森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

雪で立ち往生した男が泣いた・・・

  夕方の4時ごろ、山小屋の玄関ドアを叩く音がした。宅配の配達予定を聞かされていたので、ハンコを持って表に出ると、30歳代と思われる男性が全身に雪をかむり、寒さに震えながらたたずんでいた。

 彼は開口一番、「助けて下さい」と言い、丁寧に頭を下げるのだ。事情を聞くと、ここ生石山の中腹あたりで乗用車が雪でスリップし、動けなくなった言うのだ。車には奥さんと小さな子供が乗っているらしい。

 男性がJAFに電話すると、同じような事故が相次いでいるので、何時に行けるか分からないとの返答。仕方なく消防署に助けを求めたが、「車が燃えていなければ行けない」とのことだったらしい。まあ、そうだろう。

 このような雪では通りかかる車はほとんどなく、近くに人家もない。しかも日暮れが迫っている。山の頂上付近に私たちの山小屋があるのを知っていたので、山道を2、3キロも歩き、助けを求めにやって来たというのだ。水鼻が垂れ、憔悴したような顔つきで、今にも泣き出しそうな表情だった。

 車は日産スカイラインと大きいが、幸い車輪は谷に落ちていないらしい。仲間のピーターとMに助っ人を頼めば何とかなるだろうと、軽トラに分乗して現地に向かった。スカイラインは、車体後部を山の斜面にぶつけたまま道を塞ぐように横向きになっていた。

 3人で車を押し、下り斜面に向かせようとするが、横滑りして制御がきかない。なおさら厄介なことに現場はヘアピンカーブだ。一つ間違えば谷に落ちるし、押しているこちらの身も危ない。時間はかかったが、何とか車を下り方向に向ける事が出来た。

 麓までの道はまだ数キロにわたって雪が積もっており、「はい、それではサヨナラ」という訳にも行かない。またトラブルが起きてはいけないので、私の軽トラに母親と子供を乗せ、雪のない所までついていくことにした。

 母親は、子供に雪を見せようと生石高原に行こうとしていたと言っていた。スカイラインは四輪駆動でないし、しかも普通のタイヤである。そのような車で雪の山道を登れる訳がなく、無謀と言うしかない。毎年こういうドライバーが後を絶たず、あちこちで事故を起こし、人に迷惑をかけているのだ。今回同様、助けを求められるのは、ひと冬に何度かある。

 4キロほど山を下ると道路の雪がなくなり、ここで別れることにした。男性は車から降り、「助かりました。有難うございました。いずれ、お礼に伺います」と声を震わせながら話し、眼鏡の奥に涙が浮かんでいた。

 男性が見せた涙・・・。われわれに対する感謝の気持ちもあろうが、それよりも安堵の気持ちが強かったのではないか。雪の道で立ち往生し、日も暮れてくる。さぞや心細かったに違いない。その緊張感が一気に緩んだのだろう。

 雪道を何の備えもない車で走る無謀は責められて当然だ。しかし、その後とった彼の行動は正しかった。家族を守るため、まごまごせず1時間も歩き続けて助けを求めた。亭主たるもの、家族の危機に対して敢然と立ち向かわなければならないのだ。

 それが男というものである。私を非力に思っている誰かさんに言いたい。「俺も男だ!」と・・・。

 
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   20:27 | Comment:10 | Trackback:0 | Top
 
 
Comment
 
 MacoTan [URL] #pYrWfDco
流石、ひまじんさん!!。
男、ですねェ~!!。
男が泣くまでして、感謝の気持ちを顕すなんぞは、
余程の事ですから...。
不甲斐無さ、感謝、使命感、男の誇り、安堵感など等が入混じり、
生還する事が出来た喜びが、涙として溢れてきたんでしょうね。
男なんてモンは、極端に言うと、普段はどうでもイイのよ。
(別に、ひまじんさんの事では、ありません。(笑))
肝心な時、遣るべき事を、遣る。
コレ、ですよ!!。
イヤぁ~ッ、良い勉強をさせて頂きました。
ひまじんさん!!、男だねェ~!!。
惚れ直しました。
男だ!!。 2011.01.19 (水) 14:44 [Edit]
その人にしてみたら、ひまじんさんが神様仏様に見えたでしょうね。
良い人助けをして、本当に男らしいです。

それにしても、困った人達ですね。
気候のよいときにお邪魔しましたが、この厳寒期にノーマルタイヤであの道を大切な家族を乗せて走るなんて・・・。
一歩間違えたら、それこそ崖下に転落してもおかしくないですね。
雪に慣れていないといえばそれまでですが・・・。

