森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

大峯奥駈道の釈迦ケ岳へ・・・

 大峯奥駈道にそびえる日本二百名山の一つ「釈迦ケ岳」(1800m)をめざし、朝5時40分に軽トラで家を出た。生石高原からは、清水町を経て急坂を登って龍神スカイライン(無料)に合流、ここを左折して高野山に向かう。ちなみに清水町は、秋篠宮妃紀子さんの曽祖父の出身地である。

 高野山の手前で右折し、野迫川(のせがわ)町へ下って行く。野迫川と言えば、光源氏の再来とうたわれた美貌の武将・平惟盛の塚があり、私も訪れたことがある。それはともかく、道が細い上 曲がりくねっており、軽トラに乗っているから上下、左右の振動がひどい。

        ↓ 野迫川町の平惟盛塚(2008年9月撮影)
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 案の定、しばらく走ると車酔いが始まった。助手席の女房もやはり酔ったらしく、盛んに生あくびを繰り返している。酔いはますますひどくなり、路肩に車を止めておう吐した。車を運転していて酔うことは滅多にないのだが、この日は体調が悪い。

 高野山から下ること約1時間、五条市と十津川村を結ぶ国道に出た。ここを右折し、日本一長い谷瀬の吊り橋方面に向かうと、「釈迦ケ岳登山口」の標識があった。この道がまた大変な悪路で、路上のあちこちに巨石が落ちており、カーブも連続しているので車酔いがぶり返した。

 半時間ほど走ると、左側の路肩に天然記念物のニホンカモシカがたたずんでいた。私たちが暮らす生石高原でもたまに見かけるが、人間を怖がらず、人をじっと見つめるクリクリした目がかわいい。こんなに人懐っこい野生動物も珍しい。この先には猿が何匹も遊んでいたが、その目には警戒心がみなぎっていた。

 登山口に着いた。自宅を出て3時間も車に揺られっぱなしで、車を降りると少しふらついた。駐車場には6、7台が止まっており、かなり遠方のナンバーもあった。大峯奥駈道の標識の横には「熊出没注意」の看板があり、夫婦で3個のクマ除け鈴を付けて出発した。

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 ブナやカエデ、ヒメシャラの森を進んだ。相変わらず車酔いの症状で、辛い。標識に行方不明者の紙がぶら下げられていた。中年女性が道を間違え、未だに見つかっていないという。このあたりは登山道が二股に分かれており、谷の方へ迷い込んだのかもしれない。

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 急な坂を登りきると、尾根に出た。このあたりから大峯に多いバイケイソウの群落が広がっている。ちょうど今、花芽が出ており、しばらくすると白い花が咲くはずだ。シカなどに食べられず、群落が保たれているのは毒草のためだろう。

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 車酔いは収まらず、ほうほうの体で歩いていると、右前方に先端が丸みを帯びた独特の山が見えた。地図を見ると、どうやら大日岳(1568m)だ。その左手は見えないが、そのあたりに今回目指す釈迦ケ岳があるはずだ。

 釈迦ケ岳は、山上ケ岳、八経ケ岳などと並ぶ大峯奥駈道の中核的な山。桜の吉野山から熊野三山を縦走する80キロに及ぶ修験道の奥駈は、ユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に登録されている。この道を歩く度に、大峯の奥深さに何か畏怖のようなものを感じる。

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       ↓ ズームアップするとこんな形の山
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 先を歩いていた女房が私を振り返り、「これヘビなの?」と言った。近寄ると、ヘビが下半身をさらして横たわっていた。足で地面を叩くと、ヘビは草の中に逃げ込んだ。ここは標高1500mを超えており、こんな高地に餌となるカエルなどがいるのだろうか。ショッキングな遭遇だった。

 大峯でも鹿害が著しいが、なるほどいたる所でシカを見かけた。登山者に慣れているのか、2、30mまで近付いても逃げない。わが家の周りでもシカが出没し、鳴き声を口笛で真似ることがあるが、前方にいるシカに向かって得意の口笛で「ピュー」という音を出すと、シカは「アホかいな」という顔をして横を向いた。

         ↓ 3頭のシカが草を食んでいた  
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 やっと釈迦ケ岳が見えた。想像していた通り急斜面が頂上まで続いている。体調がいま一つなので、逃げ出したい気分だ。しばらく歩くと、年配の男性が花の写真を撮っていた。下山してきたらしく、「あとどれくらいですか?」と尋ねると、「残り200mの登りはきつく、それだけでも30分はかかるよ」との答えだ。

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 だとすると、現在地から1時間はかかる計算だ。確かに胸突き八丁の急坂だったが、20分ほど登ると、すぐ前方に釈迦如来像が見えた。頂上である。あっけなく登ってしまった。あの男性のアドバイスは何だったのか・・・。

 その銅像は重さが120キロ。大正13年、「鬼マサ」の異名で知られていた強力が3分割して担ぎ上げたという。新田次郎の小説「強力伝」を思い浮かべた。実話に基づくこの小説は、富士山の強力が北アルプス・白馬岳山頂に、重さ50貫もの方位盤を担ぎ上げた物語だ。50貫と言えば約190キロ。とんでもない強力がいたものだ。

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 山頂には、ツツジの仲間のシロヤシロが純白の花を咲かせていた。そう言えば昨年、大峯の主峰の八経ヶ岳はに登ったのもシロヤシロが満開のころだった。山頂からは、真北に堂々とした八経ヶ岳を見渡すことが出来た。

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 山頂の少し前から酔いのような症状は治まり、何とか胸突き八丁を乗り切ったが、コースタイムから大幅に遅れる体たらくだった。昼食は食欲が進まず、1個のカップ麺を女房と分け合って食べた。帰りは女房に遅れることなく、そこそこ快調に歩けたのが幸いだった。今回も心に残る大峯奥駈道だった・・・。

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   08:12 | Comment:5 | Trackback:0 | Top
 
 
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
管理人のみ閲覧できます 2017.06.19 (月) 21:10 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
    海南のYさんへ

 記事に書いたように、苦しい登山でした。
この夏も北アルプスに登りますが、どうなりますやら。
年ですねぇ・・・
 2017.06.20 (火) 18:17 [Edit]
 海南のY [URL] #-
北アルプスの投稿楽しみにしてます。
 2017.06.20 (火) 18:38 [Edit]
 イレグイ号 [URL] #-
大峯奥駈道と聞いただけですごいところまで行っておられるのなだと感動してしまいます。

登山のドキュメントなんかを見ていていつも思うのですが、あたりまえのことですが山を登るということはそこをまた下ってくるということですよね。
体力を使い果たして目的を達して、そこから再び引き返すためのエネルギーと精神力を絞り出せるというのはすごすぎると思うのです・・。
 2017.06.25 (日) 08:04 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
    イレグイ号さんへ

 大峯の山は、北アルプスと変わりないくらいしんどいです。
でも、また登るのです。
山頂から見たあの山、この山に行ってみたいと思うのです。
いつまで続けられるか不安ですが、ぼちぼち無理をせず登りたいと思っています。
 2017.06.25 (日) 16:20 [Edit]






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