森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

「おしん」と「おつね」

 NHKの連続テレビ小説「おしん」の再放送が始まった。30年前、「オシンドローム」 という流行語を生んだ国民的ドラマだったことは言うまでもない。当時私は毎日ほとんど欠かさず見ていた。今再放送を見ながら、その時代のことを色々と思い出している。

 私にとって当時は、仕事が最も忙しかった時代だったし、脂も乗り切っていた頃だと思う。私たちの業界の人間がたむろする場所が都会の一角にあり、そこに古びたテレビが1台置いてあった。昼ごろになると、テレビの前のソファに同業の仲間が集まってきて、毎日「おしん」を見ていた。

 真っ昼間からテレビが見られる結構な商売のように思われるが、業界は競争が激しく、夜も昼もなく互いに角付き合わせていた。しかし、各社の人間関係は結構良く、しばしば飲みにも行った。酒席で直接仕事の話はしないが、無駄口を叩きながら腹の中を探り合っていた。そんな会話の中で、私に「おつね」というあだ名がつけられてしまった。

 お察しの通り、「おつね」はおしんの奉公先である材木商の女中である。7歳で奉公に来たおしんに対し、過酷な仕事を押し付けるのだ。しかしおしんは、1年の年季奉公が明ける日を待ちながら懸命に耐える。その健気な姿は、お茶の間に大きな感動を呼んだ。

 逆に、おつねは憎まれ役である。彼女は、主人の好意で尋常小学校へ通わせてもらうことになったおしんに昼ご飯を食べさせない。50銭硬貨がなくなると、おしんのせいにした。一日中おしんを怒鳴りつけ、意地悪をし続けるおつねは、1億国民の敵となったのだ。そんな「おつね」のあだ名を頂戴したのだから、大いに迷惑した。

 その頃、東映の俳優が経営するラウンジのような店に通っていた。実はその店に、同じ「おつね」という名のホステスがいた。50歳前後と若くはないし、色気もなかったが、客あしらいは実に上手だった。私はいつも親愛の情を込めて「おつね婆さん」と呼んでいた。

 実は私と彼女は北陸のある村の同郷だった。店に顔を見せると婆さんはいつも私の横に座り、「今頃は雪かねぇ」「この前、あの店の醤油を買って帰った」などと、故郷の話ばかりしていた。色気も糞もないが、心が安らいだ。

 3年ほど前、そのラウンジのママから電話があり、「珍しい人の声を聞かせてあげる」と言った。あの「おつね婆さん」の声が聞こえてきた。「まだ生きているのかね」と言ったら、年に似合わない黄色い声を上げて笑っていた。涙が出るほど懐かしかった。

 あの「おしん」のドラマから30年である。その頃、テレビCMで「少し愛して、ながーく愛して」という大原麗子の甘い声が流れていた。夏目雅子が伊集院とか言う色男と婚約してがっかりしたこともあった。上司にせがまれ当時流行のノーパン喫茶にも行ったことがあった。その上司からの年賀状には、昨年1年間に58ラウンドもゴルフをしたと書いてあったから、私も年を取ったなどと弱音を吐いていられない。

 この正月、「おしん」全297話を4回にまとめたダイジェスト版が、4日間にわたって放送された。私はこれを毎日見た。そして毎日泣いた。30年前に「おしん」を見た時、一滴の涙もこぼさなかったと思う。30年の歳月は、私の涙腺をかくも弛緩させてしまったのだ。いいことではないが、過去を振り返って遠い昔にため息をついてしまう・・・。
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Comment
 
2Z04Z00R
ブラック企業で必死こいて働いてたのがバカらしい
ハロワ通うより生活保護もらうより、
こっちの方が楽で稼げるわwww
http://8h8jr9U4.hellowark.info/8h8jr9U4/
ブラック企業は卒業です 2013.01.15 (火) 02:24 [Edit]
 ボーダ [URL] #-
ひまじんさん、お久しぶりです。
今年もよろしくお願いいたします。

おしんですが、私は30年前に放送されていたときは日本にいなかったので見ませんでした。でも、7年前にコロラドでおしんのビデオを持っている日本人に会い、そのときに全部見たんですよ。そのころ悩みを話し合ったりしていたその人と一緒にすっかりハマって、「苦しくても、失敗しても1からやり直せばいいんだよね!」などと言い合いながら、冗談で大根メシまで作って一緒に食べたんです(爆)
苦労だらけのおしんの人生ですけど、多くの人を元気づけてくれるので、あんなに世界中で人気があるんでしょうね。
 2013.01.15 (火) 10:16 [Edit]
 さすけ [URL] #-
ひまじんさん、こんにちは。
私もすっかり新年の挨拶が遅くなってしまいましたが、
今年もよろしくお願いします。

おしんの小林綾子は私と同い年で、
ことしは厄年、2倍成人式となってしまいました。
当時小学せいだったので、実際にちゃんと見たことはないのですが
めちゃくちゃ流行っていたことは覚えています。
ひまじんさんがリアルタイムでおしんの放送を見ていた頃は
働き盛りの30代ですか?
今やおしん世代の自分たちが、当時馬車馬のように働いていたひまじんさん世代の年齢を
越していくのだから、なんだか時代の流れを感じてしまいます。。。

2月まで大津におられるのですか?
今年は仕事の都合で帰省しませんでしたが
夏にはまた滋賀に帰って鮎釣りに興じたいと思っています。
3月までは忙しく、なかなか自分のブログを更新することができませんが
ひまじんさんの記事は楽しみに見ていますので
また滋賀の様子でも知らせてください。
ではでは。。。


 2013.01.15 (火) 12:24 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   ボーダ さんへ

 こんにちわ。こちらこそご無沙汰しています。
本年もよろしくお願いします。
 へっー、大根飯ですか。やりますねぇ。
そこまでやれば、おしんの気持ち、忍耐力がわかるでしょうね。
 それにしても、お友達がビデオも持っておられて良かったですね。本当に泣かせるドラマですよね。
 2013.01.17 (木) 14:02 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   さすけ さんへ

 こちらこそ、よろしくお願いします。
10年ひと昔と言いますが、30年ですよ。
もう大昔ですが、ドラマは今に通じる何かがあるのだと思います。
 昨年の私の鮎釣りはよくありませんでした。
有田川が豪雨で形が変わり、ポイントがなくなった所もあります。加えて、シーズン中、雨が多く、濁りもきつく、釣りに行く機会が少なかったです。
 今年こそ、いい釣りをしたいものです。安曇川の調子が良ければいいですね。
 2013.01.17 (木) 14:10 [Edit]






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