森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

【夫の日記】 無人島は誰のものか

  広島県呉市沖の瀬戸内海に「三ツ子島」と呼ばれる無人島があるという。島は二つに分かれており、このうち北側の島が一般競争入札で売りに出されると新聞に出ていた。財務省は財源確保のため国有地の売却を進めていおり、その一環で売り出されることになったのだ。

 この北側の島は、南北280メートル、東西は最大で40メートルほどあり、ひょうたんの形をしている。戦前は旧海軍の施設があったらしい。瀬戸内海国立公園の中にあるので、誰かが買っても開発には色々と規制がかかるとされる。

 新聞に出ていた写真を見ると、いかにも魚が釣れそうだ。釣り好きの私には垂涎の的である。一体、いかほどの値段で落札されるのだろうか。年末のジャンボ宝くじで3億円を当てるしかないが、これまで何回も宝くじを買って300円当たったのが最高だから、島を買うなんてまさに高根の花である。

 でも、夢を見るのは自由だろう。ここに家を建て、毎日釣りに行く。たくさん釣れれば市場に魚を持って行き、煙草代でも稼ごう。あっ、これは話のスケールが小さいなあ。昔、この近くへ釣りに行ったことがあるが、メバルがクーラー一杯釣れた。鯛、黒鯛、ハマチ、鰆などもうようよいるはずだ。

 無人島にはロマンを感じる。多分、そこが男と女の違いだろう。女はシンデレラのように王子様の出現に胸をときめかせるが、男は美しい女性が漂着してくるのを夢見るのだ。私の介抱で息を吹き返したこの女性との原始の暮らしは想像するだに楽しい。天女伝説に憧憬を覚えるのと同じだろう。

 さて、この無人島の記事を読んだ時、私はとっさに、先ごろ亡くなった森繁久弥さんとの些細な一件を思い出してしまった。

 それは20年以上前のことだ。森繁さんは香川県の沖にある無人島を所有していて、自身の大型クルーザーで関東からここへクルージングしていた。私は、仕事のことで森繁さんの秘書と連絡を取り、その無人島で森繁さんと会う約束を取り付けた。

 指示された港には白い立派なクルーザーが停泊していて、年配の秘書と息子さんが出迎えてくれた。この船に乗って無人島へ行くことになっていたのだが、そこへ森繁さんが船上に現れて、意外なことを言った。「俺はそんなことを聞いていないぞ。乗せないよ」。えっー、約束が違うではないか。こちらも遠路はるばる飛行機で飛んできたのだ!

 森繁さんの虫の居所が悪かったのか、秘書とうまく連絡がとれていなかったのか分からない。ともかく秘書は平謝りだった。結局、無人島まで行って森繁さんと話をしたが、機嫌は良くなかった。彼から見れば、私は鼻たれ小僧だろう。でも、約束は約束だ。その応対は礼を失していると思った。

 森繁さんの芸も話術も軽妙で好きだったが、その時、見てはならない姿を見てしまったように思った。舞台や映像は虚像なのか、癇癪を起こしたその姿が実像なのか・・・。以来、森繁さんがテレビに映ると、チャンネルを変えるようになってしまった。

 しかし、そう感じたのは若気の至りだったのだろう。恐らく、森繁さんは我儘な性格だったのだと思う。大物の役者だから周りがちやほやするし、年を取ると我儘がひどくなるという。森繁さんの言い草にカーッときた当時の自分が、今は少し恥ずかしい。

 やがて彼は文化勲章を受章した。演劇の世界で社会に貢献したことが評価された。最高の栄誉だから、その人間性も評価の一つに加えられているに違いない。そもそも、そのような人に噛み付くとは恐れ多いのだ。しかも、人間死ねばすべて仏様であるから、つべこべ言わないのが礼儀かもしれない。

 無人島売却のニュースが、とんだことを思い出させてくれた。貧乏人のひがみかもしれないが、冷静に考えると海も島も国民の財産だ。個人の所有はどうかと思う。財務省よ、国民の財産を勝手に売るな! 

  

 

 
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   10:18 | Comment:4 | Trackback:0 | Top
 
 
Comment
 
 タマモクロス [URL] #-
老化とは、素のままの自分をさらけ出すものと思います。

子供は自分の思うがまま振舞います
これが年を食ってくると、理性という皮をかぶります
ところがボケると・・・

ワシの祖母は、死ぬ間際ボケてましたが、常に「ありがとうございます」の言葉を連呼してました
この生き様には脱帽です・・・

それ故に自分は「生きて虜囚の辱めを受けず」というか、「生きて己の恥をさらすな」という気分で一杯ですね

死ぬ時まで、恥ずかしくない人格者にはなれんなぁ~
 2009.12.16 (水) 23:24 [Edit]
 タマモクロスさんへ [URL] #-
 はい、私も人格者にはなれません。でも、他者に我儘を言わないよう心がけています。
 芸能人や政治家ら、人から見られる職業の人間は、素顔との落差がひどいと思いますが、どうでしょう。森繁さんも例外ではないと思っています。お互い、正直に生きましょう。
 2009.12.17 (木) 18:37 [Edit]
 アガタ・リョウ [URL] #-
 多かれ少なかれ、人間には、内面と外面が有りますからね。許される範囲内なら、その落差がその人の内面をチョイ見した様で、ニャハハなんですが・・・ はっきり言って、その反応は、仏様には悪いですが・・・兄貴と全く同じ拒否反応が出てしまいますね。
 私の下衆のリトマス紙の一つに、その人が話している時と、相手が話している時の表情と態度を観察しています。私は世間がどんなに立派な人だと紹介しても、話す時と聞く時の落差が、別人の様だと『眉つば』者と、即断してしまう単細胞です。
 人気・地位・権力は、凡人にとっては、魔物ですからね。矢張りでしたか。人間の演技の中には、知らず知らずの内に、演技者本人の地の部分が、顔を覗かせている筈ですからね。
 
 正直言って、ラジオ・テレビの通り一遍の美辞麗句が、鼻に付いていたんです。読み逃げしようと思っていたのですが、読み逃げするには、兄貴の文章は本物です。毒まんじゅうを一つぐらい供えたく為ってしまいました。国民的役者・森繁さん、森繁ファンの皆様、御免なさいね。へへへ、兄貴有難うさんねぇ。
 2009.12.18 (金) 15:50 [Edit]
 アガタ・リョウさんへ [URL] #-
 ありがとうございます。ありがとうございます。感謝、感謝です。アガタさんに、こんなコメントをもらって、胸を撫で下ろしています。正直言いますと、今でも森繁さんを許せないのです。文章は抑制して書く習慣がついていますが、本音はもっとボロクソに書きたいのです。アガタさんにこう言って貰って、再び感謝、感謝です。
 今、貴兄のお住まいを遠くに見ながら、東京にいます。もう1週間ちかくになります。娘のパソコンを使っていますが、使い慣れていないので打ちにくいです。もうすぐ、雪の山小屋に帰ります。アガタさんのブログをしっかり読み直したいと思っています。
 2009.12.18 (金) 20:38 [Edit]






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