森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

北方領土・・・引き分けとはこれいかに

 10年ほど前、知床半島へ行った帰り、納沙布岬に立ち寄った。北方領土に一番近いこの岬からは、旧ソ連が国境を引いた貝殻島の灯台がすぐ近くに見えた。われら夫婦は「領土を返せ」と叫んでみた。

 その北方領土の返還をめぐって、ロシアのプーチン大統領が「引き分け」と発言したことから、日本に変な空気が漂い始めている。「引き分け」の意味はあいまいだが、それでも領土返還に期待を寄せ、政治家も国民も少し浮き足立っているように見える。

 日本の主張は一貫して、「歯舞、色丹、国後、択捉」の4島返還だった。これまで長年の交渉では、歯舞、色丹の2島を返還し、他の2島の帰属についてはその後話し合うことになり、合意文書も交わされている。しかし、それ以降はこう着状態のままなのだ。

 だから今回のプーチン発言は一歩前進のように見えるが、しかし所詮はあくまでも引き分けなのだ。つまり国是でもある4島返還にはなり得ない。歯舞、色丹に国後をプラスして3島なのか、それとも、これに択捉の一部を入れて島の総面積で二分することなのか。

 いやそれは、日本が勝手に解釈しているだけで、したたかなロシアのことだから「2島返還が引き分けだ」と言いかねない。引き分けの真意を聞き出すため、先日、森元総理がプーチンと会談したが、この二人の顔色を見て一喜一憂するのはまことにバカらしい。ロシアは期待させておいて梯子を外す国である。

 明治の初めごろだったか、函館戦争の首領だった榎本武揚が新政府の代表としてロシアと交渉し、樺太と千島列島を交換する条約に調印した。カムチャッカのすぐ先にある占守島から歯舞群島までの千島列島のすべての島が日本の領有となった。

 この条約に基づけば、日本政府は領土返還交渉で「千島のすべてを返せ」というべきである。日本の政党でこれを主張しているのは、共産党だけなのだ。珍しく、正論である。

 その占守島におけるソ連軍と日本軍の戦闘を描いたのが、浅田次郎の小説「終わらざる夏」(上下)だ。この本を読んで初めて千島の歴史を知った。

 帝国陸軍は精鋭の戦車部隊を満州に温存していたが、太平洋戦争末期、部隊を対米戦に備え占守島に移動させた。しかし日本はポツタム宣言を受諾して降伏したので、精鋭部隊は宝の持ち腐れになるはずだった。

 ところがその数日後、ソ連軍は日ソ中立条約を一方的に破棄し、千島に攻め入ったのだ。これが北方領土の不法占拠の始まりだった。特に占守島では激戦となり、精鋭部隊はソ連軍に大きな打撃を与えたものの、やむなく武装解除した。しかし、彼らの奮戦の結果、北海道を占領されずに済んだとも言われる。

 スターリン時代のソ連は、千島侵攻を見れば分かる通り、信義もへったくれもない国だった。シベリア抑留の歴史もそうだ。満州などから強制連行された軍人や民間人は65万とも100万とも。極寒の中で労働を強いられ、6万人以上が死亡したと言われる。

 このような苦い歴史がありながら、プーチン発言に色めき立つ。日本人はいつからロシアに寛容になったのだろうか。確かに、長くこう着状態が続いて出口が見えない。ある種の厭戦気分が、2島でも3島でもよいと思わせているのかもしれない。

 もしくは、中国が尖閣の海を脅かし、韓国が竹島を占拠し続けていることに、何らかの心理的な影響を受けているのだろうか。北方4島だけでも早く解決したいという気持ちも分からぬ訳ではない。いつまでも4島返還と言っていたら、一つも返ってこないと言われるだろう。元の島民は高齢になり、解決が急がれるのもその通りだ。

 しかし、4島の帰属問題については安易な妥協はすべきでないと思う。これからの日露交渉の行方は、世界が、特に中国が見ている。中国はアメーバ-のように、隙間やひび割れがあればどこにでも入り込んで来る国なのだ。領土問題では、日本国民に忍耐と覚悟が求められていると思うが、どうだろう・・・。


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Comment
 
 チェロ子 [URL] #-
こんばんは。私はこの件、全く詳しくないのですが、たまたま先週
http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/index.html?d130226_0
これを見て、とても勉強になるなあと思ったところだったのです。
学校の日本史でもそう習ったんだったかな?歴史系は苦手なので覚えていないのですが、学校ではこう言う事をもっとしっかり繰り返し教えて欲しいと思います。
 2013.03.07 (木) 22:40 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   チェロ子 さんへ

 こんにちわ。今日は暖かいですね。
先ほど、琵琶湖畔を歩いてきましたが。黄砂でかすんでいました。
 日本は幕末以前から、ロシアの圧迫を受けてきました。まぁ、日露戦争に勝って溜飲を下げましたが、太平洋戦争のどさくさで、また領土を奪われました。
 私は、千島の全部を返せと思っています。
 
 2013.03.09 (土) 16:04 [Edit]
 アガタ・リョウ [URL] #-
             兄貴、有難う御座います。

 私は体質的に歴史が好きなので、雑学で歴史本を読む事が在ります。ロシアの好い加減さと云うよりも、世界史の中での孤高の精神文化国の長い歴史を紡いで来た日本国で在りながら、戦後の野蛮極まりない戦勝国の一方的な自虐史観を鵜呑みにして、平和憲法と称される限時法を護憲と称して、自縄自縛の似非平和に陥っている世相を、苦々しく見詰めて来た次第であります。

 私には到底打てない兄貴の格調高く、分かり易い文章・文体に、一人でも多くの人達が、読んで自分で史観の構築に進んで欲しいと・・・大エールを贈る次第であります。こう云う文章に接すると、ついつい、目頭が熱く為る物です。へへへ。
 2013.03.09 (土) 18:59 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
   アガタ・リョウ さんへ

 いやー、貴兄は歴史に詳しく、舌を巻いています。
私などは、特に西洋史にうといので困ることがります。
ただ、スターリンだけは許せませんね。
学生時代は、ストーリニズムという言葉もありましたよね。詳しい内容はしりませんが・・・。
下手をしれば、日本は赤色化されていたかもしれません。
プーチンの「引き分け」に騙されてはいけませんね。
 2013.03.12 (火) 18:22 [Edit]






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