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藤田嗣治の裸婦を見る

 先々月だったか、ふと見たテレビで藤田嗣治の没後50年を記念する作品展が開かれているのを知った。会場の京都国立近代美術館は、大津の自宅から1時間もかからないので、和歌山の山小屋から大津に帰ったら是非行ってみたいと思っていた。

 パリ画壇で活躍した藤田画伯は教科書にも載っていたし、おかっぱ頭に丸い眼鏡が印象的だったのを覚えている。自画像にはピアスも描かれていて風変わりなおっちゃんだが、結婚歴5回を数えるモテモテ男だったらしい。

 会場には120点もの絵画が展示され、よくぞこれだけの名品を集めたものだと感心した。作品の多くに猫が描かれているのは有名だが、私は幼少のころ猫に足を引っかかれ、そのトラウマから今なお敵意さえ抱いているのだが・・・。

 さて、会場の中ほどに進むと、乳白色の下地に描かれた裸婦の数々が登場する。これは藤田を代表する作品群であり、余り大げさに言いたくないが、しかしこれはもう圧巻である。ピカソも激賞したという藤田ワールドである。

 乳白色の下地に浮かび上がる裸婦は、陶磁器のような透明感があり、墨による線描がその白さを際立たせている。この白さは何だろうと思う。西洋人の女性に接した時、その白さに驚愕し、興奮し、それを素直に表現したのだろう。

 もし、私が紅顔の美少年のころ、生々しい裸婦の作品を目の当たりにしていたら、それこそ顔を赤らめていただろうが、今はもうすっかり枯れてしまったので、雑念なく豊満な裸体の美しさに感動するのだ。

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 展示が後半に入るとまず、それまでの趣と一変する作品が登場する。太平洋戦争を描いた「アッツ島玉砕」と「サイパン島同胞」の2点だ。目をそむけたくなるような戦争の惨状が、リアルに暗い色調で描かれている。絵の大きさは天井にまで達するような大作だ。

 しかしこの絵を巡り、藤田は戦争責任を問う人たちから戦争協力者として非難された。多分、そんな風潮に嫌気がさしたのだろう、1949年に日本を離れ、フランスに移住した。再び祖国の地を踏むことはなかった。

 彼はこんな言葉を残している。「絵描きは絵だけ描いて下さい。仲間喧嘩をしないで下さい。日本画壇は早く国際水準に到達して下さい」。そして渡仏後、仲間たちに「私が日本を捨てたのではない。日本に捨てられたのだ」と語っていたという。

 戦後日本の偏狭な人々によって、日本が誇る天才画家にこのようなことを言わせてしまったことに、後世を生きる一人として心が痛んだ。

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コメント

No title

名前だけは知っていましたが記憶にあるのは多分教科書で見た1~2点だけで、このたびひまじんさんのおかげでネットで多くの作品を見ました。(おかっぱ頭に丸眼鏡の風変わりなおっちゃんだと言うことも知りました~)
教科書で見たのは日本人がモデルだったように思います。
ネットで見た絵の多くは肌の白いふんわりとしたイメージの少女の絵で、好感が持てました。
フランスに移住していたということも知りませんでした。

さすが天才ですね、戦争を描いた絵は想いがこめられているというか、深い悲しみを誘います。

さて、大津のおうちの炬燵の中でひまじんさんはどうされているのでしょうか?
私は(テレビが無いので)朝起きたらパソコンを付けて、ひがなYoutubeを見ています。
天気がよくて元気のある日は用もないのに外に出かけていきます。

そういえばインスタグラム、パソコンで見ることができます。今やってみました。Google検索にmaywgtnと入力して検索するとMay(@maywgtnin)・instagram photoa and videosというのが出てきます。それをクリックするだけです。登録も何も要りません。
すっかり忘れていたのですが、ブログ友さんが去年インスタを始め、当時インスタをやっていなかった私はパソコンで彼女の名前を検索したのでした。スマートフォンの画面で見るより大きいので見やすいです。

No title

    Mayさんへ

 大津の自宅では、毎日午前9時半に家を出て、歩いて30分ほどの所にある市立図書館に出かけています。ここで週刊誌、月刊誌などを読んでいます。ですから、大津に帰ると芸能ニュースにもすごく詳しくなります。昼頃帰宅し、ご飯を食べたら炬燵でうとうとしています。目が覚めたら、古代中国の伝記などを読んでいます。
 ところで、教えていただいたmaywgtnを検索して開きました。さまざまな写真が出てきて見させていただきました。Youtubeも見てみたかったのですが、残念ながら、私が使っているWIFIは低料金で、動画を見るのが制限されているのです。大津には電話線が引かれていないので、やむなくWIFIを使っているのです。山小屋は光回線が来ているのでいいのですが・・・。
 まぁ、こんな生活をしています。
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