森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

能登半島をぐるり一周(中編)

 能登半島を縦断する自動車道を走った。車のハンドルは女房が握っているので、私は気楽に風景を眺めていた。山あいに寄り添う集落が次々と車窓に現れた。私は、その民家の一軒一軒に目を奪われた。たたずまいが実に美しいのだ。

 真っ黒の屋根瓦は、雨に濡れたように光っていた。壁には、表面を焼いて炭化させた杉板が張られている。豪雪地帯の民家でよく見られる杉板だが、その素朴な雰囲気があたりの風景に溶け込んでいて、日本の原風景を見る思いだった。

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 何よりも、民家が大きいのに驚いた。しかも、家の周囲の草が刈られ、どこにも乱雑さが見られない。家を見れば、そこの家族が分かると言えるかもしれない。大きな家屋には、そこに二代、三代の家族が住んでいるということだろう。ここ能登では大家族が当たり前なのかもしれない。民家を眺めながら、妙にホッとした気分になった。

 能登の民家の99%は、光る黒い屋根瓦と黒い杉板が使われている。私のつたない経験だが、その美しさは日本一だと思う。富山県砺波市の庄川扇状地にある「散居村」のスケールは大きく、印象深い。奈良県で見た白壁の農家群にも目を見張った。しかし能登の民家には、雪と烈風にさらされる厳しい風土が生んだ機能美のようなものが滲んでいると思う。

 厚かましくも、一軒の民家を訪ねてみた。通路の奥の方で、80歳近い婆さんがコンテナに腰かけ、アゴ(トビウオ)を捌いていた。そばにいた爺さんに黒い瓦のことを聞いてみたが、「今じゃこの瓦を焼く業者が少なくなったなぁ」と言うだけで、なぜ黒く、光っているかはよく分からなかった。

 この爺さんは以前、私の故郷の織物会社に10年ほど出稼ぎに来ていたという。能登にこれといった大きな産業はなく、耕す農地も広くはない。この爺さんのように、能登の人々は決して裕福とはいえないだろう。しかし彼らは多くの家族が寄り添える大きな家を建てるのだ。都会にはない価値観がある。

 輪島市の外れに、「時国家」の看板があった。平家ゆかりの民家だそうだ。NHKの大河ドラマで平氏ブームなので寄ってみることにした。パンフレットによると、平家一族の実力者時忠は能登に流罪となり、その子時国は近隣の村々を統治した。江戸時代に子孫がこの豪壮な屋敷を建てたという。

 時国家は、屋敷風の「上」、民家風の「下」の二軒に分かれている。私たちは一人500円を払って「上」に入場した。なるほど屋敷の構えは立派で、庭園も調度品も大したものだ。見学を終えて「下」へ行こうとしたら別料金だという。こちらは600円。同じ平家ゆかりの建物なら共通券にして割り引けば入場者も増えるだろうに。「上」と「下」は仲が悪いのだろうか・・・。

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 能登半島の最北端までやって来た。歩いて急な坂道を登ると、真っ白の禄剛崎(ろっこうざき)灯台があった。昭和38年まで灯台守が住んでいたという。再び海岸沿いに走り、見附島を見学した。別名軍艦島。なるほど、島は船の形をしていた。

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 穴水町の海辺にはいくつか「ボラ待ちやぐら」があり、釣りをこよなく愛する私としては興味をそそられずにいられない。何と言っても、やぐらの形がいい。いかにも漁師がこしらえたような無骨さがある。江戸時代に考案された漁法で、今に伝える「文化財」と言ってもいいだろう。

 高さ12mほどのやぐらの上に漁師が座り、海底に張った網の上をボラが通過するのを待つ。ボラが来たら素早く網を絞り上げて捕まえるのだ。日がな一日海を覗き、ボラを待つ江戸時代の漁師。その姿は、何とものんびりしているし、どこか滑稽でもある。日当はいらないから、ぜひ私にやらせてほしい。

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 一日の旅を終え、和倉温泉に着いた。泊まる旅館は、あの立派な加賀屋とはえらい違いだが、温泉の湯は同じである。食事の質やおもてなしはともかく、こちらは3人分の予約券を購入してあり、われら夫婦で3人分の食事を食べるので、量では間違いなく勝っている。3人分になった経緯については、この前編を読んでもらいたい。

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 言い訳ではないが、私たちは2人分の食事を出してもらえばいいと言った。しかし旅館側は、すでに料金をもらっているので3人分出すと言って聞かない。われら夫婦の前に、次々と3人分の料理が運ばれてきた。カニが出てきたが、いつもなら身を執拗にほじくるのだが、今回は大まかに食べてポイ。蒸し料理も肉料理も・・・。

 これはもう、料理に対する冒涜だと思う。やはり料理は、少し足りないくらいがいい。

                                       (続く)

 
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