ボートでも天候の悪い中、釣りたい気持ちを我慢できずに出船して地元の漁師に救助してもらって迷惑をかける例が多発して、ボートの出船場所がどんどん無くなっています。
何事も事前に予備知識をつけて、人様に迷惑をかけないようにしたいものですね。
 2011.01.19 (水) 15:23 [Edit]
 kumoki [URL] #-
ひまじんさんの文章がお上手すぎて、「なるほどぉ…」と納得しそうですが、この男性にはやっぱり、わははは! と笑ってあげるべきでしょう。しっかりしなきゃ~ と。
それにしても、そんなことがひと冬に何度もあるなんて驚きました。
高原暮らしにはそんな大変さもあるんですね。
 2011.01.20 (木) 06:22 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   MacoTan さんへ

 「普段はどうでもイイのよ」・・・
そ、それです。私が書きたかったのは。
ズバリ言っていただいて有難うございます。
この言葉、女房に大声で言ってほしいものです。
 「男だねェ~!!。 惚れ直しました。」
こちらも有難うございます。
ま、謙遜する訳ではありませんが、そのような男じゃないんです。情けない男です。
   
 2011.01.20 (木) 09:40 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   亀丸さんへ

 本当に、一歩間違えば谷底です。
雪の怖さを知らない無謀さ。他人の車と衝突しなかったのがせめてもの幸いです。
 このような山奥で暮らしていますから、助け合いは当然のことです。
 ボートの無謀さも困ったものですね。
それで、使える港が少なくなるのは、自分で首を絞めているようなもの。私自身も気を付けたいと思います。
 2011.01.20 (木) 09:45 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   kumoki さんへ

 そうですね。笑って許して、私たちの懐の深さを見せるべきだったでしょうね。
 余談になりますが、男性の奥さんはあっけらかんとした人で、人に迷惑をかけているという気持ちが希薄なんです。ケラケラ笑ってばかりで、夫の意気消沈とは対象的でした。面白い夫婦でした。
 2011.01.20 (木) 09:52 [Edit]
 たかたん [URL] #NM1EMLgs
こんにちわ。
まさにドラマですね。
冬装備もなしに積雪がある山に来るまで来るのはなどとヤボな事は無しにして。
ひまじんさんんも隣人の方々も男ですね。男気が、ことらにも深々とつたわりました。
彼の流した涙は、ひまじんさんの推測どうりだと思います。
この車の持ち主は、今後はこのよな無謀はしなくなるでしょうね。^^
しかし、毎年このような事が何回か起こると言うのは、都会暮らしではやはり雪の怖さが解ってるようで解ってないんですね。
と、いいつつ僕も遥かな昔に同じような経験があるからですが。^^
☆ペットの値段って本当に、なんともはやです。
ネットを通じて、子犬などがいただけるとは知りませんでした。
知った時には、すでに遅しで懇意にしてもらってるペットショップさんに頼んで妻のネコアレルギーを検証実験をして清潔で長毛のネコだとアレルギーが出ない事が分かり丁度、可愛くて通いつめてたネコを買っちゃいました。ちょっと高価でしたが、子供がいない我が家では、まあ。いいかです。
元々は僕もネコが嫌いだったんですが、その自分がネコを飼うなど不思議な気分です。
さすがです。^^ 2011.01.20 (木) 16:16 [Edit]
 都筑の風@横浜 [URL] #-
森に暮らすひまじん さん

やはり、”森に暮らす”というのは、
世俗での生活では考えられない事が起きるものですね。
”人命救助”ご苦労様と言うかお疲れさまでした。
>私を非力に思っている誰かさんに言いたい。
>「俺も男だ!」と・・・。
薪ストーブ作りに斧を振るっているだけでも
十分「男」なのに、やはり救助現場に奥さんも
同行し、救助された家族の“涙”を目の当たりに
しないといけませんかね。


  都筑の風@横浜

 2011.01.21 (金) 09:36 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   たかたん さんへ

 このところの冷え込みで、雪が消えません。道路にも氷が張り付いています。本当に都会の人は、雪道の怖さを知りませんね。
 ネコがご家族の一員になったのですね。
夫婦の会話も、ネコの話題が増えて楽しいでしょう。
ただ、長期の旅行が出来ないのが難ですね。
 2011.01.22 (土) 17:29 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   都筑の風@横浜 さんへ

 いやはや、女房が小うるさくなりました。
働いている時は、そうでもなかったのですが…。
やはり、稼ぎなのでしょうか。
 ただ、不器用なんで時々ヘマをやらかします。
それが男らしくないと映るのかもしれません。
悔しいけれど・・・。
 2011.01.22 (土) 17:34 [Edit]






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