森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

薬師岳(その5)・・・山頂に立つ

 さあ、今日は薬師岳の山頂に立つ。天気はどうだろう。まだ薄暗い外に出ると、すっぽりとガスに包まれていた。それでも午前4時過ぎから、ご来光を拝もうと多くの人が続々と山頂を目指して行った。

 私たちは朝ご飯を食べながら様子を見ることにした。「もう少し待ってみる?」と女房。「いや、帰りの道のりが長いので、行こうよ」。濃いガスの中、まなじりを決して5時40分、山荘にリュックを置いて出発した。

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 登り始めてしばらくすると、ご来光を見に行った人たちが長い列を作って下りてきた。「頂上はどうでした?」「なーんも見えません。寒いし風も強かったですよ」。うーん、そうかあ。楽しみにしていた北アルプスの展望は諦めざるを得ない。これもまた、不確実要素の多い登山の現実なのだ。

 がっかりしながら、ジグザグの道を登る。15分くらい経っただろうか・・・。

 おっ、あれは槍が岳か?天を衝くような岩峰がかすかに見えた。「おーい」と叫んで女房を立ち止まらせる。「運がいいかもね」と喜ぶ女房。つましく、悪事を働かずに生きる我らに神がほほ笑んでいるのだ。

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 みるみる雲が流れ、はっきりと槍が見え、その右に穂高の険しい岩陵が続いている。目を右に転じると、昨日見た黒部五郎がもっと鮮やかに見えた。その左は、形から笠ケ岳のようだし、奥に横たわるのは乗鞍かもしれない。

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    ↓ 威厳に満ちた黒部五郎岳。左は笠ケ岳?その奥は乗鞍岳?
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 振り返ると、薬師岳山荘が朝日を浴びている。やがて、薬師手前のピークに建てられている避難小屋に到着した。ここからは、後立山連峰の素晴らしい景色が見渡せた。

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 槍、穂高の手前には、水晶の峰がそびえている。雪渓を抱える広大なカール。地球の底にでも滑り落ちそうな斜面が続いていた。避難小屋から左手に進路をとると、その前方に薬師岳山頂が目に飛び込んできた。あともう少しだ。

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    ↓ 手が届きそうな所に山頂が。薬師如来の祠も見える
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 ついに、その時がやって来た。午前6時40分、われら夫婦は標高2926mの頂きに立った。

 夫婦がともに元気で登れたことが、何よりうれしかった。「よく歩いて来られたわねえ」・・・。それが女房の第一声だった。健康であることの素晴らしさをしみじみ噛みしめる。ベテラン登山者には何でもない山かもしれないが、私たちなりの達成感を存分に味わった。

    ↓ 女房が頂上の岩に足をかけ登頂
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    ↓ 後ろ姿で失礼します
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 お互いが記念撮影したあとは、長い間、黙って山岳パノラマに見入った。やがて北の雲が流れ、剱岳、去年登った立山も見え始めた。思えば、薬師に登りたいと思ったのは、立山から見えた大きく、大らかな山容に魅入られたからだ。今、その夢が叶ったのだ。

    ↓ 雲間から左に剱岳、右に立山の雄山、浄土山が見えた
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    ↓ にわかに雲が湧いてきて、絶景を隠してしまった
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 そうそう、これからの健康を願って、金の薬師如来像が安置されている祠にお参りせねばならない。その時、女房が岩の間に落ちていた100円玉を拾った。自分の財布を開いて100円玉を賽銭箱に入れ、拾った100円は「あなたの分」と言ってチャリン。なーんか、ご利益も半分になりそうな・・・。

 山頂には1時間も滞在した。その間、目の前に広がる光景に、ただ圧倒されていた。しかし、また雲が湧いてきた。山の天候は気まぐれである。私たちを待っていてくれたかのように、1時間半だけ北アルプスの峰々が姿を現してくれたのだ。感謝あるのみ。

 そろそろ下山しよう。薬師を後にすると、まぶしい朝日が、帰りの斜面に私たちの長い影を映し出した。今夜は平湯温泉だ。足取りは重かったが、素晴らしかった山頂の余韻を楽しむように、ゆっくり下った。無事下山し、登山靴を脱いだ時、もう次に目指す山のことを考えていた。

