森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

薬師岳のあと・・・山の村から新穂高へ

 薬師岳からの帰りを番外編で・・・。

 折立登山口に無事下山し、その夜の宿泊地・平湯温泉に向かった。有峰湖に沿って神岡方面に向かうのだが、その途中、「山の村」という地域がある。ここにはずっと昔の思い出がいっぱい詰まっており、その地をもう一度訪ねるのがこのコースを選んだ理由である。

 それは22年前。私たち夫婦と子供3人の一家は、車にキャンプ道具を満載して信州を回り、安房峠(今のようにトンネルはなかった)を越えて飛騨地方に出た。子供たちに素晴らしい北アルプスの山岳風景を見せてやろうと、新穂高ロープウェーに向かったが、強風のため運転を中止していた。

 やむなく、あてどもなく車を走らせていると、「山の村キャンプ場⇒」という小さな看板に目が止まった。「行ってみようか」と話がまとまり、細い道に入った。それはデコボコの砂利道。おまけに、道路にまで雑草が覆いかぶさっていた。子供たちは車が激しく揺れるのに閉口し、引き返そうと言う。

 車を運転する私も、次第に不安になってきた。とっくに集落はなくなっており、うねうねと山道が続いた。こんな山奥にキャンプ場があるのだろうか。すれ違う車は1台もない。戻ろうと思いかけた時、急に明るい草原が現れた。そこがキャンプ場だった。

 その時の不安の連続と、やっと辿り着いた安堵感が、一層思い出を深くしている。女房は神岡の小さな商店で買った土地独特の大根漬けが忘れられないと言い、子供たちは怖かったと口をそろえる。たったそれだけの思い出に過ぎないが、山の村キャンプ場は家族それぞれの心に今も残っているのだ。

 そのキャンプ場を訪ねようとしたが、道路は広いアスファルトになっており、昔辿った道は見つからなかった。日本の国土は、20年も経つと随分変わってしまうものだなあと、改めて思った。その土地に住んでいる人には申し訳ないが、隠れ里のような奥地が開発されずに残ってほしいと思うのは、身勝手だろうか。

 平湯温泉に泊まった翌日、女房は新穂高ロープウェーに是非乗りたいと言う。女房の独身時代には霧か強風のため乗れず、例の22年前は強風。今回が三度目の正直という訳である。それが、やっと実現した。

 標高2156mの展望台に出ると、雲が下からモクモク湧きだし、槍や穂高連峰が今にも隠れそうになっていた。しかし、何とか間に合った。槍と小槍、目の前に圧倒的な岩陵を見せる西穂高、振り向けば焼岳がきれいに見えた。そこから右に目を転じると、白山の山並みも見えた。

    ↓ 槍が岳
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    ↓ 覆いかぶさるように迫る西穂高
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    ↓ こちらは雲が少なく、焼岳は目の前に
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 笠の形をした笠ケ岳はもうほとんど雲に隠れようとしていて、残念だった。実は密かに、来年はこの山に登りたいと思い、色々とした調べもしていた。山の形の美しさもさることながら、昔読んだ新田次郎の小説が印象深かったからだ。

    ↓ 雲に隠れる寸前、笠ケ岳の姿が見えた
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 小説の題名は「槍ケ岳開山」。主人公の念仏僧「播隆上人」は、各地の人々から尊敬を集めていた。笠ケ岳の麓に滞在していた時、集落の人たちとともに笠ケ岳への道を開拓、信仰の山として再興を果たした。

 展望台で、雲に隠れようとする笠ケ岳を眺めながら女房に小説の話をした。この後、展望台を下りて森の散策道を歩いた。すると、その中ほどに播隆上人の像が建っているではないか。少年のような顔立ちで、小説で想像していたイメージとはまったく違った。

 上人像は、左手で指を指していた。自らが死を賭して開山した槍が岳の方へ導こうとしているのだろうか。この像の前で、またも播隆上人による槍が岳開山のウンチクを開陳したが、女房は「ふーん」と相槌は打つものの、聞いている風ではなかった・・・。

     ↓ 偶然というか、播隆上人像と出会った
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   06:47 | Comment:2 | Trackback:0 | Top
 
 
Comment
 
 ハカマ [URL] #-
長文の山紀行を楽しく読ませていただきました。いつもながらのユーモアのある内容に感服いたしました。
薬師岳への登頂おめでとうございます。そして、いい山の写真を見せて頂いてありがとうございました。
苦労して登った者にしか分からない山頂からの景色は、いつまでも目の中に残っていると思います。
私達夫婦も、日本百名山を目指して頑張っていた頃を思い出し、懐かしさが戻ってきました。
特に薬師岳は、有峰湖から入って、薬師岳→黒部五郎岳→三俣蓮華岳→鷲羽岳→水晶岳を縦走したコースが、今でも忘れることは出来ません。
今は体がいうことを利いてくれないので仕方がありませんが、「もう一度登りたい」と思わせてくれる、今回の薬師岳登頂記事でした。
山はいいですね 2011.08.19 (金) 07:06 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   ハカマ さんへ

 長文にお付き合いいただき、有難うございました。
それにしても、薬師、黒部五郎、水晶などへの縦走を経験しておられるとは・・・。よく歩かれたですね。尊敬です。
 もう次に登る山を考えています。年齢相応となると限られますが、無理はしたくありません。またアドバイスして下さい。
 ハカマさんも復活されてはいかがでしょう。
 2011.08.20 (土) 17:56 [Edit]






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