森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

西郷どんとは同好の士・・・アオリイカ

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  西郷どん吉之助は幕吏の目から逃れるため、奄美大島に身を隠した。島での3年間、退屈で憂鬱な日々を過ごすのだが、ささやかな楽しみは魚釣りとウナギ突きだったと以前読んだ本に書いてあった。

 私を驚かせたのは、吉之助がイカ釣りの名手だったことである。木片を魚の形に削り、尾に掛けバリを付けて餌木(ルアー)を作る。糸も自分で撚った。これを小舟で曳いてイカを掛けたという。

 掛ってくるイカは、間違いなくアオリイカだろう。吉之助が興じたこの釣りは、今でも和歌山など各地で行われているアオリイカ釣りの漁法なのだ。私の知っている漁師も、夕方になると磯の際を流しながらたくさんのアオリイカを釣ってくる。

 アオリイカは、イカの王様と言われるほど美味である。吉之助のことだから、釣ったイカは貧しい島の人たちに分け与え、残りは焼酎の肴として舌鼓を打っていたに違いない。

 吉之助は、弱きを助け、義のために命を投げ出す私心のない人間だった。彼と比べようのない小さな私だが、イカ釣りが趣味という点では同好の士なのだ。あのアオリイカの強い引き、ほのかな甘い食味を共有していると思うと、うれしくなる。

 珍しく暖かい朝、由良湾の岸壁から竿を出した。左手が砂浜、右手にテトラポットがあり、水深は浅い。釣りには難しいポイントだが、実績のある場所だ。

 朝の7時半ごろ、イカが生きたアジの餌に食いつき、リールから糸を引き出して行く。テトラの方に向かう最悪のパターンだ。ここに潜られれば、まず取り込むことが出来ない。案の定、糸がテトラの貝に引っ掛かり、切れてしまった。手応えの感じでは、かなり大きなイカだろう。

 落胆している場合ではない。アジを付けて沖に投げる。しばらくすると当たりがあり、イカは同じようにテトラに向かった。テトラの上に渡ってイカとやり取りするのは危険だが、同じ失敗をする訳にはいかない。危なっかしい姿勢で竿を操作し、掛けバリのヤエンにうまく掛った。

 締めているドラッグからジリジリと糸が出るので、これは大型だろう。何度かの抵抗をかわし、ようやくイカを浮かせた。ギャフで引き揚げたイカは1・6キロ。この秋に釣った中で最大のサイズだった。先ほどの失敗が帳消しになり、喜びというよりホッとした。

 その後、中、小型のイカを3杯追加したが、その後、当たりが遠のいた。午前10時半ごろだっただろうか、イカとは違う当たりがあった。大きく合わせてみると、根掛りしたように重い。生きたアジに食いつくのは、ハマチ、エソ、ヒラメなどが考えられるが、もちろん高級魚のヒラメだといいなあと願う。

 やがて、こげ茶色の平べったい魚影が姿を現した。大きなヒラメだ! もう頭の中で薄作りの刺身を思い浮かべているのだから、口が卑しい。竿を持ったまま砂浜に走り、波に乗せて引き揚げた。43センチの良型だった。

 その夜は、ヒラメの刺身を堪能した。次の日も刺身と唐揚げにして余すところなく胃袋に納めた。吉之助なら、人を呼んで美味を分かち合うだろうが、私はこっそり独り占めにした。西郷どんとは同好の士でありながら、人間のスケールは悲しいほど違う・・・。

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   08:55 | Comment:7 | Trackback:0 | Top
 
 
Comment
 
 亀丸 [URL] #-
美味しかったでしょうね、寒ビラメ・・・。
活きアジでの釣りは、そんな楽しみもありますもんね~。
イカも1.6キロとは凄いです。

瀬戸内では、ついにすべての乗合船がアオリイカ釣りを止めました。
ボウズの釣り客が目立つようになったからです。
次の19日の日曜日、私も釣り納めに行って来ます。
なんとかボウズは免れたいんですが・・・。
見事な大イカと寒ビラメ!! 2010.12.17 (金) 14:35 [Edit]
 アガタ・リョウ [URL] #-
 へへへ、ひまじん兄貴は、釣好し、文章好しで、文と写真を読んでいるだけで、堪能してしまいまする。
 竿を持ったまま、浜を走るのは、小次郎と武蔵の巌流島の決闘なんかを連想していました。映画の中では、武蔵の中村錦之助に小次郎の高倉健でしたがね。

 兄貴、砂浜を走る様は、ダッダッダでしょうね。よもや、ヨロヨロでは無いでしょうね。イッヒッヒ~。
 2010.12.17 (金) 21:57 [Edit]
 たかたん [URL] #NM1EMLgs
久しぶりの、ひまじんさんの釣りの話。
楽しくて、お刺身の写真は、本当に美味しそうです。
ひまじんさんのブログを読んでると、こうも簡単に釣れるものなかと、いつも感じます。
たまに、マネして明石で竿を垂れますが、さすがにひまじんさんのようには行かないです。^^
(道具自体がセット二千円もしないのを愛用ですから。^^)
周りの人はは釣れるが、僕はにはアタリさえない。
で、カメラをもってブラブラしてしまいます。^^
でも、この時期は半端な防寒具では耐えることが出来ない寒さです。
西郷隆盛がイカ釣りの名人だったとは、知りませんでした。硬派の西郷隆盛の意外な一面を垣間見たようです。
おはようございます。 2010.12.18 (土) 09:21 [Edit]
 アガタ・リョウ [URL] #-
 お早う御座います。届きました。早速、味噌を頂きました。母に読んで聞かせました。美味しい美味しい有難い有難いと言って、ご飯を食べて居ました。母子共に、感謝感謝であります。有難う御座いました。
 2010.12.18 (土) 11:40 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   亀丸 さんへ

 ヒラメは本当に美味しかったですよ。
縁側も甘くて・・・
独り占めしてすみませんね。
 瀬戸内のアオリイカは最後ですか。
日曜の釣りが大漁でありますように。
 私は年内に1、2度行きたいのですが、
寒くて気力が萎えます。
 2010.12.18 (土) 17:13 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   アガタ・リョウ さんへ

 砂浜へは必死で走りましたよ。
決して、ヨタヨタではありません。
高い岸壁から砂浜へ降りるのは大変ですが、
刺身を食べられるかどうかですからね・・・。
 お母様に味噌を喜んでいただき、本当に良かったです。
 2010.12.18 (土) 17:17 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   たかたん さんへ

 結構苦労して釣っているのですよ。
釣れる時はすごく釣れますが、駄目な時はさっぱりです。この日は、いい潮に恵まれたのでしょ。
 西郷どんがイカ釣りの名人とは、私も本を読むまで知りませんでした。糸は繭で紡ぐそうで、人から譲って欲しいと頼まれても、断ったそうですよ
 2010.12.18 (土) 17:57 [Edit]






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