前の夏、2泊3日で三山を縦走したので思い入れが強く、感動した。バスの運転手さんは、はしゃぐ私のために2回もバスを止めてくれた。感謝、感謝!

      ↓ 白馬三山
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 帰りの電車からも、次々と北アルプスの名峰が現れ、目を楽しませてくれた。双耳峰の鹿島槍を始め、針ノ木岳、爺岳のピラミッドが青い天を衝いていた。次第に雲が湧いてきたが、常念岳の頂上が一瞬見えた。

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      ↓ 雲間から見えた常念岳のてっぺん
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 乗り継ぎの塩尻駅で名物の釜飯を買い、車中で食べた。昔は陶器の器だったが今はプラスチックだ。若い頃、何かの役に立つと思い、陶器を持ち帰ったこともあった。ケチな性格だった。

 奈良井宿と木曽福島を歩いて帰途についたが、それにしても木曽路は欧米の旅行者が多い。日本の原風景を探訪するのが目的だろう。知らない小さな駅で大勢が降りたが、どこかへ向かうのだろう。ぜひ、穴場を教えてほしいものだ・・・。

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