【夫の日記】 仲間が喜ぶアオリイカを釣る

  一昨日はタラと牡蠣の鍋、昨日は焼肉。山暮らしの仲間が、連夜、食事に招待してくれた。女房は晩ご飯の支度をしなくてよいので、喜んでいる。

 近いうちに、わが山小屋にも招待しなければならないだろう。私の釣り好きをよく知っている仲間たちは、言外に新鮮な魚を食べたいような口ぶりだ。しかし、海の水温が下がっているので魚の活性は低く、彼らのお腹を満足させるような釣果は期待できない。

 とは言っても、釣らねばならんのだ。みんなが喜んでくれるアオリイカを狙うことにした。3月並みの気温になるとの予報なので、朝早く、由良湾に向かった。暖かい日差しを浴びて、のんびりすればいいという気楽な釣りではいけない。使命感のようなものが両肩にずしりとのしかかる。

 漁港に着くと、懇意にしている漁師が船の上にいた。「アオリイカは釣れやんよ。帰った方がええなあ」とつれない。しかし、今更、帰る訳にもいかない。

 竿を出したが、なるほど、当たりはない。イカ狙いの他の3人の竿にも変化がない。退屈な時間が過ぎて行く。

 やがて、この波止でよく顔を合わす大阪の夫婦がやってきて、私の横で竿を出した。二人とも70歳を超えている仲の良い夫婦だ。「一応、メバル狙いやが、釣れるなら何でもいいし、一日遊べたらそれだけで楽しい」と、達観している。

 奥さんはよくしゃべり、ケラケラとよく笑う朗らかな人だ。見かけかもしれないが、ご主人を常に圧倒している。しかも、釣りの合わせがビシバシと決まり、なかなか上手だ。メバル、ガシラ、ベラなどを釣っておられたが、このほとんどが奥さんの釣果だ。ご主人は奥さんの世話ばかりしていて、落ち着いて釣りが出来ないのだろう。

 ご夫婦と世間話をしながら当たりを待つが、まったく音沙汰なしだ。昼下がりのポカポカ陽気が気持ちよく、眠くなってきた。夕方の地合いに期待して、竿ケースを枕に、1時間余り眠った。

 夕日が山影に入ろうとしている。もう4時半だ。今日は駄目かもしれない。携帯で女房に電話して、「釣れないので、今夜のイカ刺し宴会は中止やね。仲間に連絡しておいて」と頼んだ。

 皮肉というのか、電話を切った直後、泳がせているアジにイカが乗ったのだ。リールから糸が出て行く。焦る気持ち抑えて3分ほど待って、イカを寄せにかかった。ところが何んたることか、波間を漂っていたビニールの手袋が糸に絡んでいる。道糸を通してヤエンという掛けバリをイカまで送るのだが、手袋に邪魔されてヤエンを進ませることが出来ない。

 しかし、糸を巻くと手袋が少しずつ寄って来る。ラッキーだ。近くの釣り人に頼んで手袋を外してもらって、危機を脱した。ギャフで掛けたイカはまずまずの型だ。

 そして数分後、今日2回目の当たりだ。これは大きいかも知れない。寄せては走られ、走られては寄せる。一進一退のやり取りが続き、ようやく黄色いイカの姿が見えた。合わせを入れると、イカが墨をはく。掛かった証拠だ。ギャフで引っ掛けたが、今度は柄の先っぽだけが外れるというアクシデントである。

 玉網を借りて事なきを得たが、危ないところだった。800グラムくらいはありそうで、これなら仲間に腹一杯、イカ刺しを食べてもらえる。大きなエンペラとゲソは天ぷらにしよう。甘くておいしいのだ。しかし帰りが遅くなるので、宴会は1日遅れになる。

 「見切り千両」という言葉があるが、釣りは諦めてはいけない。野球に例えると、0対0で迎えた9回裏、ヒット2本でサヨナラ勝ちしたようなものなのだ。

 宴会で私は、この劇的な釣りの終始を2倍にも、3倍にも膨らませ、くどくどと自慢するに違いない。作家の開高健は「釣り自慢を聞く時、相手の両手を縛れ」と言った。釣り人は両手を広げて「こんなに大きかった」と自慢する習性があるからだ。

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コメント

おめでとう♪

パチパチパチ色付きの文字v-237

大きな獲物が釣れましたね。

きっと甘くて、コリコリして、おいしいのでしょうね。

やりましたね

プレッシャーのかかった釣りご苦労様でした。
釣り自慢のイカ刺し宴会がたのしみですね。

最後に笑うのは・・・

久しぶりの釣りで時間がかかったのでしょうか
9回裏、ヒットv-229v-229サヨナラ勝ちv-221
『宴会で私は、この劇的な釣りの終始を2倍にも、3倍にも膨らませ、くどくどと自慢・・・』を聞かされたイカはヤレヤレと、足で頭をかいたに違いない!

                 ゴッツォさんです。
兄貴の文章は、何時も上品ですが、上品なのに何故か、大笑いを頂いてしまいます。
何はともあれ、総選挙も近い故、見事、義理が果たせそうで何よりです。
幹事長としては、ハラハラ・ドキドキの展開でしたが、至誠通天の運びでありましたね。
                 オメデトウ御座います。

おいしそう!

ものすごく大きな目なんですね。
格闘の末、こんな美味を食べられるなんて最高ですね。
お客さんをもてなすためにひと働き! も楽しそうです。

まるまるさんへ

 はい、大きな獲物でイカ刺し宴会は盛り上がり、日付が変わる前まで飲んでいました。
 ゴルフもそうですが、上がり3ホールは何が起きるか分かりませんね。やったぜ!

あんこさんへ

 いつもコメントありがとうございます。お近くだったら、おすそ分けしたのに・・・
 本当にプレッシャーに押しつぶされそうです。やはり、釣りは気楽に糸を垂れるのがいいですね。

お茶目さんへ

 イカはともかく、お茶目さんはゴルフがうまくなりましたね。なにしろ、安定感があいます。よく飛ぶようににもなっています。パターもいいリズムですよ。恐れ入りました。
 私はゴルフを捨て、釣りに専念します。だって、皆にグロスで負けるのですから、面白くありません。

アガタ・リョウさんへ

 いやいや、幹事長が日々綴られる大作にはかないません。まあ、拙い文章で笑って下さるなら本望です。吉本のお笑い芸人のようなものですから、地で行っているのです。大笑いより、クスッくらいがいいと思いますが、これって、なかなか難しいですね。

kumokさんへ

 多分、砂漠人さんは、イカ、タコは駄目なんでしょうね。そうだとしたら、こんなに美味しいものを・・・ああ、残念です。
 アオリイカはとても美しい姿をしています。青い眼も魅力的です。かわいいイカに血道を上げるのは、少し残酷な気がします。
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