森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

ミカン狩り

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 私たちが暮らす生石山からつづら道を下ると、ミカン畑が広がっている。日本一の出荷量を誇る「有田みかん」の産地である。畑のあちこちにコンテナを満載した軽トラが止まっており、収穫作業は今が最盛期である。

 ミカンは年末年始になくてはならない果物だ。私が小さいころは、今のように段ボールではなく、木箱に詰められていた。掘り炬燵の上に盛られたミカンを食べながら家族と談笑するのは、日本の正月の風物詩でもある。

 先日、ミカン農家のNさんから「ミカン狩りに来ないか?」という電話をもらった。東京で暮らしている末娘が山小屋に来ており、われら夫婦と3人で参加した。畑には、親しくしている大学の先生と娘さんも来ていた。

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 今年は豊作の年だという。しかしNさんは渋い顔である。安値になって儲けが少ないうえ、最盛期には採り切れないそうだ。時期を逃すと、野鳥につつかれたり、熟し過ぎて傷がついたりして、出荷できないと言うのだ。

 Nさんの収穫を見ていると、ほんの少しの傷がついていても、惜しげもなく捨てるのだ。品質保持のためには、それも仕方ないのだろう。オレンジなどの自由化によってミカン農家は苦境に陥ったが、それでも食べて行くためには、ミカン栽培にすがるしかなかったのだろう。そんなことを思うと、ミカン狩りもちょっぴりホロ苦い・・・。

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 私はミカン狩りをせず、もっぱら見物していた。しかし女房と娘は、鋏を使って次々と摘み取っていく。その合間に、味見と称して食べるのだから大忙しだ。1時間余りで、コンテナ2個が満杯になった。女房と娘は「ちょっと欲張り過ぎたかな?」と舌を出した。

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 ミカン畑を見ていると、少年時代に読んだ紀伊國屋文左衛門の絵本を思い出す。ミカンを満載した船が嵐の中を進む。帆柱につかまりながら咆哮を上げるちょん髷の文左衛門。それは、安く買い叩いたミカンを江戸の町に運び、巨万の富を得たサクセスストーリーだった。子供心にわくわくした。

 文左衛門は、ここ有田に近い醤油の町・湯浅の出身だそうだ。ミカンで得た金で材木商を営み、やがて幕府ご用達となった。絵本のほかに彼のことは知らなかったが、昨年、夢枕獏著「大江戸釣客伝」を読んで、なかなかの風流人だった彼の一端を知った。

 世は花の元禄時代。趣味のためには惜しげもなく金を注ぎ込み、芭蕉の一番弟子の宝井其角や画家英一蝶らと親しく交わった。しかし晩年、幕府から十文銭の鋳造を請け負ったが失敗し、乞食同然の生活をしていたとも言われる。平家物語の一節を思い起こす波乱の人生は、ここ有田特産のミカンに端を発しているのだ。

 わが山小屋の居間には、コンテナ2個に一杯のミカンがある。もう食べ過ぎて指の爪が黄色くなった。Nさんが手塩にかけて育てたミカンを無駄にしてはならない。息子夫婦や知人に送ろうと思う・・・。

 

 
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管理人のみ閲覧できます 2012.12.07 (金) 11:02 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   Rさんへ

 絶品の「和菓子」に比べると、気恥ずかしい品です。
すみません。
紀淡海峡の風を感じていただければ幸いです。
有難うございました。
 2012.12.07 (金) 18:47 [Edit]






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