森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

鈍足夫婦の北アルプス縦走・・・3日目

 ヒュッテ西岳で迎えた北アルプス縦走3日目は、朝の3時半ごろ目が覚めた。山小屋のトタン屋根を打つ雨音が聞こえる。今日は難路の東鎌尾根を登り、槍が岳の肩に至る計画だが、この雨は辛い。

 雨に濡れて低体温症になれば大変だ。実は3日前、宿泊した燕山荘の人から、中央アルプスを登山中の韓国人パーティー5人のうち4人が低体温症のため死亡したと聞かされた。

 山小屋の主人は悪天候のため登山を中止するよう注意したが、韓国人は振り切って出て行ったという。韓国マスコミの一部は「携帯電話がつながらない日本の通信事情が遭難の原因」と報じた。登山は自己責任でやるものだし、山間部で携帯がつながらないのは常識だろう。難クセもたいがいにしてもらいたい。


 午前5時半、早立ちの女性が出発して行った。やるなぁー。われらはしばらく様子を見てみよう。

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 雨が止む気配がないので、6時45分、しびれを切らして出発した。この道をどんどん下って行く。

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 鎖を使って下る。

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 梯子を使って下る。

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 下り坂を見下ろすと、うんざりする。登り直さなければならないので、下りはもったいない。

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 1時間余りかけて下ると、水俣乗越の分岐点。ここから槍が岳への険しい東鎌尾根が始まる。左へ曲がれば、上高地に通じる槍沢に下りられる。

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 東鎌尾根には、厳しい登りの山がいくつも待ち構えている。梯子、梯子の連続だろう。

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 ニッコウキスゲが咲いていた。少しホッとする。向こうに槍沢の雪渓が見える。

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 東鎌尾根最初の核心部には4連の梯子が架けられている。ほぼ垂直。絶対下を見ない・・・。

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 難路の中継点「ヒュッテ大槍」まであと40分の表示。ふー、まだ40分かぁ・・・。

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 右を眺めると北鎌尾根。まるで地獄のような様相だ。ここで幾多の登山家が命を落とした。この尾根を有名にしたのは、新田次郎著「孤高の人」だろう。小説の主人公は単独行で知られる加藤文太郎で、もう一人の若い登山家が加藤を無理に北鎌登山に誘い、彼の行動が遭難の原因にもなったと書かれている。しかし彼は、加藤も認める岩登り名手だった。遭難の真相は北鎌尾根だけが知っている。

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 この山を越えれば「ヒュッテ大槍」。さぁ、もう少しだ。

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 ヒュッテに到着した。昼食には早いが、天麩羅うどんを食べた。冷えていた体が温まった。

 東鎌尾根を一緒に登って来た同じような年配の男性二人がここで悪天と疲労のため離脱した。今夜はヒュッテに泊まり、翌朝、槍沢から上高地へ下ると言っていた。「お互い、気を付けて」・・・。

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 ヒュッテで1時間ほど休憩し、再び槍が岳を目指して歩き始めた。

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 しばらく登ると、「見えたぞ!」という声が上がった。ガスが吹き飛ばされ、槍が見えたのだ。

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 実は、大槍ヒュッテまで難所は多かったが、それほどの怖さはなかった。ところが、写真のようにヒュッテを過ぎてからは道が細く、しかも左側は断崖である。鎖もない。落ちれば、生きて還れないだろう。悪いことに、当時は強風が吹いており、私は吹き飛ばされそうになり、しばしば這いつくばった。正直、恐ろしかった。

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 最後の梯子を越えると、槍が岳山荘が見えてきた。

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 強風が吹いており、身をかがめて進む。山荘は見えているが、なかなか近付いてこない。

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 仰ぐと、3180mの大槍がのしかかってきた。この日のフィナーレはもうすぐだ。

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 天を衝く奇跡のような岩峰を前に、なぜ山に登りたいのかと考える。英国の登山家マロリーは、新聞記者たちから「なぜ、あなたはエベレストを目指すのか」と問われ、「そこに山があるから」と答え、後に名言となった。

 ある本で読んだのだが、あまりしつこく質問されたので、ぶっきら棒に思いついたことを応えただけだというのだ。マロリーが言えば名言になるが、私が言えば「アホか」となる。

 しかしこれだけは言える。黒田日銀総裁の言を借りれば、そこには「次元の異なる」、非日常の世界が広がっているのだ。

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                                        (続く)











 
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   07:06 | Comment:4 | Trackback:0 | Top
 
 
Comment
 
 イレグイ号 [URL] #-
失礼ながら、熟年の方々の登山というのは花と緑を愛でながらゆっくり散歩気分だと思っていました。

みさせていただくと、半分命がけなんですね。すばらしい景色を見るためにはこれだけの苦労をしなければならないとは、まさしく人生と同じなのではないだろうか・・・などと、若輩者であることも省みず考えてしまいました。
 2013.08.08 (木) 23:51 [Edit]
  [URL] #-
    イレグイ号 さんへ

 帰って参りました。
こちら和歌山の山小屋は大したことはありませんが、それでも暑いですね。
 いい景色を見るには、ともかく2500mほどの高みに登らなければなりません。
 槍が岳3180mですから、危険な場所もあります。
でもそこまで行けば天国のような所です。
 私のような老いぼれで行ける所です。
イレグイさんも、いつかは挑戦してみて下さい。
 2013.08.09 (金) 14:02 [Edit]
  [] #
このコメントは管理人のみ閲覧できます
管理人のみ閲覧できます 2013.08.17 (土) 08:20 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
    槍大好きさんへ

 コメント、有難うございます。
双六小屋でお会いした時はびっくりしました。
しかも、槍沢を1時間ほど下りて、登り返し。
西鎌尾根を下ってこられるなんて・・・
その馬力、脚力、根性に敬服します。
 東鎌尾根の難路を一緒に登った女房も、コメントをいただき、とても喜んでいます。
 私たちは毎年夏、槍が岳の周辺をのろのろ歩いています。
 いつかどこかでお会いすることがあるかもしれませんね。
 どうかいつまでもど根性で山を続けて下さい。有難うございました。ブログもまた見に来て下さい。
 2013.08.17 (土) 17:23 [Edit]






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