森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

情緒不安か・・・泣いたり笑ったり

 禁煙を始めてちょうど3週間になる。その間、まだ1本も吸っていないが、別に自慢できる話ではない。医院で処方されたチャンピックスという禁煙に効果のある薬を飲んでいるからだ。

 この薬は、脳細胞に作用し、ニコチン依存を緩和してくれる。確かによく効くが、薬の成分が血管を通って脳に運ばれ、脳細胞にペタンと結合する様を想像すると、どうも気色が悪い。

 多分その副作用だと思うが、時々吐き気がして、寝つきが悪く、便秘気味である。しかし、どれもそれほど辛いものではない。むしろ、情緒不安に陥っているような兆候があり、そちらの方が心配だ・・・。

 ところで先日、和歌山市内の書店に出向き、浅田次郎の短編集「五郎治殿御始末」など数冊の本を買って帰った。この本は10年余り前に書かれ、その後文庫本になった。6編が収録されている。

 「散切り頭を叩いてみれば、文明開化の音がする」。そんな御一新後の世を、武士は矜持を失わず、どう生きたかが描かれてる。荒唐無稽の物語だが、涙あり、笑いありのまさに「浅田ファンタジー」である。

 早速、1編目の「椿寺まで」から読み出した。江戸、つまり東京で大きな呉服問屋を営む小兵衛は、10歳になる丁稚の新太を連れて甲州街道を旅した。新太は旅の目的を知らされていない。

 旅籠の風呂に入った時、新太は小兵衛の背中におびただしい刀傷を見た。翌日には、道中で「おめいを供にしたのにァ、のっぴきならねえわけがあるのさ」と言われ、不安な気持ちを抱く。

 やがて多摩川を渡り、「椿寺」という寺の門をくぐった。新太が境内で待たされていると、寺男が出てきて小兵衛の過去や新太の出自を語り始めた。小兵衛は旗本八万騎の一人で、慶喜が水戸に去った後も上野のお山で戦い、大怪我を負った。

 新太は、小兵衛ともに戦い、討ち死にした戦友の子供だった。新太の母親はかつて小兵衛と浅からぬ縁があった。母親はその夫の死に悲観して赤子の新太とともに死のうとしたが、小兵衛は新太を奪い取って、丁稚として育ててきた。

 寺男が話し終えた時、寺の庵主が境内に出てきた。それは小さな尼僧だった・・・。ここで私の涙腺は全開し、号泣した。女房が「どこか具合でも悪いの?」と私の顔を覗き込むほどの泣き方だった。

 小説を読み進め、次は4編目「遠い砲音」である。主人公の土江彦蔵は長門の支藩の氏族で、御一新後に近衛連隊の中尉として職を得た。彼は時間感覚に乏しく、遅刻の常習で顰蹙を買っていた。

 将校に下賜された西洋時計になじめず、彼の生活は「明け六つ」「暮れ六つ」が基準という古い人間である。連隊では、時間を「アウワーズ」、分を「ミニウト」、秒を「セカンド」と呼んでいる。彦蔵はそもそも、せわしく動く秒針というものが理解できない。

 ある日、砲撃と歩兵の共同訓練が行われた。砲撃を指揮する彦蔵と歩兵小隊の指揮官の二人が時計の秒針まで合わせ、訓練に臨んだ。砲撃は歩兵が伏せている時に行うが、彦蔵は時計の読み方を間違え、歩兵が匍匐散開するその時に「撃てー」の号令を発してしまった。

 砲弾の破片は、歩兵の頭上に容赦なく降り注いだ。訓練はただちに中止され、司令部参謀が彦蔵に躍りかかり、大隊長などはサーベルを抜いて斬りかかった。「おまん、腹ば切れ」という怒号も飛び交った。

 まんまと浅田次郎の術中にはまり、ここで腹を抱えて笑ってしまった。文字通り「抱腹絶倒」である。

 以前であれば、涙を流しても嗚咽することはなかった。笑いの場面でも、ニヤリとするが笑い転げることはなかった。しかし最近は、恥ずかしいほど感情が昂ぶる。年をとって感情を制御できなくなったのか。いや、禁煙の薬が招いた情緒不安という恐ろしい副作用なのか・・・。
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   11:19 | Comment:4 | Trackback:0 | Top
 
 
Comment
 
 お茶目 [URL] #-
今日練習場へ行ったら、M子さんが禁煙に成功されたとのこと。
太ってきたとおっしゃってましたがスリムのままで、顔色が良く健康的な感じがしましたよ。

お話を聞いていたらひまじんさんと同じお薬のようです。
最後まで(3か月だったかな?)絶対お薬を飲んでね、とのことです。
彼女ができたのだからひまじんさんもできない訳がない!ですよねぇ~
3か月は続けて! 2012.02.14 (火) 23:53 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   お茶目さんへ

 えっ、あのM子さんが、まさか・・・。
マージャンしている時など、スパスパ吸っていたのにねえ。
 彼女が出来るなら、私だってという気になります。よくぞ、教えてくれました。
 薬は3か月飲まねばなりませんが、本当は飲みたくないのです。色々と副作用のようなものがあるのです。
 でも、本当に禁煙するなら続ける必要があるのでしょうね。そう簡単に禁煙できませんからねえ。
 まるまるさんから連絡ありますか?。色々とトラぶっているようですが・・・。
 2012.02.15 (水) 18:03 [Edit]
  [] #
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管理人のみ閲覧できます 2012.02.17 (金) 15:45 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   お茶目さんへ

 はい、頑張っていますよ。
薬をやめるまであと2か月です。
錠剤は、通常の半分しか飲んでいません。
と言うことは、優等生なんです。
次にお会いするときは、良い子になっています・・・。
 2012.02.19 (日) 17:29 [Edit]






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