森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

東北には震災復興の土俗的な力あると思う・・・

 東日本大震災からひと月が経った。地震発生時刻のきのう午後2時46分、被災地にサイレンが響き渡り、多くの人々が黙とうを捧げた。テレビに映し出された少女の頬に涙が伝っていた。これを見て、また、熱いものが込み上げてきた。

 被災地の映像や新聞報道に触れ、涙しない日はない。年を取って涙もろくなったのも事実だが、被災地の残酷な現実と支援の温かさに激しく心を揺さぶられるのだ。「男は泣くな!」と言われて育ってきたし、女房の前で泣くのも気恥ずかしいので、煙草を吸う振りをして外に出て涙をぬぐうこともある。

 一日も早く復興してもらいたいと願うばかりだ。それには多くの時間と資金が必要だし、政治の力も試される。しかしその原動力になるのは、被災地の人々の心にあるのではないかと思う。東北には古くから、静かで熱い土俗的な力が息づいていると信じている。「原初的エネルギー」とでも言うのだろうか・・・。

 2年前、紀伊半島の山奥を抜け出し、東京国立博物館へ「国宝土偶展」を見に行った。もちろん、それだけが目的ではなかったが、縄文の精神世界を見たかったからだ。写真でしか知らなかった数々の本物を目の当たりにし、縄文人のエネルギーを心に刻んで帰った。

 土偶は、紀元前7000年ほど前から同400年ほどの間に作られ、主に東日本から多く出土している。祭祀に用いられたと言われる。祈りを捧げる像、仮面を付けた像、妊娠している女性像など、どれも不思議な造形だった。

 画家の岡本太郎は生前、テレビCMで「芸術は爆発だ!」と叫んだ。この意表を突く言葉は、縄文時代に作られた火炎土器に触発されて生まれたと言う。火炎土器は、炎が燃え立つような飾りが施されている。なるほど、古代人のエネルギーが爆発しているように見えるのだ。

 このような縄文土器もまた、東日本、とくに東北地方に多い。これらの土器も実用というより、祭祀のために作られたと言われる。縄文人の暮らしは、狩猟、採取、漁労によって成り立っていた。すべてが自然からの授かり物であり、人々は豊かな恵みを願って土器を作り、自然に向かって敬虔な祈りを捧げてきたのだろう。

 土偶や土器が発する不思議なエネルギー・・・。これらを生み出した東北地方には、人間の根源的なエネルギーやバイタリティーが脈々と流れていると思う。だからこそ、復興の大きな力になり得ると考えるのは間違いだろうか。

 関西で生まれた私は、遠い東北地方に関心を寄せて来た。5年前には、17日間かけて東北を旅したことがある。温泉に入り、山を歩き、博物館を覗くなど、ただの観光客に過ぎなかったが、東北を知りたいという思いが旅の動機だったことは間違いない。一層愛着を深めた東北だけに、今回の大震災は大きな衝撃だった。

 なぜ、私が東北に惹かれるのか・・・。良く分からないが、多分、かの地には人間のあるべき姿が見えるからかもしれない。大和朝廷に立ち向かった蝦夷の誇り高さとたくましさ。藤沢周平が描く東北武士の清貧さ。山本周五郎の「ながい坂」には粘り強い東北人が登場し、熊谷達也の「邂逅の森」では自然に抱かれるマタギの精神世界が描かれている。

 学生時代の友人に、岩手出身の男がいる。彼はひどく寡黙で、論争してかなりの時間が経ってから怒ったり、笑ったりするほどだった。どんなことがあろうと、エキセントリックになることもなかった。個人の資質かもしれないが、今から思うと、東北人の典型を見る思いがしている。そんな東北の風土と気質が好きである。

 私はどこにでも転がっているミーハー的な東北ファンにしか過ぎない。書けば書くほど無知をさらけ出しているようで恥ずかしい。ただこれからの復興に向けて、東北の精神文化が大きな力になることを願っているし、そう信じている・・・。
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   09:18 | Comment:2 | Trackback:0 | Top
 
 
Comment
 
 兄貴の記事を拝読して、山形出身のウマの合った学友★★を思い出しました。一つ年上でしたが、野武士の様な雰囲気を持っていた好い男でした。
 普段は大人しい沈着冷静な態度なんですが、酒を下げて良くアパートに来ていました。造り酒屋の生まれなのだそうでしたが、祖父が飲み潰したと言ってました。チビリチビリの酒呑みのDNAの持ち主でした。兎に角、飲むと年上の頑固で煩い男でした。へへへ。
 2011.04.14 (木) 22:37 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   アガタ・リョウ さんへ

 下宿で酒盛り・・・。思い出しますね。まさに、青春そのもでした。よくも飽きもせず、あんなに議論したのかのだろうか。エネルギーがあふれていたのか、理想に燃えていたのか。いい思い出です。
 山形の学友は今、どうしているのでしょうね。
 2011.04.17 (日) 12:34 [Edit]






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