日本に背骨があるのか

  尖閣諸島の漁船衝突事件のビデオが国会に提出された。しかし政府は、国民への公開を渋っている。中国の顔色をお伺いするこの卑屈さ。日本には国家の背骨とも言える「原理」があるのかと問いたい。

 事件直後、日本政府は「法にのっとり、粛々と処理する」と言っていたのに、舌の根も乾かないうちに漁船船長を処分保留で釈放してしまった。「粛々」と事をあいまいにしただけである。

 日本政府の腰抜けを見透かすように、中国では今なお反日デモが相次いでいる。江沢民の反日教育を受けた若者たちが、訳も分からず「反日」を叫び、フラストレーションを晴らしているだけだ。もっとやれやれ! そのうち、自分たちのバカバカしさに気付くだろう。

 現政権はもちろんだが、日本はずっと以前から国家の原理を見失っていたと思う。戦後、何かの外交問題が生じた時、毅然と日本の姿を見せたことがあっただろうか。政治家たちが念仏のように唱える「国益」とは、揺るぎない国家の原理がその背後になければ、ただの空念仏に過ぎない。

 これは司馬遼太郎の本で知ったことだが、なかなか面白い話である。明治政府は日露戦争の仲裁を頼むため、イギリスとアメリカに密使を送った。イギリスに行ったケンブリッジ出の枢密院顧問官は、日本を宣伝するため「投資の対象になるいい国だ」と自慢したが、方々で冷笑を買ったらしい。

 一方、アメリカに送られた金子という人物はルーズベルト大統領と会った。アメリカは日露戦争に不介入の立場だったが、大統領は「君のためになりたいが、日本をどう宣伝したらいいのか。日本の原理を教えてくれ」と言ったらしい。

 そこで金子は新渡戸稲造の「武士道」を手渡すと、大統領は一晩でこれを読み、「日本人のことがよく分かった。アメリカ人に宣伝してみよう」と請け合った。要するに、国と国が向かい合う時、それぞれの国の原理がいかに大切かを言わんとしているのだと思う。

 司馬遼太郎は、日露戦争の頃までは日本にサムライの原理が働いていたと言っている。つまり日本の原理は、徳であり、義であり、恥は万死に値するという価値観を共有していた。幕末から明治にかけて日本にやって来た西洋人は、サムライ社会が持っていた原理に驚き、畏敬の念を持ったと言われる。

 原理を持たない国は見下される。それは世界の常識だろう。中国はまさに原理が働かない日本を見下しているのだ。その点、中国は確固とした原理をお持ちのようである。チベット、ウイグル、台湾、南シナ海の島々の例を上げるまでもなく、「他人の物は自分の物」というお考えである。

 「愛国無罪」もうるわしい原理だ。国を愛する行為なら少々無茶をしても赦す。特に、反日の名がつけば、暴動を煽ってさえいる。だから無知な若者は図に乗り、日本大使館に石を投げ、日本商店のガラスを割って英雄面しているのだ。もちろん中国のこれらは品格も糞もないが・・・。

 まあ、日本も偉そうに言えない。「中国無罪」なのだ。明らかな中国漁船の犯罪も、相手が中国だから処分保留で無罪放免である。しかも、ビデオの公開をビビっている。こんな嘆かわしい国に誇りが持てるだろうか。かつての日本は、節度を重んじた。しかし、義に反するなら命を惜しまなかった。

 司馬遼太郎は40年前にこう言っている。「本当のところ、中国は日本を恐れているのだ。日本が過去のように破れかぶれになって倭寇になるのを知っているのだ」と・・・。古い昔の倭寇を持ち出すことはないが、しかし、日本は品格の裏側に見え隠れするある種の不気味さを持っていることは重要なことだと思うが、どうだろう。

 
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コメント

 此方は、終日の雨です。兄貴のブログには物騒なコメントですが、『一人一殺』なんて、言葉が有りました。そして小さい頃は、それが現実の思想として機能して居た。そんな事を思い出しました。人間、度を越した事を仕出かすと、草もうの士に命を取られる。こんな社会が在ったらばこそ、指導者は、言って好い事と悪い事の区別を付けて、日頃の言動と行いに、私欲を制御して来たのでしょうし、大義とか恥を知る潔さに、生きる事の原理を自問自答して来たのだと思います。
 
 本当に、このテイタラクな政治家・経済界・マスコミ界・・・etcが、明治の御代にタイムスリップしたら、今の菅無理政権など、一夜にして消滅してしまうのでしょうね。

 スイマセン。兄貴のブログに、配慮に欠けたコメントの段、申し訳ありません。危険人物で有りまする。へへへ。

   アガタ・リョウ さんへ

 いいえ、配慮にかけるどころか、的確なご指摘を噛みしめています。
 人間でもそうですが、すべてを丸出しするより、どこか神秘、不気味、不可解などがあった方がいいように思うのですが・・・。
 国家も同じではないでしょうか。

日本人は控え目で遠慮深い国民性、それは今も昔も変わらないと思いますが、私が生まれる前のこの国の先人はひまじんさんが言われるように節度を重んじて義に反するなら命をも惜しまない国民性であったと思います。
それこそが日本人の美徳だと思うんですが、いつの間にかこの部分だけが無くなって単なるお人好し国家に成り下がってしまいましたね。
日本の外交の現場に侍の出現を望みます。

   亀丸 さんへ

 本当に日本の外交は嘆かわしい限りです。
今日の朝のニュースで、ロシア大統領が北方領土を訪問したとのこと。これも、日本を見くびった行動ですね。
 別に攻撃的になれと言うのではなく、常に言うべきことを言っておかないから、こうなると思います。
 歴史的に見て、ロシアは受け入れがたい国ですね。
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