森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

映画「わが母の記」に涙あふれる・・・

 昭和の文豪井上靖の自伝小説を映画化した「わが母の記」が上映されている。女房を誘って観に行こうと思った。すると女房は「住民税やら車の税金を払わなければならないのよ。今月は苦しいの」とケチなことを言う。

 何を言うか。これまで何十年も働き、だから今、年金をもらえているのだ。たまに映画を観てどこが悪い。そもそも女房は結婚当初から、私をマザコンと決め付けている。映画の題名が気に食わず、税金にかこつけて嫌味を言っているに違いない。私の母親はとっくに亡くなっているが、確かに母親への思慕の深さは今なお変っていないのは事実である。

 まぁ、そんなことはどうでもよい。結局、私のわずかな小遣いから女房の映画代を出してやることにし、和歌山市内の映画館に向かった。

 近年私は涙もろくなり、映画の題名を聞いただけで涙ぐむような男である。上映中は必ず泣くと思うから、タオルをポケットに入れてある。もし嗚咽が漏れそうになったら、これで鼻と口を塞がぐのだ。何かもう泣くことを楽しみにしている風であるが、確かに、流した涙の分だけ得をしたような気分になるから、変な話である。

 さて、長々と予告編を見せられた後、やっと「わが母の記」の上映が始まった。

 ベストセラー作家伊上洪作(役所広司)は五歳の時、曽祖父の妾の家に預けられ、8年間育てられた。洪作は母親の八重(樹木希林)に捨てられたという思いを引きずりながら、その後の人生を歩む。

 洪作は恨みの一言も言いたかったが、八重はボケの進行とともに過去の記憶が消えていく。そしてやがて、映画はクライマックスを迎える。もはや目の前にいる洪作を自分の息子と認識できない八重である。彼女は懐から古い紙切れを取り出し、そこに書かれた文字を読み出した。

 「母と渡りたい小さな海峡」・・・。洪作が母と別れる時に渡した作文だった。母としばらく暮らした町に小さな海峡があった。そこを一緒に渡りたいという幼い夢が綴られているのだ。八重はこの作文を肌身離さず持ち続けてきた。洪作はその母の声に耳を傾けながら嗚咽した。それはこれまでの誤解が解けた瞬間だった。私も万感迫り、泣いた。

 なぜ八重は息子を曽祖父の妾に預けたのか。それには立派な理由があるのだが、それは観てのお楽しみである。ともかく、母親がわが子に向ける慈しみは普遍である。その深淵は、文字通り、大河の淵のように静かで深く、寛容である。「わが母の記」は、そのことを語りかけている。

 この映画は、母と子のテーマを通し、家族を描いている。ここに登場する家族の一人一人を演じる役者の演技力は素晴らしかったし、監督の力量の大きさも認識させられた。しかし何よりも、樹木希林の存在なくしてこの映画は成り立たなかっただろうと思う。彼女は圧巻だった。

 映画が終わり、スクリーンには俳優の名前や制作にかかわった人の名前が次々と映し出されていく。私はその最後の1行まで席を立つことが出来なかった。その間、とめどもなく涙が出た。こんな不思議な体験は初めてだった。余韻と言ってしまえばそれまでだが、いくつになっても母を想い、流す涙なのだろう・・・。
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   10:28 | Comment:4 | Trackback:0 | Top
 
 
Comment
 
 まるまる [URL] #LkZag.iM
映画、よかったようですね。
24日に友達と京都で会うので、映画も観ることになっています。この映画も候補にあげてるのですが、観ようかな??先日、テルマエロマエを観ましたが、ちょっと期待はずれ・・・でした。

本当に母親の愛は普遍ですね。いくつになっても母が恋しいのも普遍です。
 2012.06.10 (日) 13:13 [Edit]
 ゴムオ [URL] #vBi0PnSg
初めまして!コメントさせて頂きます。

私も和歌山の小浦付近でゴムボート釣りをしているのですがで、前の記事を読まして貰って小杭漁港から出航出来るとお書きになってましたが現在も可能なのでしょうか?(^_^)

今度小杭辺りでも釣りをしてみたいなぁと思いまして…☆


また覗かせて貰いますー♪
 2012.06.10 (日) 16:25 [Edit]
 森に暮らすひまじん日記 [URL] #-
   まるまる さんへ

 旅行に行っていて、返信が遅れました。
えっ、まだ日本に滞在ですか?
タイにはいつ帰るのでしょう。
ご主人が寂しい思いで過ごしておられるのではないでしょうか。早く帰ってあげなさいよ。
 2012.06.14 (木) 08:35 [Edit]
 森に暮らすひまじん日記 [URL] #-
   ゴムオ さんへ

 家を留守にしていて、返事が送れました。
すみません。
小浦付近でボートを出しているとのこと。
私も一度だけ、ここからボート出しました。
 お尋ねの小杭漁港ですが、もちろんボートは出せます。ただし、駐車料金が1000円です。
 土曜日曜は多いときで4,5隻ほどボートを出しています。アオリイカ、今ではイサギ釣りが多いと思います。魚種は多いですよ。少し沖に出れば、たまに本カツオが釣れます。
 2012.06.14 (木) 08:44 [Edit]






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