森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

三丁目の夕日・・・滂沱の涙

 女房が友達と旅行に行っていて、凍てつく山小屋に一人取り残されている。三度の食事を作るのは面倒だから、朝は食パンを焼き、昼はレトルト食品を電子レンジでチン。夜も冷凍食品で済ませる。

 それも飽きたので、ラーメンが食べたくなった。和歌山市にそこそこ美味しい店があるので、1時間余り軽トラを飛ばして食べに行った。ついでに書店にも立ち寄った。同じ建物の2階にあるシネコンを覗くと、「三丁目の夕日」を上映していた。第一作目を観ているので、ちょうど良かった。

 映画は3Dだった。映像が飛び出してきたり、遠近感があったりするので面白いが、画面が少し暗い。

 時代は昭和39年、東京オリンピックの年である。映画の舞台になっているスズキオート店はオリンピックに合わせてカラーテレビを買った。貧しい小説家竜之介の家は白黒テレビ。竜之介は「白黒の方が想像力が湧く」とむきになる。

 スズキオートの一家はつつがなく、この一家とともに暮らす集団就職の少女はすっかり娘さんになり、医師の彼氏が出来た。竜之介の女房小雪は子を授かり、お腹が大きい。竜之介に引き取られて育てられた少年は東大を目指す秀才に成長し、竜之介と小雪に見守られながら、つましいが幸せな生活を送っている。

 戦後もやがて20年。この昭和の社会には、新幹線が開通するなど活力がみなぎっていた。車も家電製品も人間もアナログだった。向こう三軒両隣の良き隣人がいた。人情があった。映像はそんな昭和の風景を描き出していた。

 さて竜之介だが、ある日「チチキトク」の電報を受け取った。しかし、自分を勘当した父親に会いたくなかったが、小雪にすすめられ渋々故郷に帰った。床に伏せる老いた父親は、竜之介の顔を見るなり「勘当したはずだ。帰れ」と声を荒げた。

 やがて父親は死ぬ。竜之介は葬儀に空々しい態度だった。伯母は「あなたはお父さんの本当の気持ちを知らない。お父さんはいつもあなたが連載していた本を買い、何回も読み返していた。半端な気持ちで小説家を目指してほしくないため、勘当してまであなたを瀬戸際に追い込んだのです」と語った。

 竜之介が自分の部屋に入ると、本棚には連載していた本が整然と並べられていた。本には父親が書いた感想文が挟まれていた。「よく書けている」などと律儀そうな文字に、父親が息子に向けた思いが込められている。竜之介は初めて、勘当の真意を思い知ったのだ。

 こういう場面になると、私の涙腺はもう全開だ。滂沱(ぼうだ)の涙である。鼻水も流れ落ちる。ポケットに入れていた小さなタオルは、ぐしょ濡れだ。隣の人に恥ずかしかったが、嗚咽も漏れた。

 近年、涙もろくなってしまった。テレビを見ていても、本を読んでも涙がこぼれる。老いて涙腺が緩んだのだろう。特にこの映画では「父親の真意」が描かれており、わが琴線に触れた。

 父親というものは、母親と違ってぶっきらぼうだし、理詰めで物事を語ろうとするから感情が伝わり難い。3人の子供の父親である私も、幾度かもどかしい思いをしたものである。それだけに、竜之介に対する父親の「真意」が胸を打った。

 こうしてブログを書きながら、あっ、また涙が出てきた・・・。
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   16:55 | Comment:4 | Trackback:0 | Top
 
 
Comment
 
 アガタ・リョウ、心何処 [URL] #-
 そうですよね。私も、この文章で三カ所、胸が詰まり涙が零れましたよ。言葉、表情は、心じゃ無くて流れる血流を一瞬にして掴み取るんですよね。読んで心で泣くと云うのは、違うと思いますよね。言葉、表情は、一瞬にして、電流の如き走るんですよね。理屈じゃ有りませんよね。

 血液の中に、滔々と流れ続ける日本人の喜怒哀楽・物の哀れ等の観察眼・観賞眼が、凝縮されて居る様なんでしょうかね。そして、それこそが伝統であり文化なんでしょうね。これは、単なる個人の感性を超えた先祖達が、先人達が日本人の心の襞の一つ一つまでにも染め上げて来た反応する力だったんでしょうね。私には、そう思われます。

 読んで、聞いて、考えるでは、瞬間反応の涙は意味が在りませんからね。日本人ばかりには限られないのでしょうが、人間から瞬間反応としての涙を失くしてしまったら、人間失格の道を歩むだけの無機質極まりない家族・対人関係・社会・国家・国家関係の経済効率オンリーの無味無臭無機質な人間に堕ちて行くだけなんでしょうね。哀しいですね。へへへ。
 2012.01.31 (火) 18:55 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   アガタ・リョウ さんへ

 こんばんわ。信州は雪が降り続いているのではないでしょうか。最低気温もマイナス7度とか。毛糸の帽子をかむって保護して下さい。
 電流の如き走るんですよね--とのご指摘、まことにもってその通りですね。ただ、私の場合は、少し泣き過ぎです。最近は女房の前でも、堂々と泣いています。若い頃は感受性が鈍い男だったのに・・・。
 2012.02.01 (水) 18:32 [Edit]
 たかたん [URL] #-
この三丁目の夕日の映画、本当に子供のころの記憶を主だ篠てくれる懐さ一杯の映画です。
たかたんの生まれた所も、神戸市兵庫区xx三丁目です。
親は小さな町工場を経営、家の近所には映画のモデルのような長屋などと奇遇な所が一杯です。^^
昭和39年、オリンピックの時には雨のなか聖火が近所を走ると言うので学校から集団で応援に行って道端で国旗を振ったのを覚えてます。
まだ、見てないですが身に行きたい作品です。
でも、3D映画は、今まで避けて来たんですが、これにも挑戦しようかなです。♪
こんにちわ。^^ 2012.02.02 (木) 14:05 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   たかたん さんへ

 こんばんわ。寒いですねえ。こちらは氷点下7度です。寒さは明日が峠といいますが、そうなればいいんですが・・・。
 三丁目の夕日は、3Dでない映画も上映されていますよ。そちらのほうが1000円で見られますからいいですよね。ぜひ観て、泣いて下さい。私が泣き上戸かもしれませんが・・・。
 2012.02.02 (木) 18:36 [Edit]






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