作務衣を着る蕎麦屋を皮肉る

  近ごろ私は、禅僧のようないでたちでひとり悦に入っている。女房の前で神妙な表情を作って見せ、「どや、人格者に見えるか?」としつこく問うている。女房は「あ、はは、蕎麦屋のおっちゃんや」と酷評する。 う~ん・・・。

 普段、山小屋の中で過ごす時は禅僧の作務衣を着ているのだ。この作務衣はちょうど20年前、京都のさるお金持ちから戴いた藍染である。おそらく何万円もするだろう。

 以前、福井の永平寺にお参りした時、紅顔の修行僧が作務衣を着ていて、いいなあと思ったものである。境内を掃除したり、廊下を拭いたりする時に着る禅僧の作業着なのだ。簡素で、機能的な日本らしい衣服だと思う。

 先日、箪笥の中をかき回していた女房が、これまで一度も着ることがなかった戴き物の作務衣を引っ張り出したのだ。私も女房もすっかり忘れていた。山の中で生活していると衣服が汚れることが多く、10年前、20年前に買ったボロ着ばかり着ている。見るからに風采が上がらないので、ちょっとお洒落な作務衣を着ようと思ったのだ。

 作務衣をもらった当時は、これを着るのが照れくさかった。しかし今は、半ば仙人のような生活をしているし、これを着てもそれほど違和感のない年齢になった。しかも今の季節は少し肌寒いので、この一枚でちょうどいい具合である。時々鏡の前でポーズをとっているが、風貌にどこか枯淡の味が出ていて、大いに気に入っている。

 そんな私の思いをくじくように、女房は「蕎麦屋のおっちゃん」と笑い飛ばすのだが、なるほどそう言われれば、蕎麦屋の主人が作務衣を着ているのをよく見かける。まるで陶芸作家を気取っている風にも見え、どこか滑稽である。

 蕎麦の粉を厳選し、打つのはそれなりに年季が必要だろう。意地悪な見方をすると、作務衣を着たがるのは「オレが打つ蕎麦はそんじゃそこらの蕎麦じゃねえよ」という自己主張なのかもしれない。

 私は蕎麦好きで、旅先では必ず美味しい店を探して食べに行く。その経験から言うと、作務衣を着る店は、老舗よりも新興の店が多いようだ。店主は「一家言らしき」ものをもっており、講釈が多い。店内には店を紹介する新聞か雑誌の切り抜きが貼ってあったりするのだ。

 しつこいようだが、そのような蕎麦屋を高慢にさせる客も悪い。通ぶったりして、出された蕎麦を褒めちぎったり、店主の講釈をありがたがったりする。卑屈になって食べてどこがうまいのかと思う。

 蕎麦に金粉を振りかける笑止千万の店もあるらしいが、魯山人の器に盛っても蕎麦は蕎麦。それ以上のものではない。大衆の食べ物なのだ。小腹を満たしたら、チャリーンと硬貨を置いて店を出るのが、蕎麦の正しい食べ方だ。

 作務衣の話が、横道にそれて蕎麦屋いじめのようになってしまった。禅僧のような身なりで悦に入っている場合ではない。まだまだ未熟者。人間修業が足りないようだ・・・。

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コメント

昨日、生石高原に行きました。^^
初めての生石高原でした。楽しかったです。途中の道が凄かったです。写真も撮りました^^
蕎麦屋と作務衣の関係、なるほど思い当たる所があります。僕も、蕎麦が好きで、出かけると、必ずと言っていいほど、蕎麦屋に行きます。
それに、通ぶった人もいますよねえ~~。あれには閉口します。
蕎麦の名店といわれてても、食べに行ってガッカリなどの経験も幾度かあります。
蕎麦って、ひまじんさんが言われる通りにまさに大衆の食べ物ですよね。元々は、やせた大地にも育つ作物として飢えを凌ぐ食べ物として育てられていた作物と聞いてます。気楽に食べれる蕎麦屋さんが一番です。今回の旅で、絶品の蕎麦屋を発見しました。また、アップします。
★家庭菜園ですが、実は神戸に両親より引き継いだ家があり、そこに3坪ほどの菜園があります。僕のことですから、まったく手入れをいてませんでした、この間、母の月命日で神戸に帰り畑を見てビック。。。。
ジャングルとなってました。(+_+)
ほんと、どこから手をつけたらいいのか。。。また、その内に気が向いたらですが、手入れをします。^^
ほんと、畑、菜園って手入れが大変です。

こんばんは~

実は私も作務衣が好きで・・・
大工仕事をする時は作業着にしてます。
だからペンキだらけで、お洒落度合いは全く無いのですが。^^;

ひまじんさん程、決まらないですけど。^^;
良くお似合いです。(首から上は想像で^^)

たかたん さんへ

 えーっ、生石高原にいらっしゃったのですか?
 お声を掛けていただいていれば、お待ちしていたのに・・・。とても残念です。ブログが縁で何人か私たちの山小屋においで下さったことがありますよ。
 その日は、私は釣り、女房は仲間たちと餅つきをしていました。
 秋はススキがきれいで、ぜひ再訪して下さい。

マダム半世紀さんへ

 マダムの作務衣姿が見てみたいですね。多分、キリリと決まっているでしょうね。
 大工仕事で着るあたり、おぬし、出来るなあ・・・ってな感じですね。私の大工は不器用ですので、作務衣を着るのがおこがましいです。
 写真の上を切るのは、想像力を膨らませますが、期待を裏切っていると思います。はい。
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