 「来年も北アルプスに来たいね」。そう話しかけると、女房は「お一人でどうぞ。私は絶対行かない」。もうこりごりという口ぶりだった。女房は黙っていたが、精根尽き果てたのだろう・・・。    (完)

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   07:33 | Comment:7 | Trackback:0 | Top
 
 
Comment
 
 薬師岳シリーズ完ですね。はい、やっとコメント出来ます。物静かな語りと写真。夫婦の登山行好かったですよ。途中でのコメントが憚れる様な熟年夫婦の登山行には、味が有りました。
 初日の二日酔いに、布団部屋での大鼾・歯軋りに耐えて、一時間半の大パノラマ・・・これほどのご褒美は無いでしょうね。お天道様の粋なプレゼントですね。

 兄貴、姉貴の登山行への体力確認から始まった薬師岳登山の序章。用意周到さと深追いをすっぱり払うと云う行動指針の持ち様は、流石に賢兄の面目躍如で、安心して読み進める事が出来ましたよ。ご苦労様でした。平湯温泉で、湯疲れしてお帰り下さい。お見事!!
 2011.08.15 (月) 17:20 [Edit]
 『キラリ館』 [URL] #-
はじめまして。
『キラリ館ブログキング』と申します。
ご訪問いただければ幸いです。
 2011.08.15 (月) 18:58 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   アガタ・リョウ さんへ

 まことに、もったいないコメントを頂き、有難うございました。女房とコメントを読み返し、ひたすら感謝している次第です。
 お陰さまで、無事登ることが出来ました。毎日、近くの生石山に登り、鍛えてきたつもりです。しかしやはり、われら高齢者は何かと不安を感じるものです。
 アガタさんの生息域にニアミスしましたが、来年はもっと近い所に挑戦したいと思っています。
 有難うございました。
 2011.08.16 (火) 10:41 [Edit]
 亀丸 [URL] #-
薬師岳からの大パノラマを楽しませていただきました。
ひまじんさんご夫婦が山頂に居る間だけ壮大な景色が姿を現すとは、本当に人徳だと思いますよ。(笑)
ご夫婦揃って健康でこれだけの山に登れるなんて、素晴らしいですね。
若輩の私でも無理だと思います。
でも一緒に登らせていただいたような気持ちにさせていただけたシリーズでした。
ありがとうございます。
 2011.08.18 (木) 06:48 [Edit]
 つとりん [URL] #-
お久しぶりです。

登山もいいなぁと漠然と思っている今日この頃。
薬師岳の大自然を楽しませていただきました。

22年前のキャンプ場の話は、その不安さが伝わってきました。
実は初めて訪れたキャンプ場が奥飛騨だったのですが、
ナビが狭い山道を案内し不安になりました。
当時は道路地図のみでしょうから、もっと不安だったことと思います。

それ以来信州からは足が遠のいているのですが、
ひまじんさんの記事を見て、平湯温泉あたりに行ってみたくなりました。

 2011.08.18 (木) 12:38 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   亀丸 さんへ

 本当に奇跡のような1時間半でした。
北アルプスの風景はなかなかのものでしょう?
じっくり堪能してきました。
 亀丸さんも、腹回りを改善し、一度挑戦してみて下さい。新しい世界が見えますよ。
 長文の薬師紀行に付き合っていただき、有難うございました。
 2011.08.18 (木) 18:11 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   つとりん さんへ

 こちらこそご無沙汰です。信州、飛騨はいいですよ。少し遠いですが、北アルプスの風景は圧巻です。私は、キャンプと言えば、こちら方面ばかりでした。
 奈良のみたらい渓谷キャンプを読ませていただきました。美しい川ですね。本物のエメラルドグリーンでしょうね。
 それにしても、今年はゲリラ豪雨が多いですね。ご苦労された様子が伝わってきます。以前書いたことがありますが、豪雨で太い木の枝がテントに落ちてきて、大騒ぎしたことがあります。
 2011.08.18 (木) 18:24 [Edit]






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