森に暮らすひまじん日記

第二の人生を歩む私たち夫婦は、和歌山の生石高原に近い森の中で暮らしています。豊かな自然の恵みにあずかりながら、有機栽培で野菜を育てたり、近くの渓流や海で魚を釣ったりする気ままな日々です。そんな暮らしぶりを綴っています。 
 

北岳~間ノ岳・・・泣き笑い ③終わり

 南アルプスへの登山基地・広河原を出発して3日目、北岳を仰ぐ標高2900mの北岳山荘で朝を迎えた。朝食前の午前4時ごろ外に出てみると、ガスが立ち込めていた。その中を、早くも二人の登山者が出発して行った。

 私たち夫婦はこの日、中白根山(3055m)を経て日本第3位の間ノ岳(3190m)を目指す。さらにこの先の農鳥小屋へ下り、もし時間が許せば西農鳥岳、農鳥岳へと進み、Uターンして北岳山荘へ帰る計画だった。

 しかし、われらの脚力と帰着時間を考えると、農鳥岳まではきついかもしれない。それでも農鳥小屋へは行きたいと考えていた。この小屋のご主人については、ネットでの情報しか知らないが、かなり有名人らしい。

 ご主人は、小屋への到着時間が遅れた登山者には相当厳しく怒鳴りつけるらしい。反感を持つ人がいる半面、登山者の安全を思いやる人、本当の山男だと評する人もいる。甲州犬3匹とともに山小屋を守るこの人に、私は妙に親近感を持ち、会ってみたいと思った。

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 山荘を出発すると、猛烈な風が吹いていた。ガスも濃く、視界は10mもない。鼻水は出るわ、涙は出るわ・・・。吹き付ける霧が眼鏡を濡らし、ワイパーを取り付けたいくらいだ。

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 風はますます強まるばかりだ。標高3000mの稜線に吹く風は、半端ではない。台風を中継するテレビ局のアナウンサーなどは「物凄い風です。立って居られません」と絶叫。しかしちゃんと立ったままマイクを握っている。そんなわざとらしく、アホらしい光景を思い浮かべながら、黙々と歩いた。

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 ガスの向こうに標柱らしきものが見えた。間ノ岳の山頂に違いない。

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 やっと着いた。3190m。今年4月、日本第4位から3位の高峰に改定された頂きだ。

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 さてこれからどうするか。当初の計画では、農鳥小屋へ下って、時間を測りながら農鳥岳方面に向かう事にしていた。しかし、濃いガスと強風である。ここまで来てその先に行かないのは無念だが、安全を考えれば諦めるしかない。

 当初、この日も北岳山荘で宿泊することにしていたが、遠征を取りやめたので北岳山頂を越え、一気に御池小屋へ下ることにした。長い距離を歩く一日になる。

 北岳山荘に立ち寄ったころには風が弱まり、ガスも取れ始めていた。山荘の人に聞くと、小さな低気圧が通過中だったとのことだ。体が冷えていたので、熱いカップ麺を食べた。食堂には10人ほどのグループがいて、同じようにカップ麺をすすっていた。考えることはみな同じである。

 これから再び北岳を越えなければならない。その急峻な山を前に、逃げ出したくなった。

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 頂上の近くで、20人ほどの登山グループがカメラを手に集まっていた。女性のひとりに聞くと、キタダケソウが咲いていると言う。人垣で近づけず、カメラをズームにして撮影したのが下の写真だ。肩ノ小屋の近くにも咲いていたから、これで二度目である。北岳固有のキタダケソウは、普通、この時期には散っているという。ラッキーだ。

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 北岳山頂に到着した。今回登山では二度頂上を踏んだ。お地蔵さんが安置されており、お賽銭を供えて下山の安全を祈願した。石のくぼみに置かれたお賽銭は何千円もありそうだ。盗むような不埒者はいないようだが、しかし誰が回収するのだろうと、気になって仕方なかった。

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 頂上から下ってしばらくすると、先を歩いていた女房が何やら興奮している。「百名山のガイドさんですよね。テレビ見てまーす」と黄色い声を上げ、ロマンスグレーの男性に駆け寄った。

 この男性はNHK「日本百名山・北岳編」のガイドを務めた人で、名前は村上周平さん。われらは何度も録画を再生して見ているので、女房は他人とは思えず、舞い上がってしまったのだろう。ミーハー、丸出しである。

