森本さんの防衛大臣就任は変節か・・・

 きのうは有田川で鮎釣りをしていた。余り釣れず、疲れ果て夕方家に帰ってきた。内閣改造の顔ぶれが気になっていたので玄関を入るとすぐ、女房に防衛大臣の名前を聞いた。「ほれ、あの森本敏さんよ」。えっ・・・、私は耳を疑った。

 森本さんと言えば、防衛、安全保障問題の専門家であり、保守派の論客だ。元自衛隊員であり、その後外務省に移り、今は大学教授で、評論家でもある。テレビでもよく見かける顔だ。自民党政権の時代、彼は防衛大臣補佐官をしていた。それがなぜ、民主党の閣内に入ったのだろうか。

 新聞報道によると、最初は防衛大学校長だった五百旗頭さんに打診したが断られ、森本さんにお鉢が回ってきたらしい。森本さんはいったん固辞したらしいが、結果的に大臣に就任した。固辞がポーズだったかどうか本人に聞くしかないが、それにしても、これまでの数々の保守的な発言は何だったんだろうと思う。

 民主党は右から左までごちゃ混ぜの政党だが、政策的には、どっちかと言えば社会主義的色彩が強い。自衛隊に対して冷ややかな人が少なくないし、集団的自衛権も否定的である。しかし森本さんは、本来国家には集団的自衛権が認められており、日米同盟の強化にも必要不可欠だと強調していた。

 大臣就任会見ではこの前言を翻し、政府の一員となったからにはこれまでの憲法解釈を変えないと明言した。つまり信念を曲げてでも、防衛大臣になる意味があったということだろう。それは政権に飛び込み、内側から変革しようとしたのかもしれない。しかし悪く言えば、大臣という地位が何物にも替え難い魅力があったとも言えるだろう。

 日本人は、節操を尊び、変節を嫌う。三国志の「忠臣は二君に仕えず」という言葉も好きであり、忠義は武士道の基本である。江戸初期まで、主君の死に殉じる家臣が続出したのも、その形の一つだろう。森本さんの真意は分からなが、理由がどうであれ、森本さんは主張してきた「保守の論理」に忠義立てするのが筋ではないだろうか。

 話は変わるが、幕末の勝海舟は咸臨丸で渡米し、帰国後は軍艦奉行として神戸海軍操練所を開設した。戊辰戦争では幕臣として西郷隆盛と渡り合い、江戸城の無血開城に奔走した。少年の頃に「咸臨丸」という絵本のような本を読み、勝海舟は私の中で英雄だった。

 しかしその後、福沢諭吉が勝海舟に対してボロカス批判しているのを知った。つまり、幕臣だったのに、維新政府に仕官し、爵位までもらうのはけしからんという訳である。勝ほどの優れた人間であるだけに、その変節が許せなかったのだ。福沢翁の晩年に発表された「痩我慢の説」に詳しく書かれている。

 要するに福沢翁は、勝が武士階級に見合った特別な責任と義務を果たしていないという主張なのだ。森本さんは武士でもなんでもないが、自分の意見を公に述べることが出来る特権階級とも言える人物である。民主党の閣内に入って、自らの思想信条に対し、責任と義務を果たせるか疑問である。

 いささかレベルの低い私であるが、福沢翁が勝を批判したように、同じ理屈で森本さんの変節に苦言を申し上げたい。大臣就任は、火中の栗を拾うという悲壮な決意に見えない。下衆の勘ぐりかもしれないが、元自衛官だったころから抱いていた指揮官という「ぼた餅」が、棚から転げ落ちてきた風にも見える。

 正論の士が、論壇から去って行った・・・。
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コメント

 本日、米屋さんの処でも、その話が出ました。与謝野薫さんの事を思い出しました。政権担当能力からすれば、ズブの素人集団にして、斜陽政権以下の瓦礫の山・タイムリミット目前の現政権下に在って、例え内部改革の意図が在っても、その緒にも付けれない現状なのに、70を越した保守の論客が、何故なのでしょうかね。ガサツな私のスカンポ脳では、理解の域を超越して居ります。

 何十年も前に、新進気鋭の三島由紀夫と石原慎太郎の政治座談記事を読んだ事が在ります。内部改革を叫んだ慎太郎さんは、中川派の青嵐会で青年将校役に身を投じ、その後中央政界を去って、東京都知事で自分の信じる道を進み、三島さんは、市ヶ谷で檄文を残して割腹自決をしました。

 私の中には、絶えずこの二人の姿が在ります。途中で自ら命を絶った中川さんを思う時、その秘書だった鈴木宗雄、御子息の昭一さんの事なども、何んとかその隙間を埋めようと、ウォッチングして来たんですが・・・

 与謝野さん、森本さん、魔が差したと云うには、余りにも個人的な魔の衝動だったんでしょうかね。色欲、金銭欲、名誉欲、権力欲・・・etc よくもまぁ・・・欲魔に取り付かれて仕舞うと、世間様からは大顰蹙を買うと云う太古の昔からの人間欲の文様なのでしょうかね。文様は、単純明快に縄文文様の方が、素朴で据わりが好いと思うんですがね。

   アガタ・リョウ さんへ

 おはようございます。きのう図書館で借りてきた本を読んでいたら眠ってしまいました。目が覚めると、外には太陽が出ていました。そうだ、今日は金星が太陽の中に入る日である。ウッドデッキに出て太陽を見たたら目がつぶれました。
 長文のコメントを頂戴し、有難うございました。昨日の新聞(ここは夕方に配達です)を読むと、森本さんの大臣就任に好意的な論調でした。他の新聞は知りませんが、皮肉っているのはそれほど多くはないのではないでしょうか。私は、思想、行動の変節に寛容な世相が許せないのです。あっ、また頭に血が上った・・・。すみません。
 「魔が差したと云うには、余りにも個人的な魔の衝動」--その通りだと思います。納得のコメントでした。
 

こんにちわ。

お久しぶりです。
ほぼ一月に渡り風邪から扁桃腺炎→喘息→扁桃腺炎→三叉神経痛で苦しみブログの更新も訪問もままならない状態でしたが、ようやく完治に向かいました。
さてですが、今回の防衛大臣の人事にはそんな裏側があったんですね。
たかたんは、民主党も尖閣問題ならびに中国の太平洋への進出を真剣に考えたのかと思ってました。
アガタさんのコメントも読みました。
うん。そうなんだと鈍い自分を感じます。
でも考えて見たら、今の政権の寿命もあとわずかなのに
今更ながらの感もあるようなきがするのですが多分に消費税の問題がありの改造でしょうが、政治って国の行く末を決めるはずが、どう見ても勢力争いにしか見えないのが国民から見放される原因だと早く分って欲しいですね。

   たかたん さんへ

 こんばんわ。雨ですね。いよいよ梅雨入りですね。雨もまた情緒ある写真が撮れるのではないでしょうか。
 風邪って怖いですね。でも、何とか回復できて良かったですね。
 民主党政権は多分あとわずかでしょう。それなのに、ここで政権入りする森本さんの気持ちがよく分かりません。心変わり、変節、日和見・・・。嫌な言葉ですね。
 回復と言っても、無理は禁物ですよ。
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 きのうは有田川で鮎釣りをしていた。余り釣れず、疲れ果て夕方家に帰ってきた。内閣改造の顔ぶれが気になっていたので玄関を入るとすぐ、女房に防衛大臣の名前を聞いた。「ほれ、...

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