山開きの餅投げ、今年も女房に負ける

 「明日、ヨコワと鯛の刺身を持って山に上がるよ~」--。生石山の麓で農器具店を営む社長の奥さんから、私たちの仲間ピーターに電話があった。「明日」とは、生石の森にある別荘地の山開きが行われる日である。

 山開きは、餅つき大会と餅投げが行われ、別荘地の人たちや麓の農家の人たちが楽しみにしており、なかなかの賑わいになる。冬の間は閑散としていた森に活気が戻って来るのだ。

 さっそく、我らのボスでもあるピーターから召集の号令がかかった。当日、ピーターの山小屋には10人余りが集まった。大皿には山盛りの刺身が並べられている。持ってきてくれた奥さんの親戚が南紀地方で遊漁船をしており、前日に釣ったばかりだから飛び切り新鮮だ。ヨコワは今が旬の魚である。

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 刺身と焼き肉を肴に、真昼の酒盛りである。前の道を多くの人が通りかかり、顔見知りが飛び入りして刺身や肉をつまんで行く。

 昼過ぎ、餅つきが始まった。ヨモギをたっぷり入れたつきたての餅をあんこときな粉で食べる。たちまち100人くらいの行列ができる。女房の好物だから私も並ばされ、女房の分をもらうのだ。皿には二個の餅が入っており、女房は平気で二皿平らげる。

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 これが終わると、餅投げである。紅白の幕を張った櫓から、もち米6俵分にもなる餅がばらまかれ、絶叫、歓声が渦巻くメーンイベントなのだ。誰もがレジ袋を手にし、一つでも多く取ろうと目が輝いている。
 
 女房に対しつまらない競争心を抱いている訳ではないけれど、拾う餅の数は今年こそ女房に負けられない。情けないが、毎年私は連戦連敗なのだ。これでは、亭主として、男として、沽券に関わる。

 広場の地面は、前日の雨で水浸しだ。転ばぬよう気を付けねばならない。女房は少し離れた所で、足踏みしながらウォーミングアップしている。落ちて来る餅をダイレクトにキャッチしていては多くを取れない。地面に這いつくばって、こぼれた餅を拾うのがコツである。

 バラバラと餅が投げられ始めた。しゃがんで落ちて来るのを待つが、なかなか拾えない。目の前に落ちてきたと思ったら、子供にかすめ取られてしまう。やっと手にした餅を隣のババアが力ずくでねじり取ってしまうのだ。

 中盤に差し掛かると、十個くらいの餅が目の前に落ちてきた。覆いかぶさったところ、後ろにいたババアが私を押し倒したのだ。ズボンはびしょ濡れ、水がパンツまで染み込んで冷たい。私の手には1個が握られているだけだった。それからは自尊心もかなぐり捨て、子供の手からも奪い取ってやった。我ながら情けないと思ったが・・・。

 餅投げの狂騒は数十分で終わった。みんな、私より重そうなレジ袋をぶら下げている。やがて、女房も泥だらけになってやって来た。袋を見たところ、いい勝負かもしれない。投げられる餅はビニール袋に二個入っており、袋の数を数えてみると、女房20袋、私が17袋。ああ、また負けた。

 敗因は、自尊心を捨てるのが遅過ぎたのだ。格好つけていては拾えなと、今年もまた教えられた。それでも夫婦で37袋、計74個もの餅を拾えた。年金生活者にはまことに有難い…。

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コメント

  へへへ、兄貴の後姿見っけ~。好いですねぇ。

餅拾い。 色男 風流の心災いて 今年も負けたなり。女房とババア見比べて 女房 ババアに為るなよ。 
と男の吾は 餅三つのリベンジ 誓うなり。

 それにしても、美味そうな刺身ですね。何と肉厚プリプリしてます事やら。

ダイレクトキャッチ

私も今年の初めに、我が家の近くで餅投げがあり、拾いに行きました。子供の頃を思い出して、とても楽しい思いをしました。
私は落ちてくる餅を両手でダイレクトに取って、ズボンやジャケットのポケットに入れました。
待っていたところが良かったのか、ひとりで三十袋位取ったように思いました。
来年はダイレクトキャッチを試みられてはいかがでしょうか。

はっはっはっ。
後ろにいたババアには笑いました。
今年も奥様に負けてしまいましたねぇ。

来年に向けて秘策をひとつ提案します。
鮎釣りの網を持って臨んではどうでしょう?
ひまじんさんは鮎釣りの名手ですから、かなりのお餅をダイレクトにキャッチできると思うんですが・・・。
でも、鮎釣りの格好でお餅を待ちうけるひまじんさんを想像すると、それもまた笑えますけどね~。

懐かしい・・・

餅のばら撒きと聞いてガキの頃を思い出します
近所の神社で、節分に豆、ミカン、餅のばら撒きがありました
その中でも、餅は一番人気で目の色変えて争奪戦に繰り出してましたなぁ

 アガタ・リョウ さんへ

 「色男 風流の心災いて」ではありません。ただのドジなのでしょう。他の人のレジ袋を見て、つくづくそう思いました。
 ヨコワの刺身は、本当にプリプリでした。これを肴にビールを飲み過ぎて、餅投げの時に動作が緩慢になっていたのかもしれません。ただの言い訳・・・。 

   ハカマ さんへ

 30個とはさすがですね。多分動きが機敏なのでしょう。私も何回かダイレクトキャッチを試みましたが、飛んで来る前に押されキャッチ出来ません。まあ、夫婦で当分の食糧を確保しましたから、良しとします。

   亀丸 さんへ

 いやー、ババアのパワー、厚かましさには参りました。白いズボンをはいていってのですが、ババアに倒されて泥だらけになりました。情けなくなります。
 鮎の玉網でとれば簡単ですが、武士道を重んじる私には出来ません。武士は食わねど・・・はいそうです。

   タマモクロス さんへ

 昔、餅投げは棟上げ式につきものでした。私も懐かしさの余り、ついむきになっています。ただ、都会ではこのようなことはなくなりつつあるのでしょうね。こちら和歌山は田舎ですから、各地に餅投げが行われています。もう少し若ければ、梯子をするんですがねえ。

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