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 ガレ場、ザレ場を延々と下り、足の裏が痛くなってきた。小太郎尾根の分岐あたりで、女房に先に行ってもらい、私は靴の紐を締め直した。「すぐ追いつく」と言っておいたが、女房との差は広がるばかりだ。

 やっと白根御池が見えた。すぐそこに見えるのに、なかなか近付かない。足の裏も痛い。この道は、「草スベリ」という名が付いており、疲れたら草の上を滑り降りよという意味なのだろうか。癪にさわる名前である。顔にブヨがまとわりつき、ますます機嫌が悪くなる。池の近くで私を待つ女房の姿が見えたが、それからがまた遠かった。

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       ↑ このあたりから草スベリの急坂が始まる。

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 白根御池小屋で4日目の朝を迎えた。今日は晴天だ。これから広河原に下り、夕方には大津に帰る予定だ。

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 登山初日は右俣コースを登り、帰りは半時間ほど遠回りになるが、大樺沢沿いを下る。もったいないが、しばらくは登りの道が続く。

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 大樺沢二俣に出た。このあたりまで雪渓が来ており、涼風が吹いていた。

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 見上げれば北岳が見送ってくれている。あの山をよくぞ2回も登ったと思う。

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 大樺沢を南アルプスの天然水が流れている。雪渓から沁み出した水である。途中何度も沢で顔を洗い、水を飲んだ。水のうまさを何と表現したらいいのだろう・・・。

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 広河原に到着し、4日にわたる山旅を終えた。今年も元気で歩けたことが、何よりうれしい。夫婦で万歳をした。女房は私のことを「去年より強くなっている」と言ってくれた。振り返ると、北岳が「またおいで」と言っているようだった・・・。

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   08:35 | Comment:5 | Trackback:0 | Top
 
 
Comment
 
 イレグイ号 [URL] #-
いやはや、すごい脚力です。
僕は船を係留している港から自転車に乗って岬を一廻りする間に心臓が止まるのではないかと思うことが2度ばかりありました。
これほどの距離を歩くためには補助心臓を2個は取り付けないと無理だと思います。
 2014.07.31 (木) 22:07 [Edit]
 森に暮らすひまじん [URL] #-
    イレグイ号 さんへ

 こんばんわ。コメント、有難うございます。
いやいや、そんなに脚力はありません。
自分の体力が分かっていますから、ゆっくり歩きます。
千里の道も一歩から・・・歩いていれば頂上にたどりつきます。
ダメなら引き返すまで、と気楽に山を楽しんでいます。
イレグイさんなら、大抵の山は登れます。
 2014.08.01 (金) 18:18 [Edit]
 akemi [URL] #QnwloqDo
こんにちは。久々のコメントです。
ブログは楽しく読ませていただいています。
ひまじんさんがお元気そうでうれしいです。
今年は南アルプスなんですね。とてもきれいな写真に感動していますが、私はやはり北アルプスです。
今年は烏帽子に行きました。よかったです。やっぱり山はいいですね。穂高方面に移住したいくらいです。
移住といえばひまじんさんの生石高原もいいところのようでぜひ訪問してみたいです。
これからもブログ楽しみにしています。
ご無沙汰しています 2014.08.09 (土) 21:53 [Edit]
  [URL] #-
     akemi さんへ

 ご無沙汰ですね。
いよいよ、本格的な山ガールになってきましたね。
烏帽子岳ですか・・・。
すごいですね。
私も登りたいのですが、ブナ立尾根の急登にビビッています。
北岳は素晴らしい山でしたが、やはりスケールから言っても、北アルプスですね。
来月あたり、穂高へ行く予定にしています。
またブログで報告します。
もやいロープのおじさん、どうしていますか?
 2014.08.11 (月) 07:57 [Edit]
 akemi [URL] #QnwloqDo
ブナ立尾根はえらかったです。が、一緒に行ってたのは穂高にも連れて行ってくれた75歳の元会長です。もやいロープのおじさんはアキレス腱を痛めて留守番です。来年は雲ノ平に行く予定です。もやいロープのおじさん含め数人で。来月穂高ですか…私も行きたいです。ブログ楽しみにしています
 2014.08.11 (月) 20:30 [Edit]






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