森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

アオリイカ・・・一進一退の攻防

 紀伊水道にボートを浮かべ、アオリイカの釣りを始めて40分ほどが過ぎている。さあ、そろそろ泳がせているアジにイカが食いつくぞ。そんな期待に胸を膨らませながら、竿先を見つめ続けた。

 やがて、「コン、コン、コン」とアジの動きを伝える竿先が、お辞儀したままピタリ止まった。すると、竿先がグイッと海中に引き込まれ、リールの糸が少しずつ出て行く。糸を派手に引き出すイカはそう大きくないが、このような糸の出方はどこか重量感がある。大型に違いない。腕時計を見ると午前7時45分だ。

 イカがアジを食べるのに夢中になり、警戒心が薄くなるのを待って寄せにかかるのが、この釣りのセオリーである。せっかちの私は、人より早目の2分くらいしか待たない。時計を見ながら待つ間は、胸が張り裂けそうになる。その間にも断続的に糸が出ている。止まってくれ! 走らないでくれ!・・・。

 いよいよ引き寄せの開始だ。竿を持ち上げ、リールをフリーにしたまま1秒1センチくらいの感覚で寄せる。それでもイカは抵抗を感じ、大量の水をジェット噴射しながら遠ざかって行く。少し寄せては、糸を引き出されるの繰り返しである。まさに一進一退の攻防だ。

 どれくらいの時間が経っただろうか。余り時間をかければ、イカがアジを食い尽して逃げてしまう。手をこまねいていても仕方がない。少し早いと思ったが、ヤエンという掛けバリを糸に装着して海中に送った。一か八かの勝負である。強引に寄せながらヤエンをイカまで送り込んで行く。

 竿に伝わる重量感、ジェット噴射の凄まじさからすると、かなりデカイはず。竿を寝かして強く引くと、竿が海中に持ち込まれた。うまくヤエンに掛ったようだ。「ジッー」という音を立て、リールのドラッグが激しく逆転する。こちらも必死だが、イカも死に物狂いだ。

 寄せては潜られ、潜られては寄せる。その繰り返しで竿を支える左腕は棒のようになってきた。手の付け根はコブラ返りの一歩手前。しかし、ここで慎重さを欠いては糸が切れるか、イカの身が切れるかだ。

 やがて10メートルほど前方でガバッと海面が割れ、イカの姿が見えた。デカイと思った瞬間、墨を噴射しながら海中に潜った。これを10回くらい繰り返し、やっとタモが届く所まで寄って来た。タモで掬おうとした瞬間、また潜られた。もう一度やり直しだが、イカが大きくてタモに入らないのだ。

 しかしヤエンは足の根元にガッチリ掛っているので、外れる心配はない。二度三度と試み、何とかタモに収めたが、三分の一ほどがタモの外にはみ出していた。見れば見るほど大きい。精根尽き果てて取り込んだこのイカは、港に帰って馴染みの漁師に計量してもらうと、重さは3・2キロ、胴長46センチだった。

 3キロオーバーはアオリイカを狙う釣り人の勲章である。それを手にした喜びは大きい。クーラーボックスに巨体を折り曲げて入れた。ゴルフボールほどもある緑色の目が私を見上げている。汚れのない美しい瞳だった。かわいそうなことをしてしまったなあ・・・。忸怩たる思いが込み上げてきた。

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   08:04 | Comment:8 | Trackback:0 | Top
 
 
Comment
 
 isshy [URL] #-
くわー!
と文字に出来ない感嘆詞をあげるBLOGですね。
あまりの大きさと凄さに、コメントもせずに、×で閉じてしまいましたよ。しかし、そんな失礼をしちゃあいけないです。素直におめでとうございます!
オオイカとの死闘に買った勝者は、敗者の瞳を美しいと褒めるんですね。笑
味はどうなんでしょう?鯛とちがって大きすぎても美味なんでしょうね。いいなあ。
 2011.05.11 (水) 00:41 [Edit]
ひぃ~!!
3キロアップとは恐れ入りました。
初めて見ました。凄い・・・。
やはりアオリイカは和歌山ですね。

コイツとの格闘のくだり、釣り人としては背中が熱くなるのを感じながら読ませていただきました。
たまらん引きだったでしょうね。
あんなに柔らかい磯竿でよく獲れるものだと思います。
感服いたしました。
流石我が師匠!!
 2011.05.11 (水) 21:19 [Edit]
 ハカマ [URL] #-
勲章のつくアオリイカを釣り上げ、おめでとうございます。
イカとのやり取りが手に取るように伝わってきます。大物をかけたときのワクワク感はたまりませんね。
イカ釣りはまだ経験のない私ですが、挑戦したくなりました。その時は是非、ご指導をお願いしたいものです。
すごいですね 2011.05.12 (木) 03:22 [Edit]
 さすけ [URL] #-
3キロオーバーとはお見事です!!
せいぜい1キロ弱しか揚げたことがないので
それだけ大きいのは想像がつかないです。
いやぁ、しかしヤエン釣り楽しそうだなぁ。。。

ひまじんさんのホームグランドで鮎が始まってしまいましたね。
かなりフライングな感は否めませんが、今年はどんな年になるか楽しみですね。
雨は鬱陶しいですが、降るべき時にしっかり降って、いいシーズンになって欲しいです。。。
おめでとうございます。 2011.05.12 (木) 19:18 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   isshy さんへ

 激励、ありがとうございます。
アオリイカの目は緑色に縁取られ、本当に美しいまなざしです。見つめられると、チクリ心が痛みます。
 確かに鯛は大き過ぎると大味ですね。
イカも1キロを超すと、身が堅く、それほど美味しいとは言えないのです。3キロになると、バター焼きか天麩羅、お好み焼きに入れるくらいです。
 2011.05.13 (金) 06:38 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   亀丸 さんへ

 あの強烈な引きを亀丸さんにも味ってもらいたいですね。ドラッグの調整をしておかないと、糸が切れてしまいます。3キロを超すと、パワーがケタ違いです。
 まだまだ大型のシーズンが続きますので、クルーザーを紀伊水道に回航して、挑戦してみて下さい。
 2011.05.13 (金) 06:44 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   ハカマ さんへ

 アオリイカの引きは、体内に取り込んだ水を噴射して抵抗しますから、魚の引きとは違います。これがたまらないのです。
 ぜひ、この釣りに挑戦してみて下さい。必ず、はまってしまいますよ。しかも、そちらにはいい釣り場がありますからね。ただし、見よう見まねではなかなか釣れません。僭越ですが、お手伝いさせていただきますよ。秋イカのシーズンがいいと思います。
 2011.05.13 (金) 06:50 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   さすけ さんへ

 ヤエン釣りはゲーム性が高いので、面白いですね。
針にアジを付けている点で鮎釣りと似ていますね。
 その鮎釣りですが、おっしゃる通り、有田川はフライイングです。川に敬意が払われていません。
腹を立てています。
ですから、私は5月下旬までは川に入りません。ま、イサギやイカのシーズンですからね・・・。
 2011.05.13 (金) 06:55 [Edit]






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