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詐欺犯の罠にはまる人・・・

 郵便受けに一通の葉書が入っていた。宛名は家内の名前になっており、プリンターで印字されていた。送り主は「法務省管轄支局民間訴訟告知管理センター」と長ったらしく、その住所は官庁街の霞ヶ関3丁目となっていた。

 「民間訴訟告知管理センター」なんて、何のこっちゃである。いかにも、詐欺っぽい文面だ。冒頭に「消費料金に関する訴訟最終告知のお知らせ」とあり、連絡がなければ、「差し押さえを強制的に執行させていただきます」と脅している。

 要するに、訴訟を取り下げるための金を振り込めという内容だ。法律用語を散りばめた文章になっているが、稚拙極まりないものだ。葉書の郵便料金は62円で、例えば1000通出せば62万円にもなる。この手の詐欺は、それだけ出費しても騙される人がいるから損しないのだろう。

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 少し前の話になるが、日曜日のある民放の報道番組で高齢者の詐欺被害について特集していた。そこにゲストとして出演していたのは、元NHKのアナウンサーの下重暁子さんという人物だった。確かに昔、テレビで見た覚えがある。

 目がクリクリしたご婦人で、若い頃はそれなりに美人だったのだろう。物言いははっきりしていて、言葉遣いは慇懃だが、ちょっと上から目線のところが気になった。肩書きはエッセイスト、評論家など。老人の生き方についての著書も多数あるようだ。

 その番組の本題に入ると、下重さんは次のように語った。

 「私ね、おれおれ詐欺のようなものには、絶対騙されませんのよ。以前、詐欺のような電話がかかってきた時、電話口の青年を質問攻めをしたのよ。そうしたら、電話を切ってしまった。私、絶対騙されません」

 下重さんは「私のような利口な人は騙されない」とでも言いたかったようだ。つまり、賢くなりなさいと言っているように聞こえるのだが、これでは何の予防にも解決策にもならない。実際、振り込め詐欺の被害者の約8割は、自分は大丈夫だと思っていた人たちという統計があるそうだ。

 実は、「私は騙されない」と確信する人こそ、一番危ないのだ。これは犯罪の専門家がそう言っているし、詐欺の当事者も同じ事を言って憚らない。「お前は詐欺犯と知り合いか?」と問われれば、ここだけの話、ちょっと付き合ったことがあった。

 昔のことだが、2人の詐欺犯と少しだけ付き合った。私の仕事の関係上、詐欺犯罪について直接意見を聞きたかったのだ。うち1人とは、居酒屋で何度か酒を飲んだことがある。その時、「俺はあんたらに騙されない」と言ったら、そういう過信が危ないのだと切り返された。

 後になって、彼が詐欺容疑で警察に逮捕されたことを知った。彼についてかすかな記憶しかないが、丸い顔で垂れ目が特徴、とつとつとした語り口調だった。詐欺犯を連想させる立て板に水という訳ではなかった。こういう詐欺のプロは、人を信用させる何かを持っているのだろう。盗っ人と詐欺は一生治らないとも言われ、再犯率が高い。

 失礼ながら、下重さんのように「私は騙されない」という過信こそ、詐欺犯が仕掛けた罠にはまりやすいのだろう。詐欺を防ぐ方法なんてすぐには思い浮かばないが、ただ孤独が落とし穴になっているように思う。気軽に相談したりする人が身近にいるだけでも、少しは違うはずだ。
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