波止場の猫

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 私が小学校の低学年のころ、家の庭先で猫の襲撃を受けたことがある。狂ったように半ズボンだった私の足にまとわりつき、引っ掻いたのだ。足のあちこちに血が滲んだように記憶している。

 それがきっかけで、私は猫が嫌いになった。子供心に殺意を抱いたこともあり、猫と出会うと石を投げたりもした。大人になってからは世間の目もあるので虐待を慎んでいるが、しかしそれでも子供の頃の記憶をひきずっており、敵意がくすぶっている。

 人間を鋭く観察する猫の不気味さは、夏目漱石の「吾輩は猫である」を読むまでもない。猫には人の心を読む独特の能力があるのだ。猫に笑顔を見せて優しそうに接しても、私の抱く敵意や悪意を見透かし、「ギャオー」と鳴いて威嚇するのだ。本当に可愛くない。

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 紀伊半島の小さな漁港に、アオリイカ釣りによく行く。生きたアジを泳がせ、これに食いつかせて引っ掛けるヤエンという釣り方である。この釣りをする人には、漁港を根城にする野良猫が次々と集まって来る。

 アジを長く泳がせていると弱ってしまい、使えなくなったアジを捨てるのだが、猫たちはこのアジを狙って集まるのだ。イカに頭をかじられたアジも捨てるので、野良にとっては大変なご馳走にありつける訳である。

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 猫好きの人は「おー、よしよし」なんて優しい言葉をかけてアジを食べさせている。しかし私は断じて猫にアジを与えず、海に捨てることにしている。

 われながら大人気ないと思うが、昔の出来事を根に持っているのだ。もう一つの理由は、猫に甘いところを見せると、不意にアジを奪われることがある。つまり、アジの尻尾に針を打つ時、跳ねて落とすことがあるが、猫はこの機を逃さず食い逃げするのだ。濡れたタオルを振り回し追っ払っているが、敵はひるまないから癪である。

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 こんなこともあった。針に刺したアジを沖に向けて飛ばそうとすると、糸がたるんでアジが地上すれすれになることもある。こんな時、猫はすかさずジャンプしてアジを奪い取るのだ。ケチな話だが、アジ1匹の値段は平均100円、高い店では126円もする。

 以前、猫の頭を叩いてやろうと、死んだアジでおびき寄せた。手を挙げかけたところ、逆に手を引っかかれたこともあった。挙句、アジだけ持って行かれた。可愛いい顔をしているが、油断も隙もない奴らである・・・。

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コメント

お久しぶりです。
あら、ひまじんさんは猫嫌いでしたか。
今ちょうど膝の上に乗ってきたので
お嫌いなネコと一緒に拝読しました。笑)

なんだか寂しげな野良猫の写真がステキで、
文面とのミスマッチに笑ってしまいました。
飼ってみたら意外に溺愛タイプかもしれませんよ。(^_^)

すみません。
名前が「さ」になってしまいました。
さすけでした。

   さすけ さんへ

 「さ」だけで、さすけさんと分かりますよ。
ご丁寧な訂正、恐れ入ります。有難うございます。
さすけさんちの猫ちゃんは、よく存じています。
身も心も許している猫ちゃん。
猫嫌いでもかわいいと思います。
いや本当に、飼ってみたらかわいがるでしょうね。
先日も釣りに行ったのですが、私の信念に反してアジをあげてしまいました。へ、へへ・・・。
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