森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

会津への一人旅(1)

 一人旅に出た。少年のような気分で、各駅停車の電車に乗った。  

 実は、女房が東南アジアで暮らす友人の家へ遊びに行くことになった。「僕も一緒に行きたい」と言ってみたが、「女同士で遊ぶのよ」と断られた。よし、それなら一人で気楽な旅をしようと思った訳である。

 行く先は、二度目の会津若松である。物見遊山の旅行ではなく、福島原発事故の慰問でもない。どちらか言うと、「巡礼」のような旅である。

 第一の目的は、前回行けなかった会津藩主保科正之公の墓参りである。徳川四代将軍家綱の輔弼役として民生政治を花開かせた人である。人格は高潔で、二代将軍秀忠の子でありながら、松平姓を名乗ろうとはしなかった。私はこの江戸時代の名君が好きであり、どうしても墓前に立ちたかったのだ。

 その保科公が育てた会津の人も心も文化も、それから200年後、戊辰戦争によって壊滅させられた。どうしてあれほど悲惨な戦争が起きたのか。新政府軍に歴史の評価に耐えうる大義があったのか。勝者によって書かれた「明治維新」は本当に正しいのか。それらの思いを胸に、多くの人の血がしみ込んだ会津の地を歩きたかった。

 少し理屈っぽくなったが、ともかく、ふらりと一人旅を楽しみたかった。4泊5日の旅行のスケジュールは、すべて女房がネットを駆使して作ってくれた。電車はすべて鈍行、泊まる所は格安料金・・・。ケチケチ旅行である。

 和歌山を出た時、桜は満開だった。滋賀では五分咲きくらい。福井は蕾が膨らみかかっていた。最初の宿泊地の直江津では、開花の気配さえなかった。車窓からは、春霞の向こうに白山や立山連峰、北アルプスが見え、退屈しなかった。

 翌日は、新潟県の新津駅で磐越西線に乗り換え、いよいよ会津若松だ。本当は只見線に乗りたかったが、地震と豪雨で山が崩れ、不通になっているのが残念だった。只見もまた戊辰戦争の地であり、逃避行中の長岡藩家老河井継之助は「八十里腰抜け武士の越す峠」と詠んで自分を皮肉った。この後息を引き取るが、句からは無念さが伝わって来る。 

 まだ雪が残る磐越西線は、蛇行する阿賀野川に沿って進む。川は雪解け水で溢れんばかりだ。やがて雨に煙る真っ白の飯豊連峰が威容を見せる。ラーメン名物の喜多方を過ぎると、やっと会津若松である。

 この日の宿泊は、女房の厚情で近郊にある東山温泉の旅館である。そこまでは歩いて1時間半ほどで、交通費節約のため傘を差しながら歩き続けた。途中、白虎隊が自刃した飯盛山の近くを通るが、前回参拝しているので、山に向かって合掌するだけにした。

 雨に濡れ、ひどく寒かったので、温泉の湯が有難かった。夕食の郷土料理も美味しかった。お酒は、さすが会津である。舌の上を転がり、喉を滑り落ちる一滴、一滴が、二日にわたる鈍行列車の疲れを癒してくれた・・・。       (続く)

    ↓ 北陸線のこんなレトロな風景がいい
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    ↓ 直江津は三度目。強風の中、ホテルまで50分も歩いた。
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    ↓ 新津駅で買った弁当。村上市で獲れた鮭の焼漬が入っている。
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    ↓ 雪解け水で満水の阿賀野川。
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    ↓ この会津の旗を目にすると、身が引き締まる。
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   17:57 | Comment:4 | Trackback:0 | Top
 
 
Comment
 
 アガタ・リョウ [URL] #-
こんばんわ。流石に兄貴ですね。歴史、小説が頭に入って居ると、旅は鈍行の旅で、車窓に訪れる風景に頭の中の引き出しが、音も無く開いて、歴史の舞台の今昔が脳裏の中で会話をして行くんでしょうね。自然と歴史に誘われる旅は、現代に在っても、鈍行の一人旅が一番でしょうね。簡潔な文章に、私も保科正之、河井継乃助のエピソードなんかを思い浮かべながら、写真を見て、ニヤニヤしてました。

了解しました。心遣い、感謝して居ります。
 2012.04.15 (日) 21:53 [Edit]
 まるまる [URL] #LkZag.iM
奥様、チェンマイを楽しんでおられるようです。明日夕食をご一緒することになりました。

おみやげありがとうございました。

少し、体調をこわしていたのですけど、、蕗の薹のおかげでご飯が食べられました。とてもおいしくいただきました。日本が恋しくなりましたよ。

ご一緒に来られたらヨカッタのに・・・
ありがとう♪ 2012.04.16 (月) 19:35 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   アガタ・リョウ さんへ

 おはようございます。今朝は一転して晴天です。
暖かくなりそうなので、午後は釣具の手入れでもしましょう。
 やっと、鈍行列車の旅の疲れもとれてきました。
今回は、心に残る旅ができました。
これまで読んだ本を思い出しながらの旅でした。
たまには、こういうのもいいものですね。
介護されたいるアガタさんには申し訳ない・・・。
 2012.04.17 (火) 09:14 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   まるまる さんへ

 女房が元気と聞いて安心しています。
女房からは、ウンともスンとも言ってきません。
お便り、有難うございました。
 そう、今夜はお招きいただけるのですね。
ご迷惑をおかけします。
 蕗の薹、美味しかったですか?
お世辞でも、うれしいです。
 体を早く治して下さいね。
 2012.04.17 (火) 09:18 [Edit]






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