森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

十一面観音・・・己高閣(鶏足寺)

  湖北の伊吹山系の一角にある己高山(こだかみやま)は、標高923mの平凡な山である。南東には日本百名山の伊吹山が鎮座し、北の方には1000mを超す山が連なっているため、なだらかなこの山は余り目立たない。  

 だがここは、近江国の「鬼門」とされる特別の山域である。それ故、山頂には奈良から平安時代にかけ多くの寺院が建てられ、山岳仏教の文化圏が形成された。その後寺は荒廃したが、ここを訪れた最澄が「鶏足寺」として再興したと伝えられる。

 今回の旅は、その己高山の本尊で、今は山麓に安置されている「鶏足寺の十一面観音」を訪ねるのが目的だ。大津駅で新快速電車に乗り、北陸線の高月駅を目指した。米原駅を過ぎると、右手に伊吹山がドカーンという感じで現れ、湖北に入ったことを実感させられる。

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                車窓から撮影した伊吹山

 高月駅から山麓まで4、5キロほどあるが、天気もいいので歩いて行くことにした。高月の町には水路が縦横に流れ、美しいたたずまいだ。随所に小さな観音堂があり、さすが「観音の里」と呼ばれるだけのことはある。

 ほとんど人通りのない道を行くと、湖北の奥地から流れる高時川に突き当たった。川の水量は豊かだ。そして前方に霊山の己高山が見えた。初めての人はどれがその山か分からないだろう。雪が積もった山々の向こうは、すぐ岐阜県である。

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                右から二つ目の山が己高山

 川沿いの道を歩き続けた。時間はとっくに正午を過ぎ、はしたない話が、空腹で倒れそうになった。田んぼの中の道だから商店などない。さらに半時間ほど歩くと、国道に出た。するとその先に、「ラーメン」と書かれた提灯が見えた。えっ、こんな所に・・・。失礼ながらそう思った。ラーメン、ライスで腹を満たし、再び歩き出した。

 やがて、「己高(ここう)閣」の標識が出てきた。この建物とその裏にある「世代(よしろ)閣」には、鶏足寺など己高山の寺院の仏像が展示されている。荒廃した寺から山麓に下ろされた仏像は90体、そのうちの70体ほどがここにあるという。

 私がここを訪れるのは三度目である。しかし、十一面観音と薬師如来の像だけをぼんやり思い出すだけで、大半は記憶の外にある。信仰心が薄いのか、物忘れがひどくなったのか・・・。せめて今日は十一面さんだけでも目に焼き付けて帰りたいと思った。

 村の古老によって、己高閣の扉が開けられた。正面に鶏足寺の十一面観音が威光を放っている。別に私はマザコンだった訳でないが、観音さんと母を重ね合わせていた。そして、温和で優しい目に、母の面影を追った。

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          鶏足寺の本尊だった十一面観音(コピー)

 古老の説明に耳を傾けた。天台宗を開いた最澄がこの山を訪れると、雪の上に鳥の足跡が点々と付いていた。それを追って登ると山頂近くに沼があり、そこに十一面観音の頭だけが突き刺さっていた。最澄は胴体を彫って頭につなげ、鳥の足跡から名付けた鶏足寺の本尊とした。その後このお寺は山麓に移り、今は「紅葉の鶏足寺」として知られる。

 像は平安初期の作で、国の重文である。像の高さ172センチ、ヒノキの一木造り。すらりとした飾り気のない美しい姿だ。右足の親指が少し上がり、今にも悩める民衆の救済に踏み出そうとしているかのようだ。

 己高山麓のここ「古橋」という集落は、数奇な歴史の舞台である。山岳仏教が栄えて衰退し、多数の仏像だけが今に伝わる。石田三成ゆかりの寺もあるという。戦国の戦火は村を焼き、関ヶ原で破れた三成は古橋に逃げ戻ったが、捕まって京で斬首された。十一面観音はこの地に1300年間たたずみ、そんな歴史を見つめ続けてきた。

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               己高閣には貴重な仏像が多数安置されている

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               薬師堂

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               薬師堂の格子窓から覗くと、仏像が・・・

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              大日堂にも薄明かりの中に仏像が安置されていた

 
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