人の好意を裏切った

 ここ生石山で暮らす仲間のPがぶらりやって来た。山小屋の裏手を覗くなり、「オー、スバラシイ、ビューティフル」と感嘆の声を上げた。私が懸命に進めている土留め工事の出来栄えに驚いたのだ。

 大雨が降れば、今にも山小屋裏側の斜面が崩れそうな状態にある。家の裏には大きな軒を設けてあり、崩れた土砂がその土台を直撃したらえらい事になるのだ。だから梅雨の前には完成させようと、工事を急いでいた。

 この軒は4年前、Pが一人で作ってくれたのだ。お陰で雨の日も洗濯することが出来るようになり、物置も置けるようになった。Pには感謝しても感謝しきれない。

 軒の工事に当たって、彼はほとんど私に手出しさせなかった。私が余りにも不器用であり、非力であったからだ。少しでも手伝おうとすると、「兄貴、邪魔しないでよ。いいから見ててよ」と言った。非力は事実だから、そう言われても悪い気はしなかった。

 しかし、今回の土留め工事はPの世話にはなりたくなかった。自分一人ででもやれるところをPにも、女房にも見せたかったのだ。杉の木を倒し、皮をむいた。そして、鉄パイプを打ち込んで丸太を積み上げた。土留めの効果は間違いないだろう。仕上がりも美しい。われながら完璧な工事だと思った。

 家の裏のテーブルで、Pと女房の3人でコーヒーを飲みながら談笑し、私は土留め工事の出来栄えを自慢した。すると、Pは少し寂しげな表情を見せた。その時、初めて私のうかつさに気付いた。

 実は以前、土留め工事の予定をPに話したことがある。彼は「手伝うよ」と言ってくれた。しかし、自分ひとりで工事を進めてしまった。彼にすれば、自分が作った軒の土留めだから、その関連工事も自分でやり遂げたいという気持ちが強かったのだと思う。

 Pの好意に甘えなければならなかったのだ。素直に「お願い」と言えなかった自分は、まだまだ未熟だなぁと思う・・・。

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     ↓ 工事の前はこんなんだった
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