森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

【夫の日記】 古里は合併の渦の中・・・ 

  私にとって50年ぶりの顔ぶれが多かった。昨日開かれた小学校の同級会である。「おー、ヨシオ」「お前、キヨシだよね」とすぐに思い出す人もいた反面、どうしても思い浮かばない人もいた。

 逆に私に対しては、多くの女性から「あんた誰?」と言われる始末である。故郷を離れて久しいということもあるが、かつてのかわいいお坊ちゃまの変貌ぶりが余りにも激しかったのだろう。これまでの人生の軌跡が顔かたち、風貌を激変させたのか・・・。

 同級会の会場は、琵琶湖最北端に位置する余呉湖畔の国民宿舎である。周囲4キロ余りの小さなこの湖は、秀吉と柴田勝家が戦った古戦場だ。羽衣伝説や菅原道真にまつわる言い伝えなどが残る伝説の湖でもある。

 北陸線余呉駅から国民宿舎まで3キロちょっとの距離だ。爽やかな秋晴れの中、会場まで歩こうと思った。田んぼの畦道を歩いたり、湖畔の細い道を辿ったり。「ふるさとの山は遠きにありて思ふもの・・・」。白秋の一節を口ずさみながら・・・。

 小さな桟橋に古老がいて、しばらく話し込んだ。「さっぱり魚が獲れなくなってねえ。水が悪いんだよ。民宿にはたくさんの客が来たが、今は車できて、帰ってしまうよ」。

 その古老が手にするバケツにブルーギルやブラックバスの外来魚が半分ほど入っていた。漁協が買い取ってくれるのだというが、いくらにもならない量である。わずかな小遣いだろうが、何回かためれば孫におもちゃの一つも買ってやれるのだろう。

 なるほど、湖面にはおびただしいアオコが浮いていた。子供の頃は底まで見えたのに、今は水が死んでいる。湖の中央に酸素を送る装置があるが、電気代がかさむので止めてあるという。地方は疲弊しているのだ。

 金木犀の甘い香りが漂う集落を過ぎると、深い森になった。秀吉軍の伏兵が潜んだ神社、血の槍を洗った湧き水の池など伝説の場所で足を止めながら歩いた。55分で国民宿舎に着いた。

 同級会の幹事で地方議員をしている旧友が出迎えてくれた。彼から意外な言葉が飛び出した。「12月からここは市になるんだよ」。国が進める平成の大合併である。村が町になり、そして今度は大きな市に吸収される。何と言うことだ。

 地名には歴史の重みがあり、風土を今に伝えている。文化そのものなのだ。財政、行政の効率化というだけで、地名を消し去っていいのか。二つの町の名前を足して二で割ったような地名が乱立しているし、アルプスなどという珍奇な市名も出現している。

 廃藩置県を経て近代化への歩みを始めたわが国だが、今回の合併には「国のあり方」という観点が欠けているし、大義もないと思う。大合併で市町村の数が半分になったとも言われる。地名の響きから伝わる「日本の風土」。なにか、殺伐とした風景を見る思いがする。

 故郷を飛び出し、縁もゆかりもない和歌山の山奥に暮らす私に、古里の合併に異を唱える資格はないかもしれないが・・・。
 

 
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   19:32 | Comment:4 | Trackback:0 | Top
 
 
Comment
 
 亀丸 [URL] #-
いえいえ、私だって古里の因島を飛び出して年に1~2回しか帰省しない身ですが、やはり気になります。
因島もかつて造船で栄えましたが、私が高校生位の頃からの造船不況により、関連産業、飲食店などが軒並み潰れました。就職が無く、私を含め、殆どの同世代が職を求め、広島市、東京、大阪に出て行きました。
結果、因島市制55年にして過疎化に歯止めがかからず、尾道市に吸収合併されました。
父親を早くに亡くし、二人居る兄弟も就職の為に出て行き、今ではすっかり体が弱った母が一人島の借家に残っているのみです。
ここ数年、同窓会が頻繁に有り、同級生と旧交を温める機会が多いのですが、かなりの人数が都会での暮らしに決別し、島に帰っています。
皆、「生まれ育った島の暮らしが最高だ。」と口を揃えます。
私は今では島の暮らしなんて、退屈すぎて真っ平御免ですが、それでも近い将来、母が亡くなった時に生家が無くなり、帰るべき古里が無くなると思うと言いようの無い悲しさ、自分のルーツを失う様な寂しさを覚えてしまいます。
古里って、遠くにあってもやはり人間の心の拠り所なんだなぁと実感しています。
 2009.10.16 (金) 22:38 [Edit]
 まるまる [URL] #-
余呉の名前は残るのでしょうi-198

こうやって時代は変わっていくのでしょう。その中にいるものにとっては、寂しかったり、もの思うことがあっても、先の人たちにはなんにも残らずそういうものとしてとらえられるのですね。

人生についていろいろと考えさせる日々です。

お帰りですね。 2009.10.17 (土) 00:01 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
 いつも女房と話をしているのですが、亀丸さんの文章はうまいなあと。しかも、真面目さがよく伝わってきます。
 因島も尾道に合併ですか。因島のように歴史もある島はそのままでいてもらいたいですね。そこに、お母さまが一人でお住まいとか。引き取りたいと言っても、長く住んだ因島がいいとおっしゃるのではないですか?難しい問題ですね。
 ところで、明日、由良へ行ってきます。大アジとイカを狙います。買物に行っていないので、食糧が不足しているのです。
亀丸さんへ 2009.10.18 (日) 18:03 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
 余呉の名前は残っても、伊香郡の名前は消えます。大昔の富豪の名前からとったのだと思いますが・・・。
 安土などは合併を拒否して頑張っています。見習ってほしい。
まるまるさんへ 2009.10.18 (日) 18:08 [Edit]






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