森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

【夫の日記】 怒った!笹ユリの盗掘

  怒髪天を衝く--。私のおつむに天を衝くほど豊かな髪の毛がないのが悔しいが、それはともかく、私は本気で怒っているのだ。ただ、何に、どうして怒っているのかは、しばらくお待ちを・・・。

 新聞やテレビで伝えられる世の中の出来事には人並みに思うところはある。しかし、それらが理不尽な事柄であってもそれほど怒りが込み上げてこないのは、何故だろう。

 世の中を達観するほど枯れているとは思わないし、喜怒哀楽の感情が希薄になった訳でもない。そもそも私は、この目で見たこと、直接人から聞いたことはともかく、映像や伝聞は信用ならないという思いがあり、だから喜んだり、悲しんだり、怒ったりすることに多少の抵抗と躊躇があるのだ。

 しかし今回の怒りは、この目で見たので怒髪が天を衝くのである。

 怒りの矛先に向かう前に、書いておかなければならないことがある。私たちが暮らす山小屋の周囲に群生する笹ユリのことである。

 数日前から花が膨らみ始め、薄い桃色に色づいている。それはまるで少女が娘へと成長するように、ほのかな色香を漂わせているのだ。あと数日もすれば、最初の開花が見られるだろう。細い幹の先っぽに凛と咲く笹ユリは、えもいわれぬ香りを楽しませてくれるはずだ。

 さて、ブログといえどもその人物を特定するようなことは避けたいので、紀伊山地に暮らす「Aさん」としておこう。実は数日前、Aさんの敷地に笹ユリが生えているのを見て奇異に感じた。先日前まで、1本もなかったのだ。ざっと40株ほどもあるではないか。

 どう考えてみても、どこからか盗掘してきたに違いない。近くの山には笹ユリが自生しているが、花を引っこ抜いたり、球根ごと持ち去ったりする不届き者が後を絶たず、随分と少なくなっている。笹ユリは、種が落ちて花が咲くまでに6年も7年もかかる。絶滅危惧種にまで至っていないが、保護しなければならない貴重な植物なのだ。

 そのような笹ユリを何十株も引っこ抜いてくるとは如何なる料簡だろう。一輪、二輪の花なら出来心という言い訳も出来ようが、その数から言っても申し開きはできまい。土地には所有者がいるのだから、明らかに窃盗罪に当たる。実際、貴重植物を盗んで処罰されたケースは少なくない。

 Aさんは現役時代、取締役として人の上に立って働いてきてたと聞いた。普通に考えると、社会の常識も見識も持ち合わせていると思うが、私はそうは思わない。人の土地に入り、貴重な植物を根こそぎ盗むのは分別ある人間の仕業と思えない。常識云々以前の問題なのだ。

 この山に住む限り、過去の社会的地位など何の意味もない。自然と向き合う心のあり方が問われるのだ。自然への尊敬、あるいは畏敬の念と言えば大袈裟としても、自然への思いやり、親しみが欠如している。それは山の暮らしの最低条件だ。

 私と思いを同じくする仲間のドイツ人ピーターと一緒にAさんの山小屋を訪ねた。私たちはどうしてもこの一件を見過ごすことが出来なかったのだ。ピーターが口火を切った。「これ、ドロボーよ。罰金30万円よ」と詰め寄った。Aさんは「山で採ったのだから・・・」と言い訳したが、明らかにうろたえていた。

 少し厳しすぎる口調だったかもしれないが、見て見ぬ振りをしていれば、Aさんはまた同じ過ちを繰り返すだろう。本人のためにも、自然のためにも、これでよかったのだと思う。

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   09:58 | Comment:12 | Trackback:0 | Top
 
 
Comment
 
 アガタ・リョウ [URL] #-
 典型的な<ある種の人間像>ですね。大変な亜種が、豪邸を建てて移住して来たものですね。今年の冬は、薪も十分確保した様子ですから、大変でしょうね。
 森に暮らす事を、物質的なステータスの延長上に考えている細胞の人種ですね。点取り虫・責任転嫁の私情主義者でしょう。こんな輩が、経済界を闊歩しているんですから、日本の質が落ちる訳です。
 山・森の詩情を友として暮らす意味を解せない下衆野郎の指南役は、全く・・・ 

