森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

「温泉の元」に涙が込み上げた・・・

 2013年の新しい年が明けた。和歌山の山小屋から空き家にしていた滋賀の自宅に帰って1週間になる。長く住んでいた自宅なのに、まだお尻がふわふわして落ち着かない。他人の家で暮らしているような感じである。

 標高800m余りの山小屋は余りにも寒いので、今年から5年ぶりに冬の間だけ滋賀で暮らすことにしたのだ。山小屋での朝は、野鳥のヤマガラにヒマワリの種を与えることから始まる。畑を眺め、キノコの出具合を確かめ、近くの高原や森を歩く。薪を屋内に運び込むのも私の仕事である。

 しかし滋賀の自宅での暮らしは実に退屈である。薪ストーブに火を入れなくても、石油ストーブのスイッチを押せば勝手に暖かくしてくれる。ホーム炬燵に潜り込み、テレビを見たり、本を読んだり。うたた寝をしていることも多い。女房から「もっと働け」と尻を叩かれるが、どう働けばいいか分からない。

 先日の朝、NHKテレビの「小さな旅」という番組を見た。昔訪れた土地をもう一度訪問し、人や風景など変わったもの、変わらないものを見つめ直そうという企画である。

 番組では、佐渡の北端にある「願(ねがい)」という小さな集落が取り上げられていた。ここには60人ほどが暮らしている。日本海の荒波が打ち寄せるすぐ先に、20戸ほどの民家が肩を寄せ合っている。その一角に、夫に先立たれたお年寄りが一人で住んでいる。

 この地を20年ほど前にここを訪ねた旅人は、NHKの加賀美幸子アナウンサーである。彼女には、時代劇に出てくる武家の妻女の趣がある。その低い声にいささかの軽薄さもなく、人々に安心感を与える響きがある。金切り声を上げるかつての同僚で元厚労大臣だった小宮山洋子女史とはえらい違いだ。どうでもよいことだが・・・。

 さてその女性には、息子と娘2人の3人の子供があり、いずれも東京に住んでいる。息子は一人暮らしの母親を東京に呼び寄せようとしたが、「佐渡で畑を耕したい」と言って断り続けている。畑で収穫する野菜を子供たちに送るのが楽しみなのだ。

 20年ぶりに訪れた加賀美アナウンサーはこのお年寄りと再会する。当時はまだ背筋がシャンとしていたが、80歳の半ばを過ぎた今ではすっかり腰が曲がり、手押し車の助けを借りて畑に通っている。

 東京の子供3人は話し合って、母親の好きな食べ物や衣類などを定期的に宅急便で送り続けている。テレビカメラは、その箱の中身を映し出していた。ミカンやお菓子がぎっしり詰まっている。その一番上に、「温泉の元」という入浴剤の箱があった。

 それを見た瞬間、さまざまな思いが去来し、私の目から涙があふれた。隣室にいる女房に聞こえないよう、嗚咽した。「温泉の元」・・・。なんという温かい心遣いだろう。「おふくろ、これで暖かいお風呂に入りな」。子供が母親に、遠く離れた東京から想いを寄せる。

 涙は、慙愧の涙でもある。30年ほど前に相次いで亡くした私の両親には、盆と正月、必ず帰省して土産を渡した。それらの品には、自分で言うのも何だがそれなりのお金をかけていた。しかし、「温泉の元」のように心がこもっていたかと問われれば、忸怩たるものがある。日頃の親不孝に対する免罪符のようだったかもしれないのだ。

 新年早々、つまらない事を書いてしまい、少し後悔している。しかし、それが「温泉の元」ではなく、ありふれた日用品だったら泣かなかったかもしれない。人には様々な記憶の中に、琴線に触れる何かがあると思う。私にとって「温泉の元」に思い当たるものはないが、何かあるはずだ。それを探り当てようと、あがいている・・・。

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Comment
 
 Nagahiroy [URL] #-
ひまじんさん、本年も宜しくお願いします。
滋賀に帰られているんですね。私も久しぶりに京都に帰ってます。しばらくはノンビリしてエネルギーを蓄えます。今週末は曽爾に少しでも行ければと思っているのですが、寒いでしょうね。
それでは、今年も健康に気を付けてください。ブログを楽しみにしてます!
 2013.01.01 (火) 12:43 [Edit]
 タマモクロス [URL] #mQop/nM.
明けましておめでとうございます
本年もよろしくお願いします

>琴線
年を食うごとに好きな喰いもんも変わり、ガキの頃はこれ嫌いだったよなぁと思うことがよくあります
それと共に自分の変化を感じる日々

子供が出来た将は親の有り難さが分かった気がしますが、親がいる間はその有りがたさが真に理解できていないのではと思います
大事なものを失って初めてその有り難さを理解するというが、やはり私は凡人ですね(笑)
 2013.01.01 (火) 13:34 [Edit]
 亀丸 [URL] #-
ひまじんさん、明けましておめでとうございます。
生石山を降りてらっしゃるんですね。
私は故郷の因島に帰省しています。
たまには孫の顔を見せようというのが私なりの親孝行ですが、そのような心のこもった心遣いはしたことがないように思います。
やはり、日頃からいつも気遣いを忘れないのが本当の親孝行なんですね。
心がけたいと思います。
 2013.01.01 (火) 18:59 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   Nagahiroy さんへ

 お帰りなさい。
横浜の生活はいかがですか。
しばらくのんびりされるとのこと。
それにしても寒いですね。
この分だと、曽爾高原も氷点下で寒いでしょうね。
こちらこそ、本年も宜しくお願いします。
 2013.01.03 (木) 13:39 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   タマモクロス さんへ

 こちらこそ、本年も宜しくお願いします。
お互い、いい釣りを夢見たいですね。
近年は、年を取って粘りもなくなり、釣行回数もやや減って、これはという釣果に恵まれていません。
タマモクロスさんの爪の垢でももらいたいですね。
いやー、みんな凡人ですよ。
凡人には後悔や喜怒哀楽の味わいがありますよ。
 2013.01.03 (木) 13:46 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   亀丸さんへ

 おめでとうございます。
因島ですか。いいですね。
親が健在で、帰る故郷があるというのが幸せだと思います。親孝行しようと思った時には、大抵、親はいないものです。
 お母さんは息子、孫の顔を見るのを首を長くして待っておられたでしょうね。どんなに立派な土産よりも、元気なわが子の顔ですよ。いろんなことを語って聞かせてやって下さい。
 2013.01.03 (木) 13:52 [Edit]
 マダム半世紀 [URL] #-
今年もよろしくお願い致します^^

この更新はマクドナルドからでしょうか?
マックのコーヒーを飲みながら、PCを開いてるひまじんさんを想像してます(笑)

滋賀にいる間は更新が無いかと、淋しく思っていましたが、良かったです♪

>それを探り当てようと、あがいている
何かが見つかるといいですね。^^

ひまじんさんご夫婦にとって、穏やかで素敵な一年になりますように。


 2013.01.05 (土) 21:33 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   マダム半世紀 さんへ

 おめでとうございます。こちらこそ宜しくお願いします。
 今、例によってマクドナルドです。
コーヒーを飲みながら、ブログを更新し終えたところです。
 近頃、脳味噌の退化を痛感するばかりです。
背筋をピシッと伸ばし、気持ちだけでも若くいたい。
マダムに負けないよう、頑張ります。
 2013.01.07 (月) 10:03 [Edit]






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