森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

【夫の日記】 薪作り、木の叫びが聞こえた

  大袈裟かもしれないが、近ごろ、樹木に畏敬の念に似た感情を抱くようになっている。これまでにも、ブナやカツラなどの巨木を前に、厳粛な気持ちなったことはある。神仏が宿ると言われる大きなスギやヒノキに手を合せたこともある。しかし、このような気持ちとは少し違うのである。

 ここ連日行っている薪作りが、そのきっかけとなった。当ブログで何回も書いたが、地元の農家に頼まれて雑木林を伐採し、その木を薪にするため森の空き地に運び上げた。この丸太を薪の長さに切ったり、割ったりする日々なのだが、この作業は15年前から毎年続けていることで、別に珍しいことではない。

 クマノミズキという木をチェンソーで切った時だった。切り落とした直径10センチ余りの薪が地面に転がり落ちた時、「ピシッ」という金属音がした。次も、その次も、そんな音がした。

 どのようなメカニズムなのか分からないが、要するに丸太の中央にヒビが入ったのだ。ミズキは「水木」とも書くように、水分の多い木なのでヒビが入りやすいのかもしれない。

 私にはこの音が木の悲鳴に聞こえたのだ。感情が高ぶっていた訳ではない。この老いぼれ、少年のように多感であるもずもない。しかし、確かにそう聞こえた。

 そして、次は直径30センチくらいのハゼの木を長さ35センチほどに切り、斧で二つに割った。ウルシ科の木の中心部が黄色いのは知っていたが、その断面に現れた黄色の鮮やかさが目に焼きついた。

 長い歳月をかけて蓄積されてきた色素が、まるで生き物のように光彩を放っていたのだ。ウルシ同様、ハゼも触れるとかぶれるが、その黄色い木部から自らが生きるために毒素を絞り出しているのだろうか。

 私たちが伐り倒した木々に、なぜか「すまない」という気持ちが込み上げてくるのだ。これまでにも毎年木を伐り、1年分の薪を作ってきたが、そんなことを思ったことはなかった。魚を釣り、道端の草を踏みつけ、虫を殺す。同じようにそれぞれの命を奪っているのに、今、木に特別の感情を抱くのはなぜなのだろう。

 今回のことと少し関係するけれど、私は「自然との共生」「自然に優しい」という言葉に多くの疑問を感じている一人だ。自然を食い散らしながら繁殖してきたわれら人類は、自然の疲弊が顕著になってくると、「共生」などという言葉を持ち出して、自然との融和を言って見せる。ご都合主義の極みであり、そもそも言葉自体がインチキ臭い。

 森に暮らし始めて1年半になるが、「共生」も「優しい」も何と難しいことなのかと実感する日々なのだ。「共生」や「優しさ」に対して論破するほどの能力もないので、生意気な事は言わない。

 ただ、万物への「慈しみ」とでも言うのだろうか、そんな気持ちが今の生活を通じて少し分かるようになり、木への思いにつながったのかもしれない。

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Comment
 
 赤スペです [URL] #-
 私も、自然への感謝や畏怖はありますが、
共生?というのもちょっと変かな?と思います。

 自然は、厳しいです。赤松?は気の回りに草がはえてこないように毒をまくそうです。草が生えると栄養を横取りされないように、まわりの植物を殺そうとします。マツタケは毒に耐えられるようですが。
 自然といっても生存のためにみんな必死です。人間も同じく、たくさんの自然を食べて、利用して生きてます。

 ちなみに共生は、生物学的に違う種族同士が助け合うことなので、魚とサンゴ、とかまったく別の生き物同士のことだったりです。
 障害者との共生、とかの言葉を見ると、「障害者は別生物ですか!」とちょっと怒ってしまう赤スペです。
 2009.02.04 (水) 01:19 [Edit]
 みかん [URL] #0zcuN3Us
ミズキの木は切ると水が出てくるほど水分を含んでると聞きます。
本当なんですね。
切られる人から聞くと現実味があります。
切ると割れると聞いたのは初めてです。
たてに太い水が通る道がついてるからかもしれませんね。
 2009.02.04 (水) 08:56 [Edit]
 海原美海 [URL] #-
樹も生きていて、話をするということを聞いたことがあります。
そこからいただいたものは無駄にはできませんよね。

私も「自然に優しい」はインチキかなと思います。

京都の拝観料が高すぎるというのはいつも思いますね・・
6畳ほどの部屋に小さな置物が何個かあって、拝観料500円とか・・
 2009.02.04 (水) 10:28 [Edit]
 釣りじいさん [URL] #-
確かにそうかもしれませんね~。
当然ながら、木々には生命がありますし、倒木して何十年、何百年と生きている場合もありますからね。幹に耳を当てると、水の流れのような風の音のような鼓動が聞こえます。感動もんですよね。
 2009.02.04 (水) 12:50 [Edit]
 アガタ・リョウ [URL] #-
          好い空気に当たって、散歩をして来ました。
何時もながら、行間を読ませる兄貴の記事と文章です。二枚の写真の語り掛けに、暫し紫煙を燻らせまする。
 2009.02.04 (水) 14:05 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
 コメントありがとうございます。
確かに赤松林には草は生えていませんね。身の周りにある木や草花のことにはほとんど無知です。新しい発見があると、うれしくなりますね。
 共生という意味は知りませんでしたが、なーんか、シーシェパードを連想してしまって・・・
赤スペさんへ 2009.02.06 (金) 12:08 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
 なるほど、なるほど、水の道があり、それが割れるのかもしれませんね。きのうは、丸太の上に腰掛けていたら、やはり「ピシッ」という大きな音がしたのですよ。なんか、気の毒になりまして・・・
みかんさんへ 2009.02.06 (金) 12:11 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
 「自然に優しい」「環境に優しい」など、優しいという語感にはなーんか嫌な感じがします。へりくだっているというか、大衆迎合というのか・・・企業が商品のPRや企業イメージの宣伝に、喜んで使っていますね。そのような言葉を使わなくても、ちょっとした気遣い、心配りだと思います。
海原美海さんへ 2009.02.06 (金) 12:17 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
 ブナなど大量の水を吸い上げる木は、音がするそうですね。春になったら、ミズキにしがみついて音を聞きたいと思います。ですが、蝉のような格好で耳を当てていると、119番されかねませんね。
釣りじいさん へ 2009.02.06 (金) 12:20 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
 殊勝なことを書きましたが、きのうの富豪になった記事を読まれてズッコケられたのではないでしょうか。忸怩たる思いもない訳ではありませんが、私、二重人格かもしれません。ああ、恥ずかし。
アガタ・リョウさんへ 2009.02.06 (金) 12:25 [Edit]






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