 真っ当な細胞を持った人間からは、言語道断の破廉恥漢以外の何物でも無いでしょう。森に木霊する不協和音と為っては、環境破壊のブルトーザーでありまする。<兄貴・ピーター頑張れ!! > いざと為ったら<物の化>の御出馬を仰いで下さい。
 2009.06.22 (月) 12:52 [Edit]
 釣りじいさん [URL] #-
当然の判断と処置だったと思いますよ。言われて分かることも多いですからね。
海辺にもこのようなことは数を上げればきりがないくらいあります。釣り人のマナー以上に最悪なのは漁師さんそのものです。海をゴミ捨て場のように考えて生活込みも発砲も釣り網や道具も捨て放題です。それがやがて巡って自分の生活に跳ね返ってくることはわかるでしょうにね。
 2009.06.22 (月) 15:19 [Edit]
 亀丸 [URL] #-
駄目な事は駄目と注意するのはなかなか勇気のいる事です。それも、相手が分別盛りの大人であれば尚更です。相手の人間性によってはトラブルにもなりかねませんし・・・。
ひまじんさんとピーターさんはとても良い事をなさったと思います。
ただ、こういうマナー違反をする人の大半は釣りの世界でも同じですが、話してみると結構良い人だったりします。ただ、それがいけない事だと気づいていない場合が多いものです。
このAさんが今後自分の過ちに気付いて態度を改める様であれば、また同じ森に暮らす仲間として仲良くしてあげて欲しいと思います。
懲りない人であれば・・・天誅が必要でしょうね。
それにしても笹ユリの写真、秘境に自生する様が神秘的で実に美しいですね。ひまじんさんが恋するのも分かります。お美しい奥様といい、ひまじんさん、けっこう面食いですね。へっへっへ!e-348
 2009.06.22 (月) 23:15 [Edit]
 kumoki [URL] #-
こともあろうにひまじんさんの命、笹ユリを? 大変な一幕でしたね。
でもご本人に直接お話しに行かれたのは、読んでいて気分が晴れました。
それ以外とるべき方法はないと分かっていても、
ついないがしろにしがちなことです。
自然はいろいろなことを教えてくれますね。
 2009.06.23 (火) 07:21 [Edit]
 isshy [URL] #-
ひまじんさん
ご無沙汰しています。花の名前についてはほとんど無知な私ですが、ゆりの仲間の中でもこのささゆり嬢は別格ですね。白い百合は祭壇を思い出すし、オレンジに黒の百合はドギツイ花だなあとおもうし、黒百合は不気味だし、それに比べてこのささゆりさんは、素敵ですね。
きれいだなあ、清楚だなあと思って眺めに来たらいいのに、どうして自分の物にしてしまうんだろう。全くもって私にはその行動が理解できません。お二人の行動はあっぱれですが、Aさんは別の季節にまた別の獲物に狙いをつけるかもしれません。
価値観が違うから難しいかもしれないけど、目を光らせておかないといけない人物ですね。
少なくともそんな癖をやめさせるように。説得してください。
そんなAさんには商店街の花屋さんの切り花が似合っているかもしれないですね。ほしいときに手に入れることができるし、枯れたら又買えばいい。ひまじんさんも、いろいろ大変ですね。いいことばっかりじゃないんだなあ・・・
 2009.06.23 (火) 15:37 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
 幹事長、私のブログをよく読んでいただいており、感激です。ずばり、ご推察通りです。
 ご指摘の通り、なぜこの山に来られたのか分かりません。山桜はとてもきれいだと思いますが、敷地の山桜を全部伐って、しだれ桜を植えています。他にも西洋の木や花です。
 何か勘違いされているのでしょう。そのうち、助っ人をお願いするかもしれません。
アガタ・リョウさんへ 2009.06.23 (火) 18:35 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
 よくぞ言ってくれました。漁師たちのデタラメぶりです。生ゴミでも何でも海へポイ。ゴミ箱じゃないんだ!
 漁師は漁業権を振りまわし、補償金を取るし、漁場を守ることもしません。その上、国民の税金で作られた防波堤や波止場を自分たちだけのものと勘違いしておる。
 じいさん、よくぞ言ってくれました。釣り人がマナーを守ることはもちろんですが・・・。
釣りじいさん へ 2009.06.23 (火) 18:41 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
 おっしゃる通り、人はいいのです。でも、常識に欠けているのです。罪の意識は間違いなく持っておられます。しかし、「まあ、いいかあ」という傲慢さが罪の意識を押しのけてしまうのでしょう。
 亀丸さんのひとこと、女房は喜んでいますよ。こちらに来られれば、大サービス間違いありませんよ。
亀丸さんへ 2009.06.23 (火) 18:47 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
 そうなんです、笹ユリはわが恋人です。そっと、見守るだけですが・・・。
 スェーデンにはこれと似たユリはあるのでしょうか。お近くのあの森に咲いていたら、さぞ美しいでしょうね。
 確かに自然から教えられることが多いですが、でも、Aさんは分からないでしょうね。
kumokiさんへ 2009.06.23 (火) 18:56 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
 こちらこそご無沙汰です。確かに笹ユリはユリの中で群を抜いて美しいですね。特に、香りがいいのです。
 私たちが暮らす森は、和歌山県立自然公園に指定されていて、開発は勿論、さまざまな規制があります。植物も持ち帰ってはいけません。
 おっしゃる通り、また別の植物に目を付けて取って来ると、私も思います。
isshy さんへ 2009.06.23 (火) 19:01 [Edit]
 赤スペです [URL] #-
山の魔力といいましょうか、、つい手が伸びてしまったのでしょう。
いけないことを、いけないと言うことに勇気が必要な現代。
森に暮らすひまじんの勇気、行動に強く共感いたします。

今回、和歌山でのことでしたが、、公と私の違いをまったく理解してない方、いらっしゃいます。
屋久島(千年杉で有名な)で、「キジうち」しちゃって、糞尿被害、などということすら聞いたことがあります。

山という、人の限られた場所で、なにかを「注意」することは、本当に勇気の必要なことだと思います。でも、何も言えずに、言えない言わないと、余計に窮屈になるよりも、気になる部分はどんどん、、でも、その度に、森に暮らすひまじん様の負担が。。

ピーターさん、女性に優しく、正義感も強い方で、とてもよい方ですね。

あと、、イノシシの被害にあわれたとか。イノシシの突進なんかで怪我をされないように、お気をつけください。
あちらも人が怖いですので、突っ込んできたら厄介です。
 2009.06.24 (水) 21:32 [Edit]
 ちゃみ [URL] #-
Aさんの行動には不快感を感じますが、
わたしだったら、ヤツに違いないと思いながらも言い出せないでしょうね。
ひまじんさんとピーターさん、あっぱれです!

ササユリって、花が咲くまでの大変な年月がかかるのですね。
すばらしい! 2009.06.27 (土) 16:14 [Edit]






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