森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

奥穂高岳の天空へ・・・㊦

 奥穂高岳の山頂を目指し、まずは全長50mほどの垂直と思えるほどの岩場をよじ登り、無事稜線に出た。岩屑を踏みしめて歩くこと半時間ほど、右手に穂高連峰で最も危険で、最も美しい「ジャンダルム」(3163m)が見えた。その姿は縁起でもないが、殺気さえ漂わせている。

 そう言えば、先ごろからヘリコプターが何機も飛び交っている。「荷揚げだろう」と気にもとめなかったが、後から聞いて分かったことだが、北穂高岳から南岳に向かう大キレットで56歳の男性が150m転落して死亡した。ヘリコプターは救助のため出動していたのだ。現場は奥穂の北の方向で、ここからそう遠くない。

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 この先を回り込むと、再びジャンダルムが間近に迫っていた。

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 ジャンダルムとはフランス語で憲兵の意味。北アルプスの盟主・奥穂高岳を守る前衛の兵ということだろう。せり上がったドーム状の岩がジャンダルム、その左がロバの耳、続いて馬の背と続く。言うまでもないが、われらが近寄れる山ではない。熟達の登山者だけに許される岩峰である。

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 ようやく前方に北アルプスの最高峰・奥穂高岳の頂上が見えた。団体らしい20数人の人たちが群がっている。入れ替わり立ち替わり、記念撮影に大忙しだ。「もう死んでもいいわょー」。そんな女性の叫び声も聞こえてくる。高揚したその気持ち、よーく分かる。

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 団体さんに頂上を占拠されたので、裏手でしばらく待機した。そこは、賽の河原のような場所で、登山者が小石を積み上げたケルンがいくつもあった。ここにも別の祠があり、女房が何やら祈っていた。

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 やっと団体さんが下山したので、頂上の看板の前で記念撮影。

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 すると、頂上の祠の上にいた青年が「さぁ、ご夫婦でここに上がって下さい。ボクが写真を撮りましょう」と親切に言ってくれた。それではお言葉に甘えて、ハイ、ポーズ・・・。

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 頂上の祠にお賽銭の100円玉をチャリン。穂高の神様、仏様、有難うございます。

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 槍ケ岳が再び姿を現し、シャッターを切った。奥穂は槍より10m高いが、あちらの方が高く見える。

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 天空の絶景をたっぷり楽しんだので、下山することにた。正面の北穂高岳の向こうに連なる大キレットでこの日早朝、不幸が起きたのはすでに書いた。冥福を祈ろう。

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 絶壁から見下ろすと、美しい涸沢カールが広がっていた。

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 難所も無事通過し、山荘前に下山した。女房と「とりあえず」の握手・・・。

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 お昼ご飯は、穂高岳山荘の食堂でカレーライスを食べた。

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 コル北側の涸沢岳(3110m)にも登ることにした。半時間ほどで頂上に立てるはずだ。

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 頂上に寝転がっていたら、突然、女性の号泣する声が聞こえた。「ここまで来られたんです。アタシが、アタシが・・・」。本格的な登山は初めてだそうで、涸沢から北穂に登り、危険なキレットを通過して涸沢岳に来たという。無謀というしかないが、知らないベテラン登山者に誘導されて事なきを得たのだ。本人の承諾を得て写真を撮らせてもらった。このように、山には色々なドラマがある。

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 頂上の斜面に寝転び、1時間余りの贅沢な時間を過ごした。目の前を雲が流れ、その隙間から顔を見せる穂高の絶景を目に焼き付けた。

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 私たちのすぐ隣で、同じように寝転んでいた3人の男女と意気投合してしまった。せかせかと山に登るのではなく、こうして3000mの天空でぼーっと過ごすことに至福を感じ合うわれらである。穂高山荘で酒を酌み交わそうと約束し、下山した。

 下の写真が、白昼の宴会を催した板張りのテラスである。ここからは常念岳や大天井岳が見渡せる。

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 この3人は、鳥取県のある町で森林セラピーの活動をしている人たちだ。今回登山のリーダーはセラピーの会長さんで、登山の大ベテランだ。もう一人の男性は、大手自動車メーカーを定年退職したAさん。それに若き女性スタッフ。

 ビールやウイスキーを飲みながら、座は盛り上がった。特に。Aさんの話には皆が抱腹絶倒してしまった。Aさんは鳥取の大山に2回登って今回に備えたが、北アルプスは初めてだそうだ。会長さんから今回のハードなコースを聞き、恐ろしくて眠れぬ夜を過ごしたという。

 そして出した結論は、自分が所有している小型ボートのもやい用ロープをリュックの底に忍ばせておくことだった。つまり、命綱である。しかしどのように使うかまでは思い浮かばなかったと言うから傑作である。北アルプス登山を控え、その切羽詰った心境を洒脱な話術で聞かせてもらい、実に楽しかった。

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 今回の登山は、テレビで気象予報士の話を聞いて予定を一週間以上も繰り上げて決行した。つまり登山を予定していた1週間後からは雨続きになるという予報だったのだ。

 お天気キャスターの草分けでもある倉嶋厚さんはこう書いている。「最近の天気予報はコンピュータや気象衛星のおかげでよく当たるが、長期予報となるとあまり当てにならない。人生も同じ事で、先のことを思い患ってもどうしようもありません」。

 確かに、例の気象予報士の週間天気予報は見事に外れた。われらが最初に予定していた頃は、皮肉にも晴れ続きになっている。1週間先の天気予報に右往左往する私たちの馬鹿馬鹿しさ。人生も、倉嶋さんが言うように、一日一日を丁寧に生きて行けばいいのだ。

 翌日、そんな倉嶋さんの含蓄ある言葉を反芻しながら、雨の中を下山した。8時間かけて上高地に着くと、一転して晴れとなった。天気もそうだけど、先のことなど誰にも分からない・・・。


                                            (おわり)




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