森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

山は逃げないが、年が逃げる・・・らんぼうさんの名言

 先日の雨で雪が消えたと思ったら、また寒波がやって来て、雪が舞っている。外へ出る気も起こらず、ストーブの前で背を丸めている。楽しみといえば、日本百名山の本や北アルプスなどの地図を広げ、仮想の登山をすることだ。

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 登る山を決め、次の山までの縦走路を想像してみる。そのコースと地図を重ね合わせると、山岳風景が浮かんでくる。ここからだと、こっちの方向に槍や穂高が見えるはずだ。あっちには野口五郎岳だ。ゲーム感覚でこんな楽しみ方をしている。

 登山の計画を立てるのも楽しい。今年の夏も最低2回は遠征したいと思っている。八ヶ岳に挑戦してみたいが、われら夫婦の実力では少し難しそうだ。甲斐駒ケ岳も魅力はあるが、取りつきの急登はしんどそうだ。

 そんな心配をしたり、胸を弾ませたり。結局、年齢相応、実力相応の山に落ち着くのだが、想像の世界なら急峻な山に取りつくのも自由である。難しそうな山を選んで計画してみるだけでも、楽しい時間が過ぎて行くものだ。

 先日の新聞のコラム欄で、シンガーソングライター、みなみらんぼうさんの山行記が紹介されていた。ポンと膝を打ちたくなるような文章なので、引用しておこう。

 ≪中年のうちは、山は逃げない。また次に登ろう、というのが当てはまるが、高齢者には、山は逃げなくても年が逃げて行くので、中年と高齢者では山に対する切実さが全然違う≫

 本当にその通りだ。登りたかった山は、年をとるごとに体力や脚力が落ちて頂上に立つのが難しくなる。まさしく、年が逃げて行くのだ。若い頃は、高い所に恐怖心はなかったが、今は極度の高所恐怖症になってしまった。山岳ガイドの本に、「鎖場、梯子の連続」などと書かれていると、そのような山には尻込みしてしまう。

 山岳遭難者が最も多いのは60代という。続いて70代、50代だ。年齢とともに目標の山にこだわる余り、無理をして進み、引き返す判断を誤らせているのだろう。自分の場合だって、この山に挑戦できるのは今年が最後になるかもしれないという焦りがある。

 らんぼうさんはこうも書いている。 ≪あるピークを越したらゆっくりと安全に下山に向かわねばならない。これがルールである。なんと人生のやり方に似ていることだろう≫

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 下山と人生を重ね合わせるところに、練れた彼の人格を思う。登る時はピークに向かって必死だが、確かに下山の時の方が一帯の景色がよく見えるし、登山道脇に咲く高山植物にも目が向く。峠を越えた下りの人生も、下山と同じようにゆっくりと歩き、人生の機微を楽しみたい・・・。